ゼアミdeワールド

2020年1月13日 (月)

ネイの聞き比べ イランとトルコ

ゼアミdeワールド195回目の放送、日曜夜にありました。15日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。キャサイーのプラヤと同じ音源はなさそうですので、今日は彼の生映像を上げておきます。旋法は同じシュールだと思います。アカ・ギュンデュズはまた後日。

正月の定番曲「春の海」に続いてとなると、どうしても詫び寂び感が欲しい気がしますので、最近回っているトルコ音楽なら、やはり尺八に似た音色のネイだと思います。トルコの12回目は、トルコとイランのネイの聞き比べをしたいと思います。トルコの初回に言いました通り、ネイとは、葦で出来た長い縦笛で、ペルシアの大詩人ジャラールッディン・ルーミーが神秘主義詩の中で読み、メヴレヴィー教団を興して以来、スーフィーの音楽で最も重要な楽器とされています。

まずは、イランのネイの名人ハッサン・キャサイーのプラヤ盤について、音楽之友社から2002年に出た「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いた拙稿を読み上げます。

ネイは葦で出来ていて、吹き口は切ったままの状態に真鍮の筒をはめた、極めてシンプルな縦笛。構えは大概髭で見えにくいが、歯の隙間と舌を有効に利用している模様。トルコのネイと似ているが吹き口が違う。丸い筒のままなので、音を出すだけでも至難の技。そしてこのシンプルさが手伝って、イランではとてつもない名人芸が生まれた。この盤はイスファハーンの往年の巨匠の唯一のまとまった録音。苦悩のパッションを描き出すシュールと、雨後の虹のように美しく晴れやかなマーフールの対照的な組み合わせがまた良い。拍節のある部分では一部トンバク(ザルブ)伴奏が入る。現代のネイの名手にはこの人の影響を受けた奏者が非常に多い。余りに凄演!
 

それでは、シュール旋法のピシュダルアーマドと、チャハールメズラブ、ケレシュメを続けておかけします。片面太鼓トンバクの伴奏は、ジャハンギール・ベヘシュティです。

<1 Hassan Kassa'i / Le Ney Pishdaramad-shahnaz tshahamezrab 3分3秒>

<2 Hassan Kassa'i / Le Ney Kereshme,kutsh-bagh, hosseini, hazin 6分12秒>

Ostad Hasan Kasaie


ハッサン・キャサイーのマーフール旋法の一部も少しだけおかけしておきます。

<6 Hassan Kassa'i / Le Ney Safi-name,saghi-name,beste-negar,tasalsol 2分余り抜粋>

次にトルコのネイですが、前に一曲かけました往年の名人アカ・ギュンデュズ・クトバイの、プラヤサウンドから90年代に出ていた独奏盤から、前にNihaventをかけましたので、13分のラスト旋法のタクシームを時間まで聞きながら今回はお別れです。明るいイメージのあるラスト旋法ですが、年末にかけたミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの大曲のように、いかようにも変容する奥深い旋法のように思います。変調する旋法として、Segah, Mustear, Beyati, Saba, Ussakが上がっています。因みに、今日の2枚はプラヤサウンドの活動停止のため、いずれも現在は入手不可の盤です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 AKA Gunduz Kutbay / Le Ney - Rast 13分10秒>

| | コメント (0)

2020年1月 9日 (木)

都山流尺八の「春の海」

ゼアミdeワールド194回目の放送、水曜夜にありました。宮城道雄の自作自演の動画は何度も上げていますので、これまでに上げたことのなかった山本邦山の音源のみにしておきます。虚無僧尺八のカラーが強い古風な琴古流に対し、都山流は明治以降確立された関西ベースの新しい流派なので、早くから新日本音楽と提携し、新様式を積極的に開拓して演目を広げて来ました。「春の海」も、新日本音楽に入るでしょうから、都山流尺八はぴったりなのでは。山本邦山さんは、80年代にジャズやインド音楽との共演などもされていたように記憶しています。

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

8日の再放送枠のみありますので、正月関連の特番に致します。これまで3回「春の海 大響演」という2枚組からご紹介していましたが、今年は3年前の最もオーソドックスな音源に戻ってご紹介します。

お正月と言えば、宮城道雄の「春の海」を思い出す方が多いのではと思います。正月中はどこに行っても耳にする曲ですが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組が出ておりますので、こちらからご紹介して行きます。

まずは、宮城道雄の自作自演で、尺八は初演を勤めた吉田晴風です。

<1 春の海(オリジナル) 6分30秒>

宮城道雄の父の出身地である広島県鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれていますが、吉田晴風との1930年の初演の評判は芳しくなかったそうです。

この曲が一躍有名になったのは、1932年に演奏旅行で来日していたフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと共演してからと言われています。日本音楽に触れるために宮城道雄を訪ねた彼女が一番感動したのが、この「春の海」で、早速尺八パートをヴァイオリン用に編曲して宮城道雄とコンサートで演奏したら、大喝采を受けたそうです。会場で聞いていた小説家の川端康成が、その感動の光景を小説「化粧と口笛」に記しています。その宮城道雄とルネ・シュメーの演奏を次にどうぞ。

<2 春の海(箏とヴァイオリンによる) 6分13秒>

次にフルートのガッゼローニと三代目宗家の宮城数江の1972年録音をかけてみましょう。1956年の宮城道雄の没後では、最初のこの曲の録音です。ガッゼローニと言えば、ジャズの鬼才エリック・ドルフィーのフルートの師匠としても知られ、ドルフィーのアルバムOut to LunchにGazzelloniと言うオマージュ曲が入っていました。

