新ウィーン楽派

2012年9月19日 (水)

ブラームスとウェーベルンのパッサカリア

他のパッサカリアを少し見てみます。今日は、ブラームスの交響曲第4番の終楽章、ウェーベルンのパッサカリアを上げておきましょう。ブラームスは4曲交響曲を書いていて、最後の交響曲第4番は冒頭からしてブラームスらしい晩秋のムード溢れる名曲で、私も中学頃にバルビローリ指揮ウイーン・フィルの演奏に随分はまりました。4楽章にはロマン派らしからぬ古めかしいパッサカリアが採用され異彩を放っていますが、注意して聞いてないと分らないかも知れません。ブラームスに秋味(こんな形容が似合いそうで)の作品は枚挙に暇なく、昨今はピアノ独奏の間奏曲(グレン・グールドの名演)なども人気のようです。
ウェーベルンはシェーンベルク、ベルクと並んで20世紀の新ウイーン楽派の作曲家で、無調から十二音技法に進んだ師匠シェーンベルクの技法を更に押し進め、その短く凝縮された抽象的な作品群の最初には、今日のパッサカリア作品1があります。シェーンベルクの浄夜の路線を更に深化させたような、後期ロマン派の極致の音楽と言えましょうか。無調~十二音に突入する前の、爛熟した世紀末の響きが感じられます。絵画に喩えるなら、浄夜や「ペレアスとメリザンド」の頃の初期シェーンベルクは、クリムトかエゴン・シーレ、ウェーベルンはカンディンスキーでしょうか。(そう言えば、ブーレーズのウェーベルン全集のジャケットはカンディンスキーでした) しかし、パッサカリアの頃のウェーベルンは、やはりクリムトでしょう。
おまけで、昨日のハルヴォルセン~ヘンデルのパッサカリアの、ヴァイオリンとチェロ版の素晴らしいライヴ映像を入れておきます。

Carlos Kleiber - Brahms Symphony No.4 (4th mov,)

Carlos Kleiber conducts Brahms Symphony No.4 (4th mov), with the Bavarian State Orchestra

Webern - Passacaglia for Orchestra, Op. 1

Han Na Chang-Passacaglia for Violin and Cello

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月 6日 (木)

浄夜

シェーンベルクの後輩のアルバン・ベルクにシュランメルに関係した作品があったような記憶がうっすらとあって、その捜索から新ウィーン楽派の方に入ってきましたが、それは記憶違いだったのかも知れません。序ですから、「月に憑かれたピエロ」と並んでシェーンベルク作品では一般に最もよく知られている「浄夜」を見ておきましょうか。
この曲を初めて聞いたのは、確かちょうど31年前(1980年)の春だったと思いますが、ネヴィル・マリナー指揮(オケ名は失念)のLPで聞き、特に前半の蕩けるような美しさに参ってしまいました。春先の蠱惑的な夜景と分かちがたく結びついていましたが、偶然にもこれはデーメルの詩と近いイメージだったようにも思います。以来ずっとシェーンベルク作品に限らず、全クラシック作品で最も愛好していた曲でした。原曲の弦楽六重奏版も一緒に上げておきます。両者1本目のみですので、続きはそれぞれのリンクからどうぞ。
余談ですが、シェーンベルクを日本語にするなら「美しい山」ですから、美山さんになるでしょうか(笑) ベルクはそのまま「山」さん?(笑) バッハはドイツ語で「小川」の意味ですから、そのまま小川さんになるでしょう。

Schönberg Verklärte Nacht (1/5)

Arnold Schoenberg - Verklaerte Nacht - part I

こうして見ると、ブラームスの弦楽六重奏曲の影響は強いのかなと思わせる編成です。

Arnold Schoenberg: Weihnachtsmusik

ユダヤ系のシェーンベルクは、最終的にはユダヤ教に改宗しましたから、これは若い頃の作品でしょうか。こんな穏やかなクリスマスの曲を書いていたとは驚きです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月 5日 (水)

グールドのピエロ・リュネール Live

変奏のモチーフ、あるいはメロディすら感じさせるM.R.モルタザヴィという恐るべきトンバク奏者の動画を見つけましたが、今回はトンバクに深入りせずまたの機会にして、一昨日のテーマに戻ります。
何とグレン・グールドがピアノで参加(おそらく指揮兼)したシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」の動画がありました。TVに映る映像(ビデオ?)を撮ったものですが、冒頭の「月に酔う」から、どんな風に演奏していたかが分かります。ソニーからの録音には第1部の7曲のみ収録されていました。94年リリースのようです。グールドの「ナポレオンへの頌歌」やピアノ作品集などは前から知っていましたが、ピエロもあったとは、全くチェック漏れでした。グールドらしいタッチに酔いました。Patricia Rideoutのシュプレッヒ・シュティンメも良いです。

