ゼアミdeワールド

2017年4月17日 (月)

西ウクライナの音楽

ゼアミdeワールド53回目の放送、日曜夕方に終りました。私は16日夜のローゼン先生のクラスコンサートの打ち上げのため聞けておりませんが、いかがでしたでしょうか。19日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。youtubeは、フツルのトレンビータ、フツルカ、アルカンを中心に、カルパチアの方はハンガリー側の映像ですが、いくつか上げておきました。

ウクライナ音楽の3回目ですが、今回は西ウクライナの音楽をクローズアップしてみたいと思います。フランスのQuintanaから出ていた「カルパチアの伝統音楽」はタイトル通りで西ウクライナ音楽そのものですが、ユネスコ・コレクションの「ウクライナの伝統音楽」も、聞き返してみると西ウクライナの音源も多く、その華やかさから目立っています。
前々回にかけました美しい合唱音楽がどこで盛んなのかよく分りませんが、おそらく首都のキエフなどウクライナ中部辺りなのかなと思います。東の方ではコサックの音楽がよく知られますが、ポーランド、スロヴァキア、ハンガリーと接する西ウクライナの、特にブコヴィナ地方では、ハンガリーやルーマニアの音楽との類似が見られ、更にユダヤ音楽も少し出て来たり、とても魅力的な音楽の多い所だと思います。
まずは、ユネスコ・コレクションの「ウクライナの伝統音楽」から、「トレンビータの序曲」という曲をどうぞ。

<ユネスコ・コレクション「ウクライナの伝統音楽」 / トレンビータの序曲 54秒>
Hutsul trembitas (alphorns): greeting the shepherds from the highland


強烈な音でびっくりされた方も多いのではと思いますが、この笛は、カルパチア山脈の夏の牧草地ポロニーナに羊を移動させる時に吹き鳴らされてきた長いトレンビータと言うアルペンホルンの一種でした。家畜集めや村人へのシグナル、祭りなどに使われるようです。

次はトランスカルパチア地方の山人たちの舞曲で、打弦楽器のツィンバロム、ヴァイオリン、ソピルカ、トレンビータ、アコーディオンに鞭の音まで入ります。後半の速い踊りはアルカンとかドロボティアンカと呼ばれるものです。ルーマニアのジプシー楽団タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの音楽に近い印象も受けます。

<ユネスコ・コレクション「ウクライナの伝統音楽」 / 羊飼いが出かける 6分32秒>

次はカルパチア山脈のトロイスタ・ムジカによる民族舞曲で、ヴァイオリン、ツィンバロム、バス・ドラムで演じられています。タイトルのフツルカのフツルと言うのは、ウクライナ西部山地のウクライナ系少数民族の名で、地方名でもありまして、フツル人という表記も見かけます。この曲は、フツルに多いルーマニア風のラプソディです。

<ユネスコ・コレクション「ウクライナの伝統音楽」 / フツルカ 4分21秒>
ПЕЧЕНІЖИНСЬКА ГУЦУЛКА. HUTSULKA from PECHENIZHYN.


ユネスコ・コレクション「ウクライナの伝統音楽」の西ウクライナ音源の最後は、アルカンと呼ばれる投げ縄の踊りの曲です。イヴァノ・フランキフスケ地方の民族アンサンブル“ヴェッセルカ”の演奏によるフツル舞曲です。これもルーマニアのジプシー楽団タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの音楽を思い出させます。

<ユネスコ・コレクション「ウクライナの伝統音楽」 / アルカン 3分5秒>
Arkan | Hutsul circle dance | Initiation into warriors | Hutsuls | Ukrainian highlanders


次にQuintanaの「カルパチアの伝統音楽」ですが、この盤では西ウクライナのハンガリー系の音楽が中心になっています。前々回に結婚式のチャールダッシュのヴァイオリン独奏はかけましたので、他のチャールダッシュやその前進の舞曲ヴェルブンコシュをかけてみたいと思います。まずは、マジャール・ヴェルブンクという曲をどうぞ。

<Quintana「カルパチアの伝統音楽」 / Magyar Verbunk 2分4秒>
Szólótánc Gála - Magyar verbunk


ヴェルブンクと言うのは、19世紀前半のハンガリー独立戦争の頃に募兵活動の中で生まれた男性の踊りで、これが基礎になってヴェルブンコシュが生まれ、更にそれが居酒屋(チャールダ)で洗練されてチャールダッシュが生まれたという経緯があります。ヴェルブンクにはヴェルブンコシュになる前の、男性の荒削りな踊りの印象が強く残っているように思います。
次にマジャール・ヴェルブンクに続いてこの盤に入っているジプシーのチャールダッシュをかけてみたいと思います。ほとんど同じ旋律に聞こえますが、こちらではチャールダッシュになっています。

<Quintana「カルパチアの伝統音楽」 / Ciganycsardas 3分22秒>
Zurali Banda- Ciganycsardas


この盤にはユダヤの音楽も入っていましたので、次にマゼルトーフやホラなどのダンス曲をかけてみます。ハンガリー音楽のスタイルに乗せて、特徴的な哀感溢れるユダヤ・メロディがメドレーで出てきます。

<Quintana「カルパチアの伝統音楽」 / Mazeltof 2分37秒>

では、最後にQuintanaの「カルパチアの伝統音楽」のラストを飾っているチャールダッシュを聞きながら今回はお別れです。ヴァイオリン2本、アコーディオンとサックスの四重奏ですが、サックスがハンガリーのクラリネット系管楽器タロガトーのような柔らかく不思議な音色を出しています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Quintana「カルパチアの伝統音楽」 / Csardasok 2分25秒>

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2017年4月10日 (月)

ドゥムキー、ドゥムカ、ドゥーマ

ゼアミdeワールド52回目の放送、日曜夕方に終りました。12日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。バンドゥーラ関係は原語で検索すればあるかも知れませんが、一番アップしたかったF.Jarko / Duma for Marussia of Bohuslavがありましたので、今日はこちらのみにしておきます。ウクライナの「心の歌」という印象です。

ウクライナ音楽の2回目ですが、今回はこの国を中心に一部のスラヴ民族の世界で民族歌謡として有名なドゥーマ、あるいはドゥムカを取り上げてみたいと思います。複数形のドゥムキーというタイトルでチェコの作曲家ドヴォルザークがピアノ三重奏曲を書いていますので、一般にはそれで知られているように思います。ドゥムカとは、ウクライナを中心に広まった民謡の一種で、日本では「哀歌」と訳されています。ドゥムキーと聞くと、深い表情のエレジー的な曲調が多いという印象があります。ですから先週かけましたナターシャ・グジーさんのバンドゥーラ弾き語りのウクライナ民謡「バンドゥーラを手にすれば」などは、典型的なドゥムカになると思います。
今日はフランスのOpus111から2000年に出ていた2枚組「ウクライナのドゥムキー」と、フランスのAuvidisの頃のユネスコ・コレクションの「ウクライナの伝統音楽」、ドヴォルザークのピアノトリオ「ドゥムキー」の順にかけてみますが、最初に「ウクライナのドゥムキー」からドゥムカを数曲続けてかけてみましょう。この盤では、1枚目がソプラノ歌手とピアノ伴奏でクラシックになったドゥムカが歌われていて、2枚目は民族音楽のドゥムカが色々と入っておりまして、2枚目を中心にかけます。

