ゼアミdeワールド

2021年12月 6日 (月)

アルーマニアのポリフォニー

ゼアミdeワールド288回目の放送、日曜夜10時にありました。8日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。シャン・デュ・モンドのクリーム色のジャケットのシリーズは名盤が多かったのですが、いずれも廃盤でYouTubeにもほとんど上がってないようです。おそらく唯一で、バグパイプ弾き語りだけありました。

ルーマニアの2回目は、仏Chant du mondeから出ていた「アルーマニアのポリフォニー」(Vocal Polyphony of the Arumanians)と言う盤です。ルーマニアの前に「ア」が付きます。90年代の内には廃盤になっていて現在は入手不可の盤です。この盤はルーマニア南東部ドブロジャ地方での録音ですが、アルーマニア人はギリシア、アルバニア、マケドニア、ブルガリアなど、バルカン半島南部各地に点々と居住しています。ローマ帝国の公用語だったラテン語由来のルーマニア語では周囲のスラヴ語からの借用語も多いのに対して、アルーマニア語は南に寄っていたためギリシア語起源の語彙が多いそうです。ローマ帝国内で話されていた口語ラテン語から分化したヴラフの言葉とルーマニア語は方言程度の差だと思いますが、アルーマニア語とルーマニア語の相互理解は、なかなか難しいようです。

ヴラフ人の定義ですが、広義に取ればルーマニア人やアルーマニア人も入れるようです。現代のルーマニア人を古代のダキアのルーマニア人と言う意味でダコ=ルーマニア人と呼び、その他にアルーマニア人、モルラク人(Morlachs)、メグレノ=ルーマニア人(Megleno-Romanians)、クロアチア西部イストリア半島のイストロ=ルーマニア人(Istro-Romanians)などが含まれ、ヴラフ人とは自民族の国としてルーマニアを持つルーマニア人を除いた人々を指すことが多い、とされています。

まずはアルーマニアのポリフォニーを3曲続けておかけしますが、最初の2曲がアルバニア系、最後の曲がギリシア系のようで、よく聞くと歌唱が違っています。アルバニア系では独特なポルタメントが目立ち、ギリシア系は旋律と持続低音ドローンの組み合わせがギリシア正教の歌唱に近いように思います。

<1 Song. Female Duo And Mixed Drone 2分29秒>
<2 Song. Male Duo And Drone 4分4秒>
<3 Song. Alternate Male Trio And Drone 5分14秒>

この仏Chant du mondeの「アルーマニアのポリフォニー」に入っているのは、二つの大戦の際の住民交換でアルバニアとギリシアからルーマニア東部に移住してきた人々による演奏ですので、ポリフォニーはアルバニアやギリシアの歌唱に似ています。「地中海のポリフォニー」のシリーズ名通り、コルシカやサルディニアと近い部分もあると思います。
楽器で入っているのは唯一バグパイプで、これはブルガリア風にも聞こえます。因みにポリフォニーが盛んなこの地域のアルーマニア人の間ではロマの音楽家も出る幕がないそうです。

バグパイプ演奏を2曲おかけしますが、最初の曲は弾き語りで歌っていて、2曲目はドイナ・スタイルのフリーリズムから始まる独奏です。

<6 Bagpipe Solo 3分18秒>
Hristu Budina - Bagpipe Solo With Sung Parts ( Vocal Polyphony Of The Arumanians )

<7 Bagpipe Solo 6分15秒>

では最後に3曲入っている結婚式の歌から、「花嫁の出発」の部分を聞きながら今回はお別れです。日本の木遣り歌のようなアンティフォーナルな合唱は、アルーマニアならではです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Wedding Song, for the departure of the bride 5分9秒>

| | コメント (0)

2021年11月29日 (月)

セルビアの9回目とルーマニアの1回目

ゼアミdeワールド287回目の放送、日曜夜10時にありました。12月1日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は2曲目まで動画を入れました。

今回はセルビアの9回目とルーマニアの1回目にしたいと思います。ヴラフ関連という事でアルーマニアの音源の話もしていましたが、この盤はルーマニア南東部ドブロジャ地方での録音ですので、次回取り上げる予定です。

セルビアの音楽のラスト9回目とルーマニアの1回目にしようと思ったのは、前回かけたSveti Savaの演奏は、曲によってタラフ・ドゥ・ハイドゥークスなどルーマニア南部ワラキア地方のジプシー音楽に似ていると思ったからです。と言う訳で、3月から続いていた旧ユーゴ諸国の音楽巡りは、今回で最後になります。

セルビアとルーマニアの伝統音楽で明確に違うのは、セルビアでは変拍子と合唱がある点だと思います。ルーマニアでは変拍子はない代わりに、東欧一と言われるほどの高速で演奏されることも多いです。タラフのライヴで「ひばり」を聞いた方は納得されると思います。タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのようなワラキアのジプシー音楽は地理的な近さからか、似ている部分が色々見つかるように思います。

バルカン・ブラスの影に隠れて日本では知られてないように思いますが、ブラス以外のセルビアの民族音楽グループの演奏力も相当なものだと思います。まずはスヴェティ・サヴァの演奏から、Vesele Sopske Igreという曲をおかけします。

