ゼアミdeワールド

2019年6月24日 (月)

バッタチャリア録音のアフガニスタン argo

ゼアミdeワールド166回目の放送、日曜夜にありました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

アフガニスタンの音楽の6回目になります。今回はイギリスのargoから出ていたアーゴ民族音楽シリーズの11枚目「アフガニスタンの音楽」からご紹介します。手元にあるのは、98年リリースの同内容の日本ポリグラム盤です。インドの世界的な民族音楽学者のデベン・バッタチャリアが、1955年と70年にカブールで録音してきた音源です。大変お世話になった明治大学教授の故・江波戸昭先生監修のシリーズで、インド周辺だけでなく世界中の伝統音楽が網羅されています。これまでかけた中では一番古い音源で、伝統音楽がしっかり根付いていた頃の、より生々しい演奏が記録されています。一部重なるバッタチャリアの音源は、イギリスのARCからも出ておりまして、次回補足でかけると思います。

まずは、一曲目のギチャク弾き語りとゼルバガリの伴奏で、アフガン・ペルシア語とも言われるダリー語の恋歌「Goftamash Ai Nazaneen」をどうぞ。録音は1970年で、ギチャクは1914年生まれの名手Muhammad Naim Mazari、ゼルバガリは色々な盤でもうお馴染みのマラン・ネジラビです。彼は1942年生まれのようです。

<1 Goftamash Ai Nazaneen 6分16秒>

2曲目のBattle Tune(戦闘の音楽)は1955年の録音で、アフガニスタン北部のトルクメンやウズベクと同一系統の民族が伝えた非常に古い歌の旋律による曲とのことです。けたたましいダブルリード管楽器のスルナイと、両面太鼓ドールによる勇壮な音楽です。

<2 Battle Tune 2分13秒>


5曲目は1970年録音のルバーブの独奏です。やっぱりこの楽器の音色が、一番アフガニスタンらしいように思います。演奏はルバーブがウスタッド・ムハンマド、ドール伴奏がグル・アラームです。

<5 Rubaba 2分8秒>

6曲目はパシュトゥー語の恋歌で、これも1970年の録音で、ギチャクとゼルバガリの演奏者は1曲目と同じMuhammad Naim Mazariとマラン・ネジラビです。バッタチャリアの解説によると、パシュトー語はインドのサンスクリット(梵語)起源になっています。現在も支持される説かどうかは分かりませんが、例のパシュトゥーンのルーツに当たるサカ族と釈迦族が元は同じ民族という、ビックリ仰天の説を思い出します。この曲はアフガニスタン南部のカンダハールに住んでいたパシュトゥー人が伝えた民謡が元ではないかと言われているそうですが、そのカンダハールという地名も古代のガンダーラに由来する説があるようです。

<6 Pashto Love Song 5分36秒>


7曲目は1955年録音のダリー語の恋歌で、アブドゥル・カーデルによる切々とした男性の独唱です。

 
<7 Dari Love Song 2分50秒>


では最後に4曲目のパシュトー語の「遊牧民の歌」を聞きながら、今回はお別れです。ギチャクとゼルバガリの演奏者は、これまでの数曲と同じMuhammad Naim Mazariとマラン・ネジラビです。

「娘は結婚して、この種族から去る時に、母に“さよなら”を言いました。それから、彼女は母親から贈ってもらいたいと思っていた贈り物について語ります。そして遠くに去って行きます。」と連綿と歌われています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 Tribal Song 8分33秒>

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2019年6月17日 (月)

Afghanistan Untouched~ハザラ、パシュトゥーン、カザフ、トルクメン

ゼアミdeワールド165回目の放送、日曜夜にありました。19日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。曲が多いので、カザフとトルクメンのyoutubeは明後日以降に回します。

アフガニスタンの音楽の5回目になります。前々回に続いて今回もアメリカのTraditional Crossroadsから出ていた「往年のアフガニスタン(Afghanistan Untouched)」の2枚組からご紹介します。Untouched(無傷の)という副題通り、平和な頃の貴重な記録で、1968年にマーク・スロービンによってフィールド・レコーディングされた録音の集成です。前々回は1枚目のタジク族とウズベク族の音楽でしたので、今回は2枚目のハザラ族、パシュトゥーン族、カザフ族、トゥルクメン族の音楽をご紹介します。

モンゴル帝国時代の末裔と言われるモンゴル系のハザラ人の音源は、一曲だけ入っています。ハザラ人はアフガニスタンの中央部から首都のカブールなどかなりの広域に住んでいますが、2003年推計のパーセントで見ると、パシュトゥーン人が45%、タジク人が32%、ハザーラ人が12%、ウズベク人が9%ですから、少ない方の民族ということにはなります。それ以外のトルクメン人、アイマーク人、ヌーリスターン人、バローチ人、パシャイー人は、もっと少ない少数民族になります。

ハザラの曲を笛で演奏しているのは、ディルダルという人です。モンゴル系ですが、5音音階ではないのが分かります。

<1 Didar / Hazara Music: Flute Tunes 1分44秒>

Hazara Music: Flute Tunes


この後はパシュトゥーンの音楽が5曲、ヘーラートの音楽が4曲、カザフの曲が2曲、トルクメンの曲が4曲と続いて、最後はゼアミブログでも妙技を取り上げたMalang Nejrawiの片面太鼓ゼルバガリの独奏で締めています。プラヤ盤の冒頭もこの人の演奏でした。この曲はフェイドアウトしたくないので、先におかけしておきます。様々なリズムパターンをデモ演奏しています。解説にありませんが、彼はパシュトゥーン族でしょうか?

