ゼアミdeワールド

2026年10月 5日 (月)

ブロッホの祈り(チェロ)

ゼアミdeワールド533回目の放送、日曜夜22時にありました。7日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。ソル・ガベッタの演奏は、2014年に見たYouTubeに上がっているライブです。大分前から楽譜は持っていたので、2014年早速この曲をレッスンに持って行った時、R先生が「おお、ブロック!」と英語発音で言われたのが忘れられません。

スイスの10回目になります。今回は予告通りスイスのクラシックの作曲家特集にして、今回でスイスシリーズの締めにします。
スイスの有名な作曲家には、アルテュール・オネゲル、フランク・マルタン、オトマール・シェック、ヨアヒム・ラフ、エルネスト・ブロッホなどがいますが、音楽大国のドイツやオーストリアと比べると、随分と少ない感じです。この5人についても、相当クラシックを聴きこんでいる人でなければ知らないと思います。

私が一番馴染みがあるのは、ユダヤ系の作曲家ですが、エルネスト・ブロッホです。1880年スイス生まれで、1916年に渡米するまでヨーロッパ各地を転々とし、1924年に合衆国市民権を取得、1959年にアメリカで亡くなっています。
ユダヤ教の典礼音楽や、ユダヤの民族音楽を依り拠としている、チェロと管弦楽のための《シェロモSchelomo 》や、「祈り(Prayer)」など、チェロやヴァイオリンの名曲を残していて、私自身「祈り」は何度か催しでも弾いたので、特に馴染みがあります。
一番最初は2015年2月の今治総合芸能祭で、青野さんのジャズピアノとの共演でチェロを暗譜で弾きました。このステージはコンテンポラリーダンスとお能の舞との共演という、珍しい組み合わせで、その伴奏音楽としてチェロとピアノを合わせました。600人くらい来客がある大き目の催しですので、もしかしたら今治にはステージを見られた方もいらっしゃるかと思います。
この時弾いたのは、「祈り」の他にバッハの無伴奏チェロ組曲5番プレリュードの冒頭、ロンドンデリーの歌でした。「ロンドンデリーの歌」あるいはダニーボーイは、ジャズでも弾くことがあるだろうと思いますから、青野さんもパラフレーズして合わせやすいようでした。ブロッホの「祈り」は、独特なユダヤ旋法が出て来る曲ですが、ステージが「星の祈り」というタイトルだったので、なかなか馴染んだのではと思いました。

では「祈り」をアルゼンチンの女流チェリスト、ソル・ガベッタの演奏でおかけします。この曲は、1924年に作曲されたチェロとピアノのための組曲『ユダヤ人の生活から(From Jewish Life)』の第1曲です。「ユダヤ系スイス人の作曲家ブロッホが、自身の民族的ルーツや信仰心、深い精神性を音楽で表現した、静けさと切なさに満ちた名曲です」とAI回答に出て来ましたが、本当にそう思います。ソル・ガベッタの動画を見たのが2014年頃で、この人が弾いてから急にこの曲の音源が増えた気がします。

<ソル・ガベッタ & アムステルダム・シンフォニエッタ From Jewish Life: I. Prayer 4分38秒>

Sol Gabetta feat. Andreas Kern - 'Prayer' (Ernest Bloch) [live]

同じくブロッホの、チェロと管弦楽のための《シェロモSchelomo 》は23分近い曲ですから、ユダヤ旋法のはっきり分かる辺りまでおかけします。シェロモとは、旧約聖書に出て来るダヴィデ王の息子ソロモン王のヘブライ語読みです。私はこの曲を聞くと、古代ローマ帝国時代の国を失った民族であるユダヤ人のベンハーと、キリストの生誕、受難、復活までを描いた映画「ベン・ハー」を思い出します。ロストロポーヴィチとバーンスタインの名演です。

<ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ, フランス国立管弦楽団 & レナード・バーンスタイン Schelomo 22分52秒~8分位>

スイスの他の作曲家ですが、フランク・マルタンは現代の作曲家ですし、シェックとラフはかなりマイナーなので、オネゲルだけにしておきます。
アルテュール・オネゲル(1892–1955)は、機関車を音楽で表現したパシフィック231が特に有名で、中学頃音楽の授業で聞いた人も多いかと思います。オネゲルはフランス近代のいわゆる「フランス6人組」の一人として有名ですが、出身がスイスでした。スイスとフランスの二重国籍を持ち、主にフランスで活躍しています。
フランス6人組とは、ルイ・デュレ、アルテュール・オネゲル、ダリウス・ミヨー、ジェルメーヌ・タイユフェール、フランシス・プーランク、ジョルジュ・オーリックの6人です。彼らの先輩にドビュッシー、ラヴェルがいますが、特にエリック・サティの影響を強く受けています。この辺り、フランスに回ってきたら、また色々かけることがあるかと思います。
ではオネゲルのパシフィック231を、エルネスト・アンセルメ指揮パリ音楽院管弦楽団でおかけします。

