ゼアミdeワールド

2019年11月11日 (月)

Ferahfeza Mevlevi Ayini

ゼアミdeワールド186回目の放送、日曜夜にありました。13日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。タトヨス・エフェンディの曲も見つかっていますが、Ferahfeza Mevlevi Ayini が長いので、今日の動画はこれだけにしておきます。

トルコの伝統音楽の5回目です。今回はオスマン古典音楽名曲選の3回目としまして、2曲を中心にご紹介したいと思いますが、どちらも2004年3月6日に日本のアラブ音楽ユニットのル・クラブ・バシュラフの恵比寿でのライブで聞いた曲です。

ゼキ・メフメト・アア(1776-1846)作曲の32拍子のソン・ペシュレヴは、やはりムトゥル・トルンのウード教本にあったので、帰ってからさっそく練習した思い出の曲です。最近は余りウードは弾いていませんが、たまに取り出すと決まって弾く曲です。

アラブ音楽のグループが何故トルコの曲を?と不思議に思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、これはアラブ世界の多くが長い間オスマン帝国領に入っていたので、14世紀のオスマン朝以後は、トルコ人の作曲家の曲が多く作られ、現在もトルコとアラブで共通した曲目が多くなっているためです。

これからおかけする音源はメドレーになっていますが、ライブで聞いたのは5分30秒辺りからのエヴフェルとソン・ペシュレヴ、ソン・ユルクセマーイのみだったようにも思います。この盤は、前々回にAbdulkadir MeragiのRast Nakis Besteをかけたシェノル・フィリス他によるMiras/Heritage(遺産)というトルコKalanの音源です。Ferahfeza Mevlevi Ayiniというのはメヴレヴィー教団の典礼音楽のことで、先ほど出てきた速いソン・ペシュレヴの前に演奏されるゆったりとした曲は、イスマイル・デデ・エフェンディ(1778-1846)作曲のエヴフェルという9拍子の曲です。ペシュレヴの後に出てくるソン・ユルクセマーイでは、6拍子が特徴的です。大作曲家デデ・エフェンディについては、次回以降特別に取り上げる予定です。因みに、アラビア語のバシュラフとトルコ語のペシュレヴは同じ意味です。

<9 Ferahfeza Mevlevi Ayini / Ferahfeza Son Pesrev 10分30秒>

Ferahfeza Mevlevi Ayini - Ferahfeza Son Peşrev [ Miras © 2001 Kalan Müzik ]


ル・クラブ・バシュラフのライブでは、オスマン朝末期のアルメニア系のヴァイオリニスト兼作曲家タチオス・エフェンディ(1855-1923または1858-1913)の曲も出てきました。この人の作品は、アメリカのTraditional Crossroadsからクドゥシ・エルグネル・アンサンブルの演奏で器楽合奏編と古典声楽編が出ていましたが、器楽合奏編の方にル・クラブ・バシュラフの演奏していたヒュセイニ旋法のサズ・セマーイが入っております。サズ・セマーイは前にも出てきましたが、アクサクセマーイと呼ばれる3+2+2+3の10拍子が特徴的な楽曲形式で、ファスルの最後に演奏されることが多いです。サズ・セマーイは、ペシュレヴと同じく4つのハーネ(楽章)とテスリム(リフレイン)から成り、最後の楽章はウスール(リズム)が変わってもいいというルールがあるので、この曲の4楽章は6拍子になっています。

<11 Kemani Tatyos Efendi  Huseyni Saz Semai 4分34秒>

タチオス・エフェンディと言えば、ムトゥル・トルンのウード教本にも入っていた、この盤の1曲目のスズナーク旋法のペシュレヴも有名なのではと思いますので、併せてかけておきます。エキゾチックな旋律がとても印象的な曲です。拍子は24拍子です。

<1 Kemani Tatyos Efendi  Suzinak Pesrev 4分2秒>

では最後に、ネイの名人アカ・ギュンデュズ・クトバイのプラヤサウンドから90年代に出ていたネイの独奏盤から、イスタンブールの有名な民謡「ウスクダラ」と同じ旋法のNihaventを時間まで聞きながら今回はお別れです。前回のラストにかけようと思っていて、かけられなかった曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 AKA Gunduz Kutbay / Le Ney - Nihavent 4分20秒>

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2019年11月 4日 (月)

ヒジャーズ・ホマーユンとフェラフェザ

ゼアミdeワールド185回目の放送、日曜夜にありました。6日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。ヴェリ・デデの方は今のところクドゥシ・エルグネル・アンサンブルでは見つかっておりませんので、ペシュレヴの楽譜付きでウードとベンディールの演奏で上げておきました。フェラフェザの方は、タクシームとイスマイル・ハック・ベイのペシュレヴの両方ありました。

トルコの伝統音楽の4回目です。今回はオスマン古典音楽名曲選の2回目ということで、ヴェリ・デデのヒジャーズ・ホマーユン旋法のペシュレヴと、イスマイル・ハック・ベイのフェラフェザ旋法のペシュレヴをご紹介したいと思います。前回が長調でしたから、今回は短調の名旋律を取り上げました。

20年前後前にトルコのウードを独習していて、どちらもトルコの楽譜を見ながら弾いたことのある曲です。西洋ではドとレの間は2つですが、アラブやペルシアでは4つ、トルコの音楽では9つに分けるので、9分の1音下げる音ではフラットが180度反対を向いていたり、シャープの線が一本少なかったり多かったり等、旋法ごとに使われる微分音を表すために独自の記譜法で書かれています。