<17 Malang Nejrawi / Samples Of Drum Rhythms On Zirbaghali 5分14秒>

Samples Of Drum Rhythms On Zirbaghali


アフガニスタンの最大民族のパシュトゥーン族の使うパシュトー語は、古代にパルティアから圧迫されてイラン高原からガンダーラ地方へ移住したイラン系のサカ族の言語を起源としていて、『漢書』で塞(そく)と呼ばれる種族(サカ)と釈迦族がもとは同じ民族であった、という大変に興味深い説があります。パシュトゥーン人というのは狭義のアフガン人で、元々アフガニスタンは、ペルシア語とダリー語で「アフガン人(パシュトゥーン人)の国」という意味です。ガンダーラは、現在のアフガニスタン東部からパキスタン北西部にかけて存在した古代王国です。

タンブール弾き語りとタブラ伴奏の4曲目は、内戦の頃によく耳にしたマザリ・シャリフでの録音です。アフガニスタンのタンブールは、共鳴弦のたくさん付いた長い棹の弦楽器で、シタールのルーツ楽器と言われています。

<4 Abdul Mazari / Bulbulak-I Sangshekan For Voice And Tanbur 4分16秒>

Bulbulak-I Sangshekan For Voice And Tanbur


ヘーラートの弦楽器は、有名なルバーブではなく、ドゥタールの演奏が2曲入っています。ドゥタールは2本の演奏弦だけでなく、共鳴弦のものと思しきペグがたくさん付いたヘーラート・ドゥタールです。

<7 Mohamed Qasem / Herati Music: Ghori (Dutar Piece) 3分46秒>

Herati Music: Ghori


ソ連時代の1932年にカザフスタンの首都アルマトゥイから脱出したカザフ族も、やはりアフガニスタン北部に住んでいて、この盤にはドンブラの独奏と弾き語りが入っています。カザフスタンでは変化があっても、亡命者の演奏には30年代のまま変わってない面があるかも知れません。ロシアのバラライカのように左手の親指を上から巧みに使う独特なフィンガリングが見られるドンブラ独奏と、弾き語りの両方を続けておかけします。

<11 Khandikhan / Kazakh Music: Dombra Pieces 1分20秒>

<12 Haji Birdali / Kokshetau 1分53秒>

やはりソ連を脱出してトルクメニスタンに近い北部に住んでいるトルクメン族の4曲は、ダブルリードと思われる管楽器のディリ・トュイドゥクと、尺八や東欧のカヴァルなどに近い音色のカルグイ・トュイドゥクの独奏で始まり、代表的な弦楽器のドゥタール弾き語りの吟遊詩人バフシーの音楽に移っていきます。3曲続けておかけします。独特な喉をひくつかせる歌唱の出てくるドゥタール弾き語りを聞きながら、今回はお別れです。演奏は、バフシーの名をそのまま名乗る名人アフマド・バフシーです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<13 Nur Mohamed / Turkmen Music: Two Dili-Tuiduk Pieces 2分26秒>

<14 Hamra Bakhshi / Waghelbeg (Karghy-Tuiduk Piece) 1分11秒>

<15 Akhmad Bakhshi / Ughulbeg (Song With Dutar) 5分8秒>

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2019年6月10日 (月)

Wiener Sängerknaben 2019

ゼアミdeワールド164回目の放送、日曜夜にありました。12日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。「ウィーンの森の物語」のみ、今回の来日メンバーの演奏です。

6月3日にウィーン少年合唱団の今治公演を聞きに行ってきました。正に「天使の歌声」の通りで、美しく透明感あふれる歌唱に魅了されました。少年合唱は声変わりするまでですから、もし何年か後に再度今治を訪れることがあっても、同じメンバーではないと思います。ギムナジウムに通う10歳~14歳の間の、僅か4年間だけの「束の間の幻影」のような儚い美しさに、心を持って行かれました。団員には日本人かと思われる子がいたり、名前や顔立ちからユダヤ系とかラテン系かと思う子がいたり、国際色が豊かになってきているようです。



という訳で、アフガニスタンの音楽巡りの途中ですが、一回だけウィーンに先回りしておきたいと思います。予定では、アフガニスタン、フンザ、ウイグル、トルコ、クルドと来て、その後はヨーロッパに渡ってギリシアから旧ユーゴ諸国、アルバニア、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、ポーランドやチェコなど西スラヴの後にオーストリアを予定しておりますので、早くて1,2年後にはなると思います。レントラーやワルツ、ポルカなど舞曲に焦点を当てて現地音源を聞きながら、かけるのはクラシックが主になると思います。