<Sveti Sava / Vesele Sopske Igre 4分45秒>

次にタラフ・ドゥ・ハイドゥークスの「魔法の馬の帰還」と言う曲をおかけしますが、私がタラフを聞いていて特にワクワクする曲の一つです。

<Taraf De Haidouks / Band of Gypsies  ~The Return Of Magic Horse 5分2秒>

もう一枚のARC盤のFolk Dance Ensemble Vilaの演奏にはVisocko koloと言う曲がありまして、これもルーマニアの音楽に似た一面が聞こえました。

<Folk Dance Ensemble Vila / Visocko kolo 2分43秒>

縦笛フルーラと思われる笛の諧謔味を帯びた演奏でしたが、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの演奏ならゲオルゲ・ファルカルが縦笛を吹いているBrîu(ブルウ)と言う曲がそっくりで、この曲はゲオルゲ・ザンフィルのパンパイプ演奏では「オルテニアの踊り」と紹介されていました。

<Taraf de Haïdouks / Honourable Brigands, Magic Horses & The Evil Eye ~Brîu 2分4秒>

セルビア東部のヴラフ人の葬儀の音源に、Padura, Sora Paduraと言うバラードがありまして、2回前にかけましたが、この曲は「森、姉妹の森」のような意味でした。埋葬後に故人の家で歌われるということでしたが、そっくりなタイトルの曲がタラフ・ドゥ・ハイドゥークスにもありまして、こちらはラヴソングと言う解説になっています。曲名はPadure Verde, Padureで、やはり「緑の森、森」のような意味です。タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの2000年頃の来日の際は、長老の一人だったカクリカがツィンバロム弾き語りでエモーショナルな歌声を聞かせています。彼は88年にオコラから出ていた「ワラキアのジプシー音楽」でニコラエ・ネアクシュやイオン・マノレと一緒に名を連ねています。3人とも故人になってしまいました。長いので、途中までおかけします。

<Taraf de Haïdouks / Dumbala Dumba ~Padure Verde, Padure 7分1秒>

では最後にセルビアの民族音楽グループ、スヴェティ・サヴァの演奏でSplet Igara Iz Centralne I Zapadne Srbijeという曲を時間まで聞きながらお別れです。セルビアの中部と西部の音楽のようですが、この曲もルーマニア音楽に似て聞こえる部分があるように思いました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Sveti Sava / Splet Igara Iz Centralne I Zapadne Srbije 6分27秒>

| | コメント (0)

2021年11月22日 (月)

「楽園の蝋燭」の前半

ゼアミdeワールド286回目の放送、日曜夜10時にありました。24日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。動画は一週間前に上げた「楽園の蝋燭」丸々の一本ですから、後半は先週の「死」の部分です。個別の曲の捜索とARC盤は、また後日。

セルビアの音楽の8回目です。前回は「楽園の蝋燭」と言う盤の「生と死」の「死」の方をご紹介しましたが、今回は「生」の方です。この盤は東セルビアのラテン系少数民族、ヴラフ人の音楽を記録した盤で、ユーゴ崩壊前の70~78年の貴重な現地録音です。アルバムタイトルの「楽園の蝋燭」とは、夜明け前に灯される数十の蝋燭のことで、原題はSerbie Orientale Les Bougies Du Paradisです。
「生」の部分は、ダンス、牧畜生活、結婚式の音楽の3つのパートに分かれています。バルカン文化の肝の一つである「吸血鬼を追い払う曲」を含む「死」の部分のインパクトが余りにも凄すぎて陰に隠れがちなように思いますが、今回の「生」の部分からこの盤は始まります。

Various ‎– Yougoslavie 1 (Serbie Orientale) - Les Bougies Du Paradis

ヴラフ人に伝わるダンス音楽は非常に豊富で、編成もフィドル、フルーラ、バグパイプ、ブラスバンドなどのいずれかがフィーチャーされた演奏が多いようです。まずは前回オープニングに少しだけ流したフィドルのUngureancaからおかけします。独特なしゃがれたような音色には、トランシルヴァニアのフィドルに近い印象を持ちます。

<1 Ungureanca 2分35秒>

続いて縦笛フルーラによるコロが入っています。「吸血鬼を追い払う曲」もこの笛による演奏でした。葬儀の音楽でも出てきた太鼓がバックに聞こえます。

<2 Razvedeno Kolo 1分24秒>

バグパイプの演奏はHora da patruと言うホラですが、ブルガリア辺りで聞いた始まりの特徴的な音の並びが、ヴラフの演奏でも聞こえます。

<3 Hora da patru 1分36秒>

ブラスバンドの演奏もダンス音楽として入っています。前回の埋葬の音楽は意外にも明るい調子でしたが、今回はダンス曲と言うことで更に弾むように演奏されています。

<4 Miletovo Kolo 2分58秒>

牧畜生活の部では、フルーラの独奏とバグパイプが入っていますが、フリーリズムで装飾豊かに演奏されるフルーラ独奏の方をおかけします。「吸血鬼を追い払う曲」と並べてじっくり装飾技巧を聞き比べてみたい演奏です。

<7 Dor, Doritule 1分56秒>

結婚式の音楽の部は、ブラスバンドが2曲、フルーラと太鼓が1曲の計3曲入っていますが、最初のCintec Alu Nasu Lunitaをおかけしておきます。演奏されるのは式の最初の方でしょうか、厳かな中でトランペットがバルカン的な旋律美を聞かせます。