<7 春の海(箏とフルートによる) 7分1秒>

では、最後に宮城道雄にも師事した作曲家でもある唯是震一と都山流尺八の山本邦山の録音でおかけします。去年の正月に予告していた音源です。琴古流と都山流の尺八の芸風の違いが感じられて興味深いものがあります。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<8 春の海 唯是震一と山本邦山 6分39秒>

『春の海』

| | コメント (0)

2019年12月30日 (月)

年末にRast Kar-i Natik

ゼアミdeワールド193回目の放送、日曜夜にありました。放送されるのが29日で、1日の再放送枠は無しですので、1年の締めくくりの音楽として、これまで3回の年末のようにベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲にしようかとも思いましたが、トルコ音楽巡りの途中ですので、今年はトルコの音楽にしたいと思います。動画はRast Kar-i Natikとルバーイーのみにしておきます。番組関連のブログアップですが、次回は8日の放送後の9日になると思います。

188回目の放送でフェードアウトしてしまったオスマン・トルコ古典音楽の大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディの、Rast Kar-i Natik(ラスト・キャール・ナトゥク)の音源からおかけします。

この曲は、どんどん旋法が移り変わる歌唱の内に、それぞれの旋法の名前を詠み込んでいく異色の大作です。旋法はRast, Rehavi, Nikriz, Pencugah, Mahur, Neva, Ussak, Bayati, Nisabur, Nihavend, Nuhuft, Saba, Cargah, Dugah, Huyseyni, Hisar, Muhayyer, Buselik, Hicaz, Sehnaz, Rahatul-Ervah, Bestenigar, Irak, EVCと続きます。作曲、演奏共に高度な技術の必要な曲と思われますが、漠然と聞いているだけでも、実にオスマン音楽らしい高雅で大らかな魅力のある曲です。時折はっきりと分かる微分音が出てきますので、是非注意して聞いてみて下さい。

音源は、往年の名歌手ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの4枚組「ウスタード」の3枚目です。巨匠晩年の悠揚迫らぬ名唱を聞けます。

<3-1 Rast Kar-i Natik (Rest Getirup Fend Ile Seyretti Numayi) 15分59秒>

Münir Nurettin Selçuk-Rast Kar-ı Natık


この大作は1年の締めくくりに相応しいと思いまして、おかけしました。まだ時間がありますので、同じウスタードからセルチュクの自作曲を何曲かおかけします。この頃の彼の録音には、タンブールの名手ネジデト・ヤシャルの名が見えます。

1枚目3曲目のウッシャーク旋法のルバーイー「ビル・メルハレデン・ギュネシュレ・デリア・ギョリュニュル」は、その名の通り四行詩の歌で、シャルクという扱いではないセルチュク自作の中でも異色の一曲のように思います。

<1-3 Bir Merhaleden Gunesle Derya Gorunur 2分33秒>

Münir Nurettin Selçuk Bir merhaleden güneşle derya görünür


1枚目6曲目のセガー旋法のイラーヒ「ショル・ジェンネティン・ユルマクラル」は、ユヌス・エムレの詩につけられたセルチュクの自作曲です。

<1-6 Sol Cennetin Irmaklari 5分26秒>

1枚目14曲目のニハーヴェント旋法のシャルク「ヤル・センデン・カルンジャ・アイル」もセルチュクの自作曲で、ウスクダラと同じニハーヴェントらしい哀感があります。この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。

それではまた来年。 皆様、よいお年をお迎えください。

<1-14 Yar Senden Kalinca Ayri 4分13秒>

| | コメント (0)

2019年12月23日 (月)

アッシリア教会のアラム語聖歌とウィーン少年合唱団の「きよしこの夜」

ゼアミdeワールド192回目の放送、日曜夜にありました。25日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。「聖地のクリスマス音楽」と同じ音源はないと思いますので、アラム語のサンプルとしてアッシリア教会のアラム語聖歌と、ウィーン少年合唱団の「きよしこの夜」を貼っておきました。ハヌカー関連は、木金に上げる予定です。

トルコの伝統音楽の11回目ですが、放送されるのが22日と25日ということで、今回はクリスマス特集に致します。その次の29日は1日の再放送枠が無しですので、締めくくりの音楽、新年の最初は8日の再放送枠のみありますから、正月関連の特番に致します。

これまで3回かけましたが、まずはドイツ・グラモフォンから出ていた「聖地のクリスマス音楽」から、「ベツレヘム生誕教会の鐘」をおかけします。キリスト生誕の地とされるベツレヘムのギリシア正教会での録音で、東方的な渋みや深みを感じさせる音です。冒頭と最後に入っていますので、続けておかけします。

<1 聖地のクリスマス音楽 ~ ベツレヘム生誕教会の鐘 43秒>

<22 聖地のクリスマス音楽 ~ ベツレヘム生誕教会の鐘 1分15秒>

2~4曲目はローマ・カトリック教会の聖歌で、女声によって歌われるグレゴリオ聖歌の一種でラテン語で歌われています。この盤の中では唯一の西方教会の音楽で、異色の音源になっていると思います。その中から夜中のミサ:アレルヤ唱をどうぞ。

<3 聖地のクリスマス音楽 ~ ローマ・カトリック教会の聖歌 夜中のミサ:アレルヤ唱 2分>

この盤からもう一曲、古シリア教会の聖歌ですが、最も早くからキリスト教化された地方ですから、ユダヤ教の流れも汲む古い典礼のスタイルが残っているようです。言葉はイエス・キリスト自身が話したと伝えられる古いシリア語の一種のアラム語が現在も主に使われています。