1498年に神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世が、宮廷礼拝堂少年聖歌隊として創設したのがウィーン少年合唱団の起源で、「モーツァルト」「シューベルト」「ハイドン」「ブルックナー」という、合唱団やウィーンと所縁のある作曲家の名前が付けられた4つのグループに分けられていますが、今回やってきたのはブルックナー組でした。シューベルトは元宮廷少年聖歌隊員で、ハイドンは元シュテファン寺院少年聖歌隊員で、たびたび宮廷少年聖歌隊と共演したそうです。長大な交響曲で知られるブルックナーは元歌唱指導者でした。



今治公演で聞けなかった曲を、1988~89年の録音のCD「ウィーンの森の物語 ウィーン少年合唱団ベスト」からおかけします。ここで歌っている少年たちも、今は40過ぎのおじさんになっています。



モーツァルトの「春へのあこがれ」(ドイツ語原題 Komm, lieber Mai)は、15分枠の最初頃に5月の名曲としてかけたことがありました。クリスマスの時期には、この盤の「きよしこの夜」もかけました。「春へのあこがれ」は、「嬉しや五月~」と歌いだされる日本語歌詞でも広く知られ、中学の音楽の時間に歌った記憶がある方も多いと思います。元は民謡旋律のようですが、モーツァルト自身が最晩年の最後のピアノ協奏曲27番の終楽章に転用しています。



<7 春への憧れ 1分32秒>

Komm Lie Ber Mai





公演ではヨハン・シュトラウス2世の曲は、ワルツは「美しく青きドナウ」とポルカの「雷鳴と稲妻」を聞けました。皇帝円舞曲も是非!と思っていましたが、この曲は出て来ませんでした。ウィーン少年合唱団と言えば、まず思い出す名曲の一つです。



<18 皇帝円舞曲 6分15秒>

Kaiserwlzer - Johann Strauss II (1825 -1899) -Wiener Sängerknaben - 2018 Rein





次は、ウィーン少年合唱団が物語の中心になっている1957年のドイツ映画『野ばら』から広く知られるようになった、ウェルナー作曲の「野ばら」です。同じくゲーテの詩につけたシューベルトの同名曲もよく知られていますが、特にウェルナーのこの大変に美しい旋律は、映画の効果もあってウィーン少年合唱団のイメージと分かちがたく結びついています。



<9 野ばら 2分19秒>

Michael Ande & Wiener Sängerknaben - Heideröslein 1957





このベスト盤にはシューベルトの曲では、これまた有名な歌曲「ます」が入っています。ピアノ五重奏曲「ます」の第4楽章変奏曲の主題旋律で、「清流で元気に泳いでいるますを釣り人が水を濁らせ釣ってしまったので、私の心は傷んだ」と歌われます。今治西高の秋川先生の音楽の授業で歌った覚えがあります。



<15 ます 2分11秒>

Schubert: The Trout (Wiener Sängerknaben)





ジプシーの自由奔放な生活を共感を込めて歌う、シューマンの「流浪の民」も、よく知られた名曲です。



<8 流浪の民 3分2秒>

Zigeunerleben (Wiener Sängerknaben)





では最後に「美しく青きドナウ」「皇帝円舞曲」と並ぶ、ワルツ王、ヨハン・シュトラウス2世のワルツの代表作「ウィーンの森の物語」を聞きながら今回はお別れです。

時間が余りましたら、ウィンナ・ワルツの代表作「美しく青きドナウ」も時間までおかけします。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<4 ウィーンの森の物語 4分26秒>

J. Strauss II: Geschichten aus dem Wienerwald, Op. 325 - Arr. Helmuth Froschauer





<1 美しく青きドナウ 5分26秒>

Wiener Sängerknaben - An der schönen blauen Donau





Wiener Sängerknaben: Blue Danube

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2019年6月 3日 (月)

Afghanistan Untouched~タジク、ウズベク

ゼアミdeワールド163回目の放送、日曜夜にありました。5日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。



アフガニスタンの音楽の4回目になります。今回はアメリカのTraditional Crossroadsから出ていた「往年のアフガニスタン(Afghanistan Untouched)」の2枚組からご紹介します。Untouched(無傷の)という副題通り、平和で農作物が沢山取れ、人々の間に音楽が生き生きと存在していた頃の貴重な記録で、1968年にマーク・スロービンによってフィールド・レコーディングされた録音の集成です。沢山の部族ごとの伝統音楽をたっぷり2枚に収めていますが、1枚目がタジク族とウズベク族の音楽、2枚目はハザラ族、パシュトゥーン族、カザフ族、トゥルクメン族の音楽が入っています。この盤が出た2003年はアフガニスタン紛争が始まって2年目でしたから、「このCDの売り上げの内、1$がレーベルから国際赤十字社に寄付されます」、とコメントが付いていました。素晴らしい音源が多いので、解説は最小限にして沢山かけたいと思います。



今回はまず1枚目のタジク族の音楽から行きます。アフガニスタン北部のタジク族と言うと、私はまず写真家の長倉洋海氏のドキュメンタリー番組で見たアフガニスタンの政治家マスードを思い出します。ソ連と戦い、その後の内戦で戦い、9・11の二日前に暗殺され、死後「アフガニスタン国家英雄」の称号を追贈されたマスードは、「アフガニスタンのチェ・ゲバラ」と形容されることもある「「賢者の風格」のある人でした。タジキスタン側の音源でもある意味そうですが、アフガンのタジク音楽を聞くと、当時の緊迫感溢れる状況を思い出します。