<エルネスト・アンセルメ & パリ音楽院管弦楽団 Pacific 231, H. 53 5分53秒>

では最後にモーリス・ラヴェルのボレロを聞きながら今回はお別れです。ラヴェルは、母がスペインのバスク人、父はスイス出身でした。ストラヴィンスキーがラヴェルの管弦楽の精緻な作曲書法について「スイスの時計職人」と形容したエピソードは有名です。ボレロについては解説は不要かと思います。演奏はラヴェル自身の指揮、コンセール・ラムルー管弦楽団です。もっと上手い演奏は沢山あると思いますが、私は1980年頃からこの雰囲気のある演奏が大好きで、LPでよく聞いていました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<モーリス・ラヴェル & コンセール・ラムルー管弦楽団 Bolero, M. 81 16分14秒>

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2026年9月28日 (月)

Arlette Wismer

ゼアミdeワールド532回目の放送、日曜夜22時にありました。30日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は取り合えずHa träumt(夢)の一曲目を。

スイスの9回目になります。スイスのヨーデルについては、民間で盛んでもアマチュアが多いようで、意外なことに余り音源情報がないという話をしていました。CDについても、ドイツ語圏の民族音楽(フォークミュージック)は、日本ではほとんど見かけることがありませんが、サブスク音源の中にArlette Wismerと言う女性歌手の音源を見つけましたので、こちらを中心に進めます。三重唱者のメンバーとしてMarie Theres von Guntenが参加していますので、それで出てきたのだと思います。

Arlette Wismerのオフィシャルサイトからプロフィールを抜粋します。
アルレット・ウィスマーは1999年生まれ。ルツェルン州リッケンバッハの上にあるシュティーレンベルクの農場で、4人の姉たちと共に育ちました。幼い頃から音楽と歌に情熱を傾け、5歳で母親のプリスカが率いるゲウエンゼー児童ヨーデル合唱団に入団。14歳からは同合唱団で歌い続けています。2013年、スイス青少年民俗音楽コンクールのヨーデル部門で総合優勝を果たしました。伝説的なトリオ・オイグスターのメンバー、アレックス・オイグスターと2枚のCDを制作し、スイス各地での公演活動で充実した日々を送っています。

アルバムバイトルのHa träumt(夢)から5曲続けます。タイトルだけ見ても分かりますが、スイスドイツ語のようで、標準ドイツ語と綴りが結構違うので、翻訳にかけても訳が余り出て来ません。3曲目は北川桜さんの師匠のMarie Theres von GuntenとArlette Wismerの母Priska Wismerとの三重唱、4曲目は母 Priska Wismerとの二重唱、5曲目はウィスマー家全員の合唱です。

<Ha träumt 3分23秒>

<Hütt bini z'friede und froh 3分3秒>
<Meitschi säg, wie isch es gsi (with Marie Theres von Gunten & Priska Wismer) 4分19秒>
<Zwei Liebi (with Priska Wismer) 3分34秒>
<S'Vreneli vom Guggisbärg  Familienchor Wismer 4分26秒>

この後は先週かけた北川桜さんの「Es Fascht fur mis Harz(私の心のお祭り)」から、2008年のスイス連邦ヨーデルフェストで北川さんが最高級クラス1級の判定を受けたE Bitt(神様)の歌唱と、グロッケンでエーデルワイスを演奏している曲を続けておかけします。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<E Bitt(神様) 4分4秒>
<Edelweiss(エーデルワイス) 2分6秒>

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2026年9月21日 (月)

Es Fascht fur mis Harz(私の心のお祭り)

ゼアミdeワールド531回目の放送、日曜夜22時にありました。23日20時半に再放送があります。CD音源そのものはYouTubeにはなさそうですので、今日は北川桜さんのTVでの紹介映像を上げておきます。

531回目の放送になりました。スイスのシリーズに戻りまして、8回目になります。今回は519回目の放送でかけた日本人で初のプロ・ヨーデル女性歌手、北川桜さんの本場スイスでの初CD「Es Fascht fur mis Harz(私の心のお祭り)」と、北川桜さんのスイスヨーデルの師匠であるマリーテレーズ・フォン・グンテンの音源を特集します。北川桜さんのCDは、20年近く前にご本人から委託で預かっています。曲目はスイスヨーデルの巨匠マリー・テレーズ・フォングンテンの作品を中心に、マリーテレーズ・フォングンテンとのデュエットもあります。大体マリーテレーズさんが上声部を歌っているようです。1曲目はこの盤が出る前年に亡くなったルエディ・リーマン(Ruedi Rymann)の作ったナトゥアヨーデルとのことです。最後の曲は、有名なスイス民謡のホルディリディアですが、「ヨーデル王」と呼ばれたドイツのフランツル・ラングも歌っていたと思います。間の2曲.(人生は時に・・・)(夏の終わり)のデュエットも大変美しいです。

<Heech obe(秋) 2分51秒>
<Im Labe het di mangisch scho...(人生は時に・・・) 4分15秒>
<Spotsummer(夏の終わり) 4分23秒>
<Vo Luzern uf Weggis zue(ルツエルンからベッギスへ) 1分36秒>

jodel kitagawa sakura

再度北川桜さんのプロフィールをオフィシャルサイトから引用します。
国立音楽大学声楽科(ソプラノ)卒業で二期会オペラ会員。数多くのオペラ・オペレッタ・ミュージカルに出演をしながら、1992年より ヨーデルを中心とした ドイツ、スイス、オーストリアの民族音楽を勉強するために現地へ留学。
スイスヨーデルをマリーテレーズ・フォン・グンテンに、ドイツヨーデルを インゲ・フォッファー、マリア・ヘルビック、オットー・ピアサック、チロルヨーデルをアンニ・イエーガーの各氏に師事。1994年にヨーデルを中心としたアルプスの音楽隊「ヨーデル北川桜とエーデルワイスムジカンテン」を結成。