<9 Cintec Alu Nasu Lunita 3分36秒>

セルビアの音源は、他に英ARCから2枚、スイスのVDE-Galloから1枚、Auvidis Ethnicから1枚などがありますが、いずれも手元に残ってないので、ストリーミングから次回1、2曲おかけすると、前回予告していましたので、英ARCの「セルビアの伝統音楽  Sveti Sava」から2曲おかけします。1978年に結成されたセルビア民謡グループ、スヴェティ・サヴァによるセルビア各地の伝統音楽演奏ですが、曲名を見て気になったのがSvatovacとVlaske Igreです。
スヴァトヴァツと言えば東部クロアチアのスラヴォニア地方の古いタイプの婚礼の合唱曲Svatovacを思い出しました。スラヴォニアとセルビア北西部はすぐ近くで関係有かとも思いますが、セルビアのこの演奏では器楽で、解説が参照できないので婚礼の音楽かどうかは不明です。
Vlaske Igreは、283回目の放送で「ブランコ・クルスマノヴィッチ・グループ/セルビア&モンテネグロの音楽」からかけた曲で、「ヴラフ人の演奏」のような意味でした。ルーマニア寄りの音楽である点で、この2つの演奏は似ていると思います。2曲続けておかけします。

<3 Sveti Sava / Serbia: Traditional Music ~Svatovac 3分57秒>
<11 Sveti Sava / Serbia: Traditional Music ~Vlaske Igre 3分24秒>

では最後にオコラの「楽園の蝋燭」に戻りまして、ダンスの部分のSochitを時間まで聞きながら今回はお別れです。1曲目のUngureancaと同じく、ルーマニア西北部トランシルヴァニアのハンガリー系フィドルにそっくりです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<6 Sochit 1分23秒>

| | コメント (0)

2021年11月15日 (月)

吸血鬼を追い払う曲 他(ヴラフの葬送音楽)

ゼアミdeワールド285回目の放送、日曜夜10時にありました。17日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。曲ごとのYouTubeはないようですので、今日の動画には「死」だけでなく来週の予定の「生」の部分から全て入っています。

セルビアの音楽の7回目です。セルビアの音源は、他に英ARCから2枚、スイスのVDE-Galloから1枚、Auvidis Ethnicから1枚などがありますが、いずれも手元に残ってないので、これからおかけするオコラのヴラフ人(あるいはワラキア人)の「楽園の蝋燭」と言う盤との関連で、ストリーミングから次回1、2曲おかけしようかと思います。
放送とゼアミブログの両方で何度か予告のように言って来ましたが、このオコラのヴラフ人の音源は人生の「生と死」の両面から東セルビアのラテン系少数民族、ヴラフ人の音楽を捉えた盤で、終わりの方に「吸血鬼を追い払う曲」と言う極めて珍しい音源が入っています。スラヴ系のセルビア人の音楽ではありませんが、個人的にはセルビアの音源で真っ先に思い浮かべる盤です。今回はその後半の「死」の方からご紹介します。ユーゴ崩壊前の1970~78年の貴重な現地録音で、キリスト教以前からの民間信仰の息づく記録です。アルバムタイトルの「楽園の蝋燭」とは、夜明け前に灯される数十の蝋燭のことです。

Various ‎– Yougoslavie 1 (Serbie Orientale) - Les Bougies Du Paradis

まずはこの盤の12曲目の「ワラキアの女性の嘆き」からどうぞ。

<12 Serbie Orientale Les Bougies Du Paradis ~Complainte D'une Femme Valaque 2分4秒>

次のゾリレと言う曲は「朝の歌」の一種で、太陽が昇る時にバグパイプで演奏されます。曲が10回か30回繰り返されている間、死者のそばの3人の女性は東に向かわなければならないという決まりがあるそうです。 はっきりと聞こえる倍音で演奏を装飾する技法は、ヨーロッパでは珍しいとのことです。

<13 Serbie Orientale Les Bougies Du Paradis ~Zorile 2分46秒>

棺の台が墓地に運ばれている間、「路上」を意味するナ・ドラムル(セルビア語:Putnjacki)が演奏されます。

<14 Serbie Orientale Les Bougies Du Paradis ~Na Drumul 2分20秒>

最も重要な儀式は、1週間、1か月、7か月、1年、そしてその人の死後7年ごとに行われるポマナです。ポマナは施し、慈善を意味し、会葬者が提供されるものを食べたり飲んだりする葬儀の食事でもあります。これは日本の七回忌の精進落としにそっくりです。後半のリズミカルになる部分「鏡を付けた歓びのラウンド」は、お盆ではないですが死者が参加するダンスに当たるようです。

<15 Serbie Orientale Les Bougies Du Paradis ~Une Pomana A Jabukovac 6分56秒>

次の埋葬の旋律はロマのブラスが演奏していて、棺桶が墓に降ろされている間、このメロディーが演奏されます。バルカン・ブラスの響きが故人の最後を華やかに彩っているように思います。

