南アジア

2016年6月 1日 (水)

追悼特番2

ゼアミdeワールド9回目の収録に行ってきました。
先週に続きまして5月16日に亡くなられた音楽プロデューサーの星川京児さんの追悼特集です。放送は2日木曜午後5時15分、再放送は5日日曜午後3時からです。宜しければ是非お聞き下さい。今回は2曲かけましたが、どちらも90年代前半のNHKFM「世界の民族音楽」の星川さん司会の回で放送された録音です。この2曲を聴く時、私はいつも星川さんのことを思い出します。改めて、ご冥福をお祈り致します。

まず、前回終わりに少しだけかけました、アゼルバイジャンのケマンチェ演奏からです。
南コーカサスの国の一つ、アゼルバイジャンは言語的にはトルコ系ですが、音楽や楽器の面では南隣のペルシアの影響を強く受けていて、ケマンチャもドゥンベクも楽器名からしてそっくりです。アリエフ・ガビリがイランの古都シーラーズの名を冠した哀愁の名旋律を聴かせます。この曲は、90年代前半のNHKFM「世界の民族音楽」の星川さん司会の回でテーマ曲に使われていました。星川さんは、83年の小泉文夫さん逝去の後、この番組を引き継いだ内のお一人です。

<「カスピ海の旋律」から バヤーテ・シーラーズ>

2曲目は、インドのデリーのニザーミ・ブラザースが歌うカッワーリです。カッワーリと言えば、90年前後に度々来日し97年に亡くなったヌスラット・ファテ・アリ・ハーンの歌唱で一躍有名になり、ワールドミュージックブームを牽引したインド・イスラームの神秘主義(スーフィー)の宗教歌謡ですが、ヌスラットやサブリ・ブラザースなどパキスタン勢が一般によく知られている中で、インドのデリーのグループと言うところが珍しいです。リーダーのナズムッド・ニザーミはムガル王朝最後の皇帝バハードゥル・シャー・ザファルの宮廷楽士に連なるムシュタク・フセイン・カーンの息子で、北インド古典音楽の名門シカンドラ・ガラナに声楽のルーツを持つ由緒あるカッワールです。更には、このナアト(預言者ムハンマドへの賛歌)で歌われているラーガが、ムガル宮廷に縁のある夜のラーガ「ダルバリ」と言うのも興味深いです。

<Nizami Brothers / Na`at Cherif (Nabi Muhammad Sallu Alayh)>

SAMEENA STAGE SHOW /Qawwali-Nizami Brothers

この曲のyoutubeは見当たらないので、別な曲ですが、一本上げておきます。

演奏時間は20分ほどありまして、後半はカッワーリらしく聞き手をトランス状態に導くような盛り上がりを見せています。
この曲が収録されているのはフランスのIneditの「アジアのイスラーム音楽」ですが、CDリリースは91年で、その直後から個人的にかなりこの曲にはまりまして、当時池袋のアール・ヴィヴァンによく来られていたカッワーリ・フリークのラジャスタン出身のモハメド・アリさん(ムガル絵画の画家兼カレー屋さんでした)と仲良くなり、93年に彼の娘さんの誕生日パーティーでこの曲を歌ったことがあります。アリさんから歌詞の大意を教わり、アリさんのタブラ、知人のハルモニウムとハンド・クラッピングの伴奏で、原語のウルドゥー語で歌いました。

これまでの放送を聞き逃したと言う方には、2,3回前からですが、放送原稿をほとんどそのままか、少し加筆してこのZeAmiブログやFBに上げておりますので、是非併せてご参照下さい。「民族音楽」で検索すると1ページ目にZeAmiHPが出てきますが、その上の方にブログをリンクしてあります。星川さんから99年に頂いたシャハラーム・ナーゼリー関係の記事も会報のページに載せております。

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2013年9月27日 (金)

パンジャブ民謡

グルミート・バワのような歌手が他にもいないかとか、シーク教にも独特な宗教音楽がありますが、それらはまた後日見ることにして、今日はパンジャブの民謡です。一本目の男性の独唱が特に素晴らしく思いました。節回しの味わい深いこと。驚きました。スーフィズムとの関係有り無しが気になりますが、同じパンジャブでもヌスラットのカッワーリともシーク関連とも異なる節です。二本目の方はラジャスタンのランガとも繋がるような大道芸でしょうか。きっちりとしたターバンの巻き方から見ると、もしかしたらシーク教徒でしょうか?