スイスのヨーデルについては、民間で盛んでもアマチュアが多いようで、意外なことに余り音源情報がないのですが、北川桜さんのスイスヨーデルの師匠であるマリーテレーズ・フォン・グンテンについては何曲か見つかりましたので、2曲続けておかけします。前にもかけましたが、一曲だけで終わったと思います。アルペンホルンとの共演作は、オシュス・ディー・ドリッテンとは対照的に、クラシカルで優しい感じの歌唱でした。

Marie Theres Von Gunten & Hans Albisser / Das grosse Alphornkonzert
<Musig verbindet 4分21秒>
<Luschtigi Älpler (Alphorn mit Jodel & Ländlermusik) 3分12秒>

では最後に北川桜さんとマリーテレーズさんのデュエットでStuune(感動、感激)と言う曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。この盤にはグロッケンの演奏も多いのですが、今回はお二人の大変美しいヨーデル・デュオを中心におかけしました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Stuune(感動、感激) 4分46秒>

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2026年9月14日 (月)

カントリーヨーデル

ゼアミdeワールド530回目の放送、日曜夜22時にありました。16日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。何と1933年に亡くなっているジミー・ロジャースの代表曲の映像がありまして、びっくりしました。

スイスのシリーズに戻りますが、その前にカントリーヨーデルを一回聞いておきます。ハワイのヨーデル風歌唱は「レオ・キエキエ(Leo Kiʻekiʻe)」と呼ばれ、この歌唱法はドイツ系移民が直接持ち込んだものではなく、ハワイ古来の伝統的な歌唱をベースに、1830年代にやってきたメキシコ・スペイン系カウボーイ(パニオロ)の歌唱文化などが融合して生まれたということでした。

アメリカのカントリーミュージックのヨーデルについては、やはりスイスやオーストリアから来たドイツ系移民が持ち込んだようですが、きっかけとしては20世紀初頭、アメリカの寄席(ヴォードヴィル)などでスイスのヨーデルが披露され、面白い歌唱法が受けたため、カントリー音楽に取り入れられたようです。同じカントリーと言っても、東部のアパラチア山脈のカントリーはスコットランドとアイルランド系移民が多かったため、ブルーグラスなどでもヴァイオリンが特徴的で目立ちますが、ヨーデルは聞けないようです。この事実から判断すると、西部の方でドイツ系移民が多かったのかも知れませんが、ドイツ系のヴォードヴィリアンが披露したヨーデルを、非ドイツ系の人も真似たということかも知れません。

南部出身のジミー・ロジャース(Jimmie Rodgers)が黒人ブルースとヨーデルを組み合わせたスタイルを確立し、「カントリー音楽の父」と呼ばれています。まず彼の歌唱を何曲かおかけします。525回目の放送でブルーヨーデル第9をかけましたので、今回は副題のある1、2,4,8番の4曲をおかけします。ブルーヨーデル第9はロックの殿堂で1986年"アーリー・インフルエンス"部門に選ばれ、ロックンロールを形成した500曲の1つに選ばれたそうです。

<Blue Yodel No. 1 (T for Texas) 3分24秒>

<Blue Yodel No. 2 (Lovin' Gal Lucille) 3分17秒>
<Blue Yodel No. 4 (California Blues) 3分1秒>
<Blue Yodel No. 8 (Mule Skinner Blues) 2分57秒>

ウェスタンブーツにウェスタンハットで、ギター片手に歌うカウボーイのイメージが、カントリー音楽と密接に結びつくようになったのは、1930年代に入ってからのことだそうです。ロイ・ロジャーズはヨーデルも入れて歌っていますので、2曲おかけしておきます。Yodellin' CrazyとA Yodelling Hoboです。この人は「キング・オブ・カウボーイ」と呼ばれ、アメリカの有名な歌手、俳優で、ロデオパフォーマーでもあったそうです。「歌うカウボーイ」がヨーデル入りで歌うので、相当なインパクトがあったのではと思います。2曲目のように、19世紀の終わりから20世紀初頭の世界的な不景気の時代、働きながら方々を渡り歩いた渡り鳥労働者ホーボーのライフスタイルにヨーデルの楽しくクレイジーな歌い方がマッチしたのではと推測しますが、どうでしょうか。

<Yodellin' Crazy 2分5秒>
<A Yodelling Hobo 2分58秒>

前にかけましたが、日本において「ヨーデル」を一般に紹介したのは、1933年(昭和8年)の中野忠晴による「山の人気者」が最初とされています。この曲はアルプスのヨーデルではなくカントリー・ヨーデルになるようです。この曲は日本のカントリー歌手ウイリー沖山もレパートリーにしています。ここで中野忠晴による「山の人気者」を再度おかけしておきます。ウイリー沖山では音源が見つからなかったのですが、YouTubeにはありましたので、ゼアミブログでは取り上げる予定です。1909年生まれの中野忠晴は、服部良一、ディック・ミネとともにアメリカのポピュラーソングを戦前の日本に広め、和製ポップスの基礎を築いた人ということですから、同世代か少し年上のジミー・ロジャースやロイ・ロジャースのことも知っていたのではと思います。