まずはバンドゥーラの甘く切ない音色が堪能できるウクライナ民謡変奏曲からです。演奏はKostyantyn Novytskyという人です。

<Kostyantyn Novytsky / Variations on Ukrainian Folk Themes 3分26秒>

次はElizabeta Sobchenkoという女性バンドゥーラ奏者のソロですが、Verkhovynaという、やはりエレジー的な曲で、The World of oursという英訳になっております。

<Elizabeta Sobchenko / Verkhovyna 3分11秒>

「ウクライナのドゥムキー」の2枚目からもう一曲、男性歌手の独唱とバンドゥーラ合唱団の演奏で「風は吹いている」という曲です。バンドゥーラ弾き語りの男性合唱と思われます。哀歌風な曲調が、いかにもドゥムカのイメージです。Valentyn Pyvovarovとウクライナ国立バンドゥーラ合唱団の演奏です。

<Valentyn Pyvovarovとウクライナ国立バンドゥーラ合唱団 / The wind is blowing 4分40秒>

1枚目のソプラノ独唱からも一曲かけておきましょう。オーソドックスなドゥムカを聞いた後なら、クラシックになっていてもドゥムカ本来の哀切さが感じ取れると思います。

<Olga Pasichnyk / Oh,Little Moon, You`d better not shine 3分>
Olga and Natalia Pasichnyk - There Stands A High Mountain - Ukrainian Song

他の曲ですが、同じ歌手のyoutubeがありました。

では次に、髭を蓄えたコサックの男性歌手が歌う渋い哀歌風なドゥムカのイメージの曲として、ユネスコ・コレクションの「ウクライナの伝統音楽」から、ボフスラフのマルーシャのドゥーマという曲をかけてみましょう。バンドゥーラの弾き語りでしみじみと歌われる、トルコに捕われたコサックの苦悩を歌った古い悲劇的なドゥーマです。

<F.Jarko / Duma for Marussia of Bohuslav 6分52秒>
Дума про Марусю Богуславку (Старовинна українська дума, XVIIст.)


では、最後にドヴォルザークのドゥムキーを聞きながら今回はお別れです。この曲はピアノ三重奏のスタイルで書かれています。ピアノトリオの編成は、ピアノとヴァイオリン、チェロの三重奏になります。スーク・トリオの名演で、ヴァイオリンはヨゼフ・スーク、チェロはヨゼフ・フッフロ、ピアノはヤン・パネンカです。この曲は6楽章まであって、全てドゥムカとして作曲されています。全曲は30分を越えますが、今回は第1楽章のみかけます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<スーク・トリオ / ドヴォルザーク ピアノ三重奏曲第4番ホ短調「ドゥムキー」第1楽章 4分5秒>
Beaux Arts Trio plays Dvorak "Dumky" Trio, i

スーク・トリオのは見当たらないので、ボザールトリオで。

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2017年4月 3日 (月)

ウクライナの伝統音楽

ゼアミdeワールド51回目の放送、日曜夕方に終りました。5日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今日はウクライナの合唱曲「ドニエプルは轟き悲しむ」と、ナターシャ・グジーの「バンドゥーラをてにすれば」を目立たせたいので、この2本だけにしました。

今回からこの番組も2年目に入りました。本年度もどうぞ宜しくお願いします。
寒い間は寒い国の音楽と言うことでロシアの音楽を色々廻ってきました。大分暖かくなって来ましたが、まだまだ旧ソ連圏の音楽巡りは続けようと思います。ロシア、ウクライナ、ベラルーシの東スラヴ系の後は中央アジアやコーカサスの方に向かう予定です。ロシアの音楽も、先週のウラル・アルタイ関係もまだまだ音源は膨大にありますが、とりあえず今回はウクライナに廻ってみようかと思います。ロシアと同じ東スラヴ系で、やはり合唱の素晴らしさが目立ちます。ロシア音楽と少し違う独特な叙情性があって、それが聞きものです。吟遊詩人が弾き語る小型ハープのような弦楽器バンドゥーラや、スラブ人の伝統のバラッド形式の民族歌謡ドゥーマ、あるいはドヴォルザークの作品にもなっているドゥムキーでも有名です。
まずは、フランスのPLAYA SOUNDから出ていた名盤「ウクライナの声」というアルバムから3曲続けてかけたいと思います。ブルガリアン・ヴォイスとも少し似た女声合唱中心の一曲目に始まり、さかまくドニエプル川を描いた最後の曲は、とりわけ感動的な一曲です。タイトルがフランス語訳のみですので、曲名詳細は3曲目しか分りません。

<Ukrainian Voices~ 3分9秒、4分3秒、4分15秒>
Mighty Dnieper roars and bellows - English /Ukrainian/中文 subtitles

別団体だと思いますが、同じ曲がありました。

同じドニエプルの曲を、往年の赤軍合唱団も歌っていますので、次にかけてみます。ここでは「ウクライナの詩」と言うフランス語訳になっていました。こちらもドラマティックな悲愴美溢れる歌唱です。

<赤軍合唱団 / ライヴ・イン・パリ1960 ~ウクライナの詩 5分41秒>

次に日本でもお馴染みのウクライナ生まれの女性歌手・バンドゥーラ奏者、ナターシャ・グジーの歌唱で、有名なウクライナ民謡「バンドゥーラを手にすれば」です。哀愁を帯びたバンドゥーラの響きと、美しい歌声に魅了される一曲です。

<ナターシャ・グジー / セルツェ ~バンドゥーラを手にすれば>
バンドゥーラを手にすれば ナターシャ・グジー


ウクライナは広大なので、地方によって音楽もかなり違いますが、ハンガリーやルーマニアに近い西ウクライナの音楽は、これらの国の伝統音楽にかなり似通っています。フランスのQuintanaから出ていた「カルパチアの伝統音楽」から、結婚式のチャールダッシュのヴァイオリン演奏をどうぞ。演奏者と曲目共にハンガリー語ですが、西ウクライナのブコヴィナ地方での録音のようです。

<カルパチア山脈の伝統音楽 ~En kismadar letemre, Lakodalmi csardasok 1分13秒、4分24秒>

同じく西ウクライナのブコヴィナの音楽ですが、打弦楽器のツィンバロム伴奏で、女性歌手オクサーナ・サヴチュクが歌っている「You are a Green Land, Bukovina」は、タイトル通りブコヴィナ民謡のようです。音階などが東欧系ユダヤのクレズマーにかなり似てきます。この曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Oksana Savchuk and Ivan Kavatsyuk / Pysanka ~You are a Green Land, Bukovina 4分4秒>

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2017年3月28日 (火)

ヴォルガ中流域のウラル・アルタイ系少数民族

ゼアミdeワールド50回目の放送、日曜夕方に終りました。3月29日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。youtubeには、まず同じ音源はないと思いますので、近いものをまず一本アップしておきます。そもそも、2007年に当ブログを始めたのも、ヴォルガ中流域から北コーカサスにかけての調査が最初のきっかけでしたから、「ウラル・アルタイ」のキーワードでは大分前に色々書いております。先週後半以降、またもやトラブルでほとんどまともにPCを使えない状況でしたが、諸悪の根源のマ◎フィーを遂に卒業し、PC動作は劇的に軽くなりました。
 
