ゼアミdeワールド

2020年8月10日 (月)

シルタキのLP ゾルバと「日曜はダメよ」

ゼアミdeワールド220回目の放送、日曜夜10時にありました。12日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。ギリシアの音楽と言えば、まずこの2曲でしょうと言うことですが、今日の動画はゾルバのみにしておきます。2本目は「その男ゾルバ」で主演のアンソニー・クインが踊るシーンです。「日曜はダメよ」は水曜に。

今回からギリシアに入ります。この後は何年かかるか分かりませんが、ヨーロッパ中の伝統音楽をクラシックを交えながら取り上げていきたいと思っております。

ギリシアの初回ですが、今回の収録の準備に諸事情で余り時間がかけられないので、個人的に思い出深いギリシア音楽のLPの音源を中心におかけしたいと思います。このレコードを手に入れたのは1988年頃です。ギリシアの代表的なダンスのシルタキの器楽演奏を14曲コンパイルした盤で、テオドラキスとハジダキスという、ギリシアで最も有名な作曲家の曲が並んでいます。もう一人はクサルハコスです。
針を落とすなり、ブズーキの明るい音色がギリシア・ムードを盛り上げます。

ウィキペディアを参考にしますと、シルタキとはギリシアを起源とする大衆舞踊で、1964年の映画「その男ゾルバ」のためにギオルゴス・プロヴィアスによって振り付けされたものであり、シルタキはギリシアの伝統舞踊ではなく、中世のビザンツ時代からあるギリシアの踊りハサピコのゆっくりしたステップと速いステップとを混ぜ合わせたものとのことです。このダンスと、ミキス・テオドラキスの有名な伴奏曲は、「ゾルバのダンス」と呼ばれるようになりました。

このシルタキのLPのB面は「ゾルバのダンス」から始まり、この曲と並んでギリシアの曲では最も有名な映画「日曜はダメよ」のハジダキス作曲のテーマ曲が続けて入っていますので、2曲続けて7分程おかけします。

<14 intrumental Syrtaki - Zorbas>

Zorba The Greek Dance - The Greek Orchestra Emmetron Music HD



Zorbas Syrtaki


<14 intrumental Syrtaki - Ta Pedia Tou Pirea>

続いて、マノス・ハジダキスの「日曜はダメよ」の主題歌を、主演女優のメリナ・メルクーリが歌っていますので、そのサントラ音源をおかけします。シャンソン歌手のナナ・ムスクーリなどの歌唱でも有名ですが、やはり主演女優の歌声は格別です。曲名は「ピレウスの子供たち」となっています。

<8 Melina Mercouri / Piraeus Children 3分20秒>

更にシルタキとシルトスとの関係について、ウィキペディアに以下のようにありました。
「シルタキ」という名称は、ギリシア語の「シルトス」という語からきている。この語は「(ダンスを)引きずる」という意味の「(σύρω (τον χορό))」というギリシア語に由来するが、クレタ地方の伝統舞踊でいわば”引きずる”ようなスタイルのものをひっくるめて呼ぶ通称として用いられているものであり、飛び跳ねるような動きのあるピズィヒトス (Pidikhtos, πηδηχτός)に対してつけられた名称である。しかしながら、シルタキにはシルトスの要素(ゆっくりした部分)と、ピズィヒトスの要素(速い部分)がともに含まれている。

シルタキのLPのA面も聞きどころが多いので、この後はA面の音源を聞きながらお別れです。
1曲目がクサルハコスのStou Othona Ta Hronia、2曲目がテオドラキスのStrosse To Stroma Sou Gia Duo、3曲目もテオドラキスの曲で、Safti Ti Gitoniaと続きます。もし入れば、4曲目と5曲目のクサルハコスのTha PotissoとHoros Tou Sakena辺りまでおかけします。
私は3曲目のSafti Ti Gitoniaに最初に聞いた時から強く惹かれました。短調好きとしては、わくわくするような曲でした(笑) ぐぐってみると、どうやらギリシアの名女優イレーネ・パパスと、フランスのイヴ・モンタン、「男と女」の主演で有名なジャン・ルイ・トランティニャンが共演した映画の曲のようです。とにかく名曲が多いので、この後もテオドラキスとハジダキスの曲は度々登場する予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<14 intrumental Syrtaki - Stou Othona Ta Hronia>
<14 intrumental Syrtaki - Strosse To Stroma Sou Gia Duo>
<14 intrumental Syrtaki - Safti Ti Gitonia>
<14 intrumental Syrtaki - Tha Potisso>

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2020年8月 3日 (月)

クルドの締めは、エラーヒのSuite Tarz-e Yâriとイッサ

ゼアミdeワールド219回目の放送、日曜夜10時にありました。5日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。PCMレコーダーでの宅録1回目でしたが、無事放送されてホッとしました。クルドの締めだけでなく、次回ギリシアからヨーロッパに入りますので、中東のラストになります。今日の動画はエラーヒのSāru Khāni のみです。Suite Tarz-e Yâriは、youtubeでは聞けなくなっているようです。Sāru Khāniはこの曲の次に入っている曲です。