<16 Serbie Orientale Les Bougies Du Paradis ~Melodie Funeraire 2分1秒>

「吸血鬼(ヴァンパイア)を追い払う曲」は、歌か笛で演奏されるそうですが、この盤に入っている笛の独奏を次におかけします。先入観なしで聞けば、縦笛フルーラの飄々とした曲に聞こえるだけだと思います。
死んだ人が戻って村人を苦しめたり、作物を燃やしたり、牛を不妊にしたりすることのないようにと言うことですが、先のとがったものを埋葬前の遺体の心臓に刺し込むのかと思うと、ぞっとします。この残酷な方法を家族が反対する場合に、とげで覆われた硬い木の長い棒が墓の棺に刺し込まれる際に「吸血鬼を追い払う曲」が演奏されるそうです。
吸血鬼は映画のドラキュラ伯爵とはほとんど共通点はなく、肉も骨も持たない幽霊であり、自由にハエや黒い犬などに変身することが出来ると民間伝承では考えられています。

<18 Serbie Orientale Les Bougies Du Paradis ~Melodie Pour Chasser Les Vampires 1分12秒>

最後に入っている最愛の故人との奇妙な会話を含むセルビア女性の嘆きは、憑依を伴っているようにも聞こえ、最初のワラキア女性のルーマニア風な嘆き歌と明らかに違っています。

<19 Serbie Orientale Les Bougies Du Paradis ~Complaintes De Femmes Derbes 3分38秒>

では最後に、長いので飛ばしていた17曲目のBallad; Padura, Sora Paduraを時間まで聞きながら今回はお別れです。パドゥラ、ソラパドゥラとは「森、姉妹の森」の意味で、先ほどのゾリーレのように、太陽、月、森に関するバラードと言うことです。通常、埋葬後に故人の家で歌われるそうですから、故人を偲ぶ歌の一種と見ていいでしょうか。この録音にはないようですが、遺族による精霊流しもあるそうです。
次回は同じ「楽園の蝋燭」から、前半の「生」の部分に当たるダンスと結婚式の方を取り上げる予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<17 Serbie Orientale Les Bougies Du Paradis ~Ballad; Padura, Sora Padura 6分35秒>

| | コメント (0)

2021年11月 8日 (月)

セルビアのヒストリカル録音

ゼアミdeワールド284回目の放送、日曜夜10時にありました。10日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。YouTubeはFolk Music of Yugoslaviaの方は6曲全て入れました。

セルビアの音楽の6回目です。今回は前に旧ユーゴの他の国の音源をご紹介したフォークウェイズのアナログ時代の音源からおかけします。この数少ない70年代以前の貴重な記録はアメリカのフォークウェイズからアナログ盤で出ていて、クロアチアのクルク島とユーゴスラヴィアの2枚の計3枚でした。Smithsonian FolkwaysのサイトでDLかCDRで購入可能ですが、今ではストリーミングでも聞け、ライナーノーツもSmithsonian FolkwaysのサイトでDLできます。セルビアの音源は、1952年のFolk Music of Yugoslaviaの方に多く入っていまして、今ではおそらく聞けないのではと思われる土俗的なリチュアル・ソングから始まる6曲を続けておかけします。
宗教的な歌Ritual Songは、思わず吸血鬼伝説を想起してしまうような雰囲気がありますが、これはキリスト教の信仰を守るために殉教した聖ゲオルギオスを記憶する4月23日土曜日の祝日「ゲオルギオスの日」に当たるセルビアのジュルジェヴダン関連の歌のようです。ジュルジェヴダンは、ロマ語ではエデルレジ (Ederlezi) と呼ばれ、これが映画「ジプシーのとき」のエデルレジの由来です。
その後は縦笛フルーラによる舞曲、バグパイプ伴奏の男性歌手の愛の歌が続いた後、舞曲のコロが3曲続きます。バグパイプ演奏が2曲とズルレあるいはクラリネットとタパンに似たゴツによる演奏が1曲です。終わりのコロだけ、タパンに似た大太鼓を使っている通りで、オスマン・トルコのカラーが感じられます。

<2 Folk Music of Yugoslavia ~Serbia: Ritual Song 1分58秒>

<3 Folk Music of Yugoslavia ~Serbia: Dance Tunes 1分14秒>

<4 Folk Music of Yugoslavia ~Serbia: Love Song 1分56秒>

<5 Folk Music of Yugoslavia ~Serbia: Kolo Dance 38秒>

<6 Folk Music of Yugoslavia ~Serbia: Kolo Dance 1分25秒>

<7 Folk Music of Yugoslavia ~Serbia: Kolo Dance 1分25秒>

フォークウェイズのもう一枚のSongs and Dances of Yugoslaviaからは、9月にセルビアの音源を5曲かけていましたので、かけてなかった東部セルビアのKoloをおかけしておきます。ヴァイオリンとクラリネット中心の演奏です。

<13 Songs and Dances of Yugoslavia ~Kolo 31秒>

後半は9月頃にゼアミブログでSongs and Dances of Yugoslaviaに入っているAnica ovce cuvalaを歌っていた女性歌手として取り上げたVasilija Radojcicの歌唱を聞いておきたいと思います。セルビアの民謡を元にした歌を聞かせる歌手で、何枚かデータで持っていますが、その中に「コソヴォの歌」と言うタイトルの盤(あるいはプレイリスト?)があります。
セルビアの歌手が何故コソヴォの歌を、と思いますが、これはコソボの地で12世紀に初のセルビア人の統一王国が誕生したことと、14世紀のコソボの戦いでの敗北によってセルビアは最終的にオスマン帝国に飲み込まれるに至ったことから、セルビア人からコソボは重要な土地とみなされていることにあるようです。「セルビア建国の地」として特別視されている場所であるために、90年代末のアルバニア系住民とのコソヴォ紛争も激化することになってしまいました。1936年生まれで2011年に亡くなっている歌手で、この録音はチトー時代のものだと思いますから、当時はリリースできたのでしょう。
この盤で特に印象的な、美しく物悲しい最後のKad Ti Umrem Stara Mila Majkoと言う曲をおかけします。