今回はロシアの少数民族の音楽を少し聞いてみたいと思います。モスクワから東に1000キロ程行った辺りのヴォルガ河中流域は、ウラル・アルタイ系民族の自治共和国が幾つかありまして、インド・ヨーロッパ語族に属するスラヴ系のロシア人とは全く異なる少数民族が多く住んでいるのは余り知られていないことだと思います。ウラル山脈から東側のシベリアなら容易にイメージ出来ると思いますが、西側のヨーロッパ・ロシア内にもこれらのアジア系などの民族が沢山います。古代の民族大移動やモンゴル帝国の征服の痕跡が今も生々しく残っています。アルタイ系のタタールなどでは、5音音階の東洋的な旋律も多く、中国かモンゴルの音楽と聞き間違えるほどです。ウラル系では、日本の民謡にそっくりな歌もあります。

最初にかけますハンガリーのHungarotonから出ていた「ヴォルガ-カマ地域のフィン・ウゴルとトルコ系諸族の伝統歌」について、何度かこれまでにも出てきました音楽之友社の「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いた拙稿を読み上げてみます。

ヴォルガ中流域やウラルはもはやヨーロッパではなくアジアである。アルタイ語族のトルコ系や、ウラル語族のフィン・ウゴル系の言葉を話す少数民族が沢山いる地域だが、これは1958~79年にコダーイの弟子であるLaszlo VikarとGabor Bereczkiの2人のハンガリー人研究者によってタタールやマリ、チュヴァシ、ウドムルトの各自治共和国で収集された録音集。
Votyak,Cheremis,Chuvash,Tatarの諸族の民謡や踊りの曲等。さすがマジャール民謡のルーツをこの地に探ったバルトークの頃からの伝統で、録音も良いのでこの地域に興味を持つ人には貴重な資料になるだろう。住民の服装はロシア風ながら、節はマジャールに近い。日本人からも遠くない印象を受ける東洋風な歌も多い。

非常に興味深いエリアですが、音楽的にはかなり地味でもありますので、この放送ではごくごくかいつまんで取り上げることにします。まずは、ハンガリーやフィンランド、エストニアなどのルーツに当るウラル系民族のエリアから始めます。
ハンガリーの民族的ルーツを辿るとヴォルガ中流域のチェレミス(現在はマリ共和国)や西シベリアのハンティ・マンシに当るとされますが、チェレミスの民謡で結婚式の歌を2曲続けてどうぞ。

<チェレミスの結婚式の歌 2分27秒、34秒>
Ансамбль народной песни «Эренер» отметил 20-летний юбилей - Вести Марий Эл

同じ曲ではありませんが、マリ・エル(チェレミス)の民謡の現在を垣間見れる一本。

次に現在はウドムルトと呼ばれているヴォチャークの民謡ですが、イースターの歌をどうぞ。

<ヴォチャークのイースターの歌 1分3秒>

同じ盤から、アルタイ系になりますが、チュヴァシのパンケーキ・デイの歌をどうぞ。パンケーキ・デイとは、四旬節の初日である灰の水曜日の前日の火曜だそうです。

<チュヴァシのパンケーキ・デイの歌 1分9秒>

同じ盤から、やはりアルタイ系ですが、タタールのティン・ホイッスルと、クライと呼ばれる倍音豊かな縦笛の吹奏を2曲続けてかけてみます。東洋的な旋律で、民謡の尺八に似て聞こえます。

<タタールのティン・ホイッスルとクライ 1分43秒、2分1秒>

続いて、オランダのレーベルPanから出ていたMother Volgaにもヴォルガ・フィン語派の音源がありますので、その中から再度チェレミス(マリ)の民謡でAn old slow songと言う女性の重唱をどうぞ。アコーディオンと打楽器の伴奏で歌われています。この辺の人々の風貌共々、やはり東洋か西洋か、判別の難しい音楽です。

<Mother Volga - Music of the Volga Ugrians ~An old slow song 3分37秒>

同じMother Volgaにはアルタイ系のチュヴァシの音源も入っておりまして、その中からグースリ独奏で「古いマーチ」と言う曲をどうぞ。グースリは一般にはロシアの伝統楽器として知られるツィター系弦楽器です。この曲はアルタイ~トルコ的な感じは全くしない曲です。

<Mother Volga - Music of the Volga Ugrians ~An old march 2分50秒>

同じくチュヴァシのグースリ演奏ですが、次の結婚式の曲では対照的にアルタイ~トルコ的な感じが強く感じられます。この旋律はどこかで聞いたことがありますが、思い出せません。何か懐かしい感じのメロディです。歌入りヴァージョンと続けてどうぞ。

<Mother Volga - Music of the Volga Ugrians ~Lyrical Wedding Melody, Lyrical Wedding Song 2分5秒、1分32秒>

では、最後にアルタイ系のタタールスタンの女性歌手F.スレイマノヴァの独唱を聞きながら今回はお別れです。露Melodiyaから最近出たヴォルガ・タタールの民謡2枚組の冒頭を飾る東洋的な美しい旋律です。タイトルのSahralardaは、英訳ではIn the fieldsとありました。スレイマノヴァの名前の通りでタタールではイスラム教徒が多く、一方それ以外のアルタイ系とウラル系ではキリスト教徒が多いようです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Folk Songs of Volga Tatars ~F.Suleymanova / Sahralarda(In the fields) >

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2017年3月20日 (月)

ヴィソーツキーの「大地の歌」

ゼアミdeワールド49回目の放送、日曜夕方に終りました。3月22日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。先週後半はPCのトラブルでほとんどブログにはタッチ出来ませんでしたm(_ _)m 「大地の歌」の「奴は戦闘から戻らなかった」以外は、また後日探してみます。

前回ロシアのバルド(吟遊詩人)の音楽特集として、ウラディーミル・ヴィソーツキーとブラート・オクジャワを中心に、エレナ・カンブローヴァの歌もかけました。日本では80年代に新星堂オーマガトキから出ていたヴィソーツキーの「大地の歌」が一番知られていると思いますので、その音源もかけたかったのですが、手元にはレコードのみで、CDで再発された時に手に入れてなかったので前回は外しました。CDも既に大分前に廃盤のようですが、LP音源をMP3にしてアイフォンに入れてありましたので、今回はその中から数曲かけてみます。
まずは、一曲目の「奴は戦闘から戻らなかった」からです。針を落として聞いた時の、この歌のインパクトがまず第一にあります。詩の一、二連目は以下のようになっております。翻訳は宮沢俊一氏です。口語調が上手くヴィソーツキーの世界を捉えていると思います。

なぜどこが違うのか、大体はいつもの通りなのに
空も同じ、また晴れている
森も同じ、空気も同じ、水も同じなのに
ただ奴だけが戦闘から戻らなかった

俺には今や分らない、俺たちのどっちが正しかったのか
よく夜を徹して論じ合ったものだったが
俺は初めて奴の存在を感じている
奴が戦闘から戻らなかった今になって

<ウラディーミル・ヴィソーツキー / 大地の歌~奴は戦闘から戻らなかった 3分14秒>
Владимир Высоцкий - Он не вернулся из боя (Текст)