<中野忠晴 / 山の人気者 3分10秒>

では最後に、もう一人カントリーヨーデルで見つけて選曲してありましたElton Brittの歌唱をおかけします。この人は西部劇のバラードとヨーデルの歌で最もよく知られていたそうです。曲はCannonball Yodel(砲弾のヨーデル?)です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Cannonball Yodel 2分58秒>

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2026年9月 7日 (月)

市丸さんの「天竜下れば」

ゼアミdeワールド529回目の放送、日曜夜22時にありました。9日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。まずは昭和8年のオリジナル録音から。

里帰りが長くなっていますが(笑)、今回はお盆の民謡特集の4回目として、市丸さん特集と民謡アンソロジーにしてみます。前々回にかけた「阿波よしこの」を歌っていたお鯉さんこと多田小餘綾(ただ こゆるぎ)さんは、昭和11年にタイヘイレコードと専属契約を結び、「東の市丸、西のお鯉」として全国に知られるレコード歌手、日本の「歌姫」として活躍したそうですが、この機会に東の市丸さんの歌を何曲かかけてみようかと思います。

前にもかけたかと思いますが、昭和8年の大ヒット曲の「天竜下れば」から始めます。1906年生まれの市丸さんとほぼ同世代の私の祖父が市丸さんのファンだったと父から聞き、それ以来、幼少時代に祖父に連れられて行った今治の奥座敷、鈍川温泉の渓谷を見ると、この曲が脳内再生されるようになりました。これも前に言ったかも知れません(笑) 行ったことのない天竜川の渓谷が目に浮かぶような名曲です。
祖父は新内節も好きだったそうで、近くにあった花街「移転地」に聞きに行ったのではと思いますが、何とそこに私の新内の師匠の母、宗家が営業に来ていたのではということを宗家がご存命の時にお聞きしました。祖父は宗家の芸を聞いたのかも知れません。このエピソードも前に言ったかと思いますが、民謡や新内など、何と歌の趣味が合うことでしょうか(笑) 生きていたら聞きたいことが山ほどあります。

<中山晋平の新民謡 市丸 / 天竜下れば 3分20秒>

市丸さんの故郷の長野県南部伊那地方の民謡だけでなく、近県の民謡の歌唱も大変素晴らしく、木曽節、伊那節の2曲を続けます。

<日本の流行歌スターたち(15) 市丸 / 木曽節 2分47秒>
<日本の流行歌スターたち(15) 市丸 / 伊那節 2分42秒>

野沢温泉小唄は「天竜下れば」と一緒に「中山晋平の新民謡」に入っています。昭和5年、雪の野沢温泉に中山晋平、作詞の時雨音羽、振り付けの藤間芳枝がそろって訪れ、興大いに湧いて創り上げた新民謡と言われています。昭和初期の鶯芸者三羽烏の最年長、藤本二三吉が最初に歌った歌です。
長野県北部に位置する野沢温泉と言えば、30年くらい前に道祖神祭りという荒々しい祭りの映像をTVで見て、大変強く印象に残っています。

<中山晋平の新民謡 市丸 / 野沢温泉小唄 3分12秒>

市丸さんは民謡調の流行歌よりも、まず小唄・端唄の名人として知られていますので、端唄名曲の深川をおかけしておきます。バックの「チョイナー」というお囃子は民謡系統のものかと思いますが、歌は江戸の花街ど真ん中の内容です。三味線の三下りの荘重な感じがぴったり来る曲です。

<端唄 特選 市丸 / 深川 4分18秒>

Traditional Folk Songs of Japanからデカンショ節をおかけしますが、この音源は1961年に米Folkwaysからアナログ盤が出ていて、最近は米Smithsonian FolkwaysからサブスクかDLかカスタムCDRで購入可になっています。歌い手が不明の江差追分と佐渡おけさや、今とは節が異なる五木の子守唄など、興味深い音源が色々あります。この中から最近は余りCD等では聞くことが少ないと思われるデカンショ節を選びました。

デカンショ節は、兵庫県丹波篠山市を中心に歌い継がれている江戸時代からの盆踊り唄で代表的な民謡です。江戸時代から唄われていた農作業の仕事唄・盆踊り唄である「みつ節」が変化したものとされています。曲名の由来は、囃子言葉の「ドッコイショ」がなまったという説や、哲学者のデカルト、カント、ショーペンハウエルに由来するという俗説などがあります。中学時分ショーペンハウエル好きだったので、私はそれで興味を持った面もあります。

<Group from Sasayama / Dekansho song 3分23秒>

では最後に八代亜紀の「舟歌」のアンコとして挟まれていることでも有名な「ダンチョネ節」をおかけします。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。歌唱は三浦布美子です。
この曲は大正時代の作者不詳の流行歌ですが、神奈川県三浦市三崎町を中心に広まり、神奈川県の民謡とされています。
民謡としての「ダンチョネ節」は船乗りの悲哀を歌っており、その節を使って色々な替え歌が作られ、東京高等商船学校の学生によって愛誦され、また軍隊でも唄われるようになりました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<艶唄芸者 三浦布美子 / ダンチョネ節 2分43秒>

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2026年8月31日 (月)

