ハシディック

2024年2月21日 (水)

ルスティヒ・ザイン

ルスティヒ・ザインは個人的に最も好きなハシディック・ソングの一つで、その旋律がARCのイェール・ストローム / The Devil's Brides - Klezmer & Yiddish Songsに登場して嬉しい限り。番組でも言いましたが、ARC盤ではもっと広く東欧音楽全般からユダヤの音楽を捉えているという印象で、その中で典型的なハシディック・ニグンとして知られるこの名旋律が上手く嵌っていました。
昨年の9月には、フランソワ・リリエンフェルトの演奏で、イディッシュ・タンツ(A Jiddischer Tanz イディッシュの踊り、あるいはユダヤ人の踊り)として上げましたので、聞き覚えの方もいらっしゃるでしょうか。ルスティヒ・ザイン(イディッシュ語Lustik zein?、英語be cheerful)は、ヘンリー・サポズニクのクレズマー譜にも載っていた有名な旋律ですが、リヴァイヴァル・クレズマーのグループなどの演奏で聞いた記憶はほとんどないです。

<Lustig Zayn? 3分43秒>

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2023年11月 3日 (金)

98年以降のアンディ・スタットマン

アンディ・スタットマンの98年ヒドゥン・ライト以降のリリース作をウィキペディアで見てみました。16作ある中で、タイトルからすぐにユダヤ関係と分かるのは、1998 Holiday Tradition、1998 The Soul of Klezmer、2000 Klezmer: From Old World To Our World、2004 Wisdom, Understanding, Knowledge、2006 New Shabbos Waltz - with David Grisman、2005 Avodas Halevi、2014 Hallel V'zimrah — Ben Zion Shenker, vocals、2014 Songs of the Breslever Chassidim位でしょうか、8作品もありました。ツァディク・レーベルのAvodas Haleviは、千葉から愛媛にUターン移転した2005年のリリースという事で、DIWからサンプルを頂いてなかったようです。音楽はやはりフリージャズの入ったクレズマーで、オーネット・コールマンと言うより、曲によってはアルバート・アイラーを思い出しました。
他にストリーミングで聞ける中では、 Songs of Our Fathersの流れを汲む2006年のNew Shabbos Waltzが特に素晴らしく思いました。有名なピユートなどを実に上手くアレンジして聞かせます。2004年のWisdom, Understanding, Knowledgeも、ほとんどユダヤ宗教歌のニグン特集のような内容です。2014年のSongs of the Breslever Chassidim(ブラツラフのハシディームの歌)が、ラビ・ナフマン関係かと思わせるタイトルから一番気になりますが、ストリーミングには出ていないし、CD-Rでは手に入るらしいという事以外分かりません。昨日話題に出したBetween Heaven & Earthは、ヒドゥン・ライトの直前の97年リリースでしたから、やはりSongs of Our Fathersの後でした。幾つか聞いてみて、やはり舞踊音楽系のクレズマーと言うより、深くユダヤ教の中に降りていくような内容で、ダンス音楽系のクレズマーからジューイッシュ・ソウルフルの方向に舵を切ったと言う推測は、間違いなかったように思います。
Andy Statmanと検索して上位に上がっていた今日の動画は、「ヤコブの梯子」のジャケットのBetween Heaven & Earthから、旧約聖書のユダヤ人の預言者の一人ヨナを曲にしたと思われるYonahと、Wisdom, Understanding, KnowledgeからNiggun Simchah / Song of Joyです。

Yonah

Niggun Simchah / Song of Joy

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2023年10月27日 (金)