クルドの音楽の8回目です。今回でクルドのシリーズはラストにしたいと思います。最後にタンブールの巨匠オスタッド・エラーヒの、これまで聞いた中で最高作と思ったA Spiritual Epicから、Tarz-e-Yari Suiteをおかけします。たった2本の弦(1コースは復弦)から出ているとは到底思えない凄い音楽です。18分弱の演奏ですが、特に後半の壮絶な演奏と展開には耳がくぎ付けになりました。

<1 Ostad Elahi / Suite Tarz-e Yâri 17分47秒>

Sāru Khāni Suite


クルドの次は、ギリシアに入りますが、ギリシアの代表的な弦楽器ブズーキに繋がる中東の弦楽器ブズクの演奏がイッサという奏者の盤で出ていますので、こちらを聞いてギリシアに繋げて行きたいと思います。
フランスのArionから出ている「イッサ ブズクの芸術」は仏Arionの世界の楽器シリーズの一枚です。ブズク奏者と言えば、大分前にシリア~レバノンの時にかけました仏Ineditのマタル・ムハンマドが有名ですが、マタル・ムハンマドがジプシー、イッサ・ハッサンはクルドと、ブズクではアラブ人ではないマージナルな民族の名手が目立つ所が興味深いと思います。自作曲を含め、マカームに則った即興を聞かせています。テクニックの切れ味はマタル・ムハンマドほどではないにしても、若々しく熱気溢れるクルド節がたっぷり聞けます。イッサのCDは仏Club du Disque Arabeや彼の自主盤などで数枚出ていました。
この盤の日本語の帯には「ブズーキ」となっていますが、これは間違いで、主にレバノンやシリアで弾かれているブズクのことです。アラブの弦楽器ですから、ブズーキと違って、平均律にない微分音のフレットがあります。
ウスクダラと同じ旋法のMaqam Nahawendと、もっともアラブ的と言われるヒジャーズ旋法の演奏の2曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<5 Issa Hassan / L'art du bouzouk ~Maqam Nahawend 5分43秒>

<8 Issa Hassan / L'art du bouzouk ~Maqam Hidjaz 5分3秒>

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2020年7月27日 (月)

二人のアイヌール

ゼアミdeワールド218回目の放送、日曜夜10時にありました。29日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。まず大事なお知らせをしておきます。今治でも遂に感染者が出まして、スタジオが再度閉鎖されることになりました。また宅録の道はありますが、位相の問題を解決しないと、以前のように放送事故になりますので、解決できるまでは放送をお休みするかも知れません。どうぞよろしくお願い致します。宅録用ミキサーでは明らかに音質は落ちますが致し方無いです。今日の動画は「クルドの娘」の2曲のみにしておきます。

クルドの音楽の7回目です。今回は「二人のアイヌール」と題して、クルドとトルコのアイヌールの歌を聞いて行きます。
まずは、クルドの女性歌手アイヌール・ドーアンですが、日本でこの人の歌が話題になったのは、NHKのBSプレミアムで2004年頃に放送された〈Amazing Voice~驚異の歌声〉のトルコ編の放送後だったと思います。彼女の2枚目のアルバム「クルドの娘」が、発売の翌日にトルコ東部のディヤルバクルの行政裁判所によって販売差し止め命令が下されまして、それはこの放送の前だったように記憶していますが、歌詞に政府と対立するクルド組織を擁護する内容が含まれていたためだったとのことです。

トルコ機密警察とクルド労働者党の板挟みになりながらも、クルドの心を歌い続けるアイヌールの歌唱を、「クルドの娘」から2曲続けておかけします。その問題の曲がどれか、はっきり分かりませんが、これからかける中にあるのでは、と予想して選曲しました。発売当時まだ20代で、こんな熱い歌を日本の若手女性歌手が歌うことがあるだろうかと思う程です。リリースは、気骨のある名門レーベルKalan Musicです。1曲目がアフメド、2曲目は名アシュクのシヴァン・ペルウェルが作った「クルドの娘」です。(2曲目が件の曲かなと思います)

<1 Aynur Karadoğan / Ahmedo アフメド 5分32秒>

Aynur Dogan - Ahmedo



<2 Aynur Karadoğan / Keçe Kurdan / Kürt Kizi クルドの娘 4分32秒>

AYNUR DOĞAN KEÇE KURDAN


アイヌール・ドーアンの最近作 Hedurからも一曲おかけしておきます。タイトル曲のヘドゥールとは、「慰め」の意味だそうです。

<2 Aynur Karadoğan / Hedûr 5分22秒>

もう一人のアイヌールとは、アイヌール・ハシュハシュという女性歌手で、2004年当時この人のGulistanという盤がリリースされていて、実はアイヌール・ドーアンより先に聞いていたものですから、たまたまその頃の問い合わせで「アイヌールのCDありますか?」と聞かれたことがありまして、間違えてこちらを紹介しそうになったことがありました。可憐なルックスに似合わず、先輩ハルク歌手のベルクス・アッカレばりのパンチの効いたハスキーで艶っぽい歌声は実に魅力的だと思います。同じ名前ですが、彼女はクルドではないようです。

