ゼアミdeワールド529回目の放送、日曜夜22時にありました。9日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。まずは昭和8年のオリジナル録音から。
里帰りが長くなっていますが(笑)、今回はお盆の民謡特集の4回目として、市丸さん特集と民謡アンソロジーにしてみます。前々回にかけた「阿波よしこの」を歌っていたお鯉さんこと多田小餘綾(ただ こゆるぎ)さんは、昭和11年にタイヘイレコードと専属契約を結び、「東の市丸、西のお鯉」として全国に知られるレコード歌手、日本の「歌姫」として活躍したそうですが、この機会に東の市丸さんの歌を何曲かかけてみようかと思います。
前にもかけたかと思いますが、昭和8年の大ヒット曲の「天竜下れば」から始めます。1906年生まれの市丸さんとほぼ同世代の私の祖父が市丸さんのファンだったと父から聞き、それ以来、幼少時代に祖父に連れられて行った今治の奥座敷、鈍川温泉の渓谷を見ると、この曲が脳内再生されるようになりました。これも前に言ったかも知れません(笑) 行ったことのない天竜川の渓谷が目に浮かぶような名曲です。
祖父は新内節も好きだったそうで、近くにあった花街「移転地」に聞きに行ったのではと思いますが、何とそこに私の新内の師匠の母、宗家が営業に来ていたのではということを宗家がご存命の時にお聞きしました。祖父は宗家の芸を聞いたのかも知れません。このエピソードも前に言ったかと思いますが、民謡や新内など、何と歌の趣味が合うことでしょうか(笑) 生きていたら聞きたいことが山ほどあります。
<中山晋平の新民謡 市丸 / 天竜下れば 3分20秒>
VIDEO
市丸さんの故郷の長野県南部伊那地方の民謡だけでなく、近県の民謡の歌唱も大変素晴らしく、木曽節、伊那節の2曲を続けます。
<日本の流行歌スターたち(15) 市丸 / 木曽節 2分47秒>
<日本の流行歌スターたち(15) 市丸 / 伊那節 2分42秒>
野沢温泉小唄は「天竜下れば」と一緒に「中山晋平の新民謡」に入っています。昭和5年、雪の野沢温泉に中山晋平、作詞の時雨音羽、振り付けの藤間芳枝がそろって訪れ、興大いに湧いて創り上げた新民謡と言われています。昭和初期の鶯芸者三羽烏の最年長、藤本二三吉が最初に歌った歌です。
長野県北部に位置する野沢温泉と言えば、30年くらい前に道祖神祭りという荒々しい祭りの映像をTVで見て、大変強く印象に残っています。
<中山晋平の新民謡 市丸 / 野沢温泉小唄 3分12秒>
市丸さんは民謡調の流行歌よりも、まず小唄・端唄の名人として知られていますので、端唄名曲の深川をおかけしておきます。バックの「チョイナー」というお囃子は民謡系統のものかと思いますが、歌は江戸の花街ど真ん中の内容です。三味線の三下りの荘重な感じがぴったり来る曲です。
<端唄 特選 市丸 / 深川 4分18秒>
Traditional Folk Songs of Japanからデカンショ節をおかけしますが、この音源は1961年に米Folkwaysからアナログ盤が出ていて、最近は米Smithsonian FolkwaysからサブスクかDLかカスタムCDRで購入可になっています。歌い手が不明の江差追分と佐渡おけさや、今とは節が異なる五木の子守唄など、興味深い音源が色々あります。この中から最近は余りCD等では聞くことが少ないと思われるデカンショ節を選びました。
デカンショ節は、兵庫県丹波篠山市を中心に歌い継がれている江戸時代からの盆踊り唄で代表的な民謡です。江戸時代から唄われていた農作業の仕事唄・盆踊り唄である「みつ節」が変化したものとされています。曲名の由来は、囃子言葉の「ドッコイショ」がなまったという説や、哲学者のデカルト、カント、ショーペンハウエルに由来するという俗説などがあります。中学時分ショーペンハウエル好きだったので、私はそれで興味を持った面もあります。
<Group from Sasayama / Dekansho song 3分23秒>
では最後に八代亜紀の「舟歌」のアンコとして挟まれていることでも有名な「ダンチョネ節」をおかけします。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。歌唱は三浦布美子です。
この曲は大正時代の作者不詳の流行歌ですが、神奈川県三浦市三崎町を中心に広まり、神奈川県の民謡とされています。
民謡としての「ダンチョネ節」は船乗りの悲哀を歌っており、その節を使って色々な替え歌が作られ、東京高等商船学校の学生によって愛誦され、また軍隊でも唄われるようになりました。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<艶唄芸者 三浦布美子 / ダンチョネ節 2分43秒>
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