1曲目はドンブラとギチャクの二重奏で、Kataghan地方では最もポピュラーな曲とのことです。ペルシア四大詩人の一人、ルーミーの出身地でオマル・ハイヤームとも所縁のあるバルフでの録音です。ドンブラ奏者のBaba Qeranは、中国西部のウイグル側でタジク人の多いタシュクルガンから来たそうです。



<1 Kataghani Tune 2分55秒>





2曲目はドンブラ弾き語りのバダフシャンのファラクで、タジキスタン側と同じく「運命のメタファー(比喩)」というイメージを感じさせる曲調です。



<2 Felak Song From Darwaz Region Of Badakhshan 4分32秒>





3曲目はギチャクとゼルバガリによるファラクで、バーバー・ナイムは当時最も録音の多かったギチャク奏者だそうです。



<3 Felak For Solo Ghichak 3分6秒>





4曲目はバダフシャンの縦笛によるファラクで、演奏者はSafar Mahdiです。こういう独奏でかつフリーリズムのファラクが、最もファラクらしいように思います。お能の能管に似て聞こえる部分もあります。



<4 Felak For Flute 2分45秒>





6曲目はドンブラによるファラクで、この楽器の微細な右手のストロークには、鮮烈な印象を覚えます。



<6 Felak On Dambura 3分10秒>





7曲目は石のカスタネットQairaqを打ち鳴らしながら歌っています。伴奏に鐘のようなものとゼルバガリと思われる太鼓が入っています。



<7 Songs With Qairaq 2分45秒>





10曲目辺りからウズベク族の音楽に変わっていきますが、12曲目は枠太鼓ドイラを打ち鳴らしながら二人の女性歌手によって歌われる結婚の歌です。長いので抜粋でおかけします。



<12 Women's Wedding Song 5分44秒 抜粋>





13曲目からはウズベク族のドンブラや低音豊かなドゥタールの独奏や弾き語りが続きますが、ドゥタールの低音が心地良い17曲目をおかけします。

ドタール奏者Zia Khojaは、ソ連から1930年代初頭に移民してきた頃に13歳だったという名手で、トランスオクシアナのドタール演奏のスタイルを堅持していた人のようです。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<17 Sowt-I Miskin (Classical Uzbek Dutar Piece) 3分32秒>

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2019年5月27日 (月)

アフガン・ルバーブと鳥の囀り

ゼアミdeワールド162回目の放送、日曜夜にありました。29日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。



アフガニスタンの音楽の3回目になります。今回は前回予告しておりました通り、スイスのVDE-Galloから出ていた「ヘーラートのラバーブ」から、鳥の鳴き声が入る後半の曲をおかけしたいと思いますが、その前に前回ラストにかけられなかった3曲目からおかけします。結婚式にヘンナで手を染める習慣を歌ったアフガニスタンで広く知られている結婚の歌とのことです。



<3 Mohammad Rahim Khushnawaz / Heina be karha 2分42秒>



この盤では西部のヘーラート調の曲と、東部の首都であるカブールの器楽の両方を演奏していまして、後半のカブールのレパートリーでは、弟のタブラ伴奏が入ります。彼はカナリアの籠を携えてきたので、鳥の鳴き声が入って来る部分があります。最初知らずに聞いた時は非常にびっくりしたものですが、同時にとても感動的なシーンでもあります。ヘーラートでは鳥の声は音楽の美しさを頂点にまで導くと考えられているそうです。私も西条の風の丘墓地公園での樹木葬朗読会のチェロ伴奏で、鳥の囀りが合いの手のように入った時は、他では得難い感銘を覚えましたが、そのことを思い出します。

鳥の声が入ったトラックは何曲かありますが、まずは13分余りの9曲目からおかけします。ヘーラートの有名な悲恋物語のシャーハムとジャラーイに伴う旋律とのことですが、ラバーブ奏者のモハンマド・ラヒム・ホシュナワーズは、これにイランのポピュラーな歌アーミネと、ヘーラートの伝統的な舞踊のアウシャリを付け加えて演奏しています。タブラ伴奏は、彼の弟のモハンマド・ナイムです。



<9 Mohammad Rahim Khushnawaz / Chaharbeiti Siahmu wa Jalali ~ Amine ~ Aushari 13分22秒>

Chahârbeiti Siâhmu wa Jalâli / Âmine / Aushari





続いて12曲目のNaghma-ye kashal, Rag Bihagという曲ですが、ラヒムの父が1930年代にカブールの音楽家ナビ・ゴル師から教わった曲で、北インド古典音楽でお馴染みのラーガ・ビハグですが、カブールの古典音楽の様式を示しているとのことです。この曲も10分余りありますが、最初の辺りからカナリアが囀っています。

もし時間が余りましたら、11曲目のモゴル・ドクタル(モンゴルの娘)という曲を予定していましたが、時間切れのためカットします。

前回1曲目の旋法のバイラミ・ガンダール(カンダハールあるいはガンダーラ?)を、濁点を見落としてカンダールと読んでいました。お詫びして訂正いたします。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<12 Mohammad Rahim Khushnawaz / Naghma-ye kashal, Rag Bihag 10分6秒>

