アイヌ

2011年5月 9日 (月)

オロチョン

アイヌの周辺の北辺の民族にはギリヤークのような古シベリア系だけでなく、ツングース系が多いのですが、オロチョン族もその一つ。ツングース系の代表的な民族は、と言えば、満州族やエヴェンキ族でしょう。
「イヨマンテの夜」と同じ伊藤久男さんが「オロチョンの火祭り」という歌を歌っていましたが、「イヨマンテの夜」がほとんどアイヌ伝統音楽の要素を留めていないのと同様、「オロチョンの火祭り」も元々の中国やロシア領内に居住するツングース系のオロチョンからはかけ離れた歌のようです。オロチョンは「北方民族」を指す言葉として用いられた時期があり、その名残からオロチョンの火祭りと命名されたそうです。オロチョン族自体に火祭りの儀式も無いそうです。
北辺の諸民族と日本との関係を調べていると、たまにこういう不思議なエピソードを見かけるように思います。アイヌの周辺にエヴェンキは確かにいましたが、オロチョンはもしかしたら大分離れていたのかも知れません。

オロチョンの火祭り   伊藤久男

オロチョン娘 三門順子



三門さんがこんな歌を歌っていました。作曲は「同期の桜」の作曲で有名な大村能章

ウデゲ族の村にて



オロチョン族の映像が見当たらないので、アイヌとの共通性も見出されるウデゲ族の映像を一本上げておきます。(以下はビデオの解説)
ドルミンの森のベースからスノーモービルで確か1時間のところ。グバシュウギ村を訪れました。車でもいけないことはないのですが、2-3倍の時間がかかるため、スノーモー­ビルでタイガの冬の森を走り、この村に辿り着きました。
ウデゲ族はナナイ族同様、この周辺のツングース系民族と言われ、日本のアイヌと近い風習を持っています。私はアメリカ・インディアンを想像しました。まさか現在に向かいな­がらの生活が残っているとは思えませんが、何らかの発見を求めてこの地への旅をリクエストしました。

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2011年5月 8日 (日)

コタンの口笛

アイヌ関係を見ている内に、子供の頃に読んだ「コタンの口笛」をふと思い出しました。「アイヌ」と言えば、何よりも先に思い出す話です。小さい頃に読んだ児童文学ですから、詳細はよく思い出せませんが、もの哀しいイメージだけはしっかり刻まれています。
ウィキペディアに解説がありました。
1957年(昭和32年)に発表。アイヌを主人公とした物語であり、日本人(和人)による差別と彼らとの和解などを描いている。 石森延男は当小説で第1回未明文学賞と第5回産経児童出版文化賞を受賞している。
こちらで更に詳しくレポートされています。
映画化もされていて、伊福部昭氏が音楽を書いていました。原作のイメージにぴったりな音楽で驚きました。

伊福部昭 『コタンの口笛』 (1959)

『コタンの口笛』 メイン・タイトル

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2011年5月 6日 (金)

アイヌと縄文 安東ウメ子のウポポ

アイヌの伝承歌はウポポと呼ばれますが、ウポポとムックリの名手として知られた安東ウメ子さんの芸を少し見てみます。ウポポ・サンケなど現代的感性も交えた秀作を残した方ですが、04年に亡くなられました。淡々とした旋律の内に大自然の森羅万象を表現しているような、そんなイメージの浮かぶ歌声です。
アイヌ民族は縄文人の末裔であるという説が有力とされながらも、諸説あって決着はしていませんが、例え違ったとしても、蝦夷の地で隣り合って住んでいたことは確かでしょう。1本目はアイヌと縄文の音楽を合わせる試み。しかし、古代の蝦夷(現在の東北以北の日本)に住んでいたのは誰だったのか、非常に興味深いテーマです。

縄文鼓とアイヌ音楽/土取利行、安東ウメ子、オキ



■立光学舎ミュージックアーカイブ

縄文鼓とアイヌ音楽/土取利行、安東ウメ子、オキ

2002年、香川県県民文化会館で催された「縄文鼓の世界/アイヌソングとの響宴」より

土取利行(縄文鼓) 安東ウメ子(歌) オキ(トンコリ)

安東ウメ子(Umeko Ando) ウタリ オブンパレワ

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2011年5月 5日 (木)