プロフィールに「1994年には、民謡を含むファーストアルバム「Yesterday and Day」をリリース。有名なトルコのアーティストArifSağの指導のもと、1999年にセカンドアルバム「Yolculuk」を発表。サードアルバム「Yar Sesi」は、同じくArifSağの指導の下で準備され、2002年にリリースされました」とありましたから、ギュリスタンはその2年後のアルバムになります。最近の動画で見ましたが、まだ47歳なのにすっかり白髪になっていて、ちょっとショックを受けました。(放送では最後の曲が全く入らないので、後でこの部分を削除しましたが、編集が上手くいかず繋ぎが不自然になってしまいました。大変失礼いたしました。)

Aynur Haşhaşでyoutube検索すると上位に上がってきているギュリスタンの1曲目をおかけします。5拍子か10拍子の特徴的なアップテンポの曲です。

<1 Aynur Haşhaş / Gulistan ~Icmisim Serhosum Bugun 3分37秒>

5曲目は他の歌い手で聞いたことがある曲で、アゼルバイジャンの歌だったように思います。タールの音色が特徴的な3拍子か8分の6拍子の大変に美しいメロディです。

<5 Aynur Haşhaş / Gulistan ~Men Onu Sevmistim 3分36秒>

では最後に、2曲目のKirpiklerim Ok Eyleという曲を聴きながら今回はお別れです。いかにもアリフ・サーがバーラマで伴奏していそうな感じの、アナトリアらしい曲調の美しい曲ですが、バーラマ奏者は不明です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2 Aynur Haşhaş / Gulistan ~Kirpiklerim Ok Eyle 4分46秒>

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2020年7月20日 (月)

ハッカリ、木遣り、イエメン系ユダヤ

ゼアミdeワールド217回目の放送、日曜夜10時にありました。22日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画は、ハッカリの1枚目と木遣りのみにしておきます。

クルドの音楽の6回目です。今回はハッカリとクルドのスーフィーの音源をご紹介したいと思います。クルドは少し延びまして一応後3回の予定です。まずは土Kalan Muzik Yapimから出ている"EYHOK"Traditional Music of Hakkariですが、この盤についてのゼアミHPの紹介文を読み上げます。

トルコ南東部ヴァン湖の南の高地に位置するハッカリ地方は、クルド系遊牧民が多く住む所。この地の民謡フィールド・レコーディング2枚組で04年リリース盤。日本の東北辺りの民謡に似て聞こえる歌があったり、他には意外に似ているのがイエメン系ユダヤ人の宗教詩ディワン。つまり、故オフラ・ハザの歌のルーツとどこかイメージがダブってくるから不思議。古代のイラン系メディア王国の末裔とも言われる高地クルドの逞しく凛とした歌声は実に素晴らしいです。歌詞にはシリア系文字も見えますが、これはアッシリア由来のネストリウス派キリスト教の伝統も入っているからでしょう。

この盤から何曲か続けておかけします。よく売れるもので、現物が手元に残ってないので、アップルミュージックからの音出しになります。解説を参照できないので曲の詳細は不明ですが、1枚目の最初の方に入っている男性の掛け合いの歌は、日本の民謡の中でもとりわけ、火消しなどで鳶職が歌った仕事歌の「江戸木遣り」にも似ているように思います。3,6曲目を続けておかけします。

<1-3 Serşo 2 2分26秒>

Piyanisili Erkekler - Serşo 2 [ Eyhok © 2004 Kalan Müzik ]



<1-6 Narink 3 1分20秒>

Piyanisili Erkekler - Narink 3 [ Eyhok © 2004 Kalan Müzik ]


少し飛んで20曲目も、どう聞いても日本の民謡にそっくりです。
 

<1-20 Zeynel Beg/Bedirxan Beg 2分47秒>

Abdülkerim Kaçar - Zeynel Beg & Bedirxan Beg [ Eyhok © 2004 Kalan Müzik ]


2枚目の1曲目でも、追分か馬子唄のような細かいコブシを聞かせていますが、この曲はエチオピアの民謡にも似ているように思いました。

<2-1 Rave 52秒>

前回「長い歌」系のラウクをかけましたが、同じラウクに当たる曲が2枚目4曲目に入っています。これも日本の民謡に瓜二つに聞こえます。

<2-4 Lawkê Tuxûbî 3分8秒>

引き合いに出したイエメン系ユダヤ人の伝承歌謡ディワンも、ユネスコ・コレクションの音源からかけておきます。2曲目のTsur Menati(神は我が居場所)は、オフラ・ハザも歌っていた曲で、これが原曲になります。

<2 The Yemenite Jews  Tsadoq Tsubeiri / Tsur Menati 3分46秒>

ハッカリの1枚目で引き合いに出した江戸木遣りも一曲おかけしておきます。曲は、真鶴・手古です。ハッカリのクルドの歌が、ユダヤコミュニティーの中でも特に古い伝承を残すと言われるイエメン系ユダヤの歌や、日本の木遣りや追分にも似ているという興味深い例をご紹介しました。ナーゼリーさんの曲にも、タンブールの音使いが津軽三味線にそっくりな曲もあったのを思い出しました。