2曲で23分ほどありますので、解説は最小限にして、まず90年にフランスAuvidis Ethnicから出たクドゥシ・エルグネルの「Fasl - Musique de l`empire Ottoman (ファスル オスマン帝国の音楽)」から、1曲目のヴェリ・デデのヒジャーズ・ホマーユン旋法のペシュレヴと、歌が出て来るアブドゥルハリム・アアのベステを続けておかけします。多くのファスル(オスマン古典組曲)の演奏スタイル通り、混声合唱が付くところがとてもオスマン音楽らしく、これは西洋との音楽的交流もあったことに加えて、トルコの場所が元ビザンツ帝国だったことと無関係ではないと思いますが、どうでしょうか。ヒジャーズ・ホマーユンのエキゾチックで艶美な旋律が、とてもオスマンらしく素晴らしいです。この曲はMutlu Torunのウード教本に楽譜があります。拍子は4+4+6+6+4の24拍子です。

<1 Fasl - Musique de l`empire Ottoman Medley: Peshrev / Beste 10分38秒>

Hicaz - Humayun Peşrev - Veli Dede ( Karar:Kız Neyi)


次もクドゥシ・エルグネルの90年に出たUnescoコレクションの一枚ですが、こちらはアンサンブルではなく、枠太鼓ベンディールのみの伴奏で、メヴレヴィー音楽に比重を置いて彼のネイをたっぷり聞かせる内容になっています。冒頭がフェラフェザ旋法の演奏ですが、ネイのタクシーム(即興)が5分余り続いた後で、イスマイル・ハック・ベイ作曲のペシュレヴが出てきます。イルマイル・ハック・ベイはマカーム・マーフールの軍隊行進曲を前々回にかけた作曲家で、オスマン朝末期から20世紀初めの青年トルコ革命後も活躍した音楽家です。この曲も先ほどの教本とは違いますが、楽譜が手元にあります。拍子は4+4+4+4+4の20拍子です。4拍子のように聞こえますが、フレーズで切って数えるようですので、20という数になっています。オスマン音楽では、24とか32、20などの息の長い拍子になっていますが、おそらく詩のフレーズと関係があるのだろうと思います。タクシームで高揚してきてベンディールが入った後で、ペシュレヴに移る時のスリリングな瞬間をお聞き逃しなく。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Kudsi Erguner / Turkish Ney - Makam Ferahfeza-Taksim 5分40秒>

Kudsi Erguner: The Turkish Ney - Makam Ferahfeza: Taksim


<2 Kudsi Erguner / Turkish Ney - Makam Ferahfeza-Pesrev 7分25秒>

Makam Ferahfeza: Pesrev

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2019年10月28日 (月)

オスマンとペルシアに共通のAbdulkadir Meragiの名曲

ゼアミdeワールド184回目の放送、日曜夜にありました。30日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。放送でかけられなかったホマーユン・シャジャリアンのyoutubeがありました。今日はこの一本だけ上げておきます。

トルコの伝統音楽の3回目です。

スルタンの親衛隊「イェニチェリ」をタイトルに冠したクドゥシ・エルグネルのフランスAuvidis Ethnicのオスマン軍楽の盤から、冒頭のMedley: Ceremonial des Janissaires / Elci Peshrevi / Rast Kar / Air des Mehtersを前回の最後にかけましたが、肝心のアブドゥルカディル・メーラギの曲が出てくる前に時間切れになってしまいました。

今回はオスマン名曲選の1回目ということで、14、15世紀のアブドゥルカディル・メーラギが書いたこの有名な旋律のRast Karを、幾つかの演奏で聞き比べたいと思います。まず前回のイェニチェリの一曲目のメドレーからおかけします。

<1 Medley: Ceremonial des Janissaires / Elci Peshrevi / Rast Kar / Air des Mehters 6分5秒>

アブドゥルカディル・メーラギですが、イランのBarbadから出た「情熱の書  Showghnaameh ショウグナーメ (3CD)」では、「ティムール朝期の音楽家Abdulkadir Meragi(1350または1360-1435)の文献を、音楽研究家・Mohammad Reza Darvishiが解釈し、トンバク奏者兼歌手のHomayun Shajarianが歌ったプロジェクト」という紹介をされていました。冒頭に、オスマン古典音楽の非常に古いレパートリーとして有名なAbdulkadir Meragi作曲のRast Nakis Besteが出てきますが、これは明らかにRast Karと同じ曲に聞こえます。

オスマン古典組曲をファスル(Fasil)と言いますが、ファスルの中ではカールの後にベステが演奏されるので、同じ曲の前半と後半のようにも聞こえるように思います。歌詞は通常はペルシア語で歌われていますが、イランの音楽家がペルシア音楽の古層を辿って行く内に、ティムール時代の音楽に行きつき、それがオスマン音楽と共通していたということで、Showghnaamehは大変に興味深い盤でした。

そのRast Nakis Besteをかけられれば良いのですが、例によって大好評につき売り切れで残ってなくて、更にデータも行方不明のため、2枚目に入っている同じラスト旋法の他の曲をおかけしておきます。同じマカームですから、似た雰囲気は感じられるかと思います。Rast (Mohtasham)という曲です。