folk punjabi

A Punjabi Folk Singer, Kartarpur, India

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2013年9月26日 (木)

パンジャブのバングラ

パンジャブと言うと、有名なアイテムやジャンルを思い出します。サリーと並んでインドの伝統衣装で有名なパンジャビー・ドレス(今日のビデオに出てくる女性の衣装がまさにそれ)はパンジャブ地方が発祥地ですし、80年代から流行したバングラ・ビートも、名前から連想しがちなバングラデシュではなくパンジャブの舞踊が元のようです。バングラ・ビートについてよく調べたことがないのですが、もしかしたらグルミート・バワのようなシーク教徒の激しい民謡が元、あるいは影響を受けているのでしょうか? 前々からそっくりかもと思っていました。
パンジャブ語は、パキスタン側パンジャブではアラビア文字系統のシャームキー文字を使いますが、インド系文字ではインド側パンジャブのシーク教徒が主に用いるグルムキー文字が何と言っても特徴的で、この独特な形を見る度にシーク教を思い出します。

Bhangra (Beautiful Punjabi Folk Dance) Performed by Sharma Family at Babbu's wedding

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2013年9月25日 (水)

Gurmeet Bawa

強靭なハイトーンのロング・ヴォイスと、両面太鼓ドーラクとサーベルを串状にしたチムターのリズムも強烈で、イスラームやヒンドゥーの歌とは大いに異なっているシーク(スィク)の歌姫グルミート・バワ。キングWRMLのインド関係の中でも異色の一枚でした。農耕民的な長閑さよりも、むしろ戦闘的と形容できるでしょうか。昨日の二本目も、チムターかと思える音が聞こえ伴奏が少し似ていたので、もしかしたらシークの歌だったかも知れません。

Aithe Hor Na Nachi Mutiyare (Gurmeet Bawa) Old Punjabi Song

Gurmeet Kaur Bawa---Heer---Punjabi Folk Song

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2013年9月20日 (金)

サブリ・ブラザース

昨日久々にサブリ・ブラザースのカッワーリを聞きましたが、やっぱり良いですね。兄弟の声がコブシ豊かな高音と迫力ある低音に分れ、アンサンブルでもヌスラットのグループと甲乙付けがたいと思います。アジズ・ミヤーンは個性的過ぎて少々しんどい部分がありますが、サブリはヌスラットより先に欧米盤が出ていた位ですから。例のIneditの「アジアのイスラーム音楽」でも素晴らしい歌唱を聞かせていました。

The Sabri Brothers - Tajdar-e-Haram

Ghulam Farid Sabri Qawwal Tajdar E Haram. HQ Video - www.Fayidah.biz

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2013年9月17日 (火)

ニザーミ・ブラザースのデリー・ライヴ

ニザーミ・ブラザースをもう一本、今日は歌詞内容を説明しながら演奏しているようですが、パキスタンのカッワーリに比べ、やはりラーガ音楽色が濃いようにも思います。この曲のようなラーガは余りパキスタンのカッワールは使わないのでは。リズムも変拍子のようで、変わっています。このグループのInedit盤の写真には、ボンゴのような3連の組太鼓が写っていました。おそらくタブラ奏者と別にいるのではと思います。これもパキスタンでは余り見かけませんが、例外的に?先日あるyoutubeでサブリ・ブラザースがこの太鼓を使っているのを一本見かけました。

Live in concert (Qawwal Nizami Brothers) Ghulam Sabir,Ghulam Waris at Purana Qila Delhi.

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2013年9月16日 (月)

Nizami Brothers

今日はナアトの名曲を取り上げる予定でした。その曲は、Ineditの「アジアのイスラーム音楽」の2曲目に入っていたニザーミ・ブラザースのNabi Muhammad Sallu Allahという曲ですが、今の所はyoutubeは見つかっておりません。何年か前に取り上げた時も見つからなかったと思います。彼らはパキスタンではなく、デリーのカッワーリ・グループらしく、ラーガ・ダルバリの情熱的な素晴らしい一曲でした。タイトルにムハンマドと入っている通り、ナアトになります。まず、20年以上前の音源なので、今では同じメンバーが余りいないかも知れません。今日は代わりに耳に止まった曲をアップしておきます。少し昔の録音を思わせる部分があります。

Qawwal Nizami Brothers (Ghulam Sabir,Ghulam Waris) live in nasik part-1

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2013年9月13日 (金)