次は「黒マント隊」という曲です。詩の一連目は以下のようになっております。

俺達が残してきたのは崩落と日没だけ
ああ、せめて僅かでいい
目に見えなくていいから飛翔が欲しい!
信じたいものだ、わが黒マント隊の面々が
俺に今日、日の出を見る可能性を与えてくれることを

<ウラディーミル・ヴィソーツキー / 大地の歌~黒マント隊 3分31秒>

次は「愛し切れなかった」という曲です。大事な箇所と思われる詩の一、七連目は以下のようになっております。

誰かが果実を見つけた
それは熟れていない、熟していない
木をゆすると、それは落ちてしまった、こぼれてしまった・・・
これはある人についての歌、
その人は熟せなかった、歌えなかった
声を持っていたのに、気付かなかった、気付かなかった

彼は何でもかんでも知ろうとした
だが、何もかも中途半端
何事も底まで行かない
深さにまで達し切れない
しかも唯一の彼女をも
愛し切れなかった、愛し切れなかった

<ウラディーミル・ヴィソーツキー / 大地の歌~愛し切れなかった 4分48秒>

次は「俺はマガダンに行ったぜ」という歌です。カムチャツカ半島に近いシベリア極東の流刑者の強制収容所があったことで知られる町ですが、やはり過酷な北の果てのイメージで歌われています。余談ですが、ロシア・ジプシーの名歌手ワヂム・コージン(1903-94)は、スターリンの時代にシベリア流刑されてマガダンで亡くなっています。新宿ゴールデン街の店、ガルガンチュアの女主人兼歌手の石橋幸(みゆき)さんの自主制作レーベルはマガダンという名前で、彼女はワヂム・コージンの歌もよく歌われています。
詩の一、二連目は以下のようになっております。

お前、俺が齢にふさわしくねぇってか
俺はめったに心を打ち明けねぇが
お前にはマガダンの話をしてやるぜ。よく聞けよ!
俺はながーい湾を見たんだ、道もな
ただ何となく行った訳じゃねぇぜ

ある日、俺はマガダンに行った訳よ
自分を忘れたかった、病気を忘れるように
だからすぐとことん飲んだぜ。 ウォトカを!
でも俺はながーい湾を見たんだ、道もな
ただ何となく行った訳じゃねぇぜ

<ウラディーミル・ヴィソーツキー / 大地の歌~俺はマガダンに行ったぜ 1分55秒>

youtube音源ですがヴィソーツキーの歌の最後にgori-gori-moya-zvezdaをかけてみたいと思います。前にドン・コサック合唱団の歌唱でかけた古いロマンス(語り歌)で、和訳は「輝け、私の星よ」となります。この曲の歌詞ですが、「君は私にとって、胸に秘めた、たった一つの輝ける星。もし私が死んでも、私の墓の上でいつまでも輝き続けておくれ」という内容でした。ヴィソーツキーの弾き語りも実に心に沁みる歌唱です。

<ウラディーミル・ヴィソーツキー / gori-gori-moya-zvezda 1分22秒>
Высоцкий "Гори, гори моя звезда..."


ブラート・オクジャワの歌唱も少し聞いておきたいと思います。これからかけますのは、「ヴォロージャ・ヴィソーツキーについて」と言う曲で、14歳年長のオクジャワよりずっと早くに若くして亡くなった後輩ヴィソーツキーへの追悼曲です。妻のマリナ・ヴラディに捧げられています。タイトルのヴォロージャと言うのはウラディーミルの愛称形です。

<ブラート・オクジャワ / Sur Volodia Vissotski 2分30秒>
Булат Окуджава - О Володе Высоцком


では、最後に女性歌手エレナ・カンブローヴァの歌を聞きながら今回はお別れです。3曲目の「手品」という曲だけ前回かけられなかったので、今回は5曲目のマレンキー・プリンツと併せてかけたいと思います。こちらも繊細でリリカルな良い曲です。マレンキー・プリンツは、英訳はLittle Princeですから、サン=テグジュペリの「星の王子さま」のことだと思われます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<エレナ・カンブローヴァ / 「手品」2分19秒、「マレンキー・プリンツ」3分27秒>
Елена Камбурова Маленький принц

「マレンキー・プリンツ」は放送ではほとんどイントロだけで終ってしまいましたので。これがフルバージョン。

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2017年3月13日 (月)

ヴィソーツキー、オクジャワ、カンブローヴァ

ゼアミdeワールド48回目の放送、日曜夕方に終りました。3月15日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。youtubeは、ヴィソーツキーのコーニ・プリヴェレドゥリヴィエ(Кони привередливые)と、オクジャワの「青い風船」を際立たせたいのと、カンブローヴァはかけられなかった3曲目の「手品」がありましたので、今日はその3本にしておきます。

寒い時期は、寒い所の音楽が似合うということで、去年の2月にちろりんさんの番組に呼んで頂いた際にロシアのバルド(吟遊詩人)の音楽を取り上げて、一部の方に好評でした。いよいよその時の音源の再登場です。去年の放送は2月4日でした。
まず一人目は、ソ連時代の詩人、俳優、シンガーソングライターのウラディーミル・ヴィソーツキーです。彼は1938年生まれで、1980年に42歳の若さで亡くなっています。ちろりんさんの番組でかけた曲を、そのまま再演してみます。
まず、ルースカヴァ・シャンソンからダラージュナヤ・イストリヤー(道の歴史)と言う曲をどうぞ。
<ウラディーミル・ヴィソーツキー / ダラージュナヤ・イストリヤー>

彼のプロフィールについて、ウィキペディアにかなり詳細に解説されていましたので、少し読み上げてみます。

俳優としてはリュビューモフのタガンカ劇場に加わり、『ハムレット』の演技で名声を得た。1960年代に、ブラート・オクジャワらと吟遊詩人(バルド)運動に参加し、ソ連市民の心を”しわがれ声”でギターの弾き語りを始めた。余りにも激しい体制批判ゆえに、生前には1冊の詩集も1枚のレコードも出すことを禁じられていたにもかかわらず、彼はヒーローとなり、同時に良心であった。彼の歌を収録したカセットテープは何度となくコピーされ、人の手から手へと渡され、ソ連中に広まった。モスクワから遠く離れた小さな村の家の窓からさえ、彼の歌は鳴り響いていたといわれている。真実の詩と情熱と勇気とを、ギターをかかえ、しわがれた声で歌うヴィソツキーは、一人で全体主義的管理と状況に立ち向かい、モスクワオリンピックの最中に42歳の若さで逝った。葬儀の行われたタガンカ劇場の周りには、前代未聞の10万人から20万人の人々が集まり、数千人のオリンピック警備陣が流用された。ロシアのジャック・ブレル、ジョン・レノンやボブ・ディランと評する人も多い。没年についても、ジョン・レノンと同じである。ロシアの国営テレビや世論調査機関などが共催した「ロシアの英雄」を選ぶ人気投票でニコライ2世、スターリン、レーニンに次いで4位になっている。
最後の妻は、ロシア系フランス人のマリナ・ヴラディである。マリナは、1963年にはカンヌ国際映画祭で出演した映画『女王蜂』で最優秀主演女優賞をするなどのフランス映画の重鎮的存在である。ジャン・リュック・ゴダールの「彼女について私が知っている2,3の事柄」でもよく知られている。ヴィソツキーのレコーディングは、フランスで行われたものが多い。
ミハイル・バリシニコフとグレゴリー・ハインズの共演で話題となった映画『ホワイトナイツ/白夜(監督:テイラー・ハックフォード、1985年・アメリカ)』でも、ヴィソツキーの歌が使用されている。
宮崎駿はアニメ映画『風の谷のナウシカ』のエンディングにヴィソツキーの『大地の歌』を使用したがったが、版権の問題がクリアできず実現しなかった。
新星堂オーマガトキからアルバム『大地の歌』が発売されている。NHKでは五木寛之をホストに「モスクワは忘れない~吟遊詩人ヴィソツキーの歌」を放映した。