Glenn Gould and Patricia Rideout: Schoenberg Pierrot Lunaire

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年10月 3日 (月)

月に憑かれたピエロ by グレン・グールド

いきなり飛躍しますが、新ウィーン楽派の音楽を少し聞いてみたいと思います。今日初めて知ったのですが、あのグレン・グールド(J.S.バッハのゴールドベルク変奏曲で鮮烈なレコードデビューを飾った鬼才)がシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」(ピエロ・リュネール)のピアノを弾いた録音があったのでしょうか? これには驚きました。しばらくクラシックを離れている間に、色々出ていて驚くことがよくあります。
語るように歌われる女声独唱のシュプレッヒ・シュティンメと、独特な室内楽編成が特徴的で、浄夜やグレの歌などの後期ロマン派の極限まで行ったような作品の後、無調時代に入ってから(そして、12音技法に突入するまで)の代表作として知られています。作品は、表現主義的ともいえるでしょうか、幻想的かつ怪奇なイマージュの溢れた曲で、好き嫌いがはっきり分かれそうですが、私はスコアを見ながら聞く程、一時どっぷりはまっていました(笑) 最初はピエール・ブーレーズ指揮イヴォンヌ・ミントン他で聞きましたが、その後シュプレッヒ・シュティンメをヘルガ・ピラルツィクが歌った(語った?)録音が一番!と思ってからもう30年余りになります。同じくピラルツィクだったと思いますが、指揮をシェーンベルク自身がやっている演奏もLPでありました。(あれはCD化されてるでしょうか?) この曲のグールドの録音があれば是非聞きたいものです。
優雅なシュランメルからは大きく飛躍しましたが、こちらもウィーンが生んだ音楽文化であることには違いありません。同時代の絵画に喩えれば、浄夜がクリムト、ピエロ・リュネールはアンリ・ルソー、12音時代はカンディンスキー(ブーレーズのウェーベルン全集のジャケットにもなっていました)でしょうか。ではエゴン・シーレは? とすぐ問われそうですが、「ペレアスとメリザンド」辺りでしょうか? 

Glenn Gould plays Schoenberg Pierrot Lunaire,Op.21 - 1 ; Monderstrunken

一曲目の「月に酔える」

Glenn Gould plays Schoenberg Pierrot Lunaire,Op.21 - 2 ; Colombine

Glenn Gould plays Schoenberg Pierrot Lunaire,Op.21 - 4 ; Eine Blasse Wascherin

4曲目の「青ざめた洗濯女」。この静謐な室内楽書法も幻想的な美しさがあると思いますが・・

Glenn Gould plays Schoenberg Pierrot Lunaire,Op.21 - 5 ; Valse de Chopin

Schoenberg: Pelleas und Melisande / Thielemann · Berliner Philharmoniker

ベルリン・フィルの鮮烈な演奏でシェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」。こうして聞いてみると、この曲もイメージとしてはやはりクリムトか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

その他のカテゴリー

J.S.バッハ | New Wave-Indies | アイヌ | アメリカ | アラブ | アラブ・マグレブ | アルゼンチン | イギリス | イスラエル | イスラム教 | イタリア | イディッシュ | イラン地方音楽 | インディアン、インディオ | インド | インドネシア | インド音楽 | ウイグル | ウラル・アルタイ | エジプト | エチオピア | オペラ | オーストラリア | オーストリア | キリスト教 | ギリシア | クルド | クレズマー | ケルト | コンサート情報 | コーカサス (カフカス) | サハラ | シベリア | シャンソン | ジャズ | スイス | スペイン | スポーツ | スーダン | セファルディー | ゼアミdeワールド | チェロ | トルコ音楽 | ドイツ | ナイル・サハラ | ナツメロ | ニュース | ハシディック | ハンガリー | バルカン | バルト語派 | バロック | パキスタン | ビザンツ音楽 | フランス | フランス近代 | ブラジル | ペルシア音楽 | ペルシア音楽 トンバク | ユダヤ | ユダヤ音楽 | ライブ情報 | ルーマニア | レビュー | ロシア | ロシア・マイナー | ロマン派 | ヴァイオリン | 中南米 | 中国 | 中央アジア | 仏教 | 仏教音楽 | 北コーカサス(カフカス) | 北欧 | 南アジア | 南インド古典音楽 | 古楽 | 地中海 | 室内楽 | 弦楽合奏 | 弦楽四重奏 | 後期ロマン派 | 文化・芸術 | 新ウィーン楽派 | 旅行・地域 | 日記・コラム・つぶやき | 映画・テレビ | 東アフリカ | 東南アジア | 東方教会 | 東欧 | 歌謡曲・演歌 | 民謡 | 独墺 | 猫・犬 | 現代音楽 | 童謡、わらべうた | 筝曲 | 純邦楽 | 西アフリカ | 西スラヴ | 韓国