アレクサンドラ・ゴレリクの歌唱をもう一曲、3曲目のThe Sun`s Coming Down in the Seaと言うヘブライ語の曲ですが、イスラエルのMira Zakaiと言うアルト歌手が歌った盤Song of Land(シール・エレツ)にも入っていますので、続けておかけします。その後に同じくミラ・ザカイで、この盤冒頭の「二つのユリ」を続けます。2曲ともMordechai Zeiraの作った憂いを帯びた大変に美しい名曲だと思います。
<2 Mira Zakai / Two Lilies ~What Say Your Eyes 3分17秒>
מירה זכאי - מה אומרות עיניך
<1 Mira Zakai / Two Lilies שני שושנים ~Two Lilies 4分14秒>
מירה זכאי - שני שושנים
<3 Alexandra Gorelik / A Violet and Other Jewish Traditional Songs ~The Sun`s Coming Down in the Sea 4分24秒>
セオドア・ビケルの歌うロシア語とヘブライ語の歌も、それぞれLP2枚と1枚分はありますので、選曲に大変迷いましたが、個人的な愛好曲を1曲ずつかけました。ロシア語の方は1960年リリースのSongs of Russia Old & New / Russian Gypsyから、大変に美しい19世紀のロシアのロマンスGari Gari Maya Zvyezda (Twinkle, Twinkle, My Star)、ヘブライ語の方は1958年リリースのSings Songs of IsraelからShech Abrekです。Shech Abrekは、イスラエルの有名なフォーク・デュオDudaimの70年代に出ていた国内盤LPの冒頭を飾っていた曲で、Adama Adamati「私の大地」と言うタイトルだったと思います。エステル・オファリームも歌っていました。このサブラらしい曲をセオドア・ビケルは豪快に歌っています。
3本目は、テヴィエ役としてのセオドア・ビケルの素晴らしい一面がうかがえる「金持ちなら」。「サンライズサンセット」と並ぶ「屋根の上のヴァイオリン弾き」の名曲です。番組で言いましたが、ブロードウェイで1969年からテヴィエを2000回以上演じたそうですが、Fiddler on the Roofのウィキペディアに載っていないのは何故でしょうか。これは大きな謎です。
Adon Olam(アドン・オラム)を最初に広尾のシナゴーグで聞いたのは、93年前後だったと思います。確かユダヤ人の知人(当時勤務していた店、ストアデイズのお客さん)と一緒にシャバトの夕方に訪れた際でしたが、その場にたまたま居合わせたユダヤ人男性の独唱で聞いて、強い感銘を受けました。その時は、他にも交唱で歌われる歌も素晴らしく、忘れない内に帰ってから記譜しました。(この曲は未だ何の曲かは分からないままですが)アドン・オラムも楽譜に書き留めましたが、当時はCDに入っている音源を聞くことはなく(通常はクレズマーで演奏する曲ではないので)、それをアンディ・スタットマンのこの盤で95年に聞けたので、感慨もひとしおでした。
1本目はAndy Statman & David Grisman / Songs Of Our Fathersから。6人のカントールによる2本目は最初このメロディで歌い始めますが、すぐ3本目の旋律に移ります。後半でまた最初のメロディに戻ります。更に、この2つ以外にもアドン・オラムの別メロが出て来ます。3本目はイスラエルの女性歌手サリット・ハダッドの歌唱。どうも、このメロディの方がイスラエルでは一般的なようです。(以下放送原稿を再度)
アドン・オラムと言うヘブライ語タイトルは、「主は永遠に」と言う意味です。中世スペイン時代以来歌われてきたソロモン・イブン・ガビロールの詩に付けられたアシュケナジーム系のこのメロディは、個人的に90年代前半に広尾のシナゴーグで初めて聞いて感動した旋律そのものです。
<10 Andy Statman & David Grisman / Songs Of Our Fathers ~Adon Olam 3分23秒>
ADON OLAM - Hampton Synagogue - Thanksgiving Concert 2017
今週の番組で取り上げた音源は、他にはミルトスの「ユダヤ音楽の旅」の付属CDのハシディームのニグンの現地録音と、ギオラ・ファイドマンのエレー・ハムダー・リビー等、デュオ・ペイレ・キュニオがありますが、水野先生の著書の付録CD音源は、もちろんそのものがYouTubeにあるはずないので、今日はエレー・ハムダー・リビーを上げておきます。デュオ・ペイレ・キュニオは、東欧音楽のグループ、ブラッチがらみと言うことで今後も何度か登場すると思いますが、明日に取っておきます。
「キング・オブ・クレズマー」と称賛される名クラリネット奏者ギオラ・ファイドマンの独プレーネ盤「The Magic of the Klezmer」の、1曲目のSongs of Rejoicingに、そのラビ・シュロモ・カルリバッハが書いたハシディックなEle Chomdo Libiが入っています。Yismech Hashamayim,Yossel Yosselと続くメドレーですが、何と言っても悠揚迫らぬテンポで歌い出されるEle Chomdo Libiのインパクトが大きいです。73年のファーストアルバムを聞いたすぐ後、同じく91年頃にこの盤を聞いたので、非常に鮮烈に記憶に残っています。ラビ・シュロモ・カルリバッハのハシディック・ソングは、当時通った銀座教文館のヘブライ語教室で度々歌ったので、何曲も覚えて親しみました。今でも歌えると思います。先生からカルリバッハのエピソードも色々お聞きしました。アルファベット検索では、残念ながらカルリバッハのこの曲の歌唱は見当たりませんでした。代わりにクレズマー・ヴァイオリンと弦楽四重奏の演奏を上げておきます。
