イタリア

2021年9月24日 (金)

レジアの踊り

レジアの踊りの方に焦点を移します。言葉では、スロヴェニアとイタリアはスラヴ系とラテン系で異なっても、共通するのはカトリックの文化。カルナヴァル(謝肉祭)の映像も目立ちます。1本目は「はこだて国際民俗芸術祭」の映像のようです。3本目は1973年の映像で、これは貴重な記録では。5本目の女性フィドル奏者は、イヴァ・ビトヴァと見間違えました(笑) 6本目は放送でかけた曲とは違いますが、Brian Olewnickが「真のハイライトのいくつかは、無伴奏の女性の重唱」と形容したタイプの味わい深い民謡です。

2010 WMDF003 "Val Resia", Italy: ヴァル・レシア

Italian Fiddle - Resia Valley music and dance

VAL RESIA - SAN GIORGIO - CARNEVALE 1973

Carnival in Resia

Barabàn - Resiane

Resian folk song 1

| | コメント (0)

2021年9月23日 (木)

レジアのフィドルと3弦チェロ

今日はレジアのフィドル(citara)と3弦チェロ(bunkula)に焦点を当ててみます。ヴァイオリンとチェロを弾いているもので、どうしてもこの2つには目が行ってしまいます。フィドル(ヴァイオリン)奏者はフレーズごと、左右交互に足を踏み鳴らしていました。録音を聞いている限りでは、踊り手のステップの音かと思っていましたが、フィドル奏者の足音だったとは(笑) これはYouTubeを見なければ分からなかったことです。
ボウイングが曲がっていたり(弦に対して弓が直角にまっすぐ動いてない)、松脂が白くこびりついていたりと言うのは、クラシック奏法的には完全にアウトですが(笑)、東欧のフィドルでは普通に見られることです。何よりノリと味わい重視だろうと思います。3弦のチェロは2本ずつ重音で弾き、何と全く指板を押さえず、開放弦だけを弾いているようです。フィドル奏者の足踏みと合わせて、重音の組み合わせが変わっています。3弦のコントラバスやヴィオラはルーマニアのトランシルヴァニア音楽などで出て来ますが、チェロの3弦と言うのはレジアで初めて見ました。太い弓はコントラバスのものだと思います。北東イタリアのスラヴ圏、レジアの例を見ると、イタリアの一般のフォーク・フィドルはどうだろうかと気になってきます。

Coro Monte Canin Val Resia "Potyme dö pö Lypje"

Resia Valley - Italian fiddle

| | コメント (0)

2021年5月20日 (木)

南イタリアのアルベレシュ、グリコ語とマグナ・グレキア

アルバニアは7割はイスラム教徒と言うことは、これまで書いていませんでしたが、それは音楽自体に余り関係ない様に思ったからでした。ホッジャの時代の「無神国家」を経たからでしょうか、現在は穏健で世俗的ムスリムがほとんどという事です。しかし、名前にははっきり分かる形で残っています。1本目のヴァイオリニストのDervishiや、クラリネット奏者のIbrahimは、明らかにイスラム系の名前です。昨日取り上げた「アカペラのヴォーカル・ポリフォニー」を意味するAjriを、ヴァイオリン、クラリネット、アコーディオンで演奏しています。アルベレシュのようなので、イタリア在住でしょう。予備知識なしで聞けば、美しいヨーロピアンなトリオ演奏です。2本目は、昨日「90年代にLyrichordの音源で初めて聞いた」と書いたItalian-Albanian singerのSilvana Licursiです。実に味のある歌です。
3本目は、アルベレシュの近くに住んでいるギリシア系のグリコ人のグリコ語のサンプル。ギリシア系の画家エル・グレコと言う表記なら分かり易いですが、「グリコ」と書かれると過剰反応するのは日本人だからでしょう(笑) タランテラ系の音楽が盛んで、古代のマグナ・グレキア以来、南イタリアに住んでいるギリシア系がこの音楽に果たしたウェイトは大きいのではと思ったりもしますが、その辺りの調査はまたイタリアに回ってきたらという事にします。4本目はマグナ・グレキアの音楽祭でしょうか? ほとんど100分オール、タランテラです。