<1-1 真鶴 手古 4分33秒>

木遣り、真鶴/手古


最後に1994年にフランスのOcoraから出ていたクルドのスーフィー儀礼音楽の2枚組から、唱念儀礼ジクルを聞きながら今回はお別れです。イラン西部クルディスタンにあるコルデスターン州の州都サナンダージの神秘主義教団、カーディリー教団の儀礼の93年現地録音で、枠太鼓のダフを叩きながら唱えられます。2枚組に120分以上入ったディープな世界の中から、極々一部ですが、多少は雰囲気が感じられると思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2-1 Zikr-E Allâh Et Percussions 9分38秒>

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2020年7月13日 (月)

イラク系クルド Al SurとUnescoの音源

ゼアミdeワールド216回目の放送、日曜夜10時にありました。15日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画はGroupe Musical du Kurdistanの2曲だけにしておきます。

クルドの音楽の5回目です。今回はフランスのAl Surから90年代に出ておりました3枚のクルディスタンの音楽シリーズと、1989年のユネスコ盤から抜粋してご紹介します。いずれも廃盤アイテムになります。
まずはAl Surのクルド・シリーズ1枚目で、グループ名はGroupe Musical du Kurdistan、タイトルがDe Soran a Hawramanという盤から、3曲目のギュル・アマンという曲です。邦訳するなら「おお、私の川よ」となります。編成はサズ、ネイ、バラバン、キャマンチェ、ダフで、ダフ奏者が叩き歌いをしています。全編柔らかいダブルリードのバラバンの曇った音色が目立っていますが、特にギュル・アマンという曲はリズムと旋律、更には曲の雰囲気まで実にクルドらしく、「剣の舞」を連想させる曲調に最初聞いた時から特に驚いた一曲です。

<3 Groupe Musical du Kurdistan / Gül Aman [Ô mon fleuve] 4分22秒>

Gül Aman


この3枚シリーズは、1枚目がイラク系クルド人メンバー中心に1982年にイタリアで立ち上げたグループの演奏、2枚目もやはりイラク系クルドのグループの演奏で、ヴァイオリンやウードがフロントに出てかなりアラブ風な印象が強くなり、3枚目もイラク北部のクルドの歌ですが、自由に間を崩して歌う「長い歌」系の歌唱が目立っています。
2枚目からも一曲かけますが、アラブ風な中にいかにもクルド的な曲が一曲ありますので、その4曲目のNârine- Kyas zardéという曲をおかけします。演奏はEnsemble Zalmで、編成はヴァイオリン、ウード、サントゥールとトンバクやダラブッカなどの打楽器です。

<4 Ensemble Zalm / Nârine- Kyas zardé 4分24秒>

3枚目はLawk と Hairanという二つの詩のジャンルを歌い分ける名歌手Tânia Arabの歌唱をフィーチャーしていて、伴奏はサントゥール、ウード、トンバクです。アラブのマウワルに似た「長い歌」系がラウク、リズミカルな曲もある方がハイランになるようです。ラウクは10分余りのDotman (Cousine) Mêwan (L'hôte)という曲がラストを飾るように入っていますので、最初の4分程をおかけします。マウワルに少し似ていますが、音の動きがいかにもクルド風です。

<7 Tânia Arab / Musique Du Kurdistan 3 : Lawk U Hairan ~Dotman (Cousine) Mêwan (L'hôte) 10分18秒~4分>

1989年にフランスのオーヴィディスからCD化されたユネスコのクルド音楽の録音は、70年代後半にはオランダのフィリップスからユネスコ・コレクションのシリーズとしてLPで出ていた音源で、日本では日本フォノグラムからLPで出ていました。当時このシリーズでは大分前にかけたイランや南インドのLPを持っていましたので、サンプラーLPでクルドの音源も聞いたことがありました。トルコ東部のクルディスタンの音楽のようです。そのMawal Wa Raqsaという曲をおかけします。編成は2本のピクという笛と、打楽器のトゥンバラク、フィンガー・シンバルのジルです。タイトルは「マウワルと踊り」という意味だと思います。

<3 Kurdish Music ~Mawal Wa Raqsa 7分1秒>

では最後に、最初にかけたGroupe Musical du Kurdistanの演奏で、Siatchamanaという曲を聴きながら今回はお別れです。「黒い瞳」という意味のこの曲でも、バラバンの曇った音色と独特なリズムと雰囲気などが何ともクルド色濃厚に聞こえる一曲です。アルバムタイトルのDe Soran a Hawramanは、「ソランからハウラマンまで」という意味ですが、クルド語の主要方言である、クルマンジーとソラニーの両方が見られるイラク北部のクルディスタン一帯かその一部を指しているのではと思われます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2 Groupe Musical du Kurdistan / Siatchamana (Les yeux noirs) [Poème de Goran] 6分2秒>

Siatchamana

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2020年7月 6日 (月)

Motrebe Mahtab Rou(月の顔の楽士)

ゼアミdeワールド215回目の放送、日曜夜10時にありました。8日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画は下記のVHSと同じ映像です。

