コンタキオン
ゼアミdeワールド291回目の放送、日曜夜10時にありました。29日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。動画は最後のAxionとキリエしか見つかってないので、今日はAxionのみです。
ルーマニアの5回目になります。今回の放送は流れるのが26日と29日と言うことで、年の瀬ですので、ルーマニア正教の清澄な音楽を取り上げたいと思います。ミハイル・ディアコネスク指揮KontakionのMysteries of Byzantine Chantと言う盤に入っているのは、クリスマスではなくイースターの曲も多いようです。イースターは大体3月から4月に来ることが多く、日本語では復活祭と言われます。
リリースは1996年でこのタイトルですので、大ヒットしたブルガリアン・ヴォイスに続けと言うメーカーの意図があったのかも知れません。持続低音ドローンなどにギリシア正教の系統らしい重厚感がありますが、ロマンス語による正教会の典礼と言うのはルーマニアだけで行われています。この盤に関しては曲名を見る限りでは、ギリシア語が多い様に見受けられます。
ギリシア正教の聖地アトス山の音源で聞いたシマンドラに似た木製の神聖な法具を打つ音から始まります。Toacaと言う楽器のようです。作曲者不詳の冒頭からの4曲を続けます。タイトルから推測すると、歌詞はおそらく全てギリシア語だと思います。
<1 Toaca and Bells 1分43秒>
<2 Doxa 1分38秒>
<3 Tis metanias 3分9秒>
<4 Devte idomen tin zoin 3分43秒>
グループ名のコンタキオンについてですが、正教会と東方典礼カトリックの典礼で行われる賛美歌の一形態で、6世紀頃にビザンツ帝国で生まれています。前回アントン・パンの曲に正教会とカトリックらしき曲が混じっているのを不思議に思いましたが、ルーマニア人口の5.1%を占めるというカトリックは、ローマカトリックではなく、おそらく日本ではほとんど知られていない東方典礼カトリックだったのではと思います。
次にルーマニア人作曲家の曲の中から、前回「ルーマニアのクリスマス・キャロル」にも出てきたゲオルゲ・ククとパウル・コンスタンティネスクの曲を3曲続けます。男声合唱によるゲオルゲ・ククの短い2曲はルーマニア語で歌われているようです。ルーマニア音楽らしい哀感が感じられる曲です。混声合唱で始まるコンスタンティネスクの曲はイースター・オラトリオからの抜粋で、歌詞はギリシア語のようですが、曲調はルーマニア風に聞こえます。
<19 Gheorghe Cucu / Aghios o Theos 1分40秒>
<20 Gheorghe Cucu / I zoi en tapho 44秒>
<21 Paul Constantinescu / Easter Oratorio: "Proskinumen sou ta pathi Khriste" 3分20秒>
ゲオルゲ・ポペスク・ブラネスティのキリエを次におかけします。クラシック音楽ではキリエ・エレイソン(主よ、憐れみたまえ)の文句でミサ曲などに登場し、お馴染みのギリシア語起源の祈祷文です。
<13 Gheorghe Popescu Branesti / Kyrie 1分37秒>
ルーマニア人作曲家かどうかは不明ですが、鮮烈な印象のあったMacarie IeromonahulのKyrie EkekraxaとNectarie VlahulのAxionの2曲を聞きながら今回はお別れです。どちらもビザンツ典礼の重厚感とルーマニア音楽のエキゾチックさがミックスされた名曲だと思います。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。
年明け初の当番組の放送は、1月9日になります。
それでは皆様どうぞよいお年をお迎えください。
<5 Macarie Ieromonahul / Kyrie Ekekraxa 3分34秒>
<7 Nectarie Vlahul / Axion 5分34秒>
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