ゼアミdeワールド514回目の放送、日曜夜10時にありました。20日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。70年代に怪奇趣味なジャケットで輸入LPが出ていたブーレーズ初回の「月に憑かれたピエロ」。Helga Pilarczykのシュプレッヒシュティンメが、とにかく最高です。80年代にフランスのAdesからCDが出まして私が持っているのはこの盤ですが、今日の動画にあるようにドイツの現代音楽の名門レーベルWergoからも2014年にCDが出たようです。上記の怪奇趣味なジャケットのLPは発掘作業が必要なため(笑)、今のところレーベル名が不明です。シェーンベルクの自作自演は、ソニーのヒストリカルシリーズから80年代にLPがありました。この曲の委嘱者である女優アルベルティーネ・ツェーメの録音もあれば嬉しいですが、さすがになさそうです。
オーストリアの音楽の18回目です。今回はオーストリアシリーズでかけたいと思っていた作曲家の内、シェーンベルクが残りましたので、やはり懐かしい曲を2曲かいつまんでおかけします。それは、浄夜(浄められた夜)と「月に憑かれたピエロ」ですが、どちらも1980年の高3の春に聞いてその妖しい魅力に衝撃を受けた曲です。初めて聞いて46年になります。浄夜やその後の「ペレアスとメリザンド」は後期ロマン派の極致の濃密な音楽ですが、「月に憑かれたピエロ」は後期ロマン派を越えて、現代音楽の十二音技法に辿り着く前に、無調の世界に足を踏み入れた記念碑的な曲です。
まず「月に憑かれたピエロ」ですが、1980年当時にTVでパントマイムのヨネヤマママコさんが話題にしていて興味を持ったのがきっかけでした。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、フルート、ピッコロ、クラリネット、バスクラリネット、ピアノだけの室内楽編成をバックに、ソプラノ歌手がシュプレッヒシュティンメという語りと歌の中間のような歌唱スタイルで演じる曲で、原作はベルギーの詩人アルベール・ジローが1884年に発表したフランス語の詩集ですが、白昼夢のような衝撃の内容になっています。ピエロ、コロンビーナ、カッサンドロといったイタリアの古典演劇(コメディア・デラルテ)の登場人物が、グロテスクで幻想的な世界を繰り広げるメロドラマという紹介文をウィキペディアで見かけました。
「月に憑かれたピエロ(ピエロ・リュネール)」は何種類も聞きましたが、最初に聞いたピエール・ブーレーズ指揮の70年代の2回目の録音よりも、60年代の最初の録音が衝撃的で、シェーンベルクの自作自演と共に一番ターンテーブルに乗ったと思います。シュプレッヒシュティンメが、2回目の方はイヴォンヌ・ミントンでクラシックの範囲の割と大人しい感じでしたが、初回のヘルガ・ピラルツィクの表現主義的と言えそうなちょっと恐い位の歌唱を聞いたら、もう他の歌手は考えられなくなりました。最近の演奏はクラシック的な割と大人しい歌唱が増えているようにも思います。変わり種ではジャズ歌手のクレオ・レーンや、アイスランドのポップスターのビョーク、ヴァイオリニストのパトリツィア・コパチンスカヤもシュプレッヒシュティンメで録音を残しています。また原題のピエロ・リュネールを名乗るイタリアのプログレッシブロックのグループがいました。
全体が3部に分かれていますが、後半のドロドロしてくる前の幻想的な範囲で留まっている第1部が昔から特に好きで、中でもフルート中心の伴奏の「蒼ざめた洗濯女」に大学時分一番はまりました。ピエロは80年代からスコアも持っています。それでは第1部だけブーレーズの初回の録音でおかけします。
Pierrot Lunaire. Dreimal sieben Gedichte nach Albert Giraud, Op. 21: I.
VIDEO
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Mondestrunken 1分46秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Columbine 1分32秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Der Dandy 1分9秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Eine blasse Wäscherin 1分27秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Valse de Chopin 1分10秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Madonna 1分46秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Der kranke Mond 2分10秒>
第1部は、第1曲「月に酔い」 Mondestrunken、第2曲「コロンビーナ」 Colombine、第3曲「伊達男(ダンディ)」 Der Dandy、第4曲「蒼ざめた洗濯女」 Eine blasse Wäscherin、第5曲「ショパンのワルツ」 Valse de Chopin、第6曲「聖母(マドンナ)」 Madonna、第7曲「病める月」 Der kranke Mondの7曲でした。ヘルガ・ピラルツィクとブーレーズ指揮の演奏でした。
浄夜(浄められた夜)に移ります。「月に憑かれたピエロ」は1912年作曲でしたが、シェーンベルク初期の重要作「浄夜」は1899年に作曲されていて、原曲は弦楽六重奏曲ですが、後に弦楽合奏編曲されています。この曲はリヒャルト・デーメルの同名の詩「浄夜」に基づき、月下の男女の語らいが題材となっています。他の男の子を身籠ってしまった女の懺悔の告白と、それを男が許すまでの葛藤が音楽になっている曲です。シェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」と「グレの歌」や、後期のリヒャルト・シュトラウスの作品などと並んで、ワーグナーのトリスタン以来の後期ロマン派の極みの音楽だと思います。この曲もブルックナーの4番のように、弦の濃厚な響きとポルタメントに惹かれたネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団の演奏で5分ほどおかけします。これも1980年の春、木の芽時の夜に何故か惹かれ、耳に付いて離れなかった演奏でした。全曲は単一楽章で30分近くあります。
<Verklärte Nacht, Op. 4 29分19秒>
20世紀初めのシェーンベルクと彼の弟子のアルバン・ベルクとウェーベルンの3人を新ウィーン楽派と言いますが、ラジオで流して良いのだろうかと思うほど更にヘヴィーなベルクのオペラや、短い十二音技法の名作を残したウェーベルンの音楽までは触れずに置こうかと思いましたが、次回ウェーベルンのパッサカリアだけ少しかけたいと思います。
「今週のペルシア音楽」に移ります。「月に憑かれたピエロ」「浄夜」と夜のムードの曲が続きましたので、ペルシア音楽なら何だろうかと考えてみました。夜の音楽と言えば、やはりシュール旋法とホマーユン旋法辺りだと思いますので、シュールの方をハッサン・キャサイのネイとジャハンギール・ベヘシュティのトンバク、ホマーユンをマジッド・キアーニのサントゥールでおかけします。二人とも往年の名人です。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<Hassan Kassa'i / Le ney ~Pishdaramad-shahnaz tshahamezrab 3分3秒>
<Majid Kiani / L'art du santur : Iran ~Dastgâh Homâyun 17分33秒>
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