クルドの音楽の4回目です。今回は4年前のこの番組の放送開始から間もない頃にかけたシャハラーム・ナーゼリーのMotrebe Mahtab Rou(月の顔の楽士?)を再度取り上げたいと思います。どの曲かは分かりませんが、やはりクルド・マカームのヴァリエーションと取れるのかも知れません。4年前は15分枠でしたから、どの曲も抜粋でしたが、今回は17分近い1曲目「Motrebe Mahtab Rou」は丸々かけられます。「月の顔の楽士」と言う訳が正しいかどうか、この音源は欧米盤が出てなくて、イラン盤のみですので、よく分かりませんが、カセットで出た時に「月の顔の楽士」がタンブールを構えたジャケットだったのだけは確かです。Motrebと言うのは、ストリートの辻楽師にも用いられるよく知られたペルシア語の言葉です。

この曲はクルドで用いられる弦楽器タンブールの合奏から始まりますが、これぞクルド・マカームの響きという感じがします。前回も言いましたが、クルド・マカームとは旋法であると同時に、様々な祭礼に演奏されるレパートリー自体も指します。タンブールの奏法は独特でフラメンコのラスゲアードを逆回しするようなストロークが目を引きます。タンブール奏者は5人前後で、90年代に出たVHSにも出ていたカイホスロー・プールナーゼリーやアリ・アクバル・モラディは名を連ねていると思います。

<1 Shahram Nazeri / Motrebe Mahtab Rou ~Motrebe Mahtab Rou 16分58秒>

Shahram Nazeri & Rumi Iranian Music


前々回カーブーキをかけましたキングのワールドルーツミュージックライブラリーの「シャハラーム・ナーゼリーの芸術」のライナーノーツの拙稿からも少しご紹介します。

イラン西部のクルディスタンの中心地の一つ、ケルマンシャーで1950年に生まれる。音楽家の家庭に育ち、幼少より音楽と文学を学び始める。 1971年頃からアブドゥッラー・ダヴァーミ(Vo)、ヌール・アリ・ボルーマンド(Tar,Setar)、マームード・キャリーミ(Vo)、アフマッド・エバーディー(Setar)と言った、錚々たる顔ぶれのペルシア古典音楽の巨匠たちに学ぶ。1974年には初めてジャラール・ッディン・ルーミー(モウラヴィー)の詩に独自の解釈を施して披露。1976年には古典音楽のコンクールで優勝。ペルシア古典声楽家としての地位を固めながらも、作曲を通してイランのスーフィー音楽によりラディカルに向き合うようになり、その後自身のルーツであるクルドの音楽を取り入れた作品を発表するようになる。現在のイラン古典声楽界では、同じく男性歌手のシャジャリアンと並び称される名歌手。繊細極まりないペルシアの古典音楽と、熱情的なクルド音楽と、どちらにおいてもトップの座に君臨するカリスマ的な存在である。
 クルド音楽へ目を向け始めてからは、スーフィー詩の極致とも言えるルーミーの神秘主義詩に大きなウェイトを置いた上で、クルド・マカーム志向をも見せるようになる。こうしてイラン革命前の伝統にはなかった彼独自のスタイルを確立した。ルーミーの神秘主義詩に見られる情熱を吹き込んで、古典音楽に新しい動きを加えたというのが、筆者が<東京の夏>音楽祭の公演の合間にインタビューした際、ナーゼリー本人から聞いた言葉だった。先述したように、クルド・マカームには「イラン系民族文化の古層」が現れていると言えるが、テキストにはスーフィー文学の華であるルーミーの詩を持ってくることで、より広くまた熱狂的な聴衆の支持を得る事に成功した。タンブール名人であるアリ・アクバル・モラディやアリー・レザー・フェイゼバシプールと組むことで、それがより大きく花開いたことも事実だろう。

Motrebe Mahtab Rouは、2,3,4曲目もそれぞれ10分以上ありまして、いずれも甲乙つけがたいのですが尻切れトンボになってしまいますので、大体放送枠に入りそうなラストを飾っている7分弱の5曲目、Gol va kharを聞きながら今回はお別れです。この曲はアリ・アクバル・モラディの「ヤルサンのマカーム儀礼」4枚組の4枚目に入っているGol Va Khakと綴りがそっくりで、もしかしたら同じ曲かも知れません。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<5 Shahram Nazeri / Motrebe Mahtab Rou ~Gol va khar 6分43秒>

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2020年6月29日 (月)

クルド・マカーム名曲選 ジェロシャーヒ

ゼアミdeワールド214回目の放送、日曜夜10時にありました。7月1日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画はジェロシャーヒのみにしておきますが、ナーゼリーの方はブダではなくイラン盤の演奏です。

クルドの音楽の3回目です。今回はクルド・マカームの名曲選として、ジェロシャーヒと言う曲の聞き比べと、サハリーと言う曲を取り上げます。演奏される楽器は、中東の弦楽器でも特に古い歴史を持つと言われるタンブールです。クルド・マカームとは、クルド独自の旋法を指すのと同時に、そのレパートリー自体も指しています。

往年のタンブール名人にして哲学者のオスタッド・エラーヒの演奏からかけますが、彼は名ヴァイオリニストのユーディ・メニューヒンや、モダンバレエの巨匠モーリス・ベジャールなどからも賞賛を受けていたと言う人です。私がまず目に留めたのは、そのコメントでした。仏Chant du mondeのシリーズで最初に出た「オスタッド・エラーヒ/天上のタンブール」について2001年に書きました音楽之友社刊「世界の民族音楽ディスクガイド」の拙稿を読み上げます。