Naghma-ye kashâl, Râg Bihâg

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2019年5月20日 (月)

ヘーラートのルバーブと

ゼアミdeワールド161回目の放送、日曜夜にありました。22日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Mohammad Rahim Khushnawazはオコラ盤(入手出来てなくて無念)もある有名なルバーブ奏者ですので、youtubeも色々あります。VDEの1曲目はライブ動画がありました。3曲目は入らなかったので、また次回かけたいと思います。プラヤ盤の方は解説が簡素なのもありますが、録音も古いので出てくるかどうか分かりませんが、また演奏者名で検索してみます。



アフガニスタンの音楽の2回目になります。今回もフランスのプラヤサウンドの盤「アフガニスタンの器楽と歌」の残りの2曲からご紹介したいと思います。



6曲目に出てくるのは、弦楽器タンブールの演奏ですが、タブラの伴奏付きです。先週の終わりころにかけたアフガン・ラバーブが北インドのサロッドの親なら、アフガニスタンのタンブールは北インドのシタールの直接の親に当たるようです。ペルシアのセタール系の弦楽器と中央アジアのタンブールがアフガンの地で融合したとされています。棹は先まで手が届かない程長いのに対し胴が小さく、共鳴弦が多いので、演奏が非常に難しく若手後継者がほとんどいないそうで、これは貴重な録音になるようです。北インドの音楽の序奏のアーラープに当たる部分はここでは短く、すぐにタブラが入ってリズミカルな部分に移ります。



<6 Solo de tumbur accompagne de tabla 5分32秒>



7曲目は再びアフガン・ラバーブの演奏で、タブラ伴奏付きです。前回は2曲ともフェイドアウトになってしまいましたので、今回は6分余り全ておかけします。アフガニスタンのラバーブは、横から見ると胴が分厚く、船のような形をしています。この形からあの柔らかく幽玄な音が生まれるのだろうと思います。胴のくびれは、かつて弓でこすって演奏していた名残と言われます。中央アジア各地のラバーブでは、胴のくびれの痕跡は残っていますが、棹がぐんと長くなりフレットも増えて、完全に撥弦楽器の形に変わります。アフガン・ルバーブの演奏する弦は3本ですが、他にドローンを鳴らす2本の弦と15本位の共鳴弦が張られています。



<7 Musique du nord jouee au rabab 6分19秒>



ラバーブの演奏比較と言うことで、この後はスイスのVDE-Galloから出ていた「ヘーラートのラバーブ」からご紹介します。90年代には日本のクラウンから国内盤としても出ておりました。アフガニスタンの音楽は、西はイランとの類似性が多く、東と南はインド~パキスタンの影響が濃厚で、北はタジクのバダフシャンとほとんど同じの場合が多いですが、ヘーラートは西部に位置するので、イラン色が色濃い地域と言うことになります。と言うよりも、この辺りは元はイラン東部のホラサーン地方の東側に入っていて、「ホラサーンは宇宙のかきの殻で、ヘーラートはその真珠である」とまで古い諺に言われた程のホラサーンの中心地でした。アレクサンダー大王が建設したとされるヘーラートは、ティムール朝の時代にはサマルカンドと並ぶ大都市でした。

この盤のラバーブ奏者モハンマド・ラヒム・ホシュナワーズは、ヘーラートに住む代々の音楽家の出身で、1974年の録音当時にはヘーラート最高のラバーブ奏者と言われる存在でした。プラヤ盤のモハンマド・オマルとは、明らかに芸風が違うことがよく分かるかと思います。タブラ伴奏をしているのは、彼の弟のモハンマド・ナイムです。



まずは1曲目のSheikh Ahmad-e Jamですが、ホラサーン地方のスーフィー聖者Sheikh Ahmad-e Jamの墓にまつわる曲で、ヘーラートではよく知られた曲とのことです。このシェイフは、スルタンのお気に入りの象を生き返らせた後、熱狂的な神学者の扇動によって処刑されたそうです。曲の旋法はバイラミ・カンダール(カンダハール?)、韻律はダードラとあります。インド音楽での旋律とリズムの体系のラーガとターラを想起させますが、ターラと言わずに韻律と呼んでいるように、「楽器による歌詞のない詩の朗誦」ということを強く感じさせる美しいラバーブ演奏です。



<1 Mohammad Rahim Khushnawaz / Sheikh Ahmad-e Jam 3分34秒>

RAHIM KHUSHNAWAZ 2 AFGHAN RUBAB





Rahim Khushnawaz - raag Ahir Bhairav



もう少し音が大きくしっかり聞こえる映像です。朝のラーガの一つ、アヒル・バイラヴを演奏しています。



この盤では西部のヘーラート調の曲と、東部の首都であるカブールの器楽の両方を演奏しています。その違いは自由リズムの導入部分と、与えられた特定のリズムの曲との差にありまして、導入部分はシャクルと呼ばれ、これは「顔」を意味します。この即興的に演奏されるシャクルの部分で、音楽家は曲の旋法の主要な特徴を表現しようと努めます。モハンマド・ラヒム・ホシュナワーズはシャクル演奏の名手ですから、彼の演奏はヘーラート様式の典型例と言えます。ヘーラート調の曲は、元はドゥタール演奏と結びついた曲が多いようです。