Ajri i Pirukes

Trio "Bukuria"
Besa Dervishi, Violin
Ibrahim Gunbardhi, Clarinet
Thomas Krizsan, Accordion

VERY OLD ORIGINAL ALBANIAN SONG (Before the Turkish occupation of Albania)

Griko language

Magna Grecia - Greek songs from South Italy - Grecia Salentino

| | コメント (0)

2021年5月19日 (水)

南イタリアのアルバニア人のポリフォニー Ajri kavalleres

何度か書きましたが、南イタリアにアルバニア系少数民族がいることを知ったのは、90年代にアメリカのLyrichordの盤を通してだったと思いますが、スイスVDE-Galloの2011年の盤ではリリコード盤のフォーク調の歌謡ではなく、南イタリアのカラブリア地方へ移住したアルベレシュと呼ばれるアルバニア系少数民族の民謡そのものが入っていて、驚きを新たにしました。
放送で言ったことの繰り返しになりますが、南イタリアの舞曲タランテラや、いかにも南イタリア風な曲調の中に、幾つかの声楽パートがポリフォニックに動く曲が何曲かあります。イタリアも各地に様々なポリフォニーがありますので、その影響もあるようには思いますが、アルバニアのポリフォニーとの類似性も垣間見える古風な面も残しているように思います。いずれもAjriと言う言葉が付いていて、その原型と思われるAjretは、アカペラのヴォーカル・ポリフォニーを指しています。仏訳はAirですので、歌とかアリアのような意味合いになりそうです。
Ajriは全部で7曲ありまして、最もアルバニア寄りに聞こえる1、2、21、22曲目の4曲を続けておかけしました。1曲目のAjri kavalleres はアルベレシュの民族衣装を確認できる静止画像付きもありました。仏訳はAir des cavaliersでしたから、「騎士の歌」と訳せるでしょうか。

Albanians of Calabria - Ajri kavalleres (Air des cavaliers)

Ajri kavalleres (Air des cavaliers)

| | コメント (0)

2017年6月28日 (水)

南イタリアのタランテラ

イタリアは、北が「ヨーロッパ」で、南はアラブっぽいところがあると、たまに聞きますが、伝統舞曲のタランテラの激しいリズムや枠太鼓タンブレッロ(あるいはタンブリン)を聞くと、本当にチュニジアの音楽に似た部分が聞こえるように思います。20年ほど前にフランスのAl Sur(活動停止してしまったレーベルです)から出ていたArakne Mediterraneaは、その後イギリスのARCから多分そのままの内容で再発されております。確か2枚あったアル・スール盤の印象は鮮烈で、前回の放送でかけましたが、今でもよく覚えていました。女性歌手の歌う哀愁の旋律も秀逸でした。このグループ、youtubeは結構有りましたから、今でも盛んに活動しているようです。旋回の入るところも、北アフリカと共通していると言えるかも知れません。

Arakne Mediterranea Pizzica Finale NDT 2011 - Calimera (LE).mpg

Kali nifta

Μεσογειακοί Διάλογοι - Arakne Mediterranea - 1

昨日ですが、HPは変更せずに、8月2日の加藤吉樹さんのウード・ソロのライブ情報だけ入れました。カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークでの開催です。もう一度、以下に書いておきます。

<ライブ情報>
カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。チラシが出来ましたらまたアップしますが、取り急ぎお知らせ致します。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブ。

タイトル  加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗) 
   今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先 
VYG06251@nifty.ne.jp

加藤吉樹 ウードの奥の音
http://yoshikioud.blog115.fc2.com/

Alf Leyla Wa Leyla~アラブ音楽とベリーダンス~
https://www.youtube.com/watch?v=Ac4h0bCDZtY

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年1月27日 (水)