<18 聖地のクリスマス音楽 ~古シリア教会の聖歌 アレルヤ、アレルヤ 2分20秒>

Father Serafim Chants Psalm 50 In Aramaic


このアルバムに収録されているのは、イスラエルのエルサレムやベツレヘムでの東方諸教会の音源で、この地で2000年前にキリスト教が生まれた頃に近い響きを持っていると思われる音楽が中心です。3年前には、この盤からキリスト教の東方的ルーツを訪ねた、ギリシア正教会、エチオピア教会、エジプトのコプト教会、シリア教会、アルメニア教会、レバノンのマロン派の音源を中心にご紹介しました。今回は一般にもよく知られているクリスマス・キャロルもおかけして、その後でユダヤで同じ時期に祝われるハヌカー関連の音源もご紹介します。

よく知られるクリスマス・ソング2曲をウィーン少年合唱団の歌唱でどうぞ。最初がドイツ民謡「もみの木」で、2曲目は1818年にフランツ・グルーバーが作曲した「きよしこの夜」です。

<22 ウィーン少年合唱団ベスト もみの木 1分38秒>

<23 ウィーン少年合唱団ベスト きよしこの夜 2分40秒>

Vienna Boys Choir - Stille Nacht (Silent Night)


次にユダヤのハヌカーですが、ユダヤの世界にはキリストの生誕を祝うクリスマスという行事は無いのですが、まるで対抗するかのようにほぼ同時期にハヌカーという祭りがあります。ハヌカーはユダヤ教の年中行事の一つで、紀元前168年~紀元前141年のマカバイ戦争時のエルサレム神殿の奪還を記念する「宮清めの祭り」です。今年は東欧系のアシュケナジームの音楽は外して、セファルディーの方だけでご紹介します。

15世紀のレコンキスタでスペインから追放され、北アフリカやバルカン半島など多くは旧オスマン帝国内に離散したスペイン系ユダヤ人はセファルディーと呼ばれますが、彼らの民謡を演奏するグループVoice of the Turtleは「ハヌカー・コンサート」という盤が最初に出ました。その中からハヌカーという曲をどうぞ。

<10 Voice of the Turtle / Circle of Fire ~Hanuka 3分10秒>

Voice of the Turtleのハヌカーの歌は去年と一緒ですが、この後はトルコのユダヤ教徒の音楽から、ハヌカーの曲をおかけしたいと思います。Kalan Muzik Yapimから2001年に出ているMaftirim Judeo-Sufi Connectionという盤は、トルコ音楽のスタイルでユダヤ教神秘主義詩を聞かせる内容です。演奏はHazan Aaron Kohen Yasakとマフティリーム合唱団で、器楽伴奏はネイとタンブールを中心に打楽器のベンディール、クデュムという編成です。トルコには15世紀のスペインからの離散のグループとは別に、古代パレスティナから古くは紀元前4世紀頃から流入した古い集団もあるようです。この盤の演奏者がどちらになるのかは不明ですが、ハヌカーの曲を演奏しているということは、セファルディーだろうと思います。では、そのHag Amakabimという曲をどうぞ。

<19 Maftirim Judeo-Sufi Connection ~Hag Amakabim 5分14秒>

Maftirim Judeo-Sufi Connectionには、ユダヤ教の安息日(シャバト)の歌が多数入っていますので、3曲目のイスマー・アル・ツィヨンと言う曲を、時間まで聞きながら今回はお別れです。キリスト教の安息日は日曜ですが、ユダヤ教では土曜になります。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 Maftirim Judeo-Sufi Connection ~Yismah Ar Tsiyon 2分36秒>

| | コメント (0)

2019年12月16日 (月)

カンテミルオール(Kantemiroglu)

ゼアミdeワールド191回目の放送、日曜夜にありました。18日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。youtubeは色々ありますが、今日の動画はCantemir: Music in Istanbul and Ottoman Europe Around 1700の方だけにしておきます。このジャケットは割とコーカソイドっぽく書かれていますが、彼の肖像画には色々なタイプが存在するようです。カンテミルオールの末尾のogluのgは、例の楔型が上にある方ですので、Gの音は発音せずに前の母音を伸ばすのみになります。

トルコの伝統音楽の10回目です。今回トルコの音楽を特集するに当たって、個人的に一番調べてみたかったのが、カンテミルオールの音楽です。私が彼の名前を初めて知ったのは、ジェム・ベハールの「トルコ音楽にみる伝統と近代」という著作で、トルコ作曲家リストの中に彼の名前がありました。モルダヴィア貴族のカンテミル家は、クリミア・ハーン国から移住してきたタタール系で、チンギス・ハーンの血を引くと言われています。トルコ語、アラビア語、ペルシア語、ルーマニア語、スロヴェニア語、ロシア語、ギリシア語、ラテン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ハンガリー語を完全に習得していたというポリグロット(マルチリンガル)だった点と、トルコ音楽、オスマン帝国史、故国モルダヴィア・ルーマニアに関する歴史書、哲学書など多様な著作があるという点にも、非常に惹かれました。

しかし、有名なのに反して、彼の曲が入った音源は何故かトルコ盤にもなかなか見当たらず、今回アップルミュージックで調べてみて、ヨーロッパの古楽の枠で出ている盤に多く収録されていることが分かりました。それらのジャケットの何枚かにカンテミルオールの肖像画が出ていますが、確かに日本人とも見間違えるようなアジア的な顔立ちに描かれています。モルダヴィアに近いクリミア・ハーン国のガズィ・ギライ・ハーンも、キプチャク系だから当然と言えば当然ですが、チンギス・ハーンの血を引いていたのを思い出します。