江差追分のルーツ 信濃追分

ゼアミdeワールド528回目の放送、日曜夜22時にありました。2日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。江差追分のルーツとされている信濃追分と越後追分、共に結構地元の歌い手中心にまだまだ歌われているようで、YouTubeが結構ありました。今日の歌唱は2021年キングからのリリースがあったそうですが、おそらくご当地中心の販売で、全国にはあまり知られてないのではと思います。民謡に関しては地元の販売ルートがあるので、まだまだ点数は出ているようです。この2曲に限らず、日本民謡大観の古い音源はYouTubeには上がってないように思いました。簾田じょうと千代菊の歌唱は最高でしたが。

今回はお盆の民謡特集の3回目です。
前回は「民謡の王者」と称される北海道民謡の江差追分を、初代浜田喜一の極めつけの名唱などでおかけしました。

江差追分は、江戸時代中期以降に北海道の江差町で生まれた民謡です。信州の馬子唄が北前船の船頭らによって越後経由で蝦夷地に伝えられ、ニシン漁などで栄えた江差の遊興や生活の中で独自の哀愁を帯びた「民謡の王様」へと磨き上げられました。

江差追分の源流は、信州(長野県)の馬子唄や追分節が起源という説が有力で、北前船で船乗りや商人によって越後から北海道の江差へ運ばれたとされますが、盲目の女旅芸人の瞽女さんも一役買っていたのではと思います。

民俗学者、芸能研究者の三隅治雄さん他共著の日本民謡辞典によると、
信州浅間山麓の追分宿3つ(追分、沓掛、軽井沢)で、飯盛女が酒席の座興に歌い出したお座敷唄の信濃追分が越後に伝わって越後追分になり、さらに日本海を北上する途中、酒田追分や本庄追分を生んで、幕末の天保年間に北海道に入って松前追分(江差追分)になったというのが、他にも諸説ありますが、最有力とされています。

既に余り歌われなくなったのでしょうか、現在の民謡の音源には信州と越後の追分はほとんど見かけませんが、日本民謡大観の古い音源には何曲もありましたので、いくつかおかけします。信濃追分を歌っている1901年生まれの簾田(みすだ)じょうは、長野県を中心に活躍した昭和の芸妓で民謡歌手です。信濃追分は、碓氷峠の馬子唄を三味線に乗せた曲です。越後追分を歌う千代菊は、昭和期などに活躍した民謡歌手・三味線奏者ではないかと思います。小唄勝太郎らと共にレコードの録音(「東京音頭」の三味線など)や、数多くの民謡のレコード・CD音源(「米山甚句」「南蛮音頭」など)を残しています。

<信濃追分 簾田じょう 3分54秒>
<越後追分 千代菊 3分30秒>

信濃追分 小杉真貴子

 
日本海側を越後から北海道に北上する途中の山形や秋田の追分もありますので、2曲続けます。本庄追分の三味線は、秋田三味線や津軽三味線に少し似ているように思います。秋田追分は「SP盤復刻 日本民謡の名人をたずねて(上)」に入っている鳥井森鈴の歌唱です。

<本庄追分 加納初代 3分>
<秋田追分<前唄・本唄>(秋田県) 鳥井森鈴 5分44秒>

興味深いことに信州から越後のルートとは少し離れる群馬にも上州馬子唄という曲が残っています。日本民謡大観 関東篇 3にありますので、おかけしておきます。
尺八修理工房「幻海」のサイトに以下の解説がありました。
上総(かずさ)の高崎(上州、現 群馬県)から越後の長岡(越州、現 新潟県)まで続く三国街道で、馬を引いて人や荷物を運ぶ馬子(馬方、馬追)をしていた樺沢芳勝が博労(馬や牛を売買する仲買人。馬喰、伯楽とも)から習った唄を独自にかえて唄い始めたという。すぐれた節回しを残した面白みのある良曲。もとは信濃辺りの馬追い唄が同地に流れてきたのだと考えられる。

<上州馬子唄 樺沢芳勝 1分59秒>

「SP盤復刻 日本民謡の名人をたずねて(上)」という盤には、1917年生まれの初代浜田喜一さんより40歳くらい年上の往年の名人、越中谷四三郎(えっちゅうや しさぶろう)の江差追分が入っていますので、次におかけします。この人は1875年生まれ1961年没で、「江差追分」の三派の一つである「詰木石派」の立役者であり、その曲調の確立や普及に生涯を捧げた名人と称される人物とのことです。この頃は伴奏が三味線中心だったようです。音が低いので太棹かも知れません。

<江差追分(北海道) 越中谷四三郎 3分23秒>

前回予告していた市丸さんや、他に選曲していた民謡が洩れましたので、もう一回純邦楽シリーズを続けます。
では最後に、初代浜田喜一さんの江差追分を、前回とは別音源の「SP盤復刻 日本民謡の名人をたずねて(上)」に入っている方でおかけします。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<江差追分(北海道) 初代浜田喜一 6分14秒>

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2026年8月24日 (月)

西馬音内盆踊り

ゼアミdeワールド527回目の放送、日曜夜22時にありました。26日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は西馬音内盆踊り(にしもないぼんおどり)のライブ映像を2本上げておきます。方言で聞き取りにくいので、字幕付きが有難いです。