<2-6 Showghnaameh ~Rast (Mohtasham) 6分43秒>

Homayoun Shajarian - Amed nesîm-i subh-dem tersem ki âzâreş küned (Abdülkâdir-i Merâgi)


歌のホマーユン・シャジャリアン以外は、Samer Habibi, Ehsan Zabihifar : キャマンチェ、Siyamak Jahangiri : ネイ、Ali Samadpur : ロバーブ、Sirus Jamali : ベース・ロバーブ、Arash Shahriari : タンブール(チャールタール)、Negar Buban : ウード、Sanaz Nakhjavani : カーヌーン、Behzad Mirza`i : ダーイェレという編成でした。曲調は確かにオスマン音楽ですが、それをペルシア音楽の音楽家が演奏しているところが非常にユニークに聞こえました。

Abdulkadir Meragi作曲のRast Nakis Besteとしてのオーソドックスな名演が、トルコのKalanから出ていますので、おかけしておきます。編成は、ネイと枠太鼓ベンディールのSenol Filiz(シェノル・フィリス)、タンブールがBirol Yayla(ビロル・ヤイラ)、ウードがSamim Karaca(サミーム・カラジャ)、カーヌーンがTaner Sayacioglu(タネル・サヤジュロウル)、ケメンチェはLutfiye Ozer(リュトフィイェ・オゼル)で、それらのすっきり静謐なユニゾンがとても美しいです。

<1 Rast Nakis Beste 5分10秒>

この曲はトルコの初回にかけましたウルヴィ・エルグネル・アンサンブルによるオスマン宮廷音楽のEnderunにも入っておりますので、おかけしておきます。タイトルがまた違っていて、Makam Rast: VI. Amed Nesimiとなっています。多くは器楽で演奏されるこの曲ですが、この演奏では歌詞が出てくるので、Amed Nesimiはその作詞者かも知れません。

<18 Makam Rast: VI. Amed Nesimi 3分57秒>

では最後に、余った時間でShowghnaamehの唯一見つかった2枚目のデータから、もう一曲のRastを時間まで聞きながら今回はお別れです。ホマーユン・シャジャリアンは、ペルシア古典声楽の大御所で父のモハマド・レザ・シャジャリアンにそっくりな歌声になってきたなと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2-7 Showghnaameh ~Rast (Mohtasham) 3分33秒>

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2019年10月21日 (月)

オスマン・トルコの軍楽(行進曲)

ゼアミdeワールド183回目の放送、日曜夜にありました。23日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画は今日はジェッディン・デデンだけにしておきます。何と、ロシアの赤軍合唱団との共演です。何でこういう共演が実現したのか、大分前にもブログに書いたことがありました。

トルコの伝統音楽の2回目です。前回はオスマン朝時代の古典音楽を少し聞きましたが、トルコの音楽と言えば、おそらく向田邦子原作のTVドラマ「阿修羅のごとく」に使われたオスマンの軍楽が一番知られていると思いますので、今回はキングのWRMLのシリーズにも入っている「トルコの軍楽~オスマンの響き」と、トルコ軍隊の先頭に立つスルタンの親衛隊「イェニチェリ」をタイトルに冠したクドゥシ・エルグネルのフランスAuvidis Ethnic盤のオスマン軍楽を中心にご紹介したいと思います。

小泉文夫氏とその弟子の小柴はるみさんの現地録音の「トルコの軍楽~オスマンの響き」ですが、テレビドラマの影響もあって、一時は最もよく売れた民族音楽音源だったようです。1979年のドラマですから、若い方は知らない人が多いのではと思います。さっそくその向田邦子原作のTVドラマ「阿修羅のごとく」に使われた古い陸軍行進曲「ジェッディン・デデン」(祖先も祖父も)からおかけします。

<1 古い陸軍行進曲「ジェッディン・デデン」(祖先も祖父も) 2分29秒>

Ottoman Military Band & Red Army Choir: Ceddin Deden Neslin Baban (Ottoman Janissary March).flv


ジェッディン・デデンの作曲者は、アリ・ルザ・ベイで、旋法はヒュセイニー、リズム型(ウスール)は4拍子のソフィアです。

私は98年にトルコの軍楽、メフテルのグループが来日した際に東京でのコンサートに行きましたが、軍楽のベースにあるのは、オスマン古典音楽やイスラムの宗教音楽であることがよく分かりました。作曲者にはオスマン古典音楽の作曲家の名前がかなり見つかります。楽器編成は、トランペット系のボル、オーボエ系のズルナ、打楽器は大型対太鼓のケス、小型のナッカーレ、両面太鼓のダウル、シンバル系のジルなどです。コンサートでは、コーラン朗誦をするムアッジンを兼ねているのでは思われる歌い手もいて、歌も非常に素晴らしかったのをよく覚えています。

バルカン半島はほぼ全域手中に収め、一時ハンガリーまでオスマン・トルコの版図に入り、ウィーンのすぐそばまで来ていたのですが、トルコ軍楽の行進曲は18世紀のヨーロッパで大流行し、ヨーロッパの軍楽やブラスバンド、ひいてはオーケストラの基礎になったとさえ言われています。色々な作曲家がトルコ行進曲を残していますが、その代表曲として、モーツァルトのトルコ行進曲をおかけします。オスマン軍楽と同じ所にアクセントが入っているのがよく分かります。パウル・バドゥラ=スコダ、フリードリヒ・グルダとともに「ウィーン三羽烏」と呼ばれたイェルク・デームスのピアノ独奏です。