以上のようにありました。私が初めて彼の歌を聞いたのは、88年頃の新星堂オーマガトキのLP『大地の歌』でしたが、そのしわがれ声の強烈なインパクトは今でもよく覚えています。一度聞いたら絶対忘れられない歌手だと思います。筑紫哲也さんなどがレビューを寄せていました。
次に、ゴダールの映画「彼女について私が知っている2,3の事柄」に出ていた最後の妻マリナ・ヴラディとのカップリングアルバムから、映画『ホワイトナイツ/白夜』に引用されたコーニ・プリヴェレドゥリヴィエと言う曲をどうぞ。暴れ馬と訳せるように思いますが、単に馬と表記されていることもあります。

<ウラディーミル・ヴィソーツキー / コーニ・プリヴェレドゥリヴィエ>
Владимир Высоцкий - Кони привередливые


もう一曲ヴィソーツキーで、フランスのレーベルChant du mondeからのアルバム「モニュメント」から、チャストゥーシキという曲です。チャストゥーシキの単数形のチャストゥーシカとは、ロシア民謡の一形式で、かなり速い調子でうたわれる風刺のきいた諧謔的な曲が多いように思います。一連が普通4行からなり、そのうち2行目と4行目の脚韻を合わせるのが通例とされています。

<ウラディーミル・ヴィソーツキー / チャストゥーシキ>

次はヴィソーツキーの先輩格に当るバルドのブラート・オクジャワです。彼は1924年生まれで、1997年に亡くなっています。まずフランスのChant du mondeから出ているアルバム「紙の兵士」から、彼が生まれ育ったモスクワの中心にあるアルバート街に捧げられた「アルバートの歌」と言う曲をどうぞ。

<ブラート・オクジャワ / アルバートの歌>

やはり、オクジャワのプロフィールについて、ウィキペディアに解説されていましたので、少し読み上げてみます。

ソ連・ロシアの詩人、歌手(シンガーソングライター)、小説家。200曲ほどの歌を遺し、ロシア語でавторская песня(作者の唄)と呼ばれるジャンルの確立者の一人として有名。これはギターを弾きながら歌う、フランスのシャンソニエとロシア民謡の影響を受けた独特の様式で、彼らはバルド(бард、元来ケルトの吟遊詩人のこと)とも呼ばれる。
グルジア系の父とアルメニア系の母の間に生まれた。第二次世界大戦に応召し、戦後は教師、ついで出版社に勤務し、かたわら詩作を行った。
1950年代後半(スターリン批判後)から自作の詩を歌い、主に知識階級の間で注目されるようになった。彼は国民的人気を勝ち得ながら政治を題材にすることはなく、それでもソ連の文化政策にそぐわないジャンルであったことから、国家による公認を受けたのは晩年になってからだった。また詩人を自らの本分と考えたこともあり、レコーディングされたのは1980年頃になってからである。
1967年にストルガ詩の夕べ金冠賞受賞。1991年に国民的詩人としてソ連芸術賞を受賞。1980年代からは小説にも力を入れ1994年に「シーポフの冒険」でロシア・ブッカー賞を受賞した。生前住んでいたモスクワ・アルバート通りには記念像が建てられている。小惑星帯の小惑星の一つの「オクジャワ」は彼の名前からとられた。

以上のようにありました。
次は、短い詩に女性の一生を描いた印象的な「青い風船」と言う曲です。この歌の歌詞は以下のようになっています。

女の子が泣いている 風船が飛んで行っちゃったって 慰めてもらっても風船は飛んで行く
娘さんが泣いている まだ恋人が出来ないって 慰めてもらっても風船は飛んで行く
女の人が泣いている 浮気した亭主に逃げられたって 慰めてもらっても風船は飛んで行く
泣いているね おばあさんが もっと生きたいって・・・ でも風船が戻ってきた 青い風船が

<ブラート・オクジャワ / 青い風船>
Булат Окуджава - Шарик


では、最後に女性歌手エレナ・カンブローヴァの歌を聞きながら今回はお別れです。彼女は1940年ノヴォクズネツク生まれ、ウクライナ育ちで、State College of Circus and Variety Art卒業とありました。ロシアの歌手、女優で、1960年代からコンサートやラジオに出演、ブラート・オクジャワなどの歌も歌い、オクジャワは彼女の歌唱を「声と知性と才能の幸せな融合」と表現したそうです。
初期のブリジット・フォンテーヌを思わせるような、エキセントリックかつリリカルで、演劇的な閃きも感じさせる歌を聞かせる人で、それはこれからかけますКапли Датского короля (The Mixture of Danish King, 1999)というアルバムで顕著なように思います。3曲続けてかけます。1曲目が「辺境」、2曲目が「いるかの国」、3曲目は「手品」と訳せると思います。(手品は時間の都合でかけられませんでした)

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<エレナ・カンブローヴァ / 「辺境」、「いるかの国」>
"Фокусник" - Елена Камбурова, 1970

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2017年3月 6日 (月)

ピャトニツキーの歌声 Пятницкого

ゼアミdeワールド47回目の放送、日曜夕方に終りました。3月8日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

これまではロシア民謡と言いながらも、ソ連時代から知られる割と耳当りの良いアレンジの入った民謡や戦時歌謡、軍歌が多かった訳ですが、本当はもっと泥臭い地味な民謡がありまして、今回はそちらに焦点を当ててみたいと思います。ソ連時代には聞こえてこなかったそう言う本当の民謡が聴けるようになったのは、やはりソ連が崩壊した91年以降のように思います。それらは80年代にワールドミュージック界隈で人気を集めたブルガリアン・ヴォイスのような地声の合唱が多いのが特徴です。ロシアのレーベルBohemeに地方別の凄い集成がありますので、それらのディープな音源も交えながら進めたいと思います。
まずは、特に女性の歌に本来の民謡らしい地声のコーラスの聴けるピャトニツキー記念国立ロシア民族合唱団の歌唱からかけてみます。彼らは2000年に来日しまして、東京公演を見に行きましたが、色鮮やかな衣装と楽しい舞台にすっかり魅了されました。彼らの歌唱で「丸顔の娘」という曲からどうぞ。日本では「黒い瞳の」というタイトルで親しまれた曲です。

<ピャトニツキー記念国立ロシア民族合唱団 / 丸顔の娘 5分41秒>
Ой, со вечора, с полуночи - хор им. Пятницкого

今回の放送で流したのとは別の曲ですが、この「夜から」という曲も来日記念盤に入っていました。ブルガリアン・ヴォイスに似ている、と言うのも納得していただけるような歌唱です。個々の曲は明日以降探してみます。