Historia de los Cataros

一昨日はうっかり日付を跨いでしまいまして、昨日もアップすると1日2件になるためお休みしました。カタリ派関連の動画は余りに多くて困るほどですが、今日のスペイン語版「カタリ派の歴史」は、南フランスだけでなくスペイン北東部やイタリア北西部にも広まった歴史を紹介しているようです。中世音楽の華であるトゥルバドゥール(吟遊詩人)の音楽も、カタリ派抜きには語れないようです。

Historia de los Cátaros.wmv

Historia delos Cátaros2.wmv

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月 6日 (金)

シチリアのハチロク

シチリアのハチロク・リズム、ありました。すぐに見つかりました。現在歌われている民謡や、現代化した中にもフォーク調を感じさせる歌は、かなりの頻度で8分の6拍子や8分の12拍子です。思えば、対岸の南イタリアに伝わるタランテラも、3/8または6/8拍子でした。イタリア南部は昔からこの跳ねるようなリズムが多い所のようで、ルネサンス~バロック期にもその流れが当然あって、バロック音楽はイタリアから始まりましたから、シチリアーナもイタリア経由でヨーロッパ中に広まった、ということでしょう。
2本目の頭には、ブラスによる葬送音楽のようなのが聞こえますが(後半はスカ調?)、これもハチロクとも取れ、メロディはどことなくスペインのサエタに似ています。シチリアのハチロクの歌には哀感があって、しっとりとたゆたうように聞かせるタイプが目立ちますが、これなどはシチリアーナの直系と言えるのかも。長靴の爪先に当たるカラブリア地方の歌(5本目)にも、そんな印象があります。

mi votu e mi rivotu

Roy Paci & Aretuska - Cantu siciliano (2002)

Sicilia - Salvatore Giuliano - Il Siciliano

Sciuri Sciuri

Traditional Calabrese Song

Rosa Balistreri - Mafia e Parrini



La canzone "Mafia e Parrini" (mafia e preti) della cantante folk siciliana Rosa Balistreri

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月 5日 (木)

色々なシチリアーナ

フォーレのシシリエンヌに続いて、今日は色々な作曲家のシチリアーナを拾ってみました。お聞き覚えのある曲も多いはず。ぱっと思い出した作曲家の国籍は、本家のイタリア、フランス、ドイツが中心でした。他の国にはシチリアーノを書いた作曲家は、ほとんどいなかったかも知れません。(今日は特にJ.S.バッハの作品が多くなりました)

シチリアーナはバロック時代に大流行した舞曲で、その後ほぼ忘れ去られていたのを、フォーレが独自の感覚で復活させました。しかし、19世紀に復活した曲は、シチリアと言うより、パリの町並みが似合うような音楽かも知れません。

現在のシチリア島にシチリアーノは残っているのか、というのが気になります。何かあったらまた取り上げます。

Siciliana - Ancient Airs and Dances No. 3 - Respighi



このレスピーギのシチリアーナは、古今の作品で最も有名な曲の一つでしょう。

JS Bach / Edith Picht-Axenfeld, 1968: Goldberg Variations, BWV 988 - Variations 7, 8, 9



グレン・グールドのピアノで一般に広く知られるようになったゴールドベルク変奏曲の中のシチリアーノ(第7変奏)と第8,9変奏。エディト・ピヒト・アクセンフェルトの素晴らしいチェンバロ演奏で。最近はドイツ語に忠実に「ゴルトベルク」と表記されることが多いようです。

バッハ シチリアーノ フルート演奏 Bach Siciliano Flute



このフルート・ソナタ中のシチリアーノは、昔クリープか何かのTVCMに使われていたことがありました。テニスコートで雨宿りするカップルが映っていたような・・。 美しい一曲です。

BWV 1001 III.- Siciliano



この曲は無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ1番のシチリアーノのギター編曲版。

13.シチリアーノ/パラディス(siciliano/Paradis)



パラディスのシチリアーノは、チェロでもよく演奏されます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月16日 (木)

