三味線

2026年1月16日 (金)

市丸さんの「天竜下れば」

新年の純邦楽シリーズのトリは、市丸姐さんにしました。藤本二三吉、小唄勝太郎と並ぶ鶯芸者の大御所です。瞽女歌と成田雲竹さんは枠が足りなくなりましたから、またの機会に。中山晋平名曲集を聞いてから市丸さんの「天竜下れば」が大好きで、今治の鈍川温泉の景色を思い出してこのメロデーが浮かんだりしたことがあったのですが、後で祖父が市丸さんのファンだったと聞いて驚きました。子供のころ祖父についてよく鈍川温泉に行きましたから、それでかなと思います。夫婦岩があったかなと探したこともあります(笑) 市丸さんは1906年生まれで祖父の二つ上ですから、ほぼ同世代。
キンカン素人民謡名人選を子供のころよく一緒に見ていたので、祖父が好きだったのは民謡だけかと思っていたら、新内も好きだったらしいと父から聞いて、更に驚きました。今治の松本町の蒼社川よりに花街が昔あって「移転地(イテンチ)」と呼ばれていたそうですが、私が教わっていた新内の家元の母、つまり宗家から「昔イマハリ(今治の古い呼称)に営業に行ったことがありますよ」と聞いていたので、祖父はイテンチで宗家の芸を耳にしたのかもと思った次第。「天竜下れば」は、先日民謡の番組を見ていたら、今でも長野県南部のご当地ソングとして有名なようです。私はカラオケに行くと新内の節を少し入れて必ず歌う曲です(笑) 懐かしさと不思議さなど、色々な思いがクロスする歌です。1本目は昭和8年のオリジナル音源、2本目は昭和44年のライブ映像、番組でかけた市丸さんの小唄「柳橋から」もありましたので3本目に。4本目は端唄名曲の「深川」で、こちらも最高ですが、お江戸が懐かしくなります。

天龍下れば

天竜下れば 市丸

柳橋から

深川

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2026年1月15日 (木)

鬢ほつ・伽羅の香り

「びんのほつれ」と「きゃらの香り」は、廓の小唄2大名曲と言っていいのではと思いますが、番組でかけた有名な蓼胡満喜(たでこまき)さんで見当たらなかったので、代わりに市丸さんでと思いましたが、これも見当たらず。少し年長の鶯芸者の一人、藤本二三吉(ふじもとふみきち 1897年-1976年)さんでSP音源がありました。最高の名唱だと思います。間に「桜見よとて」が入っています。いずれも、べらぼうや映画「国宝」で注目され始めた廓や花柳界の世界が垣間見られる歌です。

鬢ほつ・桜見よとて・伽羅の香り 藤本二三吉

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2026年1月14日 (水)

小唄の三番叟

早いもので、もう14日です。今テレビでは歌会始をやっています。三番叟を上げるのもギリギリかなと思います。さすがに初代の本木寿以さんの動画はなさそうです。(以下放送原稿を再度)

小唄ですが、祝言曲はかなりありまして、その中から新年の小唄をおかけしてみます。歌っている本木寿以さんの小唄は古風な趣が色濃くあって、小唄では前からチェックしていましたが、プロフィールを調べてみますと、初代の生年月日は明治21年(1888年)、昭和54年(1979年)死去と言う、相当昔の人でした。長命だったのでビクター(現在は日本伝統文化振興財団)への録音は初代の晩年の音源ではと思います。
本木寿以さんは「幼時から常磐津を学び、18歳で4代目歌沢寅右衛門(2代目相模)に師事、寅由喜の名で名をあげた。吉田草紙庵に小唄を習い、昭和21年本木派を創立、家元となった。54年寿を名乗って隠居。「お吉椿」など多くの曲がある。」とコトバンクにありました。永井荷風も愛好した歌沢は、最近の音源は皆無なので、大変気になります。正月ではお馴染みの三番叟をおかけします。

<本木寿以 / 三番叟 5分26秒>

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2026年1月12日 (月)

民謡と小唄の祝言曲

ゼアミdeワールド496回目の放送、日曜夜10時にありました。14日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。

前回は7日に一回だけのお正月特集でしたが、今回の収録の7日にはまだ若干お屠蘇気分が残っていますので(笑)、民謡と小唄から新年らしい曲をピックアップしてみました。

まず何年か前にもかけたことがある曲ですが、個人的にとても好きな秋田民謡の喜代節から始めます。歌、三味線共に憂いのある美しい旋律ですが、婚礼にもよく歌われる祝言的な内容の民謡です。

