レビュー

2015年10月 2日 (金)

アスマハーン / アラブの花

今日は久々に新譜紹介です。美貌の歌姫として知られたアスマハーンは、1917年シリア生まれ。名歌手兼ウード奏者のファリード・エル・アトラッシュを兄に持ちます。しかし、活動絶頂期の1944年に自動車事故により26歳という若さで亡くなってしまい、今なお伝説のように語り継がれています。
彼女の録音は、90年前後頃からディスクアラブ(Club du Disque Arabe(AAA))などフランスのレーベルから何枚も出ていました。しかし、レーベル自体の活動停止などで、久しく彼女の盤も見ることが少なくなっていましたが、この度エジプトのMLPレーベルの音源がBEANS RECORDSから「アスマハーン / アラブの花   伝説の歌姫 録音集」(原題:ASMAHAN / Double Best)として、日本語解説付きで発売されました。1940年前後とは思えない美しい映像と音源で、往時の艶美な歌声をどうぞ。この盤の2枚目の6曲目『Emta Hataraf』(いつ気がついたの)を、映画の劇中で歌うシーンの映像です。

اسمهان - امتى حتعرف

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2013年12月 9日 (月)

ヤルサンの歌も

レパートリーの幅広いチーデム・アスランですが、特に驚いたのはクルドのヤルサンの歌で、これは旧オスマン帝国の版図を越えているのでは。オスタッド・エラーヒやアリ・アクバル・モラディなどのイラン西部のクルディスタンの録音がよく知られています。クルドのタンブール奏者(チーデム・アスランの左)のArash Moradi,は、アリ・アクバル・モラディの息子の一人でした。フラメンコのラスゲアードを逆回しするようなタンブールの奏法が独特で、大分前に色々な演奏家の映像を取り上げました。レベティカとクレズマー、オスマン古典音楽までなら何とか分りますが、ヤルサンまで出てくるとは思いませんでした。クレズマーとヤルサンを両方取り上げる歌手は、他に知りません。スーフィー(イスラーム神秘主義)の一種とも言えるヤルサン(アーレ・ハックとも)と、クレズマーのベースにあるハシディズム(ユダヤ神秘主義の一つ)は、通じるものがあると見ているのでしょうか?

Arash Moradi, Cigdem Aslan, Tahir Palali - Al Per

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2013年12月 6日 (金)

アスランの歌うセファルディー

チーデム・アスランは苗字から見てユダヤ系ではという説もあるようです。確かにセファルディー(スペイン系ユダヤ)の歌手として有名なフランソワーズ・アトランとも少し苗字が似ています。TとSの違いくらいで、これは些細な違いでしょう。
youtubeを見ていると、セファルディーの曲もありました。旧オスマン帝国内には多くのセファルディーがスペインから離散してきていたので、彼女がやはりクルドであったとしても、耳にする機会はあったのでしょう。そして伴奏はやはりShe'Koyokh(シコヨフ)でした。(ヘブライ文字の綴りが気になるところ)東欧系ユダヤのクレズマーとスペイン系ユダヤのセファルディーの曲を同時に演奏するグループも数多いので、特に驚くことでもありませんが、やはりラディノ語でも歌っているアスランのポリグロットと豊かな表現力に驚かされます。

She'Koyokh performs 'Los Bilbilicos' at the Purcell Room , London

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2013年12月 5日 (木)

チーデム・アスランのクレツマー、ペシュレヴ、クルド・ダンス

チーデム・アスランのMortissaを聞いて気になった曲の一つに、6曲目のTrava vre manga kai alaniがありました。明らかにクレズマー音楽風の演奏ですが、それもそのはず例のシコヨフ・クレツマー・アンサンブルの伴奏でした。この曲は往年の名レベティカ歌手、ローザ・エスケナージがヒットさせたそうです。エスケナージの名の通りユダヤ系の歌手だからでしょうか、メロディ・ラインはそのままクレズマーにぴったり嵌る感じです。
アスランの歌唱であれば良かったのですが、他の歌手の映像のみのようです。これを一本目に、二本目はアスランの歌唱で、トルコ古典音楽のペシュレヴ(前奏曲のような形式)がありましたので、そちらを。ヴァイオリンはおそらくソルディーノ(弱音器)をかけていると思いますが、そのこもった音がトルコの擦弦楽器ケメンチェのように響きます。そして三本目は、彼女のルーツ音楽の一つなのでしょう、クルドの舞踊曲です。
レベティカ、ペシュレヴ、クルドと、いずれも旧オスマン帝国内の音楽ということでは共通しています。彼女はおそらくそれぞれの言葉で歌っているのだろうと思いますが、ユニークな出自を生かしたポリグロット(多言語使用)環境の人なのでしょう、しかも見事に歌い分けていると思います。