カンテミルオールはルーマニアの東に位置するモルダヴィアの人で、当時モルダヴィアはオスマン帝国領でした。総督であるコンスタンティン・カンテミルの子で、コンスタンティンの父の時代にイスラムからキリスト教に改宗しています。「カンテミルオール」とは、モルダヴィア公ディミトリエ・カンテミールのトルコ名で、公子としてイスタンブールに22年滞在中に数々の曲を作曲し、独自の楽譜を考案、自作曲を書き残しています。生没年は1673年~1723年ですから、バッハより少し前の時期になります。

カンテミルオールの曲を取り上げている中で、トルコ人の音楽家はケメンチェ奏者のイフサン・オズゲンがいました。2,3枚確認した中では、オスマン古典として聞ける曲、モルダヴィアの民族音楽色が濃い曲など、幾つかのタイプに分かれるように思いました。

まずは、イフサン・オズゲンが参加した「Cantemir: Music in Istanbul and Ottoman Europe Around 1700」という盤に、異色とも思えるモルダヴィアの舞踊曲シルバが2バージョン入っていますので、続けておかけします。東欧系ユダヤのクレズマーにも似た哀感に満ちた曲調です。

<1 Syrba - Moldavian Dance 1分34秒>

Syrba - Moldavian Dance


<2 Syrba - Moldavian Dance 1分19秒>

Syrba - Moldavian Dance


ウィキペディアには音楽家としてのカンテミルオールについて、以下のように解説がありました。

「オスマン古典音楽の作曲者としても知られ、40曲ほどの作品がある。アラビア文字を利用した独特の文字楽譜によって約40の自作曲を含む、350余りの器楽曲を採譜した『文字による音楽の知識の書』をトルコ語(オスマン語)で著してスルタンに献呈した。彼の考案した文字譜は画期的なものだったがトルコにおいて広まることはなかった。」

このように僅か40曲なので、聞く機会もこれまでなかったのかなと思いました。そのオスマン古典曲も同じ盤に入っておりますので、ヒュセイニ旋法のペシュレヴを同じ盤からおかけしますが、ペシュレヴと思えないくらい古楽的な演奏です。演奏はIhsan Ozgen, Linda Burman-Hall & Lux Musicaということで、おそらくトルコ人はイフサン・オズゲンだけでしょうか。

<28 Huseyni Pesrev 3分33秒>

Hüseynî Pesrev


もう一曲この「Cantemir: Music in Istanbul and Ottoman Europe Around 1700」という盤から、カンテミルオールを讃えた曲と思われるIn Honor of Prince Kantemirという曲がなかなか秀逸ですので、おかけしておきます。

<14 In Honor of Prince Kantemir 3分43秒>

In Honor of Prince Kantemir


検索で出てきたのは3枚ありまして、2枚目にご紹介しますのは、スペイン古楽界の大御所ジョルディ・サヴァールとエスペリオン21の演奏で、アルバムタイトルはオリエント~オクシデントです。聖母マリアのカンティガから、イタリアのトレチェント(14世紀)の音楽、サラエボのセファルディー音楽、アフガニスタンやペルシアの音楽などに混じって、カンテミルオールの曲が4曲入っています。この中から、冒頭を飾っている明るいマカーム・ラストと、対照的にエキゾチックな短調の旋律が印象的な13曲目のマカーム・ニクリーズの2曲を続けておかけします。

<1 Makam Rast "Murass'a" Usul Duyek (Turquie, Mss. de Kantemiroglu) 4分40秒>

<13 Makam Nikriz Usul Berevsan (Turquie, Mss. de Kantemiroglu) 3分34秒>

もう一枚はGolden Horn Ensembleというグループの演奏で、このDimitrie Cantemir (Kantemiroglu)という盤のジャケットは、本当に日本人と見紛う感じです。この中からHuseyni - Fahteと言う曲を時間まで聞きながら、今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 Huseyni - Fahte 10分19秒>

| | コメント (0)

2019年12月 9日 (月)

女子十二楽坊とウスクダラ 他

ゼアミdeワールド190回目の放送、日曜夜にありました。11日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画は、女子十二楽坊とウスクダラだけにしておきます。

トルコの伝統音楽の9回目です。トルコの音楽は手元の資料の数ではペルシア音楽やアラブ音楽に次いで多いので、オスマン古典音楽だけでも後数回は予定していますが、この辺でおそらく多くの人に耳馴染みではという曲から始めたいと思います。

サントゥーリー・エトハム・エフェンディのロンガ・シャーナズですが、中国の女子十二楽坊が「自由」というタイトルで演奏したことで知られています。2001年頃盛んにテレビCMでも流れたので、おそらく誰でも聞いたことのあるオスマン音楽と言えるでしょう。エトハム・エフェンディは、1855生まれ1926年没ですから、オスマン末期の音楽家です。サントゥーリーの敬称がある通り、サントゥールの名手でした。女子十二楽坊は二胡が中心ですが、琵琶、中阮、笛、揚琴、古筝、独弦琴もバックにいて、この内揚琴(ヤンチン)はサントゥールと同属の楽器です。ロンガは速い2拍子で演奏される軽快な楽曲形式で、コンサートの最後を飾ることも多いです。では2007年リリースの女子十二楽坊のアルバム「上海」から、「自由」のライブバージョンをどうぞ。