この人のタンブールによる即興演奏の凄さは筆舌に尽くし難い。たった2本弦の素朴な弦楽器から、ピーンと張り詰めた非常に求心力の高い信じられない世界を作り出す。真剣にまた何度か聞き込む内にそのことが実感されると思うが、時折自然に出てくる彼の歌声がまた凄い。彼はペルシア古典音楽の大御所ムーサー・マアルフィーを初め、西洋のユーディ・メニューヒンやモーリス・ベジャールなどからも絶大な賞賛を受けていた。
 このイランのクルディスタンの音楽家、哲学者、エラーヒ(1895-1974)のCDもシャン・デュ・モンドから5枚、Truspaceから1枚を数えている。まだ出るかもしれない。しかしあのChant du mondeから5枚とは尋常ではない。フランスには彼のHPもあり、その筋ではやはりカリスマ的な注目を集めているようで、最近では日本にCDがなかなか回ってこないような状況になっている。音楽家だけでなく哲学者でもある彼は、生前録音を禁じたとも言われるが、没後20年程経って宗教的催しの際の秘蔵録音がこうしてCD化されることとなった。
 

ジェロシャーヒも、淡々としながらも激しく繊細なかき鳴らしの中に、スーフィー音楽の極致がかいまみえてくるような演奏です。シャンデュモンド盤は売り切れで手元にないので、iPhoneからの音出しになります。

<1 The Sacred Lute: The Art of Ostad Elahi, Vol. 2 - Reverence ~Jelo Shāhi Suite 7分33秒>

Jelo Shāhi Suite


このジェロシャーヒが、シャハラーム・ナーゼリーwithアリ・レザ・ファイズ・バシプール&ハーフェズ・ナゼリ/Mythical ChantというフランスBuda盤にも入っていますので、続けておかけしておきます。先週一部かけましたナーゼリーの2006年の日本公演では演奏されなかった曲です。ひとつ前に入っているロスタム(Rousam)がジェロシャーヒに当たるとの説もありますので、2曲続けておかけします。

<4 Shahram Nazeri - Mythical Chant ~Rousam 4分19秒>

<5 Shahram Nazeri - Mythical Chant ~Magham-E-Jeloshahi 3分30秒>

Maqam-e-Jelo Shahi


ナーゼリーとも共演しているタンブールの名人アリ・アクバル・モラディの仏Ineditの4枚組「ヤルサンのマカーム儀礼」を見ると、クルド・マカームには70曲以上のレパートリーがありますが、この中にはジェロシャーヒが見当たりませんでした。日本のタンブール奏者のKさんを通して曲名を聞くことの多いサハリーという曲を代わりにかけておきます。この盤についてのゼアミHPでのコメントを引用します。

11世紀に生まれたヤルサンのタンブールを用いた儀礼音楽を収めた初のアルバム。ヤルサンはアフレハック(Ahl-e Haqq: "People of the Truth")としても知られ、イスラーム以前の古代ペルシアの信仰に起源があると言われるクルディスタンに多く見られる宗教(クルド人口の3~10%)。モラディはイラン西部ケルマンシャー出身のクルドのタンブールの巨匠。4枚にわたって秘教ヤルサンのマカーム儀礼を収録したイネディならではの注目作で、特に往年の大巨匠エラーヒや最近のシャーラム・ナゼリの音楽に感動した方は要チェックです。

では、モラディのタンブール独奏でサハリーを聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1-14 Ali Akbar Moradi / Sahari 10分38秒>

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2020年6月22日 (月)

剣の舞 カーブーキ

ゼアミdeワールド213回目の放送、日曜夜10時にありました。24日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画はカムカル・アンサンブルのカーブーキだけにしておきます。

クルドの音楽の2回目です。まずは前回iPhoneを忘れてかけられなかった「剣の舞」をおかけしておきます。

クルド音楽のイメージは、ハチャトゥリアンのバレエ『ガイーヌ』に出てくる「剣の舞」によく表れていると思いますが、クルド人が剣を持って舞う戦いの踊りを描写したこのタテノリの激しい音楽は、枠太鼓ダフを叩き歌う一部のクルド音楽そのもののように聞こえます。
「剣の舞」は、グルジア生まれのアルメニア人作曲家ハチャトゥリアンにしか書けないであろう、コーカサス音楽の見本市のような「ガイーヌ」の一曲ですが、剣の舞というスタイルはクルド以外のコーカサス系諸民族にも豊富に見られます。

コーカサスでは「ガイーヌ」からレズギンカをかけましたが、今回は「剣の舞」をウラジーミル・フェドセーエフ指揮、モスクワ放送交響楽団の演奏でおかけします。

<剣の舞 ウラジーミル・フェドセーエフ指揮、モスクワ放送交響楽団 2分16秒>

「剣の舞」のようなタテノリのクルド音楽の典型として、イランのカムカール・アンサンブルの演奏を聞いてみたいと思います。シャハラーム・ナーゼリーなどのクルド系のペルシア古典音楽家との演奏と、クルド音楽そのものの場合と両方のレパートリーがあります。彼らはサントゥールなどペルシア楽器のそれぞれの達人でもあり、ソロ作まで含めると欧米盤とイラン盤でかなりの枚数が出ています。イランShahramからのクルド音楽盤からKagaue (The Bride's Place)と言う曲をおかけします。「花嫁の場所」のタイトル通り、結婚式での音楽と思われます。