ヴェゾヘル V'zocher

2曲のカルリバッハ作と思われるシャローム・アレイヘムも気になりますが、今回のカルリバッハ特集はV'zocher (Live)で締めたいと思います。CDでは聞いたことのなかったというのは間違いで、YouTubeを見ていて、この曲はヴァンガードのAt The Village Gateに入っていたことを思い出しました。大分前に入れた盤ですので、資料を後で見てみます。今週の放送では、ラストにかけて尻切れになって非常に残念なので、10/29分の最初にノーカットでかけました。
これは絶唱と呼ぶにふさわしい歌唱のライブ音源です。裏声にまで上がって行くカントール的な細かい装飾技巧も入ったハシディック・ソングと言うのは、他にそうないかも知れません。ヴェゾヘルの部分のそのままの訳は「そして覚えている」ですが、「祖先の忠実な行為を覚えている」と言う辺りのシャバトの祈りの文句が歌詞になっているようです。以下のサイトに出ていた英訳を添えておきます。歌詞の該当箇所の英訳はwho remembers the loyal acts of the ancestors and will send a redeemer to their children’s children in love, for such is his way.の部分です。ヘブライ語歌詞のローマ字表記はv-zocher chas-dei avot, u-mei-vee go’eyl liv-nei v’nei-hem l’ma’an shemo b’ahavah.の部分で、ヘブライ原文もこのサイトにあります。2本目はSojourn Recordsと言うレーベルから出ていたこの曲の別音源です。

https://www.betheldurham.org/docs/First_Berachah_Shabbat_Amidah.pdf

Blessed are You, Adonai, our God and God of our ancestors—God of Abraham, God of Isaac, and God of Jacob [God of Sarah, Rebecca, Rachel and Leah].
The God who is great, mighty and awesome, most high God, who bestows loving kindness, Creator of all, who remembers the loyal acts of the ancestors and will send a redeemer to their children’s children in love, for such is his way.
Sovereign, Support, Redeemer and Shield! Blessed are you, Adonai, shield of Abraham [and provider to Sarah].

<V'zocher (Live) 7分42秒>

V'zocher

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2023年10月26日 (木)

カルリバッハ晩年のライブ オッド・イシャマー

カルリバッハの生演奏を見たいと思いますが、思ったより少なく、1本目の長いものは大変貴重だと思います。解説にShlomo Carlebach, live at Temple Chai in Phoenix, Arizona February 5th, 1994とあります。彼は1925年1月14日ベルリン生まれで、1994年10月20日に亡くなっているので、2月のこの映像は、飛行機でカナダに移動する直前に心臓発作で急逝する8か月前です。レマアン・アハイ・ヴェレアイで始まりますが、途中まで見た限りでは、ニグン的な歌唱が多く曲名が不明の曲がほとんどでした。
今週の番組でかけたオッド・イシャマーは、静止画像ですが、ライブ演奏のものを貼っておきます。30年ほど前のヘブライ語授業に中年のユダヤ人女性が来られたことがあって(お名前は忘れてしまいましたが)、オッド・イシャマーなどカルリバッハの曲が好きだと言ったら、とても喜んで下さったようです。(以下放送原稿を再度)

Shlomo Carlebach, live at Temple Chai in Phoenix, Arizona

イスラエルのHed Arziから出ている彼のベスト盤から、もう一曲「オッド・イシャマー」は、聖書のエレミア書33章10~11節のヘブライ原文が歌詞になっていて結婚式でよく歌われる歌です。曲の後半は歌詞が消えてメロディだけをアイ・ディ・ディなどと歌っていますが、これはハシディック・ソングのニグンという「ことばのない歌」に当ります。ニグンは昔は記譜されることなく口伝で伝わったそうです。同じ文句を繰り返して段々早くなることも有り、ユダヤ神秘主義カバラーの流れを汲むハシディック・ソングの法悦感を醸し出しています。

Od Yishama (Live)

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2023年10月25日 (水)

ヴェハエル・エイネイヌ

カルリバッハでどの曲が一番印象に残っているかと言うと、92年頃に聞いたヘッド・アルツィのベスト盤のトップに入っていたヴェハエル・エイネイヌです。オッド・イシャマーとかエッサー・エイナイ(詩篇121編)とか、ヘブライ語の授業で当時色々彼の歌を歌いましたが、この曲は歌わなかったような気がするのに、一番印象が強いのは何故だろうと思います。バックの音楽の印象もこの音源では少しクールファイブっぽいなとも思いますが(笑)、何より「歌うラビ」のイメージと同一化したかのような、この曲の静かなインパクトは絶大です。
この曲は和訳すると「我らの瞳を照らせ」となります。歌詞は聖書ではなく、以下のような内容になります。「我らの瞳を汝の律法に照らせ。そして汝の戒律に我らの心を密着せよ。そして我らの心を愛と汝の名を畏れることにおいて一つとせよ。恥じることも、うろたえることもない。そして永遠につまづくことはない。」こういう熱い信仰の歌です。
1本目が番組でかけたベスト盤の音源、2本目はイスラエル兵とのライブ映像、3本目はギオラ・ファイドマンの演奏です。

