イスラム教

2021年6月18日 (金)

コソヴォのイスラム儀礼

コソヴォの時に重要な音源を忘れておりましたので、ここで入れておきます。LPのユネスコ・コレクションの時からあった音源で、「コソヴォのイスラム儀礼」と言う1974年の盤です。オーヴィディスのユネスコ・コレクションは、レーベル自体の活動は休止して久しいですが、データはSmithsonian Folkwaysが受け継いでいて、自社レーベル含めDL販売かカスタムCDRで購入可で、アップルミュージックのストリーミングでも聞けます。Smithsonian Folkwaysのお宝音源の山には、LPか10インチのアナログ盤のリリースのみで、CD化されなかった音源も沢山あります。解説もPDFで参照できます。
コソヴォのアルバニア人のイスラム儀礼を収めたこの盤は、長大な儀礼の中から25分前後収録された実況録音の2曲がLP両面に入っていました。コーランの第1章の朗誦から始まるスーフィー儀礼の1曲目を時間まで聞きながら今回はお別れです。
(以上、放送原稿を再度上げました。AB両面と、元の蘭フィリップスのLPも上がっていましたので、3本とも上げておきます。70年代には日本フィリップスから国内盤LPで出ていました。)

Surat al-Fatiha / Ayet 284 / Ayet 180 / Ashere / Du'a / Kelime-i tevid / Zikr / Prayers to...

Zikr/ Du'a / Tekbir

Islamic Ritual from Yugoslavia

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2018年12月21日 (金)

ナアトとカランダル

預言者ムハンマド賛歌のナアトと、イスラム神秘主義のカランダルで検索していると、ナアトではトルコのキャーニ・カラジャ、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンがよく歌っていたDama Dam Mast Qalandarでは、最近の若手女性デュオのNooran Sistersが特に目に留まりました。キャーニ・カラジャは2001年7月27日浜離宮朝日ホールと7月28日東京ジャーミ文化センターの両方を聞きに行きました。オスマン音楽のスタイルの伴奏で、たっぷり名唱を堪能したことをよく覚えています。97年のヌスラットの没後はカッワーリを余り聞いていなかったのですが、知らない内にこんな強力な女性デュオが、しかもパキスタン側ではなくインドのパンジャブから登場していたとは、新鮮な驚きでした。

Kâni Karaca - Na't-ı Mevlânâ (Itrî)

Dama Dam Mast Qalandar (sufi kalam)

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2018年12月19日 (水)

ブハラ アジアの音楽の十字路 ~イスラーム

16日の放送でかけましたスミソニアン・フォークウェイズのBukhara: Musical Crossroads of Asiaから、今日はイスラームの方の音源をご紹介します。

まずは祈りへの召喚の朗誦アザーンです。アザーンもイスラム圏の国によって節が少なからず違っています。ビクターJVCワールド・サウンズの一枚、「偉大なるクルアーン」はトルコの朗誦でしたが、この盤も見事なアザーンの四重唱から始まっていました。このアザーンをコーラン朗誦と間違える方もいたようですが、コーラン朗誦は独唱で、2曲目からです。コーランは、アラビア語ではクルアーンです。

<7 Bukhara: Musical Crossroads of Asia ~Azan 1分55秒>
Azan


続いてイスラム神秘主義(スーフィー)の方のナアトですが、パキスタンなどの宗教歌謡カッワーリでは、預言者ムハンマドへの賛歌として知られていますが、ブハラでも同じでした。神への賛歌をハムド、ムハンマド賛をナアト、スーフィー聖者賛がマンカバトでしたから、Dama Dam Mast Qalandarはマンカバトでしょう。

<8 Bukhara: Musical Crossroads of Asia ~Na't 3分21秒>
Na't


次のカランダルもスーフィーの歌で、wandering dervish(彷徨う托鉢僧)によって歌われてきたそうです。このタイトルもヌスラット・ファテ・アリ・ハーンなどのカッワーリでよく目にしますが、あのDama Dam Mast Qalandarという曲はアミール・フスローが詩を書いていて、スーフィー聖者Shahbaz Qalandarを讃える歌だったと思います。ですので、このブハラ版は特定の人名ではない、オリジナルのカランダルということになるでしょうか。