<16 秋田民謡 喜代節 川崎千恵子 3分22秒>

次に小唄ですが、祝言曲はかなりありまして、その中から新年の小唄をおかけしてみます。歌っている本木寿以さんの小唄は古風な趣が色濃くあって、小唄では前からチェックしていましたが、プロフィールを調べてみますと、初代の生年月日は明治21年(1888年)、昭和54年(1979年)死去と言う、相当昔の人でした。長命だったのでビクター(現在は日本伝統文化振興財団)への録音は初代の晩年の音源ではと思います。
本木寿以さんは「幼時から常磐津を学び、18歳で4代目歌沢寅右衛門(2代目相模)に師事、寅由喜の名で名をあげた。吉田草紙庵に小唄を習い、昭和21年本木派を創立、家元となった。54年寿を名乗って隠居。「お吉椿」など多くの曲がある。」とコトバンクにありました。小説家の永井荷風も愛好した歌沢は、最近の音源は皆無なので、大変気になります。正月ではお馴染みの三番叟をおかけします。

<本木寿以 / 三番叟 5分26秒>

次に本木寿以さんの、さんさ時雨がありますので、「お祝い民謡特選」収録の宮城県民謡、さんさ時雨と並べておかけしてみます。どちらも祝儀曲として有名です。

<本木寿以 / さんさ時雨 1分15秒>
<鈴木正夫 / さんさ時雨 3分9秒>

先程かけた小唄は、「小唄御祝儀づくし」と言う盤でしたが、「小唄名曲集」と言う姉妹盤もありまして、こちらにも本木寿以さんの歌が入っていますが、こちらからは「天竜下れば」などの大ヒットで歌謡界にも進出していた市丸姐さんの歌が数曲入っていますので、祝儀曲ではありませんが、「柳橋から」と言う小唄をおかけしておきます。べらぼうや国宝で注目され始めた花柳界の世界が垣間見られる歌です。

<市丸 / 柳橋から 1分47秒>

同じく遊廓(廓)を彷彿とさせる小唄名曲を2曲、「びんのほつれ」と「伽羅の香り」を往年の小唄名人、蓼胡満喜(たでこまき)さんの歌でおかけしておきます。同じ「小唄名曲集」に入っています。

<蓼胡満喜 / びんのほつれ 52秒>
<蓼胡満喜 / きゃらの香り 1分20秒>

ここで拙い歌唱ですが、私が10年くらい前にちろりんさんの番組に出た時に、新内節の名曲「蘭蝶」の一節を暗譜で歌った録音をおかけしておきます。99年に名取にはなりましたが、久しく離れていたので、節を若干間違えています(笑) 吉原の遊女・此糸(このいと)と声色師・蘭蝶の心中話です。歌は声が低くて水調子なのでセリフの部分が中心で、余り出番はありませんでしたが、兄弟子と二人、三味線の上調子で何度も新内流しを披露する機会がありました。

<ぽれぽれちろりんごーるどでの蘭蝶の一節 2分54秒>

話が正月からずれてきましたので(笑)、最後に青森県津軽の祝言の民謡「謙良節」を、民謡の大御所・成田雲竹さんと、津軽三味線の名人・高橋竹山が尺八を演奏している音源でおかけします。時間が余りましたら、前にお盆の時にかけた高知の代表的なお座敷唄「よさこい節」の古い録音を時間まで聞きながら今回はお別れです。アメリカFolkwaysの1961年のアナログ音源で、最近Smithsonian Folkwaysから復活しています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<成田雲竹・高橋竹山 民謡うたがたり(4) ~謙良節 唄① 1分26秒>
<Traditional Folk Songs of Japan ~Group from Tosa / Yosakoi Bushi 3分31秒>

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2025年8月29日 (金)

霧海じ、義太夫三味線の鶴澤津賀寿、地唄の石堂翠子との共演

今日は虚無僧尺八の3曲の古傳曲の一つ「霧海じ」と、義太夫三味線の鶴澤津賀寿さんとの二重奏、地唄の石堂翠子さんとの三重奏を上げておきます。「つがじゅ」さんは、私も前々から注目の女流義太夫三味線奏者で、大分前に第4回ビクター伝統文化振興財団賞「奨励賞」の盤がリリースされていました。善養寺さんも第6回ビクター伝統文化振興財団賞「奨励賞」で盤が出ています。いずれも20年は前だったと思います。石堂翠子さんは知らなかったので、これから色々聞いてみようと思います。
「霧海じ」の「じ」は竹冠に虎と書きますが、おそらくどのPCでも出てこないので入力不能の文字です。この曲を冠した善養寺さんの盤のジャケットは、摩周湖でした。これは「霧の摩周湖」をすぐ連想できるジャケットでした。(その点「鶴の巣籠」のウイグル?は何だったのか?)
昨日の「西洋尺八」の件ですが、通常の五孔ではなくオクターブ12の音を出しやすい様に孔を増やした六孔か七孔の尺八を指すのか、五孔でも三つ目の位置が少しずらして開けられたものか、そのいずれかの結果から平均律で演奏できるものだろうと思いますが、今の所詳細不明です。この件はもっと調べてみようと思います。その動画で出てきた方は知ってる人で面識もありました。いずれにしても、幽玄な善養寺さんの演奏の価値が下がるものではないと思うのですが。

霧海ぢ / 善養寺恵介

波濤ー善養寺惠介 尺八演奏会

八重衣

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