<モーツァルト トルコ行進曲 イェルク・デームス 3分20秒>

キングの「トルコの軍楽~オスマンの響き」から、12曲目にはオスマン古典音楽の作曲家イスマイル・ハック・ベイの書いたマカーム・マーフールの軍隊行進曲が入っています。彼の曲はこの盤に数曲ありますが、古典の曲でも好きな曲が多いので、またいずれ取り上げたいと思っております。

<12 軍隊行進曲 2分16秒>

一つ戻って11曲目には、チャルメラをもっとけたたましくしたような同属のダブルリード管楽器ズルナのタクシームと、続いてエステルゴン城という曲が入っています。旋法はどちらもエキゾチックなヒジャーズで、リズム型は4+5のアクサクという9拍子です。エステルゴン城はヨーロッパ前線のトルコ占領下のハンガリーの古い民謡から取られた旋律とのことです。

<11 ズルナ・タクシーム~エステルゴン城 4分49秒>

このキング盤には、古い陸軍行進曲「ジェッディン・デデン」がもう1トラック入っていて、こちらは小泉文夫氏による1971年の現地録音です。この演奏では、軍楽の祈りが後ろに付いています。

<17 古い陸軍行進曲「ジェッディン・デデン」~軍楽の祈り 2分20秒>

次に、スルタンの親衛隊「イェニチェリ」をタイトルに冠したクドゥシ・エルグネルのフランスAuvidis Ethnic盤のオスマン軍楽から、ジェッディン・デデンと同じ曲のEski Ordou Marshiと、冒頭のMedley: Ceremonial des Janissaires / Elci Peshrevi / Rast Kar / Air des Mehtersを時間まで聞きながら今回はお別れです。メドレーの方で出てくるRast Karは、14、15世紀のアブドゥルカディル・メーラギが書いた有名な旋律で、ウードなどの古典楽器でも盛んに演奏されています。先週取り上げたウルヴィ・エルグネルの息子で、80年代のワールドミュージックブームの時に大きくクローズアップされたネイ奏者クドゥシ・エルグネルがオスマン軍楽を入れたということで、この盤は1990年のリリース当時に一部で大きな話題になりました。現在はフランスAuvidis Ethnicは活動停止しているので、おそらく入手不可の盤になります。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<6 Eski Ordou Marshi 2分3秒>

<1 Medley: Ceremonial des Janissaires / Elci Peshrevi / Rast Kar / Air des Mehters 6分5秒>

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2019年10月14日 (月)

ウルヴィ・エルグネルのアル・スール盤

ゼアミdeワールド182回目の放送、日曜夜にありました。16日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画は今回Gazi Giray Hanのマーフールのペシュレヴのみにしました。やはりウルヴィ・エルグネルでは見当たらないので、比較的似た演奏で上げておきました。

今回からトルコの伝統音楽を聞いて行きたいと思います。トルコの伝統音楽は、大きく分けて、ペルシア・アラブの優れた伝統を受け継いだオスマン朝時代の古典音楽と、これまで聞いてきました中央アジアのテュルク(トルコ)系諸民族とも繋がるアシュク(吟遊詩人)のサズ弾き語りなどの民俗音楽、スーフィー(イスラーム神秘主義)の音楽では旋回舞踏で有名なメヴレヴィー教団の音楽などがあります。

トルコの音楽と言えば、おそらく向田邦子原作のTVドラマ「阿修羅のごとく」に使われたオスマンの軍楽や、江利チエミが1954年に日本語で歌ったイスタンブール民謡のウスクダラが最も有名かと思いますが、その前に、まずは個人的に一番好きなトルコ古典音楽の盤で、1992年にフランスのAl Surからリリースされたネイ奏者ウルヴィ・エルグネル・アンサンブルによるオスマン宮廷音楽のEnderunという盤からご紹介したいと思います。ネイとは、葦で出来た長い縦笛で、ペルシアの大詩人ジャラールッディン・ルーミーが神秘主義詩の中で読み、メヴレヴィー教団を興して以来、スーフィーの音楽で最も重要な楽器とされています。アル・スールのメーカー自体活動停止してしまいましたので、現在はおそらく入手不可で、アップルミュージックなどストリーミングでも聞けないようです。

ウルヴィ・エルグネルは、メヴレヴィー音楽やオスマン古典音楽の現代最高のネイ奏者の一人であるクドゥシ・エルグネルの父で、この演奏には有名なネイ奏者アカ・ギュンデュズ・クトバイやタンブール奏者のネジデト・ヤシャルも参加しています。ウルヴィ・エルグネルは、1924年生まれ1974年没ですから、録音は晩年でしょうか。若き日の息子クドゥシ・エルグネルもメンバーにいるのではと思います。この盤の解説はクドゥシ・エルグネルです。アルバムタイトルになっているエンデルンとは、オスマン宮廷の中に作られた学校で、そこではスルタンお抱えの楽師や詩人、神学者、歴史家、書家などが活躍していたそうです。

「パクス・ロマーナ」(ローマの平和)にちなんだ「パクス・オトマニカ」 (Pax Ottomanica)を連想させる、太平のオスマン時代を思わせる大らかなマカーム・マーフールのペシュレヴ(器楽合奏の前奏曲)からおかけします。