Veha'er Eineinu - Rabbi Shlomo Carlebach

Shlomo Carlebach - Veha'er Eineinu (live in Israel, 1973)

Giora Feidman - Vehaeir Eineinu

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2023年10月23日 (月)

シンギング・ラバイ(歌うラビ) ラビ・シュロモ・カルリバッハ

ゼアミdeワールド382回目の放送、日曜夜10時にありました。25日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。レマアン・アハイ・ヴェレアイのらいぶ映像がありましたので、今日はこれだけ貼っておきます。

東欧系ユダヤ音楽の22回目になります。最近度々ラビ・シュロモ・カルリバッハの曲をかけていますので、今回は7年前に放送されたカルリバッハの自作自演の内容にプラスしてお送りしたいと思います。2016年11月27日のゼアミdeワールド34回目の放送分がベースになっています。
ハシディック・ソングはユダヤ音楽の「本丸」の一つと言っても過言ではない、重要な音楽です。特に90年代から日本でも一部で人気を集めたクレズマー音楽においては、そのスピリット的な部分にハシディック・ソングがあります。ロックやジャズのルーツにブルースがあるように、クレズマーのルーツにはハシディック・ソングがあると思います。またジャズの曲名に「スイングしなけりゃ意味がない」というのがありますが、これになぞらえれば、ハシディックのグルーヴ感がなければクレズマーじゃないとなるでしょうか。クレズマーにはルーマニアを始めとする東欧各地の伝統音楽が豊富に入っていますが、ハシディックの芯が一本通ってないと、ジプシー音楽や東欧音楽とユダヤ音楽の差がなくなってしまいます。ブルースの根幹にある黒人霊歌(ゴスペル)=ニグロ・スピリチュアルになぞらえれば、ジューイシュ・スピリチュアルと言えましょうか。

シンギング・ラバイ(歌うラビ)と呼ばれたラビ・シュロモ・カルリバッハは、聖書の文句などに作曲した、哀愁のある親しみやすいハシディック・ソングの名曲を沢山残しました。最近のイスラエルとパレスチナの戦争について、草葉の陰から悲しまれていると思います。一日も早く平和が戻ることを願って、まず前回アンディ・スタットマンの演奏でかけた詩篇122編によるレマアン・アハイ・ヴェレアイと、過ぎ越しの祭りの歌アディール・フーの2曲を続けます。レマアン・アハイ・ヴェレアイは詩篇122編の8から9節が歌詞の該当箇所で、その部分の新共同訳を読み上げます。

私は言おう、私の兄弟、友のために。
「あなたのうちに平和があるように。」
私は願おう。私達の神、主の家のために。
「あなたに幸いがあるように。」

<2 Lema' an Achi Vereai (Live) 4分55秒>
Rabbi Shlomo Carlebach - Le'ma'an Achay Ve're'ay - live in France 1970 - video 2 -

<11 Adir Hu 3分11秒>

イスラエルのHed Arziから出ている彼のベスト盤の1曲目のヴェハエル・エイネイヌを次におかけしますが、この曲は和訳すると「我らの瞳を照らせ」となります。歌詞は聖書ではなく、以下のような内容になります。「我らの瞳を汝の律法に照らせ。そして汝の戒律に我らの心を密着せよ。そして我らの心を愛と汝の名を畏れることにおいて一つとせよ。恥じることも、うろたえることもない。そして永遠につまづくことはない。」こういう熱い信仰の歌です。