次に同じピャトニツキーの合唱で、「秋の夢」と言う曲をかけてみます。ロシア古謡としか分らないのですが、3拍子のとても美しいメロディの曲です。

<ピャトニツキー記念国立ロシア民族合唱団 / 秋の夢 3分10秒>

次は同じ「秋の夢」をバラライカ・オーケストラで演奏した録音をかけてみます。三角形の特徴的な共鳴胴を持ったバラライカは、ロシアの代表的な弦楽器です。オシポフ・バラライカ・オーケストラの演奏です。

<オシポフ・バラライカ・オーケストラ / 秋の夢 6分>

次もピャトニツキーの合唱です。来日記念盤では「コサックの歌」となっていますが、原題はКогда мы были на войнеという曲で、訳すとすれば、「私達が戦争の頃は」となると思います。ZeAmiブログで先にクバン・コサックの歌唱でアップしていた曲です。

<ピャトニツキー記念国立ロシア民族合唱団 / コサックの歌 2分58秒>

ロシアのレーベルBohemeの地方別シリーズですが、手元にある盤だけでも、ヴォルガ河下流寄りでカスピ海がそれ程遠くないヴォルゴグラードのコサックの歌や、ロシア北部白海沿岸のアルハンゲリスクの民謡と、ウクライナやベラルーシに近いロシア西部ブリアンスク、ヴォロネジ、ベルゴロド3都市の民謡がありまして、他にも3枚はありました。これらはヨーロッパ・ロシア各地の民謡が中心ですが、シベリアとの境にあるウラル山脈周辺のウラル・アルタイ系の少数民族の音源まで入れると更に膨大な量になります。アジア的な5音音階も聞かせるタタールなどのアルタイ系民族が中では最も知られていますが、ハンガリーやフィンランドのルーツを溯ると、この辺りのウラル系少数民族に辿り着きます。彼らの音楽がロシア人の音楽に何がしか影響を与えたのかどうかと言うのが、以前からとても気になる点ですが、それらについてはまたの機会にしまして、今回はヴォルゴグラードのコサックの歌を聞いてみましょう。ロシアの地声の合唱は、ブルガリアン・ヴォイスのようには強烈な変拍子や不協和音はありませんが、ブルガリアと同じスラヴ系民族であるのを確かに感じさせると共に、南コーカサスのグルジアの合唱とも近い部分を感じます。

<Cossack Songs from the Volgograd / A Field-Marshal was going to his Army 2分46秒>

では最後に、ピャトニツキー合唱団の「ウラルのぐみの木」を聞きながら、今回はお別れです。この日本でもよく知られる美しい曲を1953年に書いたのはロディーギンというウラル地方出身の作曲家です。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ピャトニツキー記念国立ロシア民族合唱団 / ウラルのぐみの木 4分31秒>

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2017年2月27日 (月)

白軍側 ドン・コサックの歌声

ゼアミdeワールド46回目の放送、日曜夕方に終りました。3月1日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

今回はロシアの音楽を語る上で重要なキーの一つになっているコサックの合唱を聞いて行きたいと思います。ポーリュシカ・ポーレの歌唱スタイルが、コサック歌謡を模倣していると以前解説しておりましたので、気になられた方もいらっしゃるかと思います。日本ではコサック・ダンスのステレオ・タイプなイメージで一般には知られていると思いますが、とても素晴らしい男声合唱を伝えている人々です。裏声で歌うパートの女性の声と聞き間違えるほどの高音から、超低音で歌うパートまであって、混声合唱と聞き間違える程です。
コサックとは逃亡農民の集団で、ロシア語ではカザークといいますが、これはトルコ語では「自由の民」の意味になり、カザフとも綴りが同じのようです。器楽の方の話になりますが、カザフの弦楽器ドンブラの影響からロシアのドムラやバラライカが生まれた秘密もこの辺にありそうです。ドン川流域を移動していた集団をドン・コサックと言いますが、他にもクバン・コサックとかネクラーソフ・コサックとか、別集団が色々あります。
これからかけますドン・コサック合唱団は、ロシア革命側の赤軍に対し、敗退した帝政ロシアの白軍側の合唱団になります。革命後4年続いた国内戦で敗退しトルコに逃亡した将校のセルゲイ・ジャーロフ率いるドン・コサック合唱団は、革命後のロシアでは弾圧されたロシア正教の合唱音楽を重要なレパートリーとしながら、他にもコサックの歌や民謡、古いロマンス(語り歌)を見事に歌っていました。1950、60年代の伝説の録音から、「輝け、私の星よ」と言う、おそらく古いロマンスに当ると思われる曲からどうぞ。

<ドン・コサック合唱団 / 輝け、私の星よ 4分45秒>
Гори, гори, моя звезда Из сериала Анна Герман
https://www.youtube.com/watch?v=ydfA16y6y28
ドン・コサックでは見当たらないので、夭折したアンナ・ゲルマンの歌唱で。

この曲の歌詞は、「君は私にとって、胸に秘めた、たった一つの輝ける星。もし私が死んでも、私の墓の上でいつまでも輝き続けておくれ」という内容で、祖国ロシアへの望郷の念もダブって感じさせる哀切な歌です。
次は、ロシア民謡で最もよく知られている歌の一つ「赤いサラファン」です。実はこれも民謡ではなく、19世紀の帝政ロシア時代にワルラーモフという人によって作曲された歌です。やはり混声合唱と聞き紛うようなドン・コサック合唱団の歌唱でどうぞ。

<ドン・コサック合唱団 / 赤いサラファン 3分56秒>

次にロシアに多い「男女の秘め事」を冷やかした古い民謡の一つで、ラズベリーという曲です。コサックの歌のコミカルな面と技巧的な歌唱が余すところなく入った歌です。その内容は「乙女が母に頼まれてラズベリーを摘みに出かけた。ところが森で愛しい若者とばったり出会い、つい楽しい時を過ごしてしまったので、帰りの籠の中にラズベリーは一つもなかった。10ヵ月後の乙女と若者の会話は、『その子の名は?』、『もちろんラズベリーよ。』」 まぁ、こういう歌です(笑)

<ドン・コサック合唱団 / ラズベリー 2分36秒>

次に1920~40年代のドン・コサック合唱団の録音に、何と赤軍側の歌であるはずのポーリュシカ・ポーレがありました。珍しいので、こちらもかけてみます。歌詞は一部変えているように聞こえます。

<ドン・コサック合唱団 / ポーリュシカ・ポーレ 3分7秒>
Хор донских казаков Сергея Жарова 1950 годы 3 - часть

冒頭にポーリュシカ・ポーレ、途中にカリンカなどが出てくる1950年の映像。

次に、現在も活動しているコサックの合唱団の現地録音がフランスのIneditからありましたので、こちらからもかけてみようかと思います。ロストフのヴォルニツァ・アンサンブルと言うグループで、ショーアップされたコサック・ソングではなく、昔ながらの素朴で勇壮なコサック民謡を聞かせてくれます。ドン川流域でコサック民謡を採集・演奏している男女9人からなるグループで、ウクライナ・コサックの歌もありました。
1847年に作詞作曲されたコサックの聖歌で、曲名の英訳がOur peaceful Don is agitated, is troubledとなっていました。女性も凛々しい声で歌っているところがコサックらしさでしょうか。