<1 Makam Mahur: I. Pesrev 3分6秒>

Mahur Peşrev- Gazi Giray Han


この曲は、現在はロシア領のクリミア半島出身で、チンギス・ハーンの末裔と言われるGazi Giray Han(ガズィ・ギレイ・ハーン)の作曲です。クリミア・ハン国は16世紀頃はオスマン帝国の属国で、彼はクリミアの12代目ハーンでしたが、勇敢な戦士であるだけでなく偉大な作曲家としても知られ、色々な楽器を演奏し、アラビア語、ペルシア語、オスマン語など多言語で詩も残しています。Mutlu Torunのウード教本にも入っているこのマーフール旋法の明るく親しみやすいペシュレヴは、作曲されたのが16世紀ということでオスマン音楽の中でもかなり古い曲ですが、長らく口承で伝えられ、ウルヴィ・エルグネルが記譜したとのことです。

この盤にはマーフール、ペンジガー、ラストという3つのマカームの演奏が合計19曲で入っていますが、6曲のマカーム・マーフールを続けて聞いて行きます。2曲目には更に古い14、15世紀のアブドゥルカディル・メーラギが書いたとされるMakam Mahur: II. Karが続きます。男性のコーラスと、ネイ、タンブール、ウード、カーヌーンなどの器楽合奏は穏やかな表情を持った音楽で、トルコ帽と白く長い衣装に身を包んで旋回舞踏する、メヴレヴィーのセマーの儀礼を髣髴とさせる感じもあります。

<2 Makam Mahur: II. Kar 6分32秒>

マーフール旋法の6曲で大体24分ですので、続きの4曲を聞きながら今回はお別れです。続けて聞くことで、オスマン音楽の大らかで洗練された深い表情が味わえると思います。III. Agir Semai(作者不詳)、IV. Ney Taksim(アカ・ギュンデュズ・クトバイによるネイのタクシーム=即興)、V. Yuruk Semai(エブベキル・アア作)、VI. Saz Semaisi(再びガズィ・ギレイ・ハーン作)と続きます。多分6曲目の途中までになると思いますが。それぞれの用語については、また追々解説を入れたいと思いますが、サズ・セマーイだけ説明しておきますと、弦楽器のサズとは関係なく、3+2+2+3の10拍子の楽曲形式です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 Makam Mahur: III. Agir Semai 3分>

<4 Makam Mahur: IV. Ney Taksim 53秒>

<5 Makam Mahur: V. Yuruk Semai 5分5秒>

<6 Makam Mahur: VI. Saz Semaisi 5分23秒>

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2019年10月 7日 (月)

Ayshigul MamatとQetiq

ゼアミdeワールド181回目の放送、日曜夜にありました。9日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Ayshigul Mamatは、おそらくモルゲンラント音楽祭のライブそのものですが、2曲目のIli Xalq Naxshisi-Bir Yurushです。この人の動画は、これと先日のタシケントのライブのみのようです。Qetiqの沁みる3曲の内、今日はAq bayanのみ上げておきます。

テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の8回目です。ドイツのDreyer Gaidoから出ている2枚をご紹介して、今回でウイグルを締めたいと思います。

ゼアミブログにも書きましたが、4回目にかけました「ウイグルの音楽 イリとカシュガルの伝統」に出てきた女性歌手Ayshamgul Mamatで検索したら、イネディの音源以外にウズベキスタンのタシケントでの割と最近のコンサート映像がありました。この人の名前はAyshigul Mamat (aka Ayshamgul Muhammad)など、色々綴りがあるようで、ドイツのDreyer Gaidoから出ていた「女声によるウイグルのムカームと民謡/エィシングル・メメット The female voice of Uyghur muqams and folk songs/Ayshemgul Memet」と同一人物でした。イネディ盤では解説をよく読まないと出てこない名前だったので、今回検索して初めて気が付きました。

この盤から、一曲目のSigah-Muqamをおかけします。タンブールの伴奏でしっとり語りだすこのムカームの冒頭のムカッディマに始まり、ジュラ、チョンサリカと続く内に、フレームドラムのダプも入って、賑やかに展開します。2010年8月、ドイツのオスナブリュックでのモルゲンランド音楽祭のライブ録音です。

<1 Sigah-Muqam 8分44秒>

Ayshemgul Memet (traditional Uyghur folk songs)


Dreyer Gaidoからのもう一枚は、「タクラマカン砂漠からのロック/ケティック Rock from Taklamakan Desert/Qetiq」という盤です。ケティックはウイグルを中心に活動するロックバンドで、カリスマ的リーダーのぺルハト・ハリクは北ドイツ放送の老舗ビッグバンド、NDRビッグバンドやオスナブリュック交響楽団との共演も行っていて、今作では民族音楽とロックのクロスオーヴァーを見事に成し遂げています。

カザフの倍音唱法を取り入れた演奏もありますが、カザフとウイグルのノスタルジックな哀愁の名旋律がありましたので、まずその3曲を続けておかけします。

<3 Aq bayan(カザフの伝統歌曲) 5分37秒>

Qetiq - Akh Bayan


 
おそらくウイグル内の少数民族、カザフ族の民謡で、カザフスタンの時に聞いたアック(白鳥)を思い出させるタイトルです。

<5 Tughulghan kunum(ウイグル/私の誕生日) 4分11秒>
 
リーダーのぺルハト・ハリクの作曲

<7 Tarim(ウイグル/労働者の歌) 4分45秒>
 
Iskender Seypullaの作曲、Malike Ziyavudun作詞で、タリム川に沿って出稼ぎに出た世代の、故郷を思う歌

では最後に、ドラン・ムカームをロック化したという1曲目のDolan muqamを聞きながら今回はお別れです。スチールギターのような音色のカロンの音が出てくるので、最初からドランをイメージ出来ます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Dolan muqam(南ウイグル地方の伝統音楽) 6分51秒>