<1 ラビ・シュロモ・カルリバッハ / ヴェハエル・エイネイヌ 3分37秒>

イスラエルのHed Arziから出ている彼のベスト盤から、もう一曲「オッド・イシャマー」をおかけしますが、この曲は聖書のエレミア書33章10~11節のヘブライ原文が歌詞になっている結婚式の歌です。
曲の後半は歌詞が消えてメロディだけをアイ・ディ・ディなどと歌っていますが、これはハシディック・ソングのニグンという「ことばのない歌」に当ります。ニグンは昔は記譜されることなく口伝で伝わったそうです。同じ文句を繰り返して段々早くなることも有り、ユダヤ神秘主義カバラーの流れを汲むハシディック・ソングの法悦感を醸し出しています。

<8 ラビ・シュロモ・カルリバッハ / オッド・イシャマー 4分27秒>

最近ストリーミングの中に見つけたカルリバッハの歌唱に、シャバトの歌シャローム・アレイヘムが2種類ありましたが、これは最近何種類かかけたシャローム・アレイヘムの旋律とは別のもので、カルリバッハが作ったメロディと思われます。「あなたの上に平安を」と言うタイトルは、今正に痛切に感じます。2曲続けます。

<Shalom Aleichem 1 2分3秒>
<Shalom Aleichem 11 3分27秒>

では最後に、最近ストリーミングで見つけた歌、V'zocher (Live)を時間まで聞きながら今回はお別れです。これは絶唱と呼ぶにふさわしい歌唱で、CDでは聞いたことのなかった曲のライブ音源です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<V'zocher (Live) 7分42秒>

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2023年10月20日 (金)

For The Sake Of My Brothers And Friends

曲名が英語でFor The Sake Of My Brothers And Friends(兄弟と友達のために)と出て来ると、最初何のことか分からなかったのですが、ラビ・シュロモ・カルリバッハのレマアン・アハイ・ヴェレアイのことでした。この歌も30年前にヘブライ語教室で歌って親しんだ一曲です。彼の曲はこの盤、Songs Of Our Fathersに4曲ありますが、過ぎ越しの祭りの歌アディール・フーと、詩篇122編によるレマアン・アハイ・ヴェレアイを番組でかけました。Moshe Emes(おそらく「モーセの真実」の意味)がどの部分かよく分かりませんが、これはアディール・フーに巧みに組み込まれているように思います。今日は曲順を番組とは逆にしました。なお、来週は7年前の34回目の放送分に足してカルリバッハ特集にしました。(以下放送原稿を再度)

Songs of Our Fathersについても、99年に音楽之友社から出たユーロルーツポップサーフィンに拙稿を書いていますので、抜粋して少し読み上げます。

クレズマー・リヴァイヴァルの立役者の一人スタットマンがマンドリン奏者グリスマンと共演。普通クレズマーでは余り採り上げないアシュケナジーム系のシャバトで実際に歌われている哀切なヘブライ語の祈祷歌などが選ばれている。カルリバッハのアディール・フーの高揚感も素晴らしい。近年は黒いキパを被り、ジャズのスタイルを取りながらも東欧舞踏音楽系中心ではなく、ソウルフルなユダヤ宗教歌を好んで演奏し、孤高のクラリネット奏者と言う風情。

<8 Andy Statman & David Grisman / Songs Of Our Fathers ~L'Ma'an Achai V'Re'ei 5分56秒>
For The Sake Of My Brothers And Friends

<2 Andy Statman & David Grisman / Songs Of Our Fathers ~Chassidic Medley: Adir Hu / Moshe Emes 4分12秒>
Chassidic Medley: Adir Hu/ Moshe Emes

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2023年10月16日 (月)

Andy Statman & David Grisman / Songs Of Our Fathers

ゼアミdeワールド381回目の放送、日曜夜10時にありました。18日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は1曲目と12曲目のシャローム・アレイヘムのみです。