<Cossack Songs - Our peaceful Don is agitated, is troubled 2分37秒>

もう一曲、クバン・コサックの歌で、英訳がWe, the sons from the famous country of Koubanという曲です。ロシア帝国によるカフカス地方の植民地化において先導的役割を果たしたクバン・コサックらしい勇壮さと美しいハーモニーを聴かせます。クバンとは、ロシア南部、クバーニ川流域から、現在のクラスノダール地方、アディゲ共和国、スターヴロポリ地方、ロストフ州、カラチャイ・チェルケス共和国に当たる地域を指し、冬季五輪が開かれたソチは中心都市の一つです。

<Cossack Songs - We, the sons from the famous country of Kouban 3分3秒>
Кубанский казачий хор - Когда мы были на войне

この曲はなさそうなので、同じクバン・コサックの歌唱でКогда мы были на войнеを。ピャトニツキーの歌唱で後日上げようかとも思っていた曲です。

では最後に、再度1920~40年代のドン・コサック合唱団の録音からロシアのジプシー・ロマンスで最も有名な「黒い瞳」を聞きながら、今回はお別れです。ロシア民謡として知られていますが、実はロシア・ジプシーの歌です。シャリアピンの名唱で広まった歌ですが、ドン・コサックの歌唱はまた一味違っていて、出だしから実に濃厚な黒い瞳(オチ・チョルニア)で、聞き入ってしまいます。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ドン・コサック合唱団 / 黒い瞳 4分12秒>
Don Cossack Choir - Serge Jaroff - Очи чёрные

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2017年2月20日 (月)

ロシアの古謡 「白樺は野に立てり」 「母なるヴォルガを下りて」

ゼアミdeワールド45回目の放送、日曜夕方に終りました。2月22日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。「白樺は野に立てり」と「母なるヴォルガを下りて」を目立たせたいので、他の曲はまた後日当ブログで取り上げます。

今回はロシア民謡の中から、クラシック音楽に使われた例を原曲と並べて聞いてみたいと思います。今日かける曲は、どれも茫洋とした果てしないロシア平原や大河ヴォルガをすぐさま連想させて、個人的に最も好きなロシア民謡のタイプです。
最初は、「白樺は野に立てり」という曲です。18世紀から知られている有名なロシア民謡で、本来はホロヴォードと呼ばれる群舞に際して歌われる踊り歌だそうです。チャイコフスキーが交響曲4番の4楽章第2副主題にこの旋律を使ってから有名になりました。まずは原曲を赤星赤軍合唱団の歌唱でどうぞ。

<赤星赤軍合唱団 / 白樺は野に立てり 3分47秒>
"The Birch Tree" - Nikolay Gres & The Alexandrov Red Army Choir (1965)

この曲だけの赤星赤軍合唱団では見当たらないので(先日のコンサート全映像には入っております)、赤軍合唱団の古い映像で。バラライカの演奏も確認できます。

続いてチャイコフスキーの交響曲4番の4楽章の該当箇所です。華やかに始まった後、15秒くらいから所々にこの民謡旋律が出てきます。ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団の演奏でどうぞ。

<チャイコフスキー 交響曲4番4楽章 ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団 冒頭の2,3分>

次に「母なるヴォルガを下りて」というロシア民謡ですが、ヴォルガの舟唄やステンカ・ラージンと並んでヴォルガを歌った民謡としては最も有名な曲です。18世紀の民謡集にはその歌詞が収録されているそうですから、既に200年以上歌い継がれて来た歌と言うことになります。何とステンカ・ラージンの仲間達によって作られたという説もある曲です。チャイコフスキーを初めとして色々な作曲家が作品の中に用いてきましたが、民謡としての歌唱では1932年録音のロシアの名バス歌手フョードル・シャリアピンのSP録音で広く知られるようになりました。そのシャリアピンの名唱でどうぞ。

<フョードル・シャリアピン / 母なるヴォルガを下りて 3分25秒>
Ф. Шаляпин - Вниз по матушке по Волге/ Down To Volga Mother-River

同じシャリアピンの歌唱でありました。

続いて「母なるヴォルガを下りて」を第1楽章冒頭の主題に使ったチャイコフスキーの交響曲第2番 ハ短調『小ロシア』です。ホルン独奏がこの曲("Вниз по матушке, по Волге")を吹いていますが、元の旋律が変奏されて憂いに満ちた感じになっていて、すぐには分かりにくいかも知れません。この曲はウクライナ民謡とも言われたので、曲の副題が『小ロシア』になっています。4番と同じくミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団の演奏です。

<チャイコフスキー 交響曲2番1楽章 ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団 冒頭の2,3分>

次はロシア五人組の作曲家の一人、ムソルグスキーの歌曲コリベールナヤ・ペスニャ(Sleep, son of peasants)で、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「ヴェニスに死す」のラストシーンでつぶやく様に流れた子守唄です。民謡ではないようですが、ロシアの民謡やユダヤの歌などに深い関心を持っていたムソルグスキーらしい民謡風味の濃い一曲です。最初に言いましたような「茫洋とした果てしないロシア平原を連想」させる曲です。ブルガリア出身の名バス歌手ボリス・クリストフの歌唱でどうぞ。

<ボリス・クリストフ / ムソルグスキー歌曲集 コリベールナヤ・ペスニャ(Sleep, son of peasants) 5分39秒>

ここで宣伝です。
うちでやっております賃貸の一角に管理人兼の叔母のカフェが30年ほど前からありまして、徐々にではありますが、管理人業務とカフェも引き継いでいくことになりました。2月13日以降は店に出ております。ZeAmiの実店舗兼の音楽カフェを考えております。在庫は現在多くはありませんが、クラシックや民族音楽の楽器(こちらは非売品ですが)なども若干置く予定です。お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい。弦楽などの楽譜も置いて、情報交換の場にも出来ればと思っております。 ゼアミdeワールドの過去の放送原稿も全て置いておきますので、あの時何て言ってたのかな、とか気になった方はお声かけ下さい。

〒794-0812 愛媛県今治市北高下町2-1-7
店名:トーク&talk
  営業時間 平日10~17時まで 土日祭日休


では最後にフョードル・シャリアピンの名唱でもう一曲「ピーテル街道を下りて」という曲を聞きながら、今回はお別れです。明るく豪快な一曲で、1929年の録音です。ロシアのバス歌手の登竜門に利用される非常に技巧的な民謡として有名です。
もし時間が余りましたら、ルチーヌシカというシャリアピンの絶品の独唱をかけて終わりにしたいと思います。19世紀のはじめ頃からロシヤの織女たちの間で歌われた曲で、肺腑を抉るような言わば「女工哀歌」の一種です。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<フョードル・シャリアピン / ピーテル街道を下りて 1分57秒>
<フョードル・シャリアピン / ルチーヌシカ 3分26秒>

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2017年2月 6日 (月)

赤星赤軍合唱団

5日の今治総合芸能祭でのチェロ演奏自体は、まぁまぁ上手く行った方かなと思いますが、序の舞で途中2分ほどずれまして、その分規定時間を超過してしまいました。2曲目入りのタイミングについて、やはり打ち合わせ不足でした。でも客席からは、良い感じには見えていたようです。子供達の語りと、無伴奏1番プレリュードのダブりも、予定してはいなかったことですが、面白いヘテロフォニーのようにも聞こえました。