今回はお盆の民謡特集の2回目です。毎年よくかけていたのが、徳島の阿波踊りと郡上八幡の盆踊り、越中おわら風の盆、青森のねぶたと弘前のねぷた、秋田県羽後町の西馬音内盆踊り辺りという話をしていましたが、今回は秋田の西馬音内盆踊りの音源から始めます。顔が見えない編笠と謎めいた黒頭巾で有名ですが、秋田弁の歌はきわどかったり、割とユーモラスにも聞こえます。秋田出身の演歌歌手、藤あや子さんが歌謡番組でよく歌っていたので、耳覚えのある方がいらっしゃるかも知れません。秋田県羽後町の「西馬音内盆踊り」、岐阜県郡上市の「郡上おどり」、徳島県徳島市の「阿波踊り」が日本三大盆踊りと言われますが、四国からは遠いので秋田の盆踊りを見る機会はなかなかないと思います。ユネスコ無形文化遺産にもなっています。今回おかけするのは「日本民謡大観 東北篇 6」に入っている古い録音です。

<西馬音内盆踊(音頭) 3分3秒>
<西馬音内盆踊(がんげ) 3分13秒>

西馬音内盆踊「音頭」

西馬音内盆踊り紹介動画 寄せ太鼓~音頭~がんけ~フィナーレ

前回かけた「阿波よしこの」を歌っていたお鯉さんこと多田小餘綾(ただ こゆるぎ)さんの「阿波の麦打ち唄」という民謡が同じ「阿波の遊行」に入っていますので、おかけしておきます。民謡以外にも清元、長唄などの三味線音楽の世界でも一流だったことが歌から聞き取れ、大変素晴らしいと思いました。昭和11年にタイヘイレコードと専属契約を結び、「東の市丸、西のお鯉」として全国に知られるレコード歌手、日本の「歌姫」として活躍したそうです。次回市丸さんをかけてみようかと思います。

<阿波の遊行 [DISC2] ~阿波の麦打ち唄 2分40秒>

裏声を使うことからヨーデルに似ていると言われることもある青森民謡のホーハイ節を往年の民謡の大御所、成田雲竹さんの歌唱でおかけします。尺八伴奏は、津軽三味線の名人として有名な高橋竹山です。尺八も最高です。

<名人による日本の伝統芸~成田雲竹の世界 ~ホーハイ節 2分51秒>

スイスシリーズの中で参照した解説の中に「ナトゥアヨーデルが日本の馬子唄に似ている」との江波戸先生のコメントがありましたので、まず馬子唄の代表曲として長野県の小諸馬子唄をおかけします。決定版 日本の民謡に入っている江村貞一の歌唱です。

<決定版 日本の民謡 [Disc 2] ~小諸馬子唄 3分22秒>

馬子唄と同様、あるいは更に複雑なコブシを聞かせる民謡ジャンルに追分がありまして、その代表格の江差追分はこれまでに何度かかけてきました。「民謡の王者」と称される尺八伴奏の北海道民謡です。前にもかけたかと思いますが、何人もの民謡歌手の江差追分を集めた「江差追分 競演ベスト」に入っている初代浜田喜一の極めつけの名唱です。初代は1917年生まれ、昭和60年に亡くなっています。

<江差追分 競演ベスト ~江差追分(前唄・本唄・後唄) 浜田 喜一(初代) 6分50秒>

では最後に尺八2本による江差追分をおかけします。これも大分前にかけたかも知れません。二人の尺八名人、菊池淡水・榎本秀水の演奏で、「SP盤復刻 日本民謡の名人をたずねて(上)」に入っています。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<江差追分(尺八合奏|北海道) 3分18秒>

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2026年8月17日 (月)

阿波おどりの原型「津田の盆(ぼに)踊り」

ゼアミdeワールド526回目の放送、日曜夜22時にありました。19日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は「津田の盆(ぼに)踊り」のドキュメンタリー映像を上げておきます。

526回目の放送になりました。放送が16日と19日で少しタイミングがずれましたが、今回はお盆の民謡特集です。毎年よくかけていたのが、徳島の阿波踊りと郡上八幡の盆踊り、越中おわら風の盆、青森のねぶたと弘前のねぷた、秋田県羽後町の西馬音内盆踊り辺りですが、今回は阿波踊りの周辺で、現在ではおそらく聞くことが難しくなっているような古い型の芸を収めた貴重な音源です。「阿波の遊行」と言う2枚組で、鳴門出身の現代舞踊家の檜瑛司さんの驚異的なフィールドワークによる数百時間のテープを元に、プロデューサーの久保田 麻琴さんが選りすぐりのトラックをマスタリングしたという盤です。まず路上での小編成の阿波踊りを収録したと思われる2曲からおかけします。演奏者は川田ナカ、場所: 貞光とあります。

<阿波踊りゾメキ 1 1分39秒>
<阿波踊りゾメキ 2 3分16秒>

阿波踊りには速いリズムとは対照的な、長い間(ま)の民謡「よしこの」が同時に付くのが本来の姿だと思います。この盤に入っている1968年の録音は、細かいコブシが付いた「よしこの」で、歌い手は「阿波よしこの」の第一人者、お鯉さんこと多田小餘綾(ただ こゆるぎ)、場所: 徳島市南二軒町とあります。