ハムドとマンカバト

もう一曲個人的に非常に気に入っていた曲がありましたが、すぐに思い出せないので(確かオコラのどれかに入っていました)、ヌスラットの名唱としておそらく最も有名な2曲を上げておきましょう。カッワーリは、アッラーを讃えるハムド、預言者ムハンマドを讃えるナアト、イスラーム聖者を讃えるマンカバトの3つが主な形式ですが、他にガザルやカーフィーと言った形式があります。詩の内容によって分けられているのでしょう。昨日、一昨日のYaadan Vichreは、ガザルに入るのだろうと思います。
アッラー・フーはハムドの代名詞のような曲で、ヌスラットの明朗かつ華麗なヴォーカル技巧が次々繰り出されます。ALI MOLA ALI MOLA ALI DAM DAMは、マンカバトでしょうか? 短調の美しく忘れ難い旋律です。中間部はトルコのハルクに聞こえますが、何か詩内容と関係があるのでしょうか?
色々聞いている内に、ナアトの名曲を大分前にブログで取り上げたことを思い出しました。ヌスラットではありませんが、また月曜以降に再度探してみたいと思います。

Nusrat Fateh Ali Khan - Allah Hoo Allah Hoo Full Qawwali By A.Raziq Piracha

ALI MOLA ALI MOLA ALI DAM DAM. THE REAL STORY OF HAZRAT E ALI AS.flv

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2013年9月12日 (木)

他のYaadan Vichre

今日は他のYaadan Vichreを見てみましょう。5本組みの方は途中からマンドリン?が出てきて華を添えています。このマンドリンのフレーズを聴くと、イギリスのARCからカッワーリ・フラメンコという盤があったことを思い出します。
一本目ではまだヌスラットの歌は出てきません。タブラ奏者のバヤンの技術を見てみたいところですが、サウスポーでタブラの方だけ見えてバヤンが見えません。2本目でようやく歌が出てきますが、同じ曲だろうかと思う程、変奏されている?という印象です。これらもおそらく80年代の演奏では。
3本目は88年のWOMADでの映像で、世界的な人気を得た後ということになります。威風堂々とした歌唱ですが、(おそらく)聴衆によって演奏内容を様々に変容させる芸の豊富さ、柔軟さにも驚かされます。

Nusrat Fateh Ali Khan - Yaadan Vichre - Part 1/5

Nusrat Fateh Ali Khan - Yaadan Vichre - Part 2/5

Nusrat Fateh Ali Khan Live WOMAD Festival 1988 - Yaadan Vichre Sajan Di - NUSRATFAN.COM

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2013年9月11日 (水)

雨のように涙が目から流れ落ちる

昨日は用事でアップ出来ずでしたm(_ _)m 亡くなって16年経った今でもカッワーリの王者と言われ続けるヌスラット・ファテ・アリ・ハーンですが、87年の来日の際にも歌っていた中で、特に印象的な曲もyoutubeがありました。同じ年にNHKで放映されたのもこの曲だったように思います。今日のタイトルはそのサビの部分の歌詞です。
ヌスラットのCDと言えば相当数出ていますが、90年前後に手に入りやすかったのが、ビクターJVCからの「法悦のカッワーリーⅠ、Ⅱ」とOcoraからの3セット(一枚物2枚と3枚組)でしょう。この曲は「法悦のカッワーリーⅠ」の4曲目に入っています。今日の映像は83年のようですから、まだワールドミュージック・ブーム前夜の映像。前で踊りだす人がいる、昔ながらのカッワーリーのスタイルです。

Nusrat Fateh Ali Khan Qawwali - Yadan Vichre Sajan Diyan Aiyan

ヤーダーン・ヴィチュレー・サジャン・ディヤーン(Yadan Vichre Sajan Diyan Aiyan)
<歌詞対訳>
別れた恋人を想うと、雨のように涙が目から流れ落ちる
おお神よ、この世にはなぜ別離があるのか、雨のように涙が目から流れ落ちる
昔の思い出が心から遠ざかっていく、
何と悲しくてやるせないことか
私には冷淡な恋人よ、今や、人生そのものが私に冷たく当る
最後の吐息と共にあなたの名前を口走る私、
雨のように涙が目から流れ落ちる

*現代パンジャービー詩人のガザルで、恋人とはこの世の女性とも神とも解せられる。
(ビクターJVCからの法悦のカッワーリーⅠの解説より)

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