<12 女子十二楽坊 Freedom (Live) 4分12秒>

女子十二楽坊 自由


もう一曲のウスクダラはトルコの古典音楽ではなくイスタンブールの民謡になりますが、1954年に江利チエミが日本語で歌ったので、古い世代の方はご存知かと思います。オスマン音楽シリーズが一通り終わったらトルコ民謡の方でも取り上げますが、今回は往年の古典音楽の女性歌手サフィイェ・アイラの古い録音でおかけします。この曲の別名キャティビームが曲名になっています。音源は、アメリカRounderから出ていたSP復刻の「トルコ音楽の巨匠 Vol.2」の1曲目です。

<1 Safiye Ayla / Katibim 3分18秒>

Safiye Ayla-Uskudara gideriken aldida bir yagmur


エトハム・エフェンディと同じオスマン朝末期の音楽家のタンブーリ・ジェミル・ベイは、トルコ音楽史上最高のタンブール奏者と言われています。彼の作曲した中で、アラブ音楽でもよく演奏される「チェチェン・クズ」を今回おかけします。「チェチェンの娘」と訳せるこのヒュセイニー旋法の曲は、ロシアでの迫害から逃れてオスマン帝国に移住してきたチェチェンやチェルケスなど北コーカサス系の愛らしい美少女を描写した曲かと思います。ジェミル・ベイはタンブールだけでなく、ケメンチェの名手でもあったので、ここではケメンチェを弾いています。アメリカTraditional Crossroadsの盤は、1910~14年にブルーメンタル・レコードとトーキング・マシーン・カンパニーによって行われたアコースティック録音からのCD復刻ですから、100年余り前の録音です。

<1-2 Tanburi Cemil Bey Vol.2-3 Cecen Kizi 3分9秒>

同じチェチェン・クズを、クドゥシ・エルグネルのアンサンブルが演奏した録音がドイツのCMPから91年に出ていましたので、そちらでもおかけしておきます。

<11 Peshrev & Semai of Tanburi Djemil Bey / Cecen Kizi 3分42秒>

185回目にクドゥシ・エルグネルのメヴレヴィー的な演奏でかけたイスマイル・ハック・ベイのフェラフェザのペシュレヴもアラブ音楽でよく演奏されています。パレスティナのウード名手シモン・シャヘーンの演奏が、92年にドイツのCMPから出ておりました。そちらでおかけします。ペシュレヴは、ここではアラビア語のバシュラフになっております。なおシャヘーンは、シモンという名前の通り、パレスティナのキリスト教徒だと思われます。

<1 Simon Shaheen / Turath - Masterworks of the Middle East Bashraf Farahfaza 5分45秒>

では最後に、同じくシモン・シャヘーンの演奏で、タンブーリ・ジェミル・ベイの息子のメスード・ジェミルが書いたSama'i Nahawandを時間まで聞きながら、今回はお別れです。今回は途中までになると思いますが、ウードなどアラブの楽器でもよく演奏される名曲ですから、またちゃんとかける予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<6 Simon Shaheen / Turath - Masterworks of the Middle East Sama'i Nahawand 8分16秒>

| | コメント (0)

2019年12月 2日 (月)

イスタンブル・デヴレト・コロスとネヴザード・アトリー

ゼアミdeワールド189回目の放送、日曜夜にありました。4日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

トルコの伝統音楽の8回目です。オスマン古典音楽名曲選の6回目としまして、トルコKentで演奏していたNevzad Atlig(ネヴザード・アトリー)指揮トルコ古典音楽国立合唱団の演奏が、フランスのUnescoからも出ておりますので、今回はそのTurkish Classical Music - Tribute to Yunus Emreから抜粋しておかけします。ケントの方は10枚の作曲家別の合唱付きオスマン古典音楽のシリーズで、その内の第5集のデデ・エフェンディの盤から数曲のみご紹介しました。このシリーズは20年以上前のリリースで、手元にはデデ・エフェンディのみ残っている状況ですので、他にどういうタイトルが出ていたか、また現在も手に入るかどうかは不明になってしまいました。ユネスコの方は、リリースが91年と言うことで同じ頃の演奏ですから、ケントの10枚シリーズのダイジェストのように聞けると思います。Tribute to Yunus Emreの副題がある通り、ペルシアの詩人ジャラール・ウッディーン・ルーミーの影響を強く受けた神秘主義詩を多く書いた13、4世紀トルコの詩人ユヌス・エムレ賛となっております。この国民的な詩人の生誕750周年だったようです。

まずは1曲目にアブドゥルカディル・メーラギのラストのキャールが入っておりますので、そちらからおかけします。ファスルの中では、このトルコのシリーズの3回目にかけました同じ作曲家のラストのベステ、Rast Nakis Besteの前の曲になりまして、クドゥシ・エルグネルのオスマン軍楽の1曲目にも一部出てきたと思います。14、15世紀と非常に古い時期から残るこの名曲が最初になっております。途中転調の妙も聞けます。