<1 Songs of Rejoicing 3分56秒>
Ele Chomdo Libi - Yismechu Hashamayim (May the Heavens Rejoice) - Yossel Yossel
今日はギオラ・ファイドマンのライブ演奏を2本上げておきます。今年で87歳と言うご高齢ですが、まだまだ現役で活動しているようで、1本目のクレズマー音楽の方は2018年の映像ですから、この時すでに82歳という事になります。アラブのウード、東欧のツィンバル、西洋のハープを取り入れたユニークな編成です。2本目は解説にEl Choclo (A.Villoldo) and New Freilekh (Trad.)とある通り、アルゼンチン出身らしく、タンゴのエル・チョクロで始まりクレズマーに移ります。タンゴとクレズマーが実に自然に繋がります。何とこちらは更に最近で、2019年の映像です。
今週かけた曲ではWalking To Caesariaと題する曲が放送では尻切れになって非常に残念でした。この曲は「ユダヤのジャンヌ・ダルク」とも形容されるハンナ・セネシュのEli Eli(我が神、我が神)に付けられた有名な旋律でした。ギオラ・ファイドマンの演奏では見当たらないので、他の人の演奏ですが、クラリネット独奏を3本目に上げておきます。アクセスは少ないようですが、歌を上手くアレンジした良い演奏だと思います。
今日はシャバトの歌、シャローム・アレイヘムとスィム・シャローム(Give Us Peace)を探してみました。どちらも色々別メロディがありまして、シャローム・アレイヘムは番組でかけた音源そのものがありましたが、Give Us Peaceがなかなか見つからず、諦めました。スィム・シャロームは別メロディが非常に多いことが改めてよく分かりました。別メロですが、祈祷歌らしい雰囲気の映像を代わりに上げておきます。(以下放送原稿を再度)
ラディカル・ジューイッシュ・カルチャー盤に移る前に、一曲だけバカラック自身の楽団の演奏で、I Say a Little Prayer(小さな願い)をおかけしておきます。ディオンヌ・ワーウィックやアレサ・フランクリンの歌唱で有名ですが、ブラックミュージックのイメージは最近まで余りなくて、このしゃれた曲調から多分バカラック作品で個人的に一番好きな曲です。変な喩えですが、放課後の誰もいない校庭を長年勝手に連想していました(笑) 脱力感のあるトランペット(あるいはフリューゲルホーン?)の音が最高です。
<8 Burt Bacharach / Reach Out ~I Say a Little Prayer 2分27秒>
では同じI Say A Little Prayerをラディカル・ジューイッシュ・カルチャーのGreat Jewish Music: Burt Bacharachに入っているMarie Mcauliffeの演奏でおかけします。この盤ではバカラック・ナンバーをジョン・ゾーン周辺の先鋭的な演奏家が、様々な実験的アレンジで披露しています。
<2-3 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Marie Mcauliffe / I Say A Little Prayer 6分12秒>
おそらくバカラックの曲で、「雨にぬれても」と並んで最も有名な曲と思われるClose To Youを次におかけします。カーペンターズの歌唱の邦題は「遙かなる影」となっていました。演奏はWayne Horvitzです。ジョン・ゾーンのネイキッド・シティに参加したことで有名な人です。
<1-1 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Wayne Horvitz / Close To You 2分24秒>
<1-7 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Joey Baron / Alfie 3分28秒>
<2 Burt Bacharach / Reach Out ~/ Alfie 3分5秒>
では最後にMarc Ribotのギター中心の演奏でDon't Go Breaking My Heartを時間まで聞きながら今回はお別れです。マーク・リボーもジョン・ゾーン周辺の最重要ミュージシャンの一人です。面白いことに、この曲はマーク・リボーで1枚目に2回入っています。1回目はマカロニ・ウェスタンの曲のような軽快な調子ですが、2回目はスロー・テンポに落として、ギターで韓国の琴、カヤグムのような音を出しています。2回目まで入ると思います。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<1-2 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Marc Ribot / Don't Go Breaking My Heart 2分52秒>
<1-9 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Marc Ribot / Don't Go Breaking My Heart 3分29秒>
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