東欧系ユダヤ音楽の21回目になります。今回はリヴァイヴァル・クレズマーの初期から活動しているアンディ・スタットマンのSongs of Our Fathersを聞いていきたいと思います。アンディ・スタットマンは、元々ブルーグラスのマンドリン奏者でしたが、70年代から東欧や自身のルーツであるユダヤの音楽を演奏し始め、Songs of Our Fathersで共演しているデヴィッド・グリスマンに若い頃マンドリンを教わり、更にクラリネットは何と往年の名手デイヴ・タラスに師事したという経歴を持ちます。自身のグループでのクレズマー盤もありましたが、95年にリリースされたSongs of Our Fathers以降、ブルーグラスやジャズと融合させながらジューイッシュ・ソウルフルな演奏が多くなっているように見受けられます。これはハシディック・ソングの影響が大きいのではと思います。
Songs of Our Fathersは、私も95年当時かなりの愛聴盤で、その理由は、前回もかけたシャローム・アレイヘムや、同じくシャバトの歌、アドン・オラムが入っているのと、更にはハシディック・ソングの大家ラビ・シュロモ・カルリバッハの曲などを演奏しているからでした。まずは1曲目のシャローム・アレイヘムと10曲目のアドン・オラムを続けておかけします。何度か言っていますが、Shalom Aleichemは、「こんにちわ」の意味であるのと共に、この歌では「あなたの上に平安を」の意味です。アドン・オラムと言うヘブライ語タイトルは、「主は永遠に」と言う意味です。中世スペイン時代以来歌われてきた詩に付けられたアシュケナジーム系のこのメロディは、個人的に90年代前半に広尾のシナゴーグで初めて聞いて感動した旋律そのものです。

<1 Andy Statman & David Grisman / Songs Of Our Fathers ~Shalom Aleichem 1分45秒>

<10 Andy Statman & David Grisman / Songs Of Our Fathers ~Adon Olam 3分23秒>

次に数年前にイスラエルの時にも取り上げたラビ・シュロモ・カルリバッハの曲はこの盤に4曲ありますが、その中から2曲続けておかけします。過ぎ越しの祭りの歌アディール・フーと、詩篇122編によるレマアン・アハイ・ヴェレアイです。

<2 Andy Statman & David Grisman / Songs Of Our Fathers ~Chassidic Medley: Adir Hu / Moshe Emes 4分12秒>
<8 Andy Statman & David Grisman / Songs Of Our Fathers ~L'Ma'an Achai V'Re'ei 5分56秒>

Songs of Our Fathersについても、99年に音楽之友社から出たユーロルーツポップサーフィンに拙稿を書いていますので、抜粋して少し読み上げます。

クレズマー・リヴァイヴァルの立役者の一人スタットマンがマンドリン奏者グリスマンと共演。普通クレズマーでは余り採り上げないアシュケナジーム系のシャバトで実際に歌われている哀切なヘブライ語の祈祷歌などが選ばれている。カルリバッハのアディール・フーの高揚感も素晴らしい。近年は黒いキパを被り、ジャズのスタイルを取りながらも東欧舞踏音楽系中心ではなく、ソウルフルなユダヤ宗教歌を好んで演奏し、孤高のクラリネット奏者と言う風情。

この盤は、再度シャローム・アレイヘムが最後の12曲目に登場して、締め括られています。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<12 Andy Statman & David Grisman / Songs Of Our Fathers ~Shalom Aleichem 7分16秒>

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2023年10月13日 (金)

Duo Peylet-Cuniotのヤリボンとギオラ・ファイドマンへのオマージュ

ブラッチとはドイツ語でヴィオラのことですが(ヴァイオリンはガイゲ)、このフランスの東欧音楽のスーパーグループが何故この名を冠しているのかは不明です。1972年にギタリストのダン・ガリビアン(アルメニア系では?)とヴァイオリニストのブルーノ・ジラールによって結成され、1976年に最初のアルバムをリリース。これまでに10枚以上のアルバムをリリースし、グループは 2015 年に解散したそうです。10年以上前の話ですが、都はるみさんが絶賛していたと言う話を聞いたように思います。メンバーはDan Gharibian: guitar, bouzouki, vocals、Bruno Girard: violin, vocals、Théo Girard: double bass、Nano Peylet: clarinet、François Castiello: accordion, vocalsの5人です。
ユダヤ系フランス人ピアニスト、ドニ・キュニオは、1989年以降の仏Budaからのナノ・ペイレ(クラリネット)とのデュオ数枚で、迸るハシディック魂を聞かせました。彼は1953年生まれで、フランス・クレズマー・シーンの先鋒として知られる人ですが、若い頃はアルバート・アイラーやアーチー・シェップなどの先鋭的なジャズに心酔していたようです。その後、自身のルーツであるユダヤ音楽やクレズマーに段々目を向けるようになったようです。
今回かけた曲ですが、かなりの超絶技巧に聞こえるGiora, Mon Amour(ギオラ・モナムール ギオラ、我が愛)に対して、Yah Ribonのシンプルさの対比が、大変面白く思います。やはりギオラ・ファイドマンの名演を意識してでしょうか、シャバトの名旋律はそのままにと言うことでしょう。(以下放送原稿を再度)