<1 Rast Kar-i Muhtesem - Ah Ki Kuned Kavm-I Beyakiyn 8分10秒>

İstanbul Devlet Klasik Türk Müziği Korosu - Rast Kâr-ı Muhteşem


トルコシリーズの初回にかけましたガズィ・ギレイ・ハーンのマーフールのペシュレヴが3曲目に入っておりますので、そちらをおかけします。ガズィ・ギレイ・ハーンは、現在はロシア領のクリミア半島出身で、チンギス・ハーンの末裔と言われるクリミア・ハーン国の12代目ハーンでしたが、勇敢な戦士であるだけでなく偉大な作曲家としても知られ、色々な楽器を演奏し、アラビア語、ペルシア語、オスマン語など多言語で詩も残しています。Mutlu Torunのウード教本にも入っているこのマーフール旋法の明るく親しみやすいペシュレヴは、作曲されたのが16世紀ということで、オスマン音楽の中でもかなり古い曲ですが、長らく口承で伝えられ、ウルヴィ・エルグネルが記譜した云々という話を前にもしました。

<3 Mahur Pesrev 3分6秒>

İstanbul Devlet Klasik Türk Müziği Korosu - Mahur Peşrev [ © 2002 Kalan Müzik ]


この盤の5曲目には17、8世紀の作曲家ウトリーの大作Neva Kar(ネヴァー・キャール)も入っております。ウトリーはイスタンブルに生まれ、最初の音楽教育をイスタンブルのメヴレヴィー教団の修道場で受け、オスマン帝国第19代皇帝メフメト4世(在位:1648-1687)の時代の宮廷音楽家にして、詩人で書家でもあったという人です。古典的な様式に誠実である多くの作曲家が、大なり小なり彼の影響を示しているとのことです。ウトリーの綴りはItriですが、トルコ語では上に点のないIと上に点のあるIを区別し、点のない方はイの口でウと言う発音、点のある方はイの音ですので、ウトリーの最初の音は前者になるため、表記上はウとしていますが、ユに近いかも知れません。
この曲は13分を越えますので、途中で終わるかも知れませんが、もし時間が余りましたら、8曲目のEvc Ara Saz Semaisiをおかけします。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<5 Neva Kar 13分12秒>

İstanbul Devlet Klasik Türk Müziği Korosu - Neva Kâr [ © 2002 Kalan Müzik ]

| | コメント (0)

2019年11月25日 (月)

24のマカームが移り行くRast Kar-i Natik

ゼアミdeワールド188回目の放送、日曜夜にありました。27日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。放送ではミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの方が途中までになりましたので、今日はそちらだけ上げておきます。セルチュクの自作曲の多いこの4枚組の中でも、白眉だったと思います。

トルコの伝統音楽の7回目です。オスマン古典音楽名曲選の5回目としまして、今回もオスマン・トルコ古典音楽の大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディの、前回予告していた曲をおかけします。Rast Kar-i Natik(ラスト・キャール・ナトゥク)は、どんどん旋法が移り変わる歌唱の内に、それぞれの旋法の名前を詠み込んでいく異色の大作です。旋法はRast, Rehavi, Nikriz, Pencugah, Mahur, Neva, Ussak, Bayati, Nisabur, Nihavend, Nuhuft, Saba, Cargah, Dugah, Huyseyni, Hisar, Muhayyer, Buselik, Hicaz, Sehnaz, Rahatul-Ervah, Bestenigar, Irak, EVCと続きます。名前を見ると、Pencugah, Mahur, Neva, Cargah, Dugahのように、ウイグルなどとも共通するペルシア系の名前が目立ちます。ヒジャーズやニハーヴェントのように、アラブやペルシアの古い地名の付いたものもあります。

声楽でどんどん旋法が移り変わる曲と言えば、南インド古典音楽のメーララーガマーリカーを思い出します。カルナティック音楽の大歌手M.S.スブラクシュミの名唱で有名な曲で、前に放送で少しかけたように思います。この曲も猫の目のようにラーガが移り変わる中で、ラーガ名を歌詞の中に織り込んでいましたが、おそらくどちらも歌詞自体の中に旋法名がうまく嵌め込まれ、意味のある流れになっているものと思われます。作曲、演奏共に高度な技術の必要な曲と思われますが、漠然と聞いているだけでも、実にオスマン音楽らしい高雅で大らかな魅力のある曲です。時折はっきりと分かる微分音が出てきますので、是非注意して聞いてみて下さい。

この曲は、私の知っている限りでは音源が2種類ありまして、一枚は前回にビザンツ風な混声合唱として取り上げましたトルコKentの「トルコ古典音楽 5~デデ・エフェンディ」で、もう一枚は往年の名歌手ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの4枚組「ウスタード」の3枚目です。演奏時間はケントの方が12分余り、セルチュクの方は16分近くありますので、解説は最小限にして出来るだけ長くかけたいと思います。まずは前者のビザンティン音楽にも似た柔らかく幽玄な音の動きの演奏の方からどうぞ。

<1 Rast Getirip Fend ile Seyretti Humayi 12分26秒>

続きまして、ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの4枚組「ウスタード」の3枚目の方をおかけしますが、途中までになりますので、時間まで聞きながら今回はお別れです。最初にも言いましたが、オスマンスタイルの合唱を伴い、24のマカームをたおやかに渡り行く15分余りの大作で、歌詞の中にマカーム名を嵌め込んでそこで転調していくという、巨匠ならではの技巧を凝らした曲です。最初のラスト旋法の、オスマン音楽らしい明るく大らかな調子が曲の全体を象徴しているようにも思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3-1 Rast Kar-i Natik (Rest Getirup Fend Ile Seyretti Numayi) 15分59秒>

RAST KÂR-I NÂTIK (Rast Getirip Fend İle) -- Münir Nûrettin Selçuk

| | コメント (0)

2019年11月18日 (月)