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2019年9月30日 (月)

Sanubar Tursunの歌声

ゼアミdeワールド180回目の放送、日曜夜にありました。2日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画はドタール弾き語りのAdemler Ulughがまず目につきまして、大変に素晴らしいので、今日はこの一本だけ上げておきます。

テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の7回目です。今回はイタリアのFelmayから2013年に出ていた「サヌバール・トゥルサン / ウイグルの歌 SANUBAR TURSUN / Arzu - Songs Of The Uyghurs」をご紹介したいと思います。米国スミソニアン・フォークウェーズのコンピ盤『MUSIC OF CENTRAL ASIA, VOL. 10: BORDERLANDS』でも取り上げられていた女性歌手です。

ドタールやタンブール中心の小編成の伴奏で、たっぷりと独唱を聞かせる盤で、売り切れで現物が残ってないので解説は参照できませんが、おそらく12ムカームのレパートリーを中心に歌っているのではと思います。動画を見てみると、弾き語りもかなりありますので、もしかしたら弾き語りの曲もありそうです。

まずは1曲目のYar Ishigide Tursaという曲からおかけします。英題がIf My Love stood at the Door[feat. Nur Muhemmet Tursun]となっています。伴奏はタンブールとギジャクでしょう。

<1 Yar Ishigide Tursa (If My Love stood at the Door) [feat. Nur Muhemmet Tursun] 3分7秒>

ウィキペディアには、「彼女はウイグルの女性シンガーソングライターであり、有名なドタール奏者でもあり、ウイグルムカームの研究者です。トゥルスンは2000年に最初のアルバムをリリースしました。10年以上にわたり、彼女の声は町のバザールを満たし、新疆ウイグル自治区の地元のタクシーや長距離バスから鳴り響きました。」とありますので、ドタールやタンブールを弾き語っているのかも知れません。それと、ウイグル語のアラビア文字をそのまま読めば、トゥルサンではなくトゥルスンになると思います。気になるのが2018年11月に中国当局に拘束され、5年の刑を宣告されたという情報で、それ以来音楽活動が出来なくなっているようです。この歌姫の無事を祈るばかりです。

2曲目はKurd Nakhshisi (Song of the Kurds) [feat. Nur Muhemmet Tursun]となっていて、訳すと「クルドの歌」になりまして、トルコには多いですがウイグルにクルド人はいないと思うので、おや?と思いました。旋法名にはバヤーテ・コルド(クルドの詩または歌の意味)の形でペルシア音楽に入っているので、そういう意味かも知れません。

<2 Kurd Nakhshisi (Song of the Kurds) [feat. Nur Muhemmet Tursun] 4分19秒>

次は7曲目に飛びまして、ドタールの素晴らしい導入で始まるAdemler Ulughという曲です。英題はPeople Are Gloriousになっています。

<7 Ademler Ulugh (People Are Glorious) 4分47秒>

Sanubar Tursun:-Adamlar ulug'


全11曲の中に14分と22分近い長尺の曲がありまして、4曲目の14分を越えるIshchan Yigityurushi: IshchanYigit / Koydum Diding / Yerket / Gul Bolsam (Hard-working Lad Suite) [feat. Nur Muhemmet Tursun]という曲が、12ムカームの壮大さを思わせる素晴らしい演奏ですので、この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 Ishchan Yigityurushi: IshchanYigit / Koydum Diding / Yerket / Gul Bolsam (Hard-working Lad Suite) [feat. Nur Muhemmet Tursun] 14分4秒>

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2019年9月24日 (火)

Nava muqam (Uyghur 12 Muqam)

ゼアミdeワールド179回目の放送、日曜夜にありました。25日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。2014年オコラの動画は見当たらず別の演奏ですが、同じナヴァーなので、今回かけた3曲も出てくると思います。

10- Nava muqam (Uyghur 12 Muqam)


テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の6回目です。前回取り上げたドランのムカームは、やはり傍流だと思いますので、主流である12ムカームの演奏をもっとおかけしたいところですが、歌と器楽、胡旋舞的な女性の踊り、演劇的な部分まで、見る要素も多いので、ラジオでお伝え出来るのは限界があるように思います。YouTubeには、12ムカームごとの映像も沢山上がっていますので、ゼアミブログの方ではそれらも取り上げております。是非併せてご覧頂ければと思います。

CD音源は他に、古くはフランスOcoraの名盤「中国のトルキスタン~新彊ウイグル自治区の音楽(2CD)」がありますが、入手しない内に90年代には廃盤になってしまいました。キングWRMLシリーズの「ウイグルの音楽~ムカームと民謡」の3枚組の元音源があるはずですが、リフォーム最中で行方不明になっておりまして、イランMahoorにも2枚は合奏がありますが、売り切れで手元に残ってないので、何とも重要音源が歯抜けの状態ですが、データからかけられる音源から抜粋して行きたいと思います。