ムックリとトンコリ

今日はアイヌの楽器編。代表的なのは、やはり口琴ムックリと先日登場した弦楽器トンコリでしょう。ムックリは現物が一つ手元にありますが、ハンガリーなどの口琴と違って紐が付いていて、それを引っ張って鳴らすのが特徴で、弁を直接弾くのよりも難しいように思いました。その不自由さがカムイ・ユカラ的な世界を表現できる秘訣でしょうか。
一方トンコリの涼しげな音色を聞くと、いつもマダガスカルのヴァリハ(竹筒琴)を思い出します。この楽器の音色もアイヌの世界観をよく表しているように思います。素朴な楽器にもかかわらず、オキさんの音楽のように、ロックを取り入れた同時代の音楽性にもしっかり馴染む楽器です。

アイヌ民族博物館 アイヌの唄

ムックリ♪アイヌ民族楽器

居壁 太 ムックリソロ

居壁 太 トンコリソロ

とんこり アイヌ民族楽器 OKI

SAKHALIN ROCK



"SAKHALIN ROCK" BY OKI DUB AINU BAND!

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2011年5月 4日 (水)

アイヌのユカラ

岩波文庫から知里幸恵さんの編訳で「アイヌ神謡集」が出ていますが、そのアイヌ民族叙事詩、カムイ・ユカラの日本語朗読がありました。同じ箇所ではありませんが、3、4本目はアイヌ語でのカムイユカラ。アイヌ語の語感と、朗誦のリズムと抑揚がよく分かります。
「銀の滴、降る降るまわりに」が繰り返される下りはとても有名で、忘れ去られようとしたアイヌ口承文学の遺産を日本語訳した功績は計り知れないものがあります。知里幸恵さんは、1922年に翻訳完成と同時に心臓病のため、19歳の若さで亡くなりました。彼女が命と引き換えに完成させた「アイヌ神謡集」は、「アイヌの心」を知るには必須の名作です。

アイヌ神謡集

カムイ・ユーカラの語り

アイヌ語の物語 カムイユカラ いわかほれver.2.flv

カムイユカラ

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2011年5月 3日 (火)

イオマンテとアイヌ・ドキュメンタリー

イヨマンテ(熊送り)は、より正確な発音はイオマンテとなるようです。イオマンテの儀式そのものの映像も結構ありました。「イヨマンテの夜」よりずっと淡々とした印象ではあります。映像で見る限り様々な趣向で執り行われるようです。
熊送りの儀礼はオホーツク文化圏の他民族(ギリヤーク等)から受け継いだようですが、アイヌ語というのは近縁の言葉の存在しない言語で、周囲の日本語、アルタイ系、ツングース系、古シベリア諸語のいずれとも系統の異なる独立言語です。彫が深く髭の濃い風貌から、アイヌ・コーカソイド説まで飛び出す程、外見的な面でも周辺民族と隔たっています。
アイヌ語には文字がないので、口承のユカラに叙事詩語りのような形で言語的、文学的伝統が継承されています。故・萱野茂氏等の録音が何点か出ています。(アイヌWRML)縄文人の末裔とも言われる彼らは、東北以北が蝦夷と呼ばれていた頃に北海道やサハリンを中心に住んでいて、東北にもアイヌ語起源の地名などが沢山残っていると言われます。「津軽」という地名もその一つとどこかで読んだ記憶があります。

Fire Festival Hokkaido of Iomante イオマンテの火祭り

イオマンテ<1>

熊送りの話「イヨマンテ」

イヨマンテリムセ

Ainu, First People of Japan, The Original & First Japanese

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2011年5月 2日 (月)

イヨマンテ

やはり熊祭り(熊送り)の伝統はギリヤーク(ニヴフ)にもあるようですので、昨日の一本目は関連映像ではと思われます。イヨマンテ(熊祭り)と言えば、伊藤久男氏の「イヨマンテの夜」をまず思い出してしまいますが、これは世代かも知れません(笑) 昔の歌謡番組でよく見かけましたが、もの凄い声量に驚いたものです。今日の一本目に、作曲者・古関裕而氏自身の指揮で。古関さんは日本の歌謡名曲を沢山書いた人です。70年代にオールスター家族対抗歌合戦の審査員として、近江俊郎氏などと一緒に出演されていました。今思えば、日本歌謡界の重鎮が揃っていました。
併せてアイヌ民謡を二本上げておきます。3本目はアイヌの伝統楽器トンコリの弾き語りです。
追分のルーツ探訪とはずれましたが、アイヌやその他の北辺の諸民族を当たりながら徐々に西へ移動する予定です。

伊藤久男イヨマンテの夜1975

アイヌ民謡

Ainu Village - Girl singing


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