<4 Kamkars Ensemble / Kagaue (The Bride's Place) 5分7秒>

もう一曲、シャハラーム・ナーゼリーが2006年の来日公演で歌った「カーブーキ」も入っていますので、カムカールの演奏でおかけしておきます。この曲を訳すと「花嫁」ということで、先ほどと同じテーマの曲ですが、スーフィー的な深意があるのかも知れません。

<8 Kamkars Ensemble / Kabooki 5分>

Kabouki by Kamkars Ensemble


カーブーキが出てきましたので、2006年のシャハラーム・ナーゼリーの浜離宮朝日ホールでのライブ録音からもかけておきます。キングのワールドルーツミュージックライブラリー150枚の1枚ですが、ライナーノーツ執筆は私が担当しました。「ナーゼリーによるセタール独奏と歌。イラン西部ケルマンシャーの北に位置するサナンダージで話されている言葉による歌。訳は小鳩とする説もあり」と言う風に拙稿を書いておりました。余談ですが、この東京公演の時、私はナーゼリーやペルシア音楽全般のCDの即売で会場に行っておりました。関東方面で聞いて頂いている方で、14年前の会場でご来店頂いた方がいらっしゃるかも知れません。公演の直前に某社の企画でナーゼリー氏にインタビューもしまして、当時の某社のミニコミ誌に載りましたが、ゼアミブログにもアップしてあります。

<5 シャハラーム・ナーゼリー / カーブーキ (花嫁) 9分>

では最後に同じライブ録音から「ビジャンの再生」を聞きながら今回はお別れです。2006年のライブのクライマックスで演奏された曲で、王書(シャーナーメ)の中のロマンスの主人公ビジャンが井戸に落ち、英雄ロスタムに助け出される物語が歌われています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 シャハラーム・ナーゼリー / ビジャンの再生 7分47秒>

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2020年6月15日 (月)

トルコ東部のクルド音楽

ゼアミdeワールド212回目の放送、日曜夜10時にありました。17日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画はコマ・ゾザンだけにしておきます。

今回から4,5回かけてクルドの音楽をご紹介したいと思います。人口4000万以上と言われるクルド人は、国家を持たない世界最大の民族と言われ、トルコ東部、イラン西部、イラク北部、シリア北部を中心に住んでいるイラン系の民族です。音楽においても独自の文化を保持しています。
これまでこの番組ではイランから始めて中東各地、旧ソ連のヨーロッパ部分、ウラル地方、コーカサス、中央アジアと来て、トルコの音楽を回り終えたところでした。クルドだけ入れる機会がなかったので、この後ギリシアからヨーロッパに入って行く前に入れておきます。

クルド音楽のイメージは、ハチャトゥリアンのバレエ『ガイーヌ』に出てくる「剣の舞」によく表れていると思いますが、クルド人が剣を持って舞う戦いの踊りを描写したこのタテノリの激しい音楽は、枠太鼓ダフを叩き歌う一部のクルド音楽そのもののように聞こえます。

いつもヘッダ部分をかけているiPhoneを忘れまして、「剣の舞」もその中に入っていますので、また次回におかけします。

トルコのクルド音楽の音源と言えば、トルコ側クルドの名アシュク、シヴァン・ペルウェルの諸作が一番多いように思いますが、80年代にLPでも出ていたコマ・ゾザンのフランスArion盤をまず最初にご紹介します。Komaと言うのはクルド語でグループの意味です。編成はサズに似た弦楽器テンブール、フレットのないバンジョーのジュムビューシュ、両面太鼓ダウル、ダブルリード管楽器のドゥドゥク、ウードに男女の独唱が入ります。旋律が素朴で美しいGulisanという曲から3曲続けてどうぞ。

<5 Groupe Koma Zozan / Gulisan 4分17秒>

Gulisan



<6 Groupe Koma Zozan / Em Kurdin 2分40秒>

Koma Zozan 'Em Kurdin'



<7 Groupe Koma Zozan / Cecane 2分6秒>

Ceçanê (Danse traditionnelle)


続いてトルコ側クルドの名アシュク、シヴァン・ペルウェルのトルコSes Plakからの1992年リリースの14枚目から、シヴァン・ペルウェルとギュリスタン夫妻の演奏で、タイトル曲のゼムビルフィロシュと次のEz Nexwesimを続けてどうぞ。独特なリズムと美しいメロディに耳が喜ぶ2曲です。

<1 Sivan Perwer & Gulistan / Zembilfiros ~Zembilfiros 4分16秒>

<2 Sivan Perwer & Gulistan / Zembilfiros ~Ez Nexwesim 5分11秒>

では最後に奥さんのギュリスタンの歌声をフィーチャーしたNarineを聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 Sivan Perwer & Gulistan / Zembilfiros ~Narine 4分16秒>

<5 Sivan Perwer & Gulistan / Zembilfiros ~Zara>

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2020年6月 8日 (月)