今回は合奏の入っている演奏として、フランスOcoraから2014年に出ました「中国 / ウイグルの音楽~マカーム・ナヴァー China / Uyghur Music - Muqam Nava」からご紹介したいと思います。爽やかな女性ヴォーカルを中心に、Abdukerim Osman Chimani, "ghijak"  Amatjan Muhamat, chorus  Ghali Sidiq, "dap"  Munijan Yusup, "ravab"  Abduvali Satar, "dutar"  Tayir, "chang"  Abdushukur Muhamat Imin, "ghijak"  Muyasar Nurmamat, "satar" 他、という多彩な編成で、12ムカームの一つ、マカーム・ナヴァーの抜粋と思われる演奏が67分収録されています。その名の通り、ペルシア音楽の旋法の一つ、ダストガー・ナヴァーが語源と思われます。

解説はこれ位にして、素晴らしい演奏から最初の2曲を続けて22分ほどおかけします。続けて聞くことで、ウイグルのムカームの流れも感じ取ることができるかと思います。ドランのカルーンに似たツィター系弦楽器チャングの音色が、ここでも異彩を放っています。女性歌手の名前はSharizat Abdurahimでしょうか? 擦弦のサタールかギジャクのみの伴奏によるフリーリズムのBash Muqamに始まり、2曲目はTaza (Taza Marghuli)という合奏伴奏で男女歌手のデュオが15分余り続きます。

<1 Bash Muqam (feat. Sharizat Abdurahim, Amatjan Muhamat, Ghali Sidiq, Munijan Yusup, Abduvali Satar, Patima Tayir, Abdushukur Muhamat Imin & Muyasar Nurmamat) [Muqam Nava] 6分37秒>

<2 Taza (Taza Marghuli) [Muqam Nava] [feat. Sharizat Abdurahim, Amatjan Muhamat, Ghali Sidiq, Munijan Yusup, Abduvali Satar, Patima Tayir, Abdushukur Muhamat Imin & Muyasar Nurmamat] 15分14秒>

では最後に、終曲のマシュラプを時間まで聞きながら今回はお別れです。3曲目からは物語、叙事詩を意味するダスタンなどが入って、12曲目の最後に、ウイグルの祭りや収穫の時期などに単独で演奏され、踊られることも多いマシュラップが出てきます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<12 Mashrap (feat. Sharizat Abdurahim, Amatjan Muhamat, Ghali Sidiq, Munijan Yusup, Abduvali Satar, Patima Tayir, Abdushukur Muhamat Imin & Muyasar Nurmamat) [Muqam Nava] 7分56秒>

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2019年9月16日 (月)

ドランのムカーム

ゼアミdeワールド178回目の放送、日曜夜にありました。18日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。YouTubeは、一本で台湾Wind Music盤全曲です。

テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の5回目です。今回は、先週の終わりにかけました仏Inedit「中国のトルキスタン ドランのムカーム」以外に、もう一枚、台湾のWind Musicからもドランのムカームの録音が出ておりますので、同じムカームで聞き比べをしてみたいと思います。ドランのムカームは、各2時間を要するウイグルのムカームよりずっと短く、各6~10分位で合計9つなので、イネディ盤には全てのドラン・ムカームが入っていましたが、Wind Music盤にも全て入っているようです。演奏はMakit Dolan Muqam Troupe of Makit Countyとなっています。Kavichandran AlexanderによるMakitでの24bitの録音です。今回も売り切れで手元にないので、アップルミュージックからの音出しになります。


ドランはモンゴル起源とも言われるウイグル内の少数民族で、その音楽はどこか東アジア的だったり、コーラスする辺りはパキスタンやインドのカッワーリにも似ていたり、本当に同じウイグルかと思う程でもあります。楽器では何よりも楊琴(ヤンチン)型ツィターのカルーンの音色が独特で、この音揺れがどこか中国風に聞こえる秘密かと思います。ドランのラワープは他の地域のこの楽器にはない共鳴弦が付いているようです。演奏者の顔立ちは、確かに日本人と見紛うような東洋的な風貌の人が多いのですが、ウイグルの辺りは古代にはインド系やイラン系のいわゆるアーリア系の人々が住んでいて、テュルク系の侵入後に彼らが言語的にテュルク化したようですので、ドランの方が元はモンゴル高原に西からテュルク、モンゴル、トゥングースと並んでいた内の、テュルク族の直系なのかも知れません。

ドラン・ムカームでは常に踊りを伴い、解釈は極めて自由で、即興的にパラフレーズして演じられるということでした。前回2曲予定していましたが、イネディ盤の最初のBash Bayawanのみで終わりましたので、2曲目のZil Bayawanからおかけします。

<2 中国のトルキスタン ドランのムカーム Zil Bayawan 6分39秒>

次にWind Music盤のZil Bayawan Muqamをおかけします。

<2 Zil Bayawan Muqam 5分45秒>

次に、演奏の際に必ず最後に演奏されるというJulaをおかけします。イネディ盤の方では、通しで聞くと、確かに何か終止形に近いものを感じます。

<9 中国のトルキスタン ドランのムカーム Jula 6分35秒>

次にWind Music盤のJulaをおかけします。こちらではDugamet Bayawan MuqamとHudek Bayawan Muqamを後に回して7曲目に入っています。何か理由があるのでしょうか? この盤の方がカルーンの響きや弦楽器のフレーズも、一部でより中国風にも聞こえます。