<5 Vasilija Radojcic / Kosovske Pesme - EP ~Kad Ti Umrem Stara Mila Majko 5分33秒>

Najlepse Pesme(最も美しい歌)と言う盤?から、Na Uskrs Sam Se Rodilaは「私はイースターに生まれた」と言う曲と、続く2、3曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Vasilija Radojcic / Najlepse Pesme ~Na Uskrs Sam Se Rodila 3分26秒>
<Vasilija Radojcic / Najlepse Pesme ~Dimitrijo, Sine Mitre 3分47秒>
<Vasilija Radojcic / Najlepse Pesme ~Ajde Jano Kolo Da Igramo 2分3秒>

| | コメント (0)

2021年11月 1日 (月)

ボバン・マルコヴィチとライコー・フェリックスの共演 他

ゼアミdeワールド283回目の放送、日曜夜10時にありました。3日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はボバン・マルコヴィチ・オーケスターとライコー・フェリックスの共演のみにしておきます。放送でかけたCrni Vozと、46分の共演映像も。生映像を一本目に入れておきます。

セルビアの音楽の5回目です。まずは前回予告していたボバン・マルコヴィチ・オーケスターのSrce Cigansko(ジプシーの心)から、セルビア北部ヴォイヴォディナ出身のハンガリー系超絶ヴァイオリニスト、ライコー・フェリックスと共演したCrni Voz (feat. Lajkó Félix)からおかけします。ライコー・フェリックスはハンガリー盤が多いので、てっきりハンガリー在住だと思っていて、今回初めてヴォイヴォディナのハンガリー系の人と知りました。ユーゴ側のハンガリー系音楽家と言えば、チェリストのイムレ・カールマンもそうで、弦楽器名人が目立つように思います。ブラスの強烈な音に負けないヴァイオリンを聞かせるのは、彼くらいかも知れません。タイトルのCrni Vozの意味は、「黒い電車」だと思います。2+2+2+3の9拍子ですから、チョチェクの一種ではと思います。

Boban Marković Orkestar feat. Lajkó Félix

<Boban Marković Orkestar / Srce Cigansko (feat. Lajkó Félix) ~Crni Voz 8分51秒>

ここ数回セルビアのロマ音楽を中心に聞いてきましたが、一般のセルビアの民族音楽の音源からも探してみました。旧ユーゴに入って何度か出てきたフランスのプラヤサウンドの「Chants & Danses De Yougoslavie (Yugoslavian Songs & Dances)」から、アンサンブル・ラキアの演奏で2曲続けます。ユーゴスラヴィアが一つの国だった頃の音源で、Ljiljanino KoloとSestorkaの2曲です。アコーディオンと裏打ちリズムを刻むギターによるコロは典型的なユーゴの旋律を奏でていますが、ユダヤの速いホラにもそっくりです。Sestorkaもテンポは速いですが、ヴァイオリンと笛のメロディはバルカンど真ん中のイメージです。

<Ensemble "Rakija" / Ljiljanino Kolo (Servia) 2分24秒>
<Ensemble "Rakija" / Sestorka (Servia) 1分53秒>

次の「ブランコ・クルスマノヴィッチ・グループ/セルビア&モンテネグロの音楽」と言うイギリスARC盤は、この二つの国が一つだった2005年に出たので、一緒に入っています。現物が手元に残ってないので、どの曲がセルビアとモンテネグロのどちらになるのか不明ですが、一曲目は一番華やかですし、おそらくセルビアだろうと思って取り上げました。1950年代からメンバーチェンジをしながら活動を続けている現地のトップグループだそうです。
タイトルのVlaske igreは、セルビア語の翻訳にかけると、「ヴラフ人のゲームあるいは演奏」と出てきました。「演奏する」や「遊ぶ」はロシア語でもイグラーチなので、またもやそっくりです。吸血鬼伝説だけでなく諸々のセルビアとルーマニアの文化を繋ぐ民族として、ラテン系の少数民族ヴラフ人は捉えられているのではと思いますが、この音楽もどちらにも似ています。

<Branko Krsmanovic Group / Music of Serbia & Montenegro ~Vlaske igre 5分28秒>

では最後に先ほど名前が出たユーゴ側のハンガリー系音楽家、チェリストのイムレ・カールマンが演奏するハンガリーの大作曲家ゾルタン・コダーイの無伴奏チェロソナタを時間まで聞きながら今回はお別れです。ハンガリーの民族舞曲ヴェルブンコシュなどの様式を踏まえた30分を越える大曲ですので、おかけできるのは冒頭の一部です。ヨーヨー・マによる演奏で、第1楽章がサントリーローヤルのCM曲として使用されたので、聞き覚えのある方もいらっしゃるのではと思います。
10年以上前にイムレ・カールマンがチェロで弾くJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのパルティータ2番のシャコンヌのYouTubeをゼアミブログで特集したことがありますが、その記事を見た沖縄のイムレさんのお知り合いの方からこのハンガリー盤を頂きました。シャコンヌを元の調で弾く程の名手ですから、コダーイのこの難曲も楽々弾いているように聞こえます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Imre Kalman / Music for Solo Cello ~Kodaly / Solo Sonata for Cello 30分10秒>

| | コメント (0)