この録音のカブールのレパートリーでは、弟のタブラ伴奏が入りますが、彼はカナリアの籠を携えてきたので、鳥の鳴き声が入っています。ヘーラートでは鳥の声は音楽の美しさを頂点にまで導くと考えられているそうです。



解説が長くなりました。この後は2曲目のGol-e zardと3曲目のHeina be karhaを時間まで聞きながらお別れです。2曲目はヘーラートの詩人トゥラビによるヘーラート訛りの曲、結婚式にヘンナで手を染める習慣を歌った3曲目はアフガニスタンで広く知られている結婚の歌です。余談ですが、ヘーラートでは主にイラン系のダリー語が話され、ホラサーンのタジク人であることを強調するそうです。

鳥の鳴き声が入る後半の曲は長いので、次回おかけしたいと思います。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<2 Mohammad Rahim Khushnawaz / Gol-e zard 4分28秒>

<3 Mohammad Rahim Khushnawaz / Heina be karha 2分42秒>

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2019年5月13日 (月)

アフガニスタンの器楽と歌

ゼアミdeワールド160回目の放送、日曜夜にありました。15日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。プラヤサウンド、エアメイル共に活動停止していて、現在は入手困難です。youtubeはエアメイルの音源でありました。



Air Mail Music - Afghanistan





今回からアフガニスタンの音楽を聞いて行きたいと思います。アフガニスタンと聞くと政情不安のイメージが強く、西アジア、中央アジア、インドの3つの文化を中心に、古代の仏教が盛んな頃のギリシア系までもが重層的に重なるこの国の文化や音楽は、一般には余り知られてないように思います。主要言語のダリー語、パシュトー語、タジク語は、いずれもイラン系の言語という点も、ほとんど知られていないことかも知れません。少数民族として、モンゴル系のハザラ人がいて、おそらくモンゴル帝国時代の末裔と思われます。



アフガニスタン伝統音楽の音源と言えば、LP時代にコロムビアの5枚組がありまして、私は所有出来ていませんが、これは70年代の貴重録音で決定盤的な内容でした。1980年前後のソ連侵攻以後の政情不安から、ほとんど伝統音楽も聞こえてくることがなかったように思いますが、昔の録音を中心に、在外のアフガン人の最近の音源も徐々に増えてきて、22枚くらいはリリースを確認しています。今日おかけするフランスのプラヤサウンドの盤「アフガニスタンの器楽と歌」も70年代の録音で、この録音が再発されたエアメイルの盤について2002年に音楽之友社から出た「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いた拙稿を読み上げてみます。



イランのトンバクやカシミールのトンバクナーリのように低音の豊かな片面太鼓ゼル・バルハリ(あるいはゼルバガリ)の独奏に始まり、北インドのサロッドの祖として名高いアフガン・ラバーブの演奏(タブラ伴奏)、サーリンダやギチャクのような夕焼け空のような音色の擦弦楽器リチャクの弾き語り(ゼル・バルハリ伴奏)等。今や貴重なアフガンの古典的名演が堪能できる貴重な盤の一つ。元のプラヤサウンドのLPは1980年リリースなので、ソ連のアフガン侵攻以前の平和な頃の録音と思われる。ラバーブ奏者はモハンマド・オマル、リチャクと歌はモハンマド・ナイム他。土産物的な装丁だが、エアメイルシリーズには、たまにこういう貴重音源があるので、要注意!



私の手元にあるのは、元のPLAYASOUND盤の方です。まずは片面太鼓ゼル・バルハリの独奏ですが、北インドの16ビートのターラである、ティーンタールに則った演奏です。音色はイラン、リズムパターンでは北インドを向いているということになります。



<1 Solo de zer-barhali-rythme tintal 4分5秒>



2曲目は擦弦楽器リチャクの弾き語りに、ゼル・バルハリの伴奏がつきます。リチャクの代わりにドゥタールの弾き語りもYouTubeでよく見かけますが、これらは典型的なアフガンの語り物のスタイルです。



<2 Chant accompagne par un ritchak et un zer-barhali 7分16秒>



3曲目のToolahという横笛は、音域から推測するに北インドのバンスリよりも短いと思われますが、爽やかな音色が印象的です。伴奏の太鼓は、北インドのタブラに代わりますが、リズムパターンは同じと言っていいようです。



<3 Solo de toolah accompagne de tabla 4分53秒>



4曲目でアフガニスタンの国民的な楽器ラバーブが登場します。北インドのサロッドの親に当たる弦楽器で、とても玄妙な音色を持った楽器です。



<4 Musique du nord jouee au rabab 5分44秒>



素晴らしい盤ですので、7曲全てかけたいと思いますが、今回は5曲目のラバーブ演奏を時間まで聞きながらお別れです。タブラと持続音のタンプーラの伴奏の、北インドのラーガ音楽のスタイルによるアフガニスタン古典音楽の演奏です。サロッドとタブラのラーガ演奏と比較すると面白いと思います。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<5 Musique classique afghane de la tradition de l'inde du nord 9分4秒>