セファルディ音源の数々 La Sirenaの聞き比べも

ゼアミdeワールド211回目の放送、日曜夜10時にありました。10日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Voice of the Turtle以外の動画は、また水曜以降に。

トルコのシリーズは一応前々回で終わりになりました。アシュクではムハッレム・エルタシ親子やエルダール・エルジンジャンなどの注目盤も多いですが、売り切れで手持ちにはないのと、トルコはポップスも層が厚い国ですが、私はそちらには不案内ですので、若干音源もありますが外しておきます。
前回トルコのスペイン系ユダヤ人(セファルディー)の音楽を取り上げまして、色々個人的に懐かしい音源を引っ張り出していました。セファルディー関連の資料も50枚以上はあると思いますので、大体はスペインに回った際になりますが、今回もう一回だけ取り上げたいと思います。

まずは、Voice of the Turtleの第3集ブルガリアと旧ユーゴスラヴィアのバルカン編から、La Sirenaという曲をおかけします。バルカンのセファルディーの間に広まったよく知られている叙情歌です。

<14 La Sirena 4分34秒>

La Sirena


同じ曲をHélène EngelのChansons Judéo-Espagnolesでもやっていますので、併せてかけておきます。例の「スペインからのセファルディー追放から500年」と言うコメントのあった91年のフランス盤です。

<1 Hélène Engel / Chansons Judéo-Espagnoles ~La Serena (Orient) 3分59秒>

次に、セファルディーの歌と言えば、まず筆頭に出てくる名盤で、「東地中海のスペイン系ユダヤ人の歌」というフランスIneditの盤から、Bienvenida《Berta》Aguado,と Loretta《Dora》Gerassiの独唱を少し聞きたいと思いますが、この盤について、2002年の音楽之友社「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いた拙稿を読み上げます。

イスラエル在住のスファラディー系2婦人による東方に伝わっていたセファルディー(スペイン系ユダヤ)民謡集で、それぞれの出身地(トルコとブルガリア)に伝承されていた曲が選ばれている。この様な無伴奏の詠唱は他ではスペインのSaga盤位でしか聞けない。磨きあげられた二人の歌の節には、それぞれにトルコ古典声楽のデリケートな節回しとバルカン風旋律が現れている。細かい節回しの妙味は絶大で、よくある古楽からのアプローチの演奏には余りない「土の香り」が強烈に感じられる素晴らしい歌唱。特にゲラッスィの男声のような低い声で歌われるバルカン的な節は、マケドニアのジプシー女性歌手エスマに唸った人にも是非聞いて欲しい。

まずは、Loretta《Dora》Gerassiの低い美声をたっぷり堪能できる3曲目からどうぞ。タイトルを訳すと「呪われた兄弟」となるようです。

<3 Loretta《Dora》Gerassi / El Hermano Maldito 2分48秒>

Bienvenida《Berta》Aguadoの方は、El Punchon y la Rosaをおかけしますが、この曲は一般にプンチャ・プンチャと言う曲名で知られています。「チク、チク、薔薇は香り、恋はひどく苦しめる」と歌いだされるロマンセ(四行詩の物語り歌)です。

<16 Bienvenida《Berta》Aguado / El Punchon y la Rosa 2分7秒>

次はホアキン・ディアスによるギター弾き語りですが、この人はスペイン民謡の大御所として知られ、私が最初に見たのは1980年頃のTVスペイン語講座での演奏でした。素朴で古雅な趣きの歌をギターで弾き語る人ですが、スペイン音楽のルーツの一つとしてセファルディーの歌を捉えてリリースされたと思しき2枚組がスペインのTecnosagaから出ています。多くのセファルディー音源と同じく、トルコ出身でユダヤ系のラジオ・ディレクター兼歌手のイサーク・レヴィが採譜・出版した「ユダヤ・スペインの歌」の楽譜に則っての歌唱ですが、スペイン人のホアキン・ディアスがラディーノ語をどの位理解しながら歌っているのかが気になるところです。

1枚目の最初の2曲ですが、Las Tres Hermanicasと、一般にはアディオ・ケリーダ(さようなら、愛しい人)の曲名で知られるCuando Tu Madre Te Parioの2曲を続けてどうぞ。1曲目が「三姉妹」、2曲目は「あなたのお母さんがあなたを産んだ時」と訳せると思います。

<1 Joaquín Díaz / Kantes Djudeo-Espanyoles ~Las Tres Hermanicas 2分33秒>

<2 Joaquín Díaz / Kantes Djudeo-Espanyoles ~Cuando Tu Madre Te Pario 2分41秒>

では最初にかけましたLa Sirena(ここではLa serena)を、Loretta《Dora》Gerassiの歌唱で聞きながら今回はお別れです。セイレーンとは「サイレン」の語源ですが、ギリシア神話では、海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破に遭わせる、上半身が人間の美しい女性で、下半身は鳥の姿の海の怪物を指しますが、Voice of the Turtleの対訳歌詞では「もし海がミルクで出来ていて、私が漁師だったら、私は愛の言葉で不幸を釣るだろう」と匂わせる所で終わっています。この歌のルーツはボスニアのサライェヴォにあるそうです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<14 Loretta《Dora》Gerassi / La serena 2分44秒>

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