<阿波よしこの 4分28秒>

阿波踊りの原型と言われる芸能に、徳島市津田地区に伝わる「津田盆(ぼに)踊り」がありますが、「よしこの」の部分の録音が3曲入っていますので、続けておかけします。海で遭難した人々の死者鎮魂と先祖供養のための精霊踊りで知られ、テレビのドキュメンタリーが大分前にありまして、「お父(とう)、もんて来い~」と海に向かって叫ぶシーンが放映され、胸にグッときました。

<津田のよしこの 1 (徳島市津田盆(ぼに)踊り歌) 3分21秒>
<津田のよしこの 2 (徳島市津田盆(ぼに)踊り歌) 2分15秒>
<津田のよしこの 3 (徳島市津田盆(ぼに)踊り歌) 3分30秒>

"もんてこいよー"阿波おどりの原型の一つとされる「津田の盆(ぼに)踊り」|Tsuda "Boni" dance

盆踊りとは関係のない曲ですが、徳島の民謡でおそらく一番有名な「祖谷の粉引節」も入っていますので、1968年のこの貴重音源をおかけしておきます。この曲は旋律の美しさから演歌歌手もよく歌っていますが、1970年代前半位に「魚井の御膳味噌」のテレビCMに使われていたので、私はそれで覚えていました。祖谷のかずら橋を渡りながらおばあちゃんがこの民謡を歌うCMでした。歌い手はウダキクコ、場所: 三好郡西祖谷村老人ホームとあります。

<祖谷の粉引節 3分27秒>

亥の子唄という歌が2曲ありますので一曲入れておきます。「亥の子石」で歌を歌いながら各家の地面を突き、豊作や家内安全を祝って回る行事ですが、70年代くらいまでは今治でも田舎の方で見られました。時間が余りましたら仏教関係の歌に念仏踊りも入っていますので、入れておきます。これらの曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<亥の子唄 1分47秒>
<念仏踊り 1分55秒>

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2026年8月 6日 (木)

赤いレイ

ゼアミdeワールド525回目の放送、水曜夜8時半にありました。9日22時と12日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今回は3回あります。来週一週間夏休みですので、ブログも飛び飛びになるかも知れません。お盆の民謡特集は初回が16日ですから、一週間ずれ込みます。今日はまずハワイアン名曲「赤いレイ」から。1980年にサーカスの歌唱で聞いて記憶に残っていましたが、真珠湾攻撃のあった年(1941年)に海軍入隊前の16歳の大橋さんが作った歌と去年知って、大変驚きました。番組でかけた冒頭の掛け声が絶妙でウクレレがリズムセクションで活躍する音源が見当たらないので、ライブ映像を上げておきます。

525回目の放送になりました。スイスシリーズの途中ですが、8月は毎年恒例のお盆の純邦楽に移ります。その中でスイスやオーストリアの時に出てきたカントリー・ヨーデルやハワイアンのヨーデル風な歌唱、ホーハイ節など裏声を使う日本の民謡、ナトゥアヨーデルの比較で出てきた日本各地の馬子唄などを取り上げると予告していました。

まず日本のヨーデルから始めますが、日本において「ヨーデル」を一般に紹介したのは、1933年(昭和8年)の中野忠晴による「山の人気者」が最初とされています。この曲はアルプスではなくカントリー・ヨーデルで、日本のカントリー歌手ウイリー沖山もレパートリーにしています。まず中野忠晴による「山の人気者」からおかけします。ウイリー沖山では音源が見つからなかったのですが、YouTubeにはありましたので、ゼアミブログでは取り上げる予定です。

<中野忠晴 / 山の人気者 3分10秒>

戦後の日本において「ヨーデル」が一般に広まったのは、1951年(昭和26年)発売の灰田勝彦の「アルプスの牧場」よるところが大きいそうです。私も子供のころに灰田勝彦の歌唱はTVで見た記憶があります。ハワイ生まれの粋な叔父さんというイメージがずっとあります。「アルプスの牧場」「ハワイアン・フラソング MAMA E」と、大ヒット曲の「燦めく星座」の3曲を続けておかけします。「燦めく星座」もハワイアンの雰囲気があります。

<灰田勝彦 / アルプスの牧場 3分38秒>
<灰田勝彦 / ハワイアン・フラソング MAMA E 3分7秒>
<灰田勝彦 / 燦めく星座 2分45秒>

この機会に日本のハワイアン名曲を2曲続けておきます。1曲目は「赤いレイ」という曲ですが、私は1980年にミスターサマータイムで有名なサーカスのLPで初めて聞いて、ずっと彼らの曲と勘違いしていましたが、去年やっちんさんのバンドが伴奏するフラダンスのライブで偶然聞いて大橋節夫の作曲と知りました。1941年に書かれた古い歌でした。去年初めて大橋節夫の演奏で聞いて、スチールギター演奏と歌声の素晴らしさに感銘を受けました。2曲目は「星の降る窓」という曲ですが、間奏部分に軍歌「海ゆかば」が出てきて大変驚きました。灰田さんは1911年、大橋さんは1925年生まれで、戦死した友人知人も多いと思いますから、追悼の意を込めて入れたのでしょうか。