この後はフランスの東欧音楽のスーパーグループ、ブラッチの中心メンバーであるクラリネット奏者のナノ・ペイレがピアノのドゥニ・キュニオと組んだフランスBudaからの1枚目Musique des Klezmorimから2曲続けますが、前回ギオラ・ファイドマンの演奏でおかけした、しみじみと感動的なシャバトの歌Yah Ribonの演奏が8曲目に入っていますので、こちらをおかけします。「永遠の主よ」の意味のアラム語の祈祷歌で、シャバトの始まる金曜夜の食事の後で歌われる歌です。

<8 Duo Peylet-Cuniot / Musique des Klezmorim ~Yah Ribon 2分41秒>

ギオラ・ファイドマンのレパートリーは、東欧~イディッシュものより、ヘブライ語の祈祷歌やハシディック・ニグンの系統が多く、その「ユダヤ・スピリット」の塊のような深い音色は、他の追随を許さないと前回読み上げた拙稿にも書いていましたが、その音色に惚れ込んででしょう、ナノ・ペイレが彼へのオマージュ曲を演奏していると前回解説を入れていましたので、その曲Giora, Mon Amour(ギオラ・モナムール ギオラ、我が愛)を次におかけします。

<2 Duo Peylet-Cuniot / Musique des Klezmorim ~Giora, Mon Amour 3分31秒>

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2023年10月12日 (木)

Ele Chomdo Libi

今週の番組で取り上げた音源は、他にはミルトスの「ユダヤ音楽の旅」の付属CDのハシディームのニグンの現地録音と、ギオラ・ファイドマンのエレー・ハムダー・リビー等、デュオ・ペイレ・キュニオがありますが、水野先生の著書の付録CD音源は、もちろんそのものがYouTubeにあるはずないので、今日はエレー・ハムダー・リビーを上げておきます。デュオ・ペイレ・キュニオは、東欧音楽のグループ、ブラッチがらみと言うことで今後も何度か登場すると思いますが、明日に取っておきます。
「キング・オブ・クレズマー」と称賛される名クラリネット奏者ギオラ・ファイドマンの独プレーネ盤「The Magic of the Klezmer」の、1曲目のSongs of Rejoicingに、そのラビ・シュロモ・カルリバッハが書いたハシディックなEle Chomdo Libiが入っています。Yismech Hashamayim,Yossel Yosselと続くメドレーですが、何と言っても悠揚迫らぬテンポで歌い出されるEle Chomdo Libiのインパクトが大きいです。73年のファーストアルバムを聞いたすぐ後、同じく91年頃にこの盤を聞いたので、非常に鮮烈に記憶に残っています。ラビ・シュロモ・カルリバッハのハシディック・ソングは、当時通った銀座教文館のヘブライ語教室で度々歌ったので、何曲も覚えて親しみました。今でも歌えると思います。先生からカルリバッハのエピソードも色々お聞きしました。アルファベット検索では、残念ながらカルリバッハのこの曲の歌唱は見当たりませんでした。代わりにクレズマー・ヴァイオリンと弦楽四重奏の演奏を上げておきます。

<1 Songs of Rejoicing 3分56秒>
Ele Chomdo Libi - Yismechu Hashamayim (May the Heavens Rejoice) - Yossel Yossel

Ele Chomdo Libi

Eileh Chamda Libi

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