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2019年5月 6日 (月)

サトの名人

ゼアミdeワールド159回目の放送、日曜夜にありました。8日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。



令和に入っての初回は、タジキスタンの音楽の7回目になります。特にバダフシャン関係で他にも何枚かありましたが、いずれも品切れしてしまっておりますので、タジクのシリーズは一応今回でラストにします。何回か前にないないと言っていたタジクのシャシュマカーム関係の音源が、割と最近の2012録音のオコラ盤にありました。アブドゥヴァリ・アブドゥラシドフの「タジキスタンの古典的な音楽と歌」という盤で、弓で弾くウズベキスタンの弦楽器、サト(弓奏タンブール)の名手です。ウズベク族の出身ということですから、やはりタジクにおいてシャシュマカームを担っているのは、ウズベク人ということになるのだろうと思います。この人は93年のオコラの名盤「中央アジア 古典音楽の伝統」の2枚組にも出てきた人で、それから録音時期が20年ほど経っています。サトを弾いているのはアブドゥヴァリ・アブドゥラシドフですが、歌っているのはOzoda Ashurovaという女性歌手です。Sirojiddin JurayevのドタールによるQosh tar [Deux cordes]も出てきますので、後程おかけします。打楽器のdoyraは、Bekhruz Naimという人です。



まずは、一曲目のBiraqsam [Et si je dansais そして私が踊ったら]からです。サトの音色を聞くと、どうしても往年のトゥルグン・アリマトフを思い出してしまいますが、アブドゥヴァリ・アブドゥラシドフは最良の後継者の一人なのではと思います。



<1 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Biraqsam 3分27秒>

Biraqsam (Et si je dansais)





2曲目のDugah khusainiでは、サトの他に女性歌手、ドタール、ドイラも入って、ぐっとシャシュマカーム色が濃厚に出てきます。



<2 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Dugah khusaini 5分26秒>

Dugâh khusaini





少し飛んで5曲目がQosh tar [Deux cordes 二本の弦]というドタールの技巧的な独奏曲です。演奏しているSirojiddin Jurayevが50年前の音源からコピーし採譜した版による演奏で、イランMahour Instituteの「トランスオクシアナのドタール」で妙技を聞かせたゴザル・ムミノヴァも彼の版で弾いていました。



<5 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Qosh tar 3分55秒>

Qosh Tar (Abduvali Abdurashidov Ensemble)





ウズベクの時に何度か取り上げましたUshoqi samarqandも14曲目に入っておりまして、前は確かラバーブが中心で、サトによる独奏は初めてだったように思います。シルクロードの古都サマルカンドを髣髴とさせる曲です。



<14 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Ushoqi samarqand 6分34秒>

Ushoqi samarqand





では最後に、この盤のラストを飾っているYor gulsumane [Ma gulsuman bien-aimee 私の最愛のグルスマン]という曲を聴きながら、今回はお別れです。枠太鼓ドイラだけの伴奏で、おそらく演奏者全員が歌っている軽快な曲です。アンコールピースなのかなと思います。

もし時間が余りましたら、3曲目に戻ってNavruzi ajam [Le nouvel an persan]を時間までおかけします。オコラの「中央アジア 古典音楽の伝統」の2枚組では、ノウルーズ・サバーを弾いていましたが、旋法違いということかと思います。イラン歴の新年ノウルーズに因んだと思われる、サトとドタールのいかにも中央アジアらしい二重奏です。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<16 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Ma gulsuman bien-aimee 2分33秒>

<3 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Navruzi ajam 5分18秒>

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2019年4月30日 (火)

イスマイル派の詩と歌

ゼアミdeワールド158回目の放送、日曜夜にありました。1日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日のタイトルは、Panの「イスマイル派の詩と歌」を持ってきました。カイラス盤のマドーという曲も、おそらくその範疇になるのではと思いますので。動画は同じ音源ではなさそうですので、他の演奏です。Zaragul Iskandarovaの曲は、ありました!



タジキスタンの音楽に戻りまして、その6回目になります。まずは今回もロシアのKailasというレーベルから2003年に出た「パミールの伝統音楽」の2枚組からご紹介したいと思います。

2枚目のラストを飾っている41分を越えるMado "Gushwarname" (Nasir-i Khosrow)は、余りにヘビーなので、かけるのを躊躇う程ですが、2回目のバダフシャン・アンサンブルの盤でも15分を越える演奏時間を取っていた曲でした。しかし実は15分と言うのは簡略版で、フルに演奏すると40分を越えるようです。ハーフェズやルーミーのようなペルシアの大詩人や、イスマイル派の思想家としても知られるナースィル・ホスローなどの詩による一種の賛歌で、ルバーブを中心とする伴奏でバダフシャンらしい吟唱を聞かせる音楽になっています。41分を越える演奏から、10分弱おかけします。