<12 Bukhara: Musical Crossroads of Asia ~Qalandar 4分6秒>
Qalandar


この盤の後半にユダヤ教とイスラム教の音源がまとめて入っていますが、イスラムのアザーンとナアトがまず入って、その後ユダヤ教の宗教歌3曲が続き、両方の神秘主義の歌がイスラム、ユダヤの順に入っていますが、曲順には編集者の意図が窺われます。

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2017年7月 7日 (金)

再びYadan Vichre Sajjan Diyan

カッワーリーの帝王と言われながら97年に急逝したヌスラット・ファテ・アリ・ハーン。亡くなったという一報の衝撃は、忘れられません。確か前橋での催しに即売で出ていた時だったと思います。カッワーリーも2年後くらいにまた大きく取り上げることにしまして、今回はこのYadan Vicchri Sajan Diyanだけにします。1985年前後の映像は結構目立ちますが、やはりこの頃はヌスラットが乗りに乗っていた時期だなと思います。87年に来日した際の映像がNHKで放映され、民族音楽研究の大家の明治大学教授、故・江波戸昭先生が解説されていましたが、この歌唱を聞いた辺りから数年お蔵に入れてあった色々な「民族音楽」を取り出すようになったように思います。本当に思い出深い一曲です。聴衆の盛り上がり方も凄いです。私の知人のイスラム教徒のインド人も、ヌスラットのコンサートに行くと、気がつくと失神してたと聞いたことがあります。シーク教徒ではと思われるターバンをきっちり巻いて髭をはやした人も目立ちますが、カッワーリーの熱気はイスラム教徒でなくても、宗教の壁を越えて伝わるものなのでしょうか。

Yadan Vichre Sajjan Diyan Ayaan

Yadan Vichre Sajjan Diyan Ayan

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2016年12月 5日 (月)

セム一神教3兄弟の音楽

ゼアミdeワールド35回目の放送、日曜夕方に終りました。(私は今回忘年会で聞けませんでしたが)7日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

アラブ音楽巡りの途中で、最近の3回はイスラエルとユダヤ教の音楽について少し聞いてきましたが、今日はユダヤ教に始まりキリスト教、イスラム教と続く、3つのセム一神教の音楽を比較しながら、クリスマスが近いので、聖地のクリスマス音楽も交えながら進めたいと思っております。セムというのは、聞き慣れない方もいらっしゃるかと思いますが、中東や北アフリカ一帯に住んでいるセム・ハム語族のセムを指していて、3つの宗教がいずれもヨーロッパではなく、セム系民族の世界から生まれたことを表しています。ユダヤ教の中からキリスト教が生まれ、その二つの先輩宗教の影響も受けた上でイスラム教が生まれました。
言葉で言えば、セム系にはアラビア語、ヘブライ語、アラム語(シリア語)などが入りまして、その類似性も多く、例えばアラビア語とヘブライ語は文字を置き換えただけのような単語も多く見られます。ヨーロッパやインド、イランのいわゆるインド・ヨーロッパ語族とは全く異なる文法体系を持っています。元々この3つの宗教は同じ「アブラハムの宗教」として生まれた兄弟、親子のような関係ですから、欧米がからんでこじれると言うのが大体のパターンなのですが、世界中を巻き込むような「兄弟喧嘩」も、何とか収まってくれないものかと常々思っています。

3つのセム一神教の宗教音楽を概観したCDも、少ないですが出ておりまして、インド出身の世界的な民族音楽学者デベン・バッタチャリアが1950年代中心に録音した「西アジアの宗教」という盤がアーゴ民族音楽シリーズの一枚としてポリグラムから出ていました。今では変ってしまった音楽もあると思います。50年余り前の貴重な記録です。今日はこの盤を中心に取り上げます。

Jerusalem - Three Religions, Three Families | Faith Matters

今回はそれぞれのyoutubeを探すのは非常に困難、もしくは無いと思いますので、この一本を貼っておきます。ベツレヘム生誕教会の鐘は、ありました。

まずイスラエルのナザレの鐘の音からどうぞ。
<西アジアの宗教~ナザレの鐘>

イスラエルのナザレでの日曜の礼拝前の朝に鳴るコプト教会の鐘でした。コプト教会とは、エジプトにイスラム教が入る前からある古いキリスト教の一派で、正教会の一つです。現在もエジプトの人口の1割ほどがコプト教徒との調査結果もあります。