以下最近のブログと重複する部分もありますが、ゼアミdeワールドのレポートです。43回目の放送、日曜夕方に終りました。8日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。
youtubeは、最近の記事と重複するものは省き、ワルシャワ労働歌とパルティザン・ソングはラジオでは頭だけになってしまいましたので、今回フルに取り上げます。

ロシア・シリーズの2回目ですが、前回は赤軍合唱団追悼と言うことで勇ましい軍歌を中心にかけました。今回はカチューシャなど一般に親しみやすい歌を予定しておりましたが、FBで少しポーリュシカ・ポーレの話しで盛り上がったもので、今回も別団体になりますが赤星赤軍合唱団の歌唱からかけたいと思います。このグループは77年結成の混声合唱団です。93年頃、彼等のポーリュシカ・ポーレを聞いたのが、私的“ロシアルネサンス”のきっかけでしたから、是非かけておきたい音源でした。テルデックのCD2枚に続いてライブ映像の入ったLDも手に入れて堪能しましたが、DVD化は確かされてなくて、youtubeでは上がっていますので、ZeAmiブログの方で取り上げます。99~04年までロシア語の合唱団に入っていましたが、確か2003年に麻布の文化祭でこの曲を歌いました。ロシア語会話に使われ日本のポピュラー界隈でも割りと知られていた故オリガさんのポーリュシカ・ポーレも持ってますが、かけようかどうしようか考え中です。まずは、赤星赤軍合唱団のポーリュシカ・ポーレをどうぞ。

<赤星赤軍合唱団 / ポーリュシカ・ポーレ 2分24秒>
2日のブログで取り上げましたので、youtubeは省略します。代わりにこの映像が入っていた赤星赤軍合唱団のLDと同じ内容のyoutubeを貼っておきます。コンサートの全てが入っています。
Soviet Army Red Star Choir Concert 1992


この最弱音から最強音まで上がって再び最弱音に戻るスタイルは、コサック歌謡を模倣していると言われますが、このスタイルに非常にインパクトを受けました。
この歌の歌詞ですが、以下のようになっています。

野原よ野原、広い草原よ、草原を英雄達が行く、赤軍の英雄達が
娘達は泣く、今日は娘達は悲しい、恋人が長い旅路に出て行ってしまった、愛しい人は出征したのだ
娘達よご覧、娘達よ涙をお拭き、歌がもっと力強く響くように、我等の勇壮な歌が
娘達よご覧、僕らの旅路をご覧、遠く旅路が続いている、心弾む旅路が
野原よ野原、広い草原よ、草原を英雄達が行く、赤軍の英雄達が
(訳:伊東一郎)

この内容を見ると、日本で言えば、勝って来るぞと勇ましくと始まる「露営の歌」が近いなと常々思っていました。しかし、露営の歌が日本の若い世代ではほぼ忘れられた歌であるのに対し、ポーリュシカ・ポーレはポップスにもアレンジされたりして、現代でも愛されています。この違いは何だろうといつも思いますが、茫洋とした果てしないロシア平原を「野原よ野原」と静かに歌いだすこの曲調とその後爆発的に盛り上がってまた静まるコサック歌謡のスタイルが、何か戦時中を越えた普遍性を持っているからではと思いました。日本ではヨナ抜き短音階の旋律が、演歌以外の大衆歌謡では廃れてしまっているのも大きいと思います。
ポーリュシカ・ポーレが露営の歌なら、ロシアの歌で一番有名なカチューシャは、日本で喩えれば映画「愛染かつら」の「旅の夜風」にイメージ的に近いなと、やはり常々思っていました。国境警備にあたる青年と、故郷で待つ娘という歌詞内容のカチューシャは、ロシアの名刺代わりのような有名な歌になりました。この歌もロシア民謡ではなく、ブランテル作曲の1938年の戦時歌謡です。愛染かつらの公開も偶然にも同じ年でした。赤軍合唱団のカチューシャはyoutubeには色々ありますので、またZeAmiブログでも取り上げたいと思います。独唱中心ですが、アレクサンドロフ・アンサンブルのソ連時代の歌声でどうぞ。

<アレクサンドロフ・アンサンブル 道 / カチューシャ 2分17秒>
1日のブログで取り上げましたので、youtubeは省略します。

次もカチューシャと同じブランテルの作曲で、「陽は山陰に隠れ」という歌で、赤星赤軍合唱団の歌唱です。やはりコサック歌謡のスタイルに乗せて、帰郷する兵士たちの勇姿を歌ったソビエト歌曲です。これもとても印象的な歌です。

<赤星赤軍合唱団 / 陽は山陰に隠れ 3分4秒>
上記のコンサート全映像の47分過ぎに入っております。

次はカリンカと並ぶロシア民謡の代表曲として有名な「ヴォルガの舟唄」です。ヴォルガ川の船曳きの過酷な労働に際して歌われた歌を、作曲家のバラキレフがノヴゴロド辺りで採譜した旋律に基づいているそうです。赤軍に対抗する帝政ロシア側の白軍系合唱団であるドン・コサック合唱団や、ロシア往年の名バス歌手のシャリアピンの名唱でも知られますが、今回は赤星赤軍合唱団の歌唱でどうぞ。この歌に関しては軍の赤白関係なく歌うようです。日本ではドリフターズのギャグでも有名になりました。シャリアピンやドン・コサック合唱団も次回以降また取り上げる予定です。

<赤星赤軍合唱団 / ヴォルガの舟唄 5分>
Red Army Chorus - Song of the Volga Boatmen


次はアニメの「魔法使いサリーちゃん」の学芸会シーンでも有名なフォークダンス名曲コロブチカの原曲の「行商人」というロシア民謡です。ネクラーソフの長編詩に民間で曲がつけられたもので、農村の娘と若い行商人の恋の駆け引きを軽妙に歌っています。赤軍合唱団も定番レパートリーとしてよく歌っていました。アレクサンドロフ赤軍合唱団の歌唱でどうぞ。

<アレクサンドロフ赤軍合唱団 / 行商人 4分34秒>
Red Army Choir - Korobushka song (Korobeiniki)

独唱者はウラル西部のマリ・エル(旧チェレミス)出身のようで、アジア的な風貌。

次はワルシャワ労働歌で、やはり赤星赤軍合唱団の歌唱です。日本でも学生運動の中で歌われた革命歌で、作曲家の高橋悠治さんが水牛楽団で取り上げたようにも記憶しています。

<赤星赤軍合唱団 / ワルシャワ労働歌 4分8秒>
Red Army Choir Варшавянка (Varshavianka) / The Warsawian

赤星赤軍合唱団のyoutubeは見当たらないので、赤軍合唱団の歌唱で。

では、最後にロシア革命後の国内戦当時歌われた歌で、シベリア出兵していた日本軍と戦う極東パルチザンを歌った「谷越え山越え」という曲を聞きながら、今回はお別れです。赤軍合唱団の創立者アレクサンドロフが1929年に採譜して広く知られるようになったそうです。悲壮な旋律美極まる一曲です。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<赤星赤軍合唱団 / 谷越え山越え 2分39秒>
Red Army Choir - A Partisan's song

赤星赤軍合唱団のyoutubeは見当たらないので、赤軍合唱団の歌唱で。

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