ΤΡΑΒΑ ΡΕ ΜΑΓΚΑ ΚΑΙ ΑΛΑΝΙ (Λευκοθέα Φιλιππίδη)

Cigdem Aslan - Rast Peshrev

KURDISH DANCE "Parwaneh"

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2013年12月 4日 (水)

チーデム・アスランとアレクシーウのΆμαν Κατερίνα μου

チーデム・アスランのMortissaというアルバムがワールドミュージック・リスナーの間で話題になっているようです。ギリシアの大衆歌謡のルーツであるレベティカ(レンベーティカ)を昔ながらのスタイルで今に復活させたという若手女性歌手ですが、ユダヤのクレズマー音楽にも関わってきて、シェコヨフ・クレズマー・アンサンブルにも参加していて、このアンサンブルとの共演トラックも含まれています。しかも本人はクルド系の両親の元、イスタンブルで生まれたという点でも、異色な経歴と言えるのではないかと思います。早速そのアルバムを聞いてみたところ、スミルナ(イズミール)派のスタイルを甦らせた伝統的歌唱に魅了されました。
一曲目の「Aman Katerina Mou(わたしのカタリーナ)」は、スミルナ派の重鎮パナヨーティス・トゥンダス(1885-1942)の作曲で、ハリス・アレクシーウも「Ta Tsilika」で歌っていた曲。日本人の耳にも自然に馴染む、演歌的にすら聞こえる哀愁美に溢れる一曲だと思います。パナヨーティス・トゥンダスは「レベティカの古賀政男」の異名も聞こえ始めているようです(笑)
あれっ歌詞が違うなと思ったら、アスランはトルコ語とギリシア語の両方の歌詞を交互に歌っているようです。アレクシーウはギリシア語のみで歌っていました。Ta Tsilikaは昔よく聞きこんでいたもので、すぐに違いに気付きました。アスランとアレクシーウの歌唱の両方を上げておきます。アレクシーウの映像は大分前にもアップしました。歌唱はもちろん、タベルナ?の雰囲気からして最高です。

Cigdem Alsan ''Άμαν Κατερίνα μου'

Χάρις Αλεξίου- Αμάν Κατερίνα μου (Μινόρε της Αυγής, 1984)

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2013年11月22日 (金)

ウムット・アキュレックの新作

これまで6年余り地域別シリーズで続けてきましたが、今後は注目盤がある時は、シリーズを一時お休みして単発でレビューを書いていこうと思います。
最近チーデム・アスランのレベティカ・アルバムウムット・アキュレックの新作が出ていますが、まずはウムット・アキュレクから。彼女の歌唱については、確か4年ほど前に集中的に取り上げました。オスマン・トルコの古典音楽の流れを汲む、端整で艶美な歌声にすっかり魅了されたものです。歌の上手さに舌を巻いた上に、この艶っぽい美貌!
ここ数年立て続けにCDが出ましたが、youtubeで聞いたようなオスマン古典音楽(ファスルが多かったように記憶しています)そのものではないのですが、節回しには十分にその美点が盛り込まれていました。まだ入ってはいないのですが、新作のアラ・トゥルカは“トルコの演歌”アラベスクを取り上げているようです。欲を言えば、4年前にyoutubeで聞いたような、混声合唱と古典楽団をバックにファスルを歌っているようなアルバムを聞いてみたいものですが。

Umut Akyürek-Ay beyaz deniz mavi eğlenin kızlar(ÂlÂ''turka albümünden)(Yeni albüm)

Rengin Ahengi (ALATURKA)

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