次にコプト教会の朝の祈りという曲をどうぞ。
<西アジアの宗教~コプト教会の朝の祈り>

やはりイスラエルのナザレでの1957年の録音でした。エジプト出身の僧侶の指揮で、信徒の2人の少年によって応答され、僧侶の手にした香炉が鳴る音が聞こえます。

続いてギリシア正教会の音楽です。エルサレム聖墳墓教会の十字架聖堂における夕べの祈りからの抜粋で、1960年のヨルダン側のエルサレムでの録音です。
<西アジアの宗教~ギリシア正教会>

次にユダヤ教の音楽で、ベレシートです。ヘブライ語で書かれた創世記の冒頭部分が、エルサレム・ヘブライ大学・ヘブライ文学科のイエメン人学生シャリル・ジオンによってイエメン式で朗唱されます。こちらも1957年イスラエルのエルサレムでの録音です。
<西アジアの宗教~ベレシート>

次は東欧系ユダヤ人のイディッシュ語による宗教歌で「救世主が来られるとき」という曲で、アブラハム・アイゼンバッハという人とコーラスの歌唱です。おそらくハシディック・ソングの一種ではと思います。こちらも1957年エルサレムでの録音です。
<西アジアの宗教~救世主が来られるとき>

ハシディズムの歌として、歌謡化した曲を前回かけましたが、アレンジされないそのままのハシディック・ソングの実況録音をご紹介します。アラブ音楽やユダヤ音楽の研究をされている兵庫教育大学の水野信男先生の著書「ユダヤ音楽の旅」(ミルトス)の付録CDの一曲です。クファル・ハバドの敬虔派ユダヤ教徒の歌で、くじの祭り(プーリム)の夜に歌われたハシディック・ニグンのライブ録音です。余談ですが、この著書のディスコグラフィの作成依頼を受けて私がリストの作成をしました。
<ユダヤ音楽の旅 付録CD ~ 敬虔派ユダヤ教徒の歌>

バッタチャリアの「西アジアの宗教」に戻りまして、次はイスラム教の音楽です。まずはトルコでの1955年の録音で、一日5回の礼拝の時間を告げるアザーンです。モスクの尖塔からのムアッジンによる礼拝の召喚(呼びかけ)の声は、イスラム圏に旅した人の記憶にはっきり残るようです。トルコですが、勿論アラビア語で唱えられます。
<西アジアの宗教~アザーン>

次に、イスラム教の聖典であるコーランの朗唱です。1955年のイラン、テヘランでの録音ですが、ここでも勿論ペルシア語ではなく、アラビア語で唱えられます。イラン独自の装飾的な歌唱法も見られると解説にありますが、ほぼアラブ圏と同じに聞こえます。
<西アジアの宗教~コーラン>

イスラム音楽の最後に、イスラム神秘主義のデルヴィーシュ派(元はイスラム托鉢僧の意)の音楽です。葦笛のネイと枠太鼓ダフなどによる旋回舞踏の音楽ですが、最も有名なトルコのメヴレヴィー教団ではなく、シリアのダマスカスの旋回舞踏音楽で、マカームはベヤートです。1955年録音ですから、やはり貴重な古い録音です。
<西アジアの宗教~デルヴィーシュ ベヤート旋法>

では、最後にドイツ・グラモフォンから出ていた「聖地のクリスマス音楽」から、ベツレヘム生誕教会の鐘の音で今回はお別れです。キリスト生誕の地とされるベツレヘムのギリシア正教会のもので、東方的な渋みや深みを感じさせる音です。ヨーロッパの教会ではなく、東方諸教会中心のこのアルバムは、クリスマスまでにもう一度ちゃんと取り上げる予定です。鐘の音は短いので繰り返しかけるかも知れません。それでは、時間までどうぞ。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<聖地のクリスマス音楽 ~ ベツレヘム生誕教会の鐘>
The sound of the Church of the Nativity bells, Bethlehem. Tour Guide: Zahi Shaked. October 25, 2013

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