<大橋節夫 / 赤いレイ 3分12秒>
赤いレイ/大橋節夫とハニーアイランダース

<大橋節夫 / 星の降る窓 2分30秒>

このようにアメリカのカントリーとハワイアンは、裏声を使う歌唱法があるという共通点がありますが、スイスやオーストリアのヨーデルがアメリカ合衆国に伝わり、カントリー・ミュージックやカウボーイ文化と融合して1900年代初頭から発展し、「ウェスタン・ヨーデル」(Western yodel)とも呼ばれるのに対し、ハワイアンの場合はハワイ人の歌唱に似た歌唱法が元々あったのか、カントリーからの影響で入ったのか、判然としません。今回はカントリーヨーデルの代表曲として、ジミー・ロジャースのBlue Yodel No.9と、ロイ・ロジャースのHawaiian Cowboyをおかけしておきます。ロックの殿堂で1986年"アーリー・インフルエンス"部門に選ばれ、『ブルーヨーデル第9』はロックンロールを形成した500曲の1つに選ばれたそうです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Jimmie Rodgers / Blue Yodel No. 9 (Standin' on the Corner) 2分37秒>
<Roy Rogers / Hawaiian Cowboy 2分25秒>

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2026年7月27日 (月)

1953年のSongs and Dances of Switzerland

ゼアミdeワールド524回目の放送、日曜夜10時にありました。29日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今回かけた1953年の録音は、サブスクでは3曲だけでしたが、YouTubeには全15曲上がっています。その3曲はアルペンヨーデル以外の2曲は、何故かフランス語圏の歌だけでした。

スイスの7回目になります。予告通り米Smithsonian Folkwaysの1950年代の2点の内の古い方、1953年の録音から始めます。DLデータにはフルアルバムがありますが、サブスクで聞けるのはシングルでリリースされていたかと思われる3曲だけになります。この時期の録音を聞くことは他ではまずないので、かなり貴重な音源だと思います。英文解説の和訳をまず読み上げます。

1953年にローラ・ボルトンによって録音されたこのコンピレーション・アルバムは、フォークダンス、村の楽団、ヨーデル、合唱、ハックブレット(打弦楽器)、アルプホルン、ベル・ツリーなど、スイスの伝統音楽の数々を収録しています。ライブ録音ならではの楽しげな雰囲気が捉えられており、時折聞こえる観客の笑い声や、踊る演者の足踏みの音が、楽曲にさらなるリズムの深みを与えています。特に興味深く美しいのは、牛を呼び寄せるためにアルプホルンで奏でられる「山の呼び声(マウンテン・コール)」です。ボルトンは、このホルンの演奏について、山のこだまと調和させる必要があると述べています。ライナーノーツには、ローラ・ボルトンによるスイス音楽の解説に加え、歌詞(フランス語、ドイツ語、英語)や写真が掲載されています。

曲は、Alpine Yodel、En Revenant de Noces (Love Song)、Faisons a Petite Pas (Dance Song)の3曲です。

<Alpine Yodel 45秒>

<En Revenant de Noces (Love Song) 結婚式から帰ってきたとき 1分19秒>

<Faisons a Petite Pas (Dance Song) 小さな一歩を踏み出そう 1分36秒>

次に前回途中までになっていた1958年録音のMountain Songs and Yodeling of the Alpsの後半から、Emmentaler Song、Wild Haycutter Yodel(干し草刈り機のヨーデル)、Gadmer Song、最後はYodelと言う男女の重唱の曲までの4曲です。ヨーデルにこだわって選曲してみました。

<12 Emmentalerlied (The Emmentaler Song) 1分34秒>
<14 Wildheuryutz (Wild Haycutter Yodel) 1分23秒>
<16 Gadmer Liedli (Gadmer Song) 2分44秒>
<18 Yodele (Yodel) 2分5秒>

この後はスイスシリーズの最初に聞いたオシュス・ディー・ドリッテンのメインヴォーカルのメラニー・オシュをフィーチャーした曲から、個人的にとても気に入っていた曲Die Helden vom grossen St. Bernhardをおかけしておきます。「偉大なるサン・ベルナール峠の英雄たち」と訳せるようです。彼らの楽曲には、テンポがゆったりで、じっくりとヨーデルを聞かせる曲は余りないようですから、この曲はメラニー・オシュの美声を堪能できる数少ない一曲だと思います。
更にスイス民謡と言えば、おそらく日本で一番有名な「おおブレネリ」を後に続けます。この曲は現地では歌われなくなってしまい、来日した合唱団の日本向けLPを作る時に、日本側からの要望に応え急遽練習して収録したというような逆転現象も起こっていたそうです。NHK東京児童合唱団の歌唱です。

<Oesch's die Dritten / Die Helden vom grossen St. Bernhard 3分3秒>
<おおブレネリ 2分48秒>

この後はオシュス・ディー・ドリッテンの曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。Ku-Ku-Jodel (Live)とJodeln ist cool (Live)のライブ音源です。この2曲をもってスイスシリーズの華々しい中締めとします。
8月は毎年恒例のお盆の純邦楽に移りますが、その中でスイスやオーストリアの時に出てきたカントリー・ヨーデルやハワイアンのヨーデル風な歌唱、ホーハイ節など裏声を使う日本の民謡、ナトゥアヨーデルの比較で出てきた日本各地の馬子唄などを取り上げる予定です。
おそらく9月からになると思いますが、数少ないスイスのクラシック作曲家の作品も少し考えています。エルネスト・ブロッホのチェロ曲「祈り」なども予定しております。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Oesch's die Dritten / Ku-Ku-Jodel (Live) 2分30秒>
<Oesch's die Dritten / Jodeln ist cool (Live) 3分53秒>

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