ゼアミdeワールド

2021年9月20日 (月)

Slovenia - Folk Songs from the Frankie Yankovic Collection

ゼアミdeワールド277回目の放送、日曜夜10時にありました。22日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。レジア渓谷の方は水曜以降に。Frankie Yankovic Collectionの音源は、古き良き60年代のスロヴェニアを思い出させるとの意見もありました。

スロヴェニアの音楽の2回目です。スロヴェニアの民族音楽のまとまった音源としては、ドイツのTrikontから出ていたDer Bleiche Mondと英ARCのTraditional Music of Slovenia以外に、おそらくスロヴェニア盤と思われるSlovenia - Folk Songs from the Frankie Yankovic Collectionと、イタリア北東部フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州のレージア渓谷に住むスロヴェニア人の録音があります。今回はSlovenia - Folk Songs from the Frankie Yankovic Collectionとレージア渓谷の盤からご紹介します。

とは言いましても、Slovenia - Folk Songs from the Frankie Yankovic Collectionは現物を見たことのないアイテムですし、レージア渓谷の方も品切れで手元に残ってないので、曲の詳細は不明です。Frankie Yankovic Collectionの方は男女の歌をアコーディオンなどが伴奏していますが、チロル風な曲調が多く、曲によってはシャンソンのようにも聞こえます。余談ですが、大指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの母方はスロヴェニア人の家系であり、民族的にはスラヴ人の血を引いているそうです。この盤の全32曲ほとんどがこのチロル風の音楽で、なかなか違いを聞き分けるのが難しいです(笑) 1曲目から3曲続けます。

<1 Sneška Šterbenc / Tell Me Why (Waltz) 3分11秒>

<2 Joseph Kelbel Orchestra / Sell My Skirt / I Saw My Girl Last Night / We Are Slovenian Lads 2分7秒>

<3 Bozo Groselj & Branka Stergar / I Am Young / At Dawn the Frost Fell 1分46秒>

クロアチア北西部のイストリア辺りにイタリア人がいたのと入れ違うように、イタリア北東部のヴェネツィアの更に東に位置するフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州のレージア渓谷には、スロヴェニア系少数民族がいて、この地での録音がジョン・ゾーンのレーベルAvant Recordsから96年に出ておりました。イタリアにスラヴ人がいた!と当時非常に驚いた音源です。よく聞くとスラヴ語らしき発音が聞こえてきます。フィドル(citara)と3弦チェロ(bunkula)を中心に、足の踏み鳴らしの生み出すシンプルなリズムは、アラン・ローマックスが録音したイタリアの本物の民謡にもそっくりですが、バルカンやハンガリーの音楽に近い面も見いだせるのかも知れません。そのリズムの出てくる3曲目から3曲続けます。

<3 Ta-do Z Te Biske Jasane 2分23秒>
<4 Ta Matjonawa 1分29秒>
<5 Ta Pustawa 2分32秒>

Brian Olewnickのレビューによると「真のハイライトのいくつかは、無伴奏の女性の重唱で、WödaTaJurüdinaは、このレコーディングの時点で70歳だった2人の女性のデュエットです。失われた愛に対する彼女らの嘆きの優しさは印象的です。」とあります。その6曲目のWoda Ta Jurudinaを次におかけします。

<6 Woda Ta Jurudina 4分6秒>

では最後に、賑やかな歌声と共に足を踏み鳴らし、ヨーデルのような掛け声も入った、場の盛り上がりの様子がよく分かる曲を聞きながら今回はお別れです。最初の2曲がCDのラスト2曲のTa Lipawskaと、チロリアンの叫び声のような僅か4秒のJuhuhuc…!で、後の2曲は11、12曲目共通のPoti Mi Do Po Lipjeと言う曲で、2曲目の方が同じ曲のインストです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<20 Ta Lipawska 2分42秒>
<21 Juhuhuc…! 4秒>
<11 Poti Mi Do Po Lipje 52秒>
<12 Poti Mi Do Po Lipje 2分26秒>

| | コメント (0)

2021年9月13日 (月)

スロヴェニアの音楽

ゼアミdeワールド276回目の放送、日曜夜10時にありました。15日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画はVodomecの2曲のみです。

今回から数回、スロヴェニアの音楽を聞いて行きたいと思います。セルビアやクロアチアと同じく南スラヴ系の民族ながら、旧ユーゴ諸国の中で一番北に位置することからドイツ、オーストリアの影響が強く、イタリアにも近いことから、イタリアの要素も感じられます。

スロヴェニアの民族音楽のまとまった音源としては、ドイツのTrikontから出ていたDer Bleiche Mondと英ARCのTraditional Music of Sloveniaが特に知られていると思いますが、いずれも品切れで手元に残ってない状態でした。ARCの方はストリーミングにありましたが、重要音源の集まったトリコント盤の方はMDでデータを残してあったと思うので、見つかったらおかけしたいと思います。他にはストリーミングで見つけたおそらくスロヴェニア盤と思われるSlovenia - Folk Songs from the Frankie Yankovic Collectionと、イタリア北東部フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州のレージア渓谷に住むスロヴェニア人の録音位です。

異色な方面としては、80年代から活躍するライバッハがいまして、個人的に80年代はニューウェーヴやインディーズにどっぷりだったので、LPも持っていましたが、今も活動が続いていることを今回初めて知って非常にびっくりしました。LPは行方不明ですがストリーミングで聞けますので、この番組でかけられそうな曲がありましたら取り上げたいと思います。

ARCの音源をかける前に、前回かけた1950年代初頭のユーゴスラヴィアの2枚のアナログ音源にも1曲ずつ入っていますので、まずはこちらからおかけします。Songs and Dances of Yugoslaviaには、1曲だけスロヴェニアのPolkaが入っています。演奏者がYodeler with accordion(ヨーデル歌手のアコーディオン弾き語り)となっている通り、隣接するオーストリアのチロル音楽が非常に近く感じられます。

<14 Polka 39秒>

Folk Music of Yugoslaviaの方にはSlovenia: Danceと言うタイトルで、やはりチロル風な合唱が入っています。

<11 Slovenia: Dance 58秒>

ARC盤ですが、スロヴェニアの伝統音楽を少し現代的にアレンジして演奏しているグループを集めている印象でした。タンブリッツァのように聞こえる弦楽器が頻繁に出てきますが、スロヴェニアではタンブーラと呼ぶようです。現物が手元にないので、解説を参照できないのが残念です。

この盤で特に耳に残ったヴォドメッツと言うグループの曲を2曲続けておかけします。東に位置するハンガリーの影響も感じられるIgraj kolo, jabukoと、チロルかイタリアのどちら寄りか判別が難しいVse ticice lepo pojo,~の2曲です。

<7 Vodomec / Igraj kolo, jabuko 3分12秒>

<14 Vodomec / Vse ticice lepo pojo, Dobro se je rano uraniti, Popito vince ne dojde vec, Pivaj vzivaj in prepevaj 4分52秒>

この盤の1曲目に戻りましてViniski Tamburasiの演奏は、タンブーラの涼し気な合奏音楽で、雪山を望む湖と古城の景色のジャケットのイメージ通りの音楽と言えるでしょうか。

<1 Viniski Tamburasi / Kopriva, Seljancica, Carska kasa, Pobelelo pole, Lepa anka, Prelosko svatbeno 3分36秒>

3曲目は無伴奏の女声合唱で、この曲も涼し気な印象です。スラヴ色は薄く感じます。北欧かバルトの合唱のようにも聞こえる清涼感があります。

<3 Vokalna Skupina Lan / Cvice mi polje pokrilo 1分43