2021年10月25日 (月)

Boban Marković Orkestar

ゼアミdeワールド282回目の放送、日曜夜10時にありました。27日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。クレズマー絡みの曲は水曜以降に。

セルビアの音楽の4回目です。今回は映画「アンダーグラウンド」から注目されるようになったボバン・マルコヴィチ・オーケスターの何枚かの音源からご紹介します。グチャ村のブラス・コンテストで2000年度最優秀バンドに選出され、リーダーのボバンは上記コンテストで2001年に最優秀トランペッターに選出されています。

まずは独Piranhaから2002年に出たライヴ・イン・ベオグラードから、クストリッツァ監督、ボバン・マルコヴィッチ音楽のお馴染みの2曲、「アンダーグラウンド」からメセチナと「ジプシーのとき」からエデルレジを続けておかけします。

<Boban Marković Orkestar / Live in Belgrade ~Mesecina 4分59秒>

<Boban Marković Orkestar / Live in Belgrade ~Ederlezi 5分43秒>

このライヴ・イン・ベオグラードには、ユダヤの名曲「ハヴァ・ナギラ」も入っています。東欧系ユダヤのハシディック・ソング由来の高揚感をどう表現しているかが聞きものです。

<Boban Marković Orkestar / Live in Belgrade ~Hava Naguila 3分33秒>

東欧系ユダヤのクレズマー音楽のグループの作品にボバンが客演している音源もありまして、フランク・ロンドン&クレズマー・ブラス・オールスターズ/Brotherhood of Brassと言う同じピラニアのドイツ盤ですが、これはリヴァイヴァル・クレズマーの中心的なグループ、クレズマティクスのトランぺッター、フランク・ロンドンとボバン・マルコヴィッチの両トランぺッターの夢の共演と思われます。祭礼音楽の一種である東欧系ユダヤのフレイレフとロマのチョチェクを合わせる試みでもあるようです。

<Frank London's Klezmer Brass Allstars / Brotherhood of Brass ~Freylekhs - Cocek # 5 (feat. Boban Markovic) 5分22秒>

セルビア北部ヴォイヴォディナ出身のハンガリー系超絶ヴァイオリニスト、ライコー・フェリックスとの共演盤もありますが、時間が超過しますので、次回に回します。
では最後に2009年のDevlaから、タイトル曲のデヴラとマルーシュカを時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Boban I Marko Marković Orkestar / Devla ~Devla 3分23秒>
<Boban I Marko Marković Orkestar / Devla ~Maruska ~3分6秒>

| | コメント (0)

2021年10月18日 (月)

Ausencia

ゼアミdeワールド281回目の放送、日曜夜10時にありました。20日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はキー・ソング、Ausenciaのみにしておきます。歌唱はセザリア・エヴォラです。どこで流れたか、久々にこの映画(170分)を見直してみました。ヴァリエーションの方は分かりましたが、セザリア・エヴォラの方は不明でした。完全版の方に出てくるのでしょうか。

セルビアの音楽の3回目です。前回ボバン・マルコヴィチなどバルカン・ブラスの音源をかけると予告していましたが、まずは映画「アンダーグラウンド」のサントラから、前回かけてなかったスロボタン・サリイェヴィッチの華々しいウェディング・チョチェクからどうぞ。

<6 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Wedding Cocec 3分32秒>

続いて2曲目に入っているカーボベルデの名歌手セザリア・エヴォラのAusenciaと言う歌ですが、黒人のモルナの歌手ですがファド歌手でもあるので、ポルトガル文化圏特有のサウダーヂ感溢れる、やるせない歌声を聞かせています。この歌はこのサントラの白眉の一つだと思います。

<2 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Ausencia 3分48秒>
Ausencia - Goran Bregovic

9曲目のUnderground Tangoと言う曲は、先ほどのAusenciaのヴァリエーションのように思いますが、諦念と哀愁美の溢れる美しい曲です。サントゥールかツィンバロムと思われる打弦楽器が物悲しい旋律を奏でています。

<9 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Underground Tango 5分11秒>

7曲目のWarと言う曲の後半にブルガリアン・ヴォイスのVesna Jovanovicが出てきます。戦時下の苦悩を表現したようなこの曲で歌われている旋律も、先ほどのAusenciaのヴァリエーションに聞こえます。

<7 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~War 6分37秒>

10曲目のThe Belly Button of the Worldで出てくるのはブルガリアの女性歌手Danjela Ratkova & Ljudmila Ratkovaの二重唱とありますが、デジタルビートをバックに先に聞こえて来るのはロシアかその他の正教の国の男声合唱のように聞こえます。タイトルは訳せば「世界のへそ」の意味ですが、色々な意味で謎の一曲です。

<10 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~The Belly Button of the World 5分40秒>

では最後に再度「アンダーグラウンド」のサントラ1曲目のカラシニコフを時間まで聞きながら今回はお別れです。何度も言いますが、ルーマニアの有名曲「ひばり」の旋律が途中で出てくるのが、最初聞いた時から不思議に思いました。すさまじいブラス・サウンドを聞かせるのは、スロボタン・サリイェヴィッチのオルケスタルです。次回はボバン・マルコヴィチの他の盤を特集する予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Kalasnjikov 3分22秒>

| | コメント (0)