<2-5 Mado "Gushwarname" (Nasir-i Khosrow) 41分7秒 抜粋>

Maddo - Tajik





次にオランダのPanから90年代に出ていた「バダフシャン~パミール高原のイスマイル派の詩と歌」から、ラストを飾っているDargilik / Lala'ikという曲をおかけします。この盤は一枚丸ごと大変に素晴らしいのですが、残念ながら品切れのため、アップルミュージックからの音出しで、曲の詳細も不明です。先ほどのMadoという曲は、この盤ではMadaという曲名で17分ほど入っております。この曲を演奏しているアンサンブルのリーダーのザラグル・イスカンダロヴァは、ジャケットのダフを構えた老婦人ではないかと思いますが、段々とテンポが上がって行く法悦の音楽は、耳について離れないものがあります。



<13 Ensemble of Zaragul Iskandarova / Dargilik / Lala'ik 8分48秒>

Dargilik / Lala'ik





ロシアKailasの「パミールの伝統音楽」の2枚組には、Badakhshan Ensembleも演奏していたメロディの印象的なAy Pariもありまして、段々テンポの上がる素晴らしい演奏ですが、長いので154回目では飛ばしていました。今回この曲を時間まで聞きながらお別れです。曲名は、E Pari Shukhi Satamgar / Khumoran Asiri / Chand Kunam Tarif Choshmonatiとなっていますので、3曲メドレーのようです。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<1-3 E Pari Shukhi Satamgar / Khumoran Asiri / Chand Kunam Tarif Choshmonati 11分15秒>

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2019年4月22日 (月)

パリサーのマーフール

ゼアミdeワールド157回目の放送、日曜夕方に終りました。24日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。日本のライブ録音と同じマーフールの曲はなさそうですので、他の曲でしかもタスニーフのみですが、パリサーのマーフールの歌唱を上げておきます。サントゥールのメシュカティアンとの2本目は、かなり前から見かける動画で、旋法はマーフールではないと思いますが(バヤーテ・トルク辺り?)、若い頃のパリサーの貴重な生映像の一つでしょう。



前回はパーソナリティ名にしているペルシアのホマーユン旋法の代表的な演奏として女性歌手パリサーの名唱と、往年の名歌手マフムード・キャリーミーの独唱、アリザーデとダリウーシュ・タライーのセタール独奏によるラディーフの該当箇所を聞き比べました。



今回は、春らしく明朗で美しいマーフール旋法の聞き比べです。まずはファーテメ・パリサーの「ペルシャ絶唱~イスラム神秘主義の歌声」の1978年東京でのライブ録音ですが、この盤はパリサーのマーフールに始まり、名男性歌手ラザヴィ・サルヴェスターニのセガーとマーフールが続き、前回おかけしたパリサーのホマーユンで終わります。ペルシア古典声楽の素晴らしさを知らしめた伝説のライブ録音です。伴奏は、タールがジャラール・ゾルフォヌーン、ネイがモハンマド・ムーサヴィー・シューシタリー、トンバクがモルタザー・ハージェアリー・アーヤンです。



<1 ペルシア絶唱~イスラム神秘主義の歌声 マーフール旋法 10分41秒>

Parissa : Tasnif "Tabeh Banafseh"_Dastgah eh Mahour





parisa & meshkatian





この曲は、導入のダルアーマドに始まり、グーシェはゴシャーイェシュとデルキャシュが続き、リズムがある明るく晴れやかなタスニーフ(歌曲の一種)で終わります。詩はハーフェズが中心で、タスニーフの部分はサファヴィー朝の詩人シェイーヒ・バハーイーです。ハーフェズは、彼の影響を受けてドイツの詩人ゲーテが西東詩集を書いたことでも知られるペルシアの大詩人です。マーフールについては、ビクター盤にグーシェ名の記載がありますので、その部分を中心に聞き比べたいと思います。



まずはパリサーの師匠のマフムード・キャリーミーのラディーフ5枚組の独唱ですが、ダルアーマドの後にセタール版にはないゴシャーイェシュが入っております。その後4つグーシェが続きますが、飛ばして7曲目のデルキャシュをおかけします。デルキャシュというライトクラシカルの女性歌手もいましたが、本来の意味は「魅惑的な」になります。明るいマーフール旋法の中では、少し曇った感じの転調の妙が聞ける重要なグーシェです。



<1 Mahmud Karimi / Vocal Radif of Persian Classical Music Vol.4 Homayun / Daramad 2分46秒>

<2 Mahmud Karimi / Vocal Radif of Persian Classical Music Vol.4 Homayun / Goshayesh 1分24秒>

<7 Mahmud Karimi / Vocal Radif of Persian Classical Music Vol.4 Homayun / Delkash 3分30秒>



続いて、ホセイン・アリザーデのセタールによるラディーフ5枚組からマーフールのダルアーマドとデルキャシュの部分をおかけします。この盤では1曲目と8曲目になります。



<1 Hossein Alizadeh / Radif Vol.4 Mahur / Daramad 41秒>

<8 Hossein Alizadeh / Radif Vol.4 Mahur / Delkash 3分33秒>



セタール独奏の比較で、ダリウーシュ・タライーのラディーフ5枚組から、同じくマーフール旋法のダルアーマドとデルキャシュを時間までおかけします。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<2 Dariush Talai / Radif Vol.4 Mahur / Daramad 58秒>

<9 Dariush Talai / Radif Vol.4 Mahur / Delkash 1分45秒>

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