<7 Jula Muqam 5分46秒>

では最後に、Wind Music盤でも冒頭を飾っているBash Bayawanを時間まで聞きながら今回はお別れです。9曲のドラン・ムカームの内、3曲を2枚の音源から並べて比較しましたが、芸風の違いは聞き取れましたでしょうか。私が思うには、イネディ盤の方が総じてカッワーリのようなヘテロフォニックとも形容されるコーラスが強力に展開し、Wind Music盤の方はどこか中国風な少し涼しげな器楽の音色が目立っているようにも思いました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Bash Bayawan Muqam 5分11秒>

Uyghur Makit Dolan Muqam - Bayawan Full Album

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2019年9月 9日 (月)

イリとカシュガル ドランのムカーム

ゼアミdeワールド177回目の放送、日曜夜にありました。11日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日はとりあえず「イリとカシュガル」から、ドランはまた探してみます。ニヤズさんの動画と曲は、やはり見当たらずです。

テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の4回目です。

今回はウイグルの初回にかけましたアブライティ・ムハメドニヤズの「ウイグル・タンブールの音色」の後半にも、なかなかいい曲がありますので、それらを少しおかけしてから、12ムカームの合奏の例としてフランスIneditの2枚からご紹介したいと思います。

「ウイグル・タンブールの音色」の10曲目のゾフラジャニム(私の命ゾフラ)と言う曲ですが、解説に以下のようにあります。「1945年に22歳でアクスで殺害されたイリ生まれのウイグルの革命家リ・ムタリブがアクスの獄中で作った曲。彼はウイグルの自由を取り戻すため戦ったが、思いを果たせず囚われた。いつの日かウイグル社会に目覚めて欲しいと、自分の恋人ゾフラを思いながら、自由への希望を詩に込めている。」こういう曲です。

<10. Zohrajanim 3分50秒>

15曲目のヘスレトという曲は、ウイグル語で傷心とか悲哀を意味し、遠く離れて暮らしている愛する母が亡くなったとの知らせで、込み上げる悲しみを表した曲。とのことです。

<15. Hasrat 4分37秒>

12ムカームの歌と合奏の方に移りますが、先ほどの曲に出てきたイリの街が出てくる音源で「ウイグルの音楽 イリとカシュガルの伝統」という仏Inedit盤からいくつかご紹介します。前に言いました通り、ウイグルの盤は売り切れで手元にないものが多いので、iPhoneのデータからの音出しになります。まずこの盤についてゼアミHPに書いた拙文を読み上げてみます。

*中国西部のトルコ系ウイグル族の音楽で、タクラマカン砂漠周辺の代表的オアシス都市の伝統音楽演奏。演奏者は名前を見る限りロシア名が多く、隣国のウズベクを中心に活動している音楽家のようで、彼等のような言わばディアスポラ・ウイグルの音楽家の方が、ウイグル音楽本来のスピリットをより良く保っていると言われる。どんなに長い腕でも低いフレットにはまず届かない超長棹のタンブールを中心としたアンサンブルやソロを伴奏に、悠久の中央アジア節がたっぷりと堪能でき、ウズベク音楽との比較でも興味が尽きない。弦楽器のゆったりとくゆらすような音が中央アジアしていてたまりません。

この録音から、女性歌手Ayshamgul Mamatがフロントに出たMuqam Rokhsari : muqam bashiと2曲目のChants de Kachgar(カシュガルの歌)の途中まで続けておかけします。これまでソロで聞いた撥弦楽器のタンブール、ラワープ、ドタールの他に、擦弦のギジャクが活躍しています。

<1 Muqam Rokhsari : muqam bashi 4分20秒>

Muqâm rokhsari


<2 Chants de Kachgar 10分14秒 抜粋>

Chants de kachgar/kashgar songs


もう一枚、2000年代に入って「中国のトルキスタン ドランのムカーム」という盤も仏Ineditから出ておりまして、こちらはモンゴル起源とも言われるウイグル内少数民族のドラン族の音源です。どこか東アジア的だったり、コーラスする辺りはカッワーリにも似ていたり、本当に同じウイグルかと思う程でもあります。この盤についてゼアミHPに書いた拙文を読み上げてみます。

*タクラマカン砂漠の新疆ウイグル自治区(=東トルキスタン)の音楽。行政区分としては中国に含まれるが、独自の文化を保持し、ムスリムのウイグル人が多くを占める新疆ウイグル自治区。キルギス、カザフ、インド、パキスタン等と接しており、その音楽の様相も中央アジアのそれと近いものがあります。本作はなかでも辺境の、ドラン地区のムカームを収録。楊琴型ツィターのカルーン、弓奏弦楽器のギジャック、ラワープといった弦楽器の伴奏に、枠太鼓ダップをもった歌い手、という編成。繊細な弦の音と、コブシをきかせながら野太い声を張り上げて歌う男たちの合唱とのコントラストが印象的。

では最後に、この「中国のトルキスタン ドランのムカーム」から、Bash BayawanとZil Bayawanを時間まで聞きながら今回はお別れです。最後の9曲目以外の全ての曲のムカーム名の終わりにBayawanという言葉が付いています。(意味は今のところ不明です)

各2時間を要するウイグルのムカームよりずっと短く、各6~10分位で、合計9つなので、このCDには全てのドラン・ムカームが入っているということになります。それらは常に踊りを伴い、解釈は極めて自由で、即興的にパラフレーズして演じられるそうです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Bash Bayawan 5分47秒>

<2 Zil Bayawan 6分39秒>

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