レジアの踊りとフィドル

寒波到来です。伊予でも現在気温が1度。ストーブの真ん前にいても暖まらず、寒すぎて腰掛けたいくらいです(笑) 今日もレジアの映像ですが、フォークダンスとフィドル奏法について少し分かるものがありました。言葉や歌はスラヴ的ですが、踊りや基本的な楽器については、やはりイタリア寄りかな、と思います。
余りに寒いし、時間もないので、本日は短文にて失礼します。

Folklorna skupina Emona - Rezija (35 obletnica 2002)

Etno Histria '08 - Little Promo Concert @ Škocjan, Aug 6

Resian folk song 5

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月15日 (水)

レジア渓谷の音楽

イタリア内スラヴの地、レジア渓谷の音楽、色々見つかりました。イタリア北東部のフリウリ・ジュリア地方になるのだろうと思いますが、レジア渓谷にはスラヴ系のスロヴェニア人が住んでいて、豊かな民族文化を残していました。女性の叫ぶような交唱、チティラ(ヴァイオリン)とブンクラ(3弦のチェロ)の組み合わせ(例のジョン・ゾーンのレーベル、DIWからの「レジア・ヴァレイ・ミュージック~スマルナミーザ」にも入っていました)など、驚きの映像の連続です。イタリアの地域別音源と言えば、アメリカの民族音楽学者アラン・ローマックスのシリーズが余りに有名で、フリウリ・ジュリアもあったと思いますので、よく探すとレジアの音楽も入っていたかも。場所的にはアルプスに近いのですが、レジアはやはり直でスラヴに繋がる部分を強く感じます。

Slovenski Ljudski Plesi, Rezija (part one), RTV Ljubljana 1988



ナレーションはスロヴェニア語だと思います。ロシア語に似ています。1988年に出たビデオからの映像とのこと。

Slovenski Ljudski Plesi, Rezija (part two), RTV Ljubljana 1988

Resian folk song 1



-rezijanska svatbena pesem-
very very ancient and very hard to get; Resian wedding song, from resia valley old original recording. on the extreme western border of the slavic world high in the julian alps, in opposite to other places of the alps where slovenes live, resia valley has been cut from the outter world for centuries thats why it maintains its orthodox authentic slavic character.

if the Resians are Slovenians is left to the debate we certinly got same ancestors, but today our cultures are very diffrent. Officialy they are recognized as slovenian minority in italy but few of them fell Slovenian, they rather advocate Resia being a separate slavic micronation on its own.

Resian folk song 2



アニメも独特

Resian folk song 3



景色だけでなく、町並みや建物も美しいです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

その他のカテゴリー

J.S.バッハ New Wave-Indies アイヌ アメリカ アラブ アラブ・マグレブ アルゼンチン イギリス イスラエル イスラム教 イタリア イディッシュ イラン地方音楽 インディアン、インディオ インド インドネシア インド音楽 ウイグル ウラル・アルタイ エジプト エチオピア オペラ オーストラリア オーストリア キリスト教 ギリシア クルド クレズマー ケルト コンサート情報 コーカサス (カフカス) サハラ シベリア シャンソン ジャズ スイス スペイン スポーツ スーダン セファルディー ゼアミdeワールド チェロ チベット トルコ音楽 ドイツ ナイル・サハラ ナツメロ ニュース ハシディック ハンガリー バルカン バルト語派 バロック パキスタン ビザンツ音楽 フランス フランス近代 ブラジル ペルシア音楽 ペルシア音楽 トンバク ユダヤ ユダヤ音楽 ライブ情報 ルーマニア レビュー ロシア ロシア・マイナー ロマン派 ヴァイオリン 中南米 中国 中央アジア 仏教 仏教音楽 北アジア 北コーカサス(カフカス) 北欧 南アジア 南インド古典音楽 古楽 地中海 室内楽 弦楽合奏 弦楽四重奏 後期ロマン派 文化・芸術 文学 新ウィーン楽派 旅行・地域 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 東アフリカ 東南アジア 東方教会 東欧 歌謡曲・演歌 民謡 沖縄 独墺 猫・犬 現代音楽 童謡、わらべうた 筝曲 純邦楽 西アフリカ 西スラヴ 韓国