2021年10月11日 (月)

「ジプシーのとき」と「アンダーグラウンド」

ゼアミdeワールド280回目の放送、日曜夜10時にありました。13日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画は「ジプシーのとき」のエデルレジのみです。

セルビアの音楽の2回目です。今回は旧ユーゴ音楽巡りの最初頃、4月位に予告していた映画「ジプシーのとき」と「アンダーグラウンド」のサントラを聞いておきたいと思います。この2つの映画の、監督はボスニア人のエミール・クストリツァ、音楽はセルビア人のゴラン・ブレゴヴィチで、二人ともボスニアの首都サラエヴォの生まれですが、音楽はセルビアで特に盛んなバルカン・ブラスに繋がっていくので、セルビアの時に回していました。セルビアやマケドニアでブラスが盛んなのは、明らかにオスマン帝国の軍楽隊の音楽に由来しています。

まずは、エミール・クストリッツァ監督の1988年の映画「ジプシーのとき」に出てきたバルカン・ロマの民謡「エデルレジ」ですが、この曲を最初に聞いたのは、1989年の現代音楽雑誌ミュージックトゥデイで映画「ジプシーのとき」を知って、サントラを手に入れた時でした。それから長い間、この映画の音楽を担当したゴラン・ブレゴヴィチの作曲と勘違いしていました。彼がリーダーだったボスニアのロック・バンドBijelo Dugmeが88年のアルバムでカバーしていましたが、原曲は春の訪れを祝うバルカン・ロマの民謡だったことを知ったのは、ずっと後でした。この郷愁を誘う名旋律は最高で、ずっと忘れられない一曲なのに、32年経った今でも映画を見れてないのが残念です。色々な歌手がカバーしていますが、何より映画に出てくるマケドニアの歌手Vaska Jankovskaの天使のような歌声が、やっぱり一番です。火が水上に灯され、春の訪れを祝う灯篭流しのようなシーンは、映画を見てなくても、この旋律と共にずっと記憶に残っています。

<1 Le Temps Des Gitans & Kuduz / Ederlezi (Scena Durdevdana Na Rijeci) 4分59秒>
Ederlezi: Time of the Gypsies - Goran Bregović, Emir Kusturica

先ほど解説を入れましたが、ゴラン・ブレゴヴィチがリーダーだったボスニアのロック・バンドBijelo Dugmeが88年のアルバムでカバーしていた音源もありますので、併せておかけしておきます。

<Bijelo Dugme / Ciribiribela ~DJurdjevdan je a ja nisam s onom koju volim 3分54秒>
Đurđevdan Je A Ja Nisam S Onom Koju Volim

ベオグラードを舞台に、第二次世界大戦からユーゴ内戦まで、ユーゴスラビアの激動の歴史を描いた映画「アンダーグラウンド」も、同じく監督エミール・クストリツァ、音楽ゴラン・ブレゴヴィチの黄金コンビでユーゴ内戦の最中の1995年に制作され、欧米中心に大ヒットしましたが、日本でもバルカン・ブラス・ブームに火を付けました。当時はタラフ・ドゥ・ハイドゥークスも初来日するし、2000年前後の東欧ジプシー音楽界隈の盛り上がりは凄いものがありました。

自動小銃カラシニコフがサントラの一曲目を飾っていますが、ルーマニアの有名な曲「ひばり」の旋律が途中で出てくるのが、最初聞いた時から不思議に思いました。すさまじいブラス・サウンドを聞かせるのは、スロボタン・サリイェヴィッチのオルケスタルです。

<1 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Kalasnjikov 3分22秒>

Mesecina / Moonlightと言う曲も大変に印象的で、主人公の3人が肩を組んで歌っている曲です。

<3 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Mesecina / Moonlight 3分59秒>

スロボタン・サリイェヴィッチと並ぶほどのグループに、ボバン・マルコヴィチのオルケスタルがいます。彼らだけの演奏がこの盤の最後にShevaと言うタイトルで入っていますが、これは明らかにルーマニアの有名な曲「ひばり」そのものです。泥沼の戦争を描いた映画ですが、この曲で始まる映画の冒頭から、やぶれかぶれのコメディの側面も持っていることを表現しているように思います。
ボバン・マルコヴィチは、その後のバルカン・ブラス・ブームで一番多くCDが出ているグループだと思います。また次回以降いくつかご紹介したいと思います。

<11 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Sheva 1分23秒>

では最後に9曲目に戻ってスロボタン・サリイェヴィッチとボバン・マルコヴィチの両オルケスタルが共演したUnderground Cocecを聞きながら今回はお別れです。チョチェクとは、旧ユーゴに入ってから何度か出て来ましたが、バルカン半島で19世紀頃興った音楽のジャンル、およびダンスで、主にロマ(ジプシー)により演奏されるロマ音楽の一種です。このサントラには派手なブラスだけでなく、間にカーボベルデの名歌手セザリア・エヴォラのやるせない歌やブルガリアン・ヴォイスなども入っていますが、また次回何曲かかけようかと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Underground Cocec 4分25秒>

| | コメント (0)

2021年10月 4日 (月)