デデ・エフェンディのYine Bir Gulnihal

ゼアミdeワールド187回目の放送、日曜夜にありました。20日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Yine Bir Gulnihalですが、色々ありますが今日はジョシュクンのケマル・ギュルセスの楽団の演奏のみにしておきます。

トルコの伝統音楽の6回目です。今回はオスマン古典音楽名曲選の4回目としまして、オスマン・トルコ古典音楽の大作曲家の一人、イスマイル・デデ・エフェンディの曲をご紹介したいと思います。トルコCoskunから20年余り前に出ていた「トルコ古典音楽のファスル Vol.5~デデ・エフェンディ」から始めますが、この盤について、今治中央図書館に寄贈していて何度も引き合いに出している本ですが、2002年に音楽之友社から出ていた「世界の民族音楽ディスク・ガイド」に書いた拙稿を読み上げます。

ファスル(古典組曲)は爛熟期オスマン文化の粋のような形式である。混声合唱の陰影に富んだ表情が実に素晴らしい。ユニゾンで動くメリスマティックな合唱(西洋的では絶対にない)を中心に、トルコ古典楽器の総出演。間に各楽器ごとのタクシーム(即興)も挿まれる。このジャンルは欧米盤ではUnesco位にしか見当たらないが、トルコでは10枚位のシリーズで幾つも出ている。まだまだオスマン帝国時代に生まれた人も多いトルコでは、年輩を中心に根強い人気があるのだろう。この盤は作曲家別シリーズの1枚で、19世紀の大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディの作品。優美で感傷的な3拍子の佳曲Yine Bir Gur Nihalを初め、極めつけの名演。

このように書いておりました。そのイネ・ビル・ギュル・ニハールは、例のムトゥル・トルンのウード教本にも、キーが変わって何度も出てくるラスト旋法のシャルク(古典歌曲の一種)で、とても親しみやすい3拍子の曲なので、ゼキ・ミュレンやネスリン・シパヒなど、サナート(古典歌謡)やシャルクの名歌手もよく歌っています。

古典音楽としての音源は手元に3種類ほどありますが、まず先ほどのジョシュクン盤のケマル・ギュルセス楽団の演奏からおかけします。2曲目に入っていますが、最初のシャドアラバン旋法のエキゾチックな曲からの流れが素晴らしいので、2曲続けておかけします。

<1 Gozumden Gonlumden Hayalin Gitmez 3分20秒>

<2 Yine Bir Gulnihal Aldi Bu Gonlumu 4分22秒>

Dede Efendi - Yine Bir Gülnihal Aldı Gönlümü (Rast)


同じ曲をトルコKent(EMI)から出ている「トルコ古典音楽 5~デデ・エフェンディ」では、ビザンツ風な混声合唱で聞けます。この盤についてはゼアミHPに次のように書いていました。

混声大合唱による作曲家別古典音楽の10枚シリーズの1枚。ビザンティン音楽にも似た柔らかく幽玄な音の動きを、民族オーケストラ(西洋楽器、トルコ楽器混成)がユニゾンで静かに支えています。なんとも言えず「トルコ的」としか言い様のない微妙な美しさ。どんどん旋法が移り変わる歌唱の内に、それぞれの旋法の名前(Rast~Pencugah~Mahur~Bayati~Nihavend等)を詠み込んでいく一曲目や、ラスト旋法の美しいシャルク「Yine Bir Gur-Nihal」は特に聞きどころ。

旋法が移り変わる曲は、また次回にでもかける予定です。官僚だった父親が晩年に銭湯を買い取って生計を立てたため「風呂屋の息子」の意味のハマーミザーデとあだ名されたイスマイル・デデ・エフェンディですが、メヴレヴィー教団の修行場に通って音楽を習い、歴代のスルタンに愛され、多くの弟子を育成した音楽家でした。デデとエフェンディは、どちらも「巨匠」のような意味の尊称ですが、単にデデ・エフェンディと言えば普通は彼を指すほど偉大な作曲家です。この人の生没年は1778~1846年で、ベートーヴェンと近い時期になりますので、両国の大作曲家と言うことで、どこかイメージがダブるように常々思っていました。

<3 Yine Bir Gul Nihal Aldi Bu Gonlumu 3分4秒>

もう一つのこの曲の音源は、トルコのUzelliから出ている「デデ・エフェンディのファスル」ですが、男性合唱と太鼓はクデュムが目立つため、メヴレヴィー的な色彩を感じる演奏です。

<7 Yine Bir Gul Nihal 3分12秒>

この曲について、20年近く前に当時キルギス在住だったトルコ語の堪能なネット上の知人のFさんに歌詞を訳して頂いたこともありました。かなりストレートなラブソングらしいこと、3拍子の美しい旋律は西洋音楽の影響もあるのではという意見があったように記憶しています。

では最後に、最初にかけたジョシュクンのケマル・ギュルセス楽団の演奏で、イネ・ビル・ギュル・ニハールの次の曲から後の数曲を、時間まで聞きながら今回はお別れです。オリエンタルな躍動感と共に、オスマン音楽の高雅な香りが漂ってくるようなこの演奏は、本当に素晴らしいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 Gonul Adli Bulbulum Var 2分59秒>

<4 Ey Gul-i Bagi Eda 3分6秒>

<5 Keman Taksimi 37秒>

| | コメント (0)

2019年11月11日 (月)

Ferahfeza Mevlevi Ayini

ゼアミdeワールド186回目の放送、日曜夜にありました。13日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。タトヨス・エフェンディの曲も見つかっていますが、Ferahfeza Mevlevi Ayini が長いので、今日の動画はこれだけにしておきます。

