ブラームスとウェーベルンのパッサカリア
他のパッサカリアを少し見てみます。今日は、ブラームスの交響曲第4番の終楽章、ウェーベルンのパッサカリアを上げておきましょう。ブラームスは4曲交響曲を書いていて、最後の交響曲第4番は冒頭からしてブラームスらしい晩秋のムード溢れる名曲で、私も中学頃にバルビローリ指揮ウイーン・フィルの演奏に随分はまりました。4楽章にはロマン派らしからぬ古めかしいパッサカリアが採用され異彩を放っていますが、注意して聞いてないと分らないかも知れません。ブラームスに秋味(こんな形容が似合いそうで)の作品は枚挙に暇なく、昨今はピアノ独奏の間奏曲(グレン・グールドの名演)なども人気のようです。
ウェーベルンはシェーンベルク、ベルクと並んで20世紀の新ウイーン楽派の作曲家で、無調から十二音技法に進んだ師匠シェーンベルクの技法を更に押し進め、その短く凝縮された抽象的な作品群の最初には、今日のパッサカリア作品1があります。シェーンベルクの浄夜の路線を更に深化させたような、後期ロマン派の極致の音楽と言えましょうか。無調~十二音に突入する前の、爛熟した世紀末の響きが感じられます。絵画に喩えるなら、浄夜や「ペレアスとメリザンド」の頃の初期シェーンベルクは、クリムトかエゴン・シーレ、ウェーベルンはカンディンスキーでしょうか。(そう言えば、ブーレーズのウェーベルン全集のジャケットはカンディンスキーでした) しかし、パッサカリアの頃のウェーベルンは、やはりクリムトでしょう。
おまけで、昨日のハルヴォルセン~ヘンデルのパッサカリアの、ヴァイオリンとチェロ版の素晴らしいライヴ映像を入れておきます。
Carlos Kleiber - Brahms Symphony No.4 (4th mov,)
Carlos Kleiber conducts Brahms Symphony No.4 (4th mov), with the Bavarian State Orchestra
Webern - Passacaglia for Orchestra, Op. 1
Han Na Chang-Passacaglia for Violin and Cello
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