Buda盤でスロヴェニアからセルビアへ

ゼアミdeワールド279回目の放送、日曜夜10時にありました。6日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はスロヴェニアの4曲のみです。このジャケットはユネスコ世界遺産のプリトヴィツェ湖群国立公園でした。放送後思い出しました。

スロヴェニアの音楽の4回目です、と言いたいところでしたが、オコラ盤は切れていてデータでも見当たらないので、フランスBudaのユーゴスラヴィアのスロヴェニア音源4曲をおかけした後、セルビアに向かいたいと思います。3月の末にマケドニアから旧ユーゴスラヴィアに入りましたので、既に半年経ちましたが、遂にセルビアで旧ユーゴの音楽巡りの締め括りです。カルスト地形と滝が写ったブダ盤のジャケットを見て、そう言えば90年代にあった音源だと思い出しました。まだユーゴ内戦の最中だったと思います。カルストと言うのは、元々スロヴェニアの地方名でもあります。現物は既に手元になくストリーミングからかけるため、詳細は不明です。CDの原題はMusique du monde : Musiques de Yougoslavieです。

スロヴェニアの音源は4曲ありまして、曲名の仏訳を訳すと1曲目が「若い女の子の窓の下」、2曲目は「お通夜の歌」のようですが、お通夜とは思えない明るく爽やかな旋律です。

<1 Sous les fenêtres des jeunes filles (Slovénie) 2分21秒>

<2 Chant pour la veillée des morts (Slovénie) 2分10秒>

スロヴェニア南東部のベラ・クライナ地方の音源が別枠で2曲あります。この地方は高級ワインで有名です。コロと女性の叙情的な歌の2曲です。

<7 Kolo de Metlika (Bela Krajina) 2分23秒>

<8 Pastirce mlado (Bela Krajina) 2分40秒>

セルビアの音源は2曲ありまして、舞曲のコロとフルーラ(おそらく縦笛)の演奏ですが、どちらも隣のルーマニアのホラに似ていて、ルーマニア南部ワラキア地方のロマ音楽がごく近くに感じます。

<11 Kolos (Serbie) 6分34秒>
<12 Frula "Flûte" (Serbie) 3分6秒>

次の13曲目はセルビア北部のヴォイヴォディナ地方の「バナートの踊り」と言う曲ですが、ハンガリー系住民が多いことで知られるこの地方は、ハンガリー平原の延長にあり、バナートとはルーマニア西部とセルビア、ハンガリーにまたがる歴史的な地方名です。

<13 Danse du Banat (Voïvodine) 3分17秒>

この盤は他にクロアチアが2曲、クロアチア東部スラヴォニアが2曲、ダルマチアが2曲、コソヴォが2曲、ボスニア・ヘルツェゴヴィナが1曲、モンテネグロが1曲、マケドニアが2曲、その他少数民族音源としてワラキア(またはヴラフ)人のコロと、ジプシーの踊りの2曲があります。90年代当時ではあり得ないほど優れたユーゴスラヴィア伝統音楽のコンピレーションですので、この機会にめぼしい音源をかけて、今回はこの盤で終えようと思います。何回か後でフランスOcoraのヴラフ(ワラキア)人とフランスChant du mondeのアルーマニア人の音源を予定していますので、同じロマンス語系統のワラキア(またはヴラフ)人のオロを聞きながら今回はお別れです。
ローマ帝国の後、バルカン半島に残ったラテン系の「飛び地」と言えば、ルーマニアが一番知られていますが、それ以外にもバルカン各地に残ったラテン系の言葉を話す少数の民族がいて、ヴラフ(ワラキア)人とアルーマニア人は特に有名です。クロアチア西部のイストリアにもIstro-roumainと言うグループがいるそうで、それは今回調べていて初めて知りました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<20 Oro vlasko "Chant valaque" (Minorités nationales) 2分10秒>

| | コメント (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

J.S.バッハ New Wave-Indies アイヌ アメリカ アラブ アラブ・マグレブ アルゼンチン イギリス イスラエル イスラム教 イタリア イディッシュ イラン地方音楽 インディアン、インディオ インド インドネシア インド音楽 ウイグル ウラル・アルタイ エジプト エチオピア オペラ オーストラリア オーストリア キリスト教 ギリシア クルド クレズマー ケルト コンサート情報 コーカサス (カフカス) サハラ シベリア シャンソン ジャズ スイス スペイン スポーツ スーダン セファルディー ゼアミdeワールド チェロ チベット トルコ音楽 ドイツ ナイル・サハラ ナツメロ ニュース ハシディック ハンガリー バルカン バルト語派 バロック パキスタン ビザンツ音楽 フランス フランス近代 ブラジル ペルシア音楽 ペルシア音楽 トンバク ユダヤ ユダヤ音楽 ライブ情報 ルーマニア レビュー ロシア ロシア・マイナー ロマン派 ヴァイオリン 中南米 中国 中央アジア 仏教 仏教音楽 北アジア 北コーカサス(カフカス) 北欧 南アジア 南インド古典音楽 古楽 地中海 室内楽 弦楽合奏 弦楽四重奏 後期ロマン派 文化・芸術 新ウィーン楽派 旅行・地域 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 東アフリカ 東南アジア 東方教会 東欧 歌謡曲・演歌 民謡 沖縄 独墺 猫・犬 現代音楽 童謡、わらべうた 筝曲 純邦楽 西アフリカ 西スラヴ 韓国