トルコの伝統音楽の5回目です。今回はオスマン古典音楽名曲選の3回目としまして、2曲を中心にご紹介したいと思いますが、どちらも2004年3月6日に日本のアラブ音楽ユニットのル・クラブ・バシュラフの恵比寿でのライブで聞いた曲です。

ゼキ・メフメト・アア(1776-1846)作曲の32拍子のソン・ペシュレヴは、やはりムトゥル・トルンのウード教本にあったので、帰ってからさっそく練習した思い出の曲です。最近は余りウードは弾いていませんが、たまに取り出すと決まって弾く曲です。

アラブ音楽のグループが何故トルコの曲を?と不思議に思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、これはアラブ世界の多くが長い間オスマン帝国領に入っていたので、14世紀のオスマン朝以後は、トルコ人の作曲家の曲が多く作られ、現在もトルコとアラブで共通した曲目が多くなっているためです。

これからおかけする音源はメドレーになっていますが、ライブで聞いたのは5分30秒辺りからのエヴフェルとソン・ペシュレヴ、ソン・ユルクセマーイのみだったようにも思います。この盤は、前々回にAbdulkadir MeragiのRast Nakis Besteをかけたシェノル・フィリス他によるMiras/Heritage(遺産)というトルコKalanの音源です。Ferahfeza Mevlevi Ayiniというのはメヴレヴィー教団の典礼音楽のことで、先ほど出てきた速いソン・ペシュレヴの前に演奏されるゆったりとした曲は、イスマイル・デデ・エフェンディ(1778-1846)作曲のエヴフェルという9拍子の曲です。ペシュレヴの後に出てくるソン・ユルクセマーイでは、6拍子が特徴的です。大作曲家デデ・エフェンディについては、次回以降特別に取り上げる予定です。因みに、アラビア語のバシュラフとトルコ語のペシュレヴは同じ意味です。

<9 Ferahfeza Mevlevi Ayini / Ferahfeza Son Pesrev 10分30秒>

Ferahfeza Mevlevi Ayini - Ferahfeza Son Peşrev [ Miras © 2001 Kalan Müzik ]


ル・クラブ・バシュラフのライブでは、オスマン朝末期のアルメニア系のヴァイオリニスト兼作曲家タチオス・エフェンディ(1855-1923または1858-1913)の曲も出てきました。この人の作品は、アメリカのTraditional Crossroadsからクドゥシ・エルグネル・アンサンブルの演奏で器楽合奏編と古典声楽編が出ていましたが、器楽合奏編の方にル・クラブ・バシュラフの演奏していたヒュセイニ旋法のサズ・セマーイが入っております。サズ・セマーイは前にも出てきましたが、アクサクセマーイと呼ばれる3+2+2+3の10拍子が特徴的な楽曲形式で、ファスルの最後に演奏されることが多いです。サズ・セマーイは、ペシュレヴと同じく4つのハーネ(楽章)とテスリム(リフレイン)から成り、最後の楽章はウスール(リズム)が変わってもいいというルールがあるので、この曲の4楽章は6拍子になっています。

<11 Kemani Tatyos Efendi  Huseyni Saz Semai 4分34秒>

タチオス・エフェンディと言えば、ムトゥル・トルンのウード教本にも入っていた、この盤の1曲目のスズナーク旋法のペシュレヴも有名なのではと思いますので、併せてかけておきます。エキゾチックな旋律がとても印象的な曲です。拍子は24拍子です。

<1 Kemani Tatyos Efendi  Suzinak Pesrev 4分2秒>

では最後に、ネイの名人アカ・ギュンデュズ・クトバイのプラヤサウンドから90年代に出ていたネイの独奏盤から、イスタンブールの有名な民謡「ウスクダラ」と同じ旋法のNihaventを時間まで聞きながら今回はお別れです。前回のラストにかけようと思っていて、かけられなかった曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 AKA Gunduz Kutbay / Le Ney - Nihavent 4分20秒>

| | コメント (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

J.S.バッハ New Wave-Indies アイヌ アメリカ アラブ アラブ・マグレブ アルゼンチン イギリス イスラエル イスラム教 イタリア イディッシュ イラン地方音楽 インディアン、インディオ インド インドネシア インド音楽 ウイグル ウラル・アルタイ エジプト エチオピア オペラ オーストラリア オーストリア キリスト教 ギリシア クルド クレズマー ケルト コンサート情報 コーカサス (カフカス) サハラ シベリア シャンソン ジャズ スイス スペイン スポーツ スーダン セファルディー ゼアミdeワールド チェロ チベット トルコ音楽 ドイツ ナイル・サハラ ナツメロ ニュース ハシディック ハンガリー バルカン バルト語派 バロック パキスタン ビザンツ音楽 フランス フランス近代 ブラジル ペルシア音楽 ペルシア音楽 トンバク ユダヤ ユダヤ音楽 ライブ情報 ルーマニア レビュー ロシア ロシア・マイナー ロマン派 ヴァイオリン 中南米 中国 中央アジア 仏教 仏教音楽 北アジア 北コーカサス(カフカス) 北欧 南アジア 南インド古典音楽 古楽 地中海 室内楽 弦楽合奏 弦楽四重奏 後期ロマン派 文化・芸術 新ウィーン楽派 旅行・地域 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 東アフリカ 東南アジア 東方教会 東欧 歌謡曲・演歌 民謡 沖縄 独墺 猫・犬 現代音楽 童謡、わらべうた 筝曲 純邦楽 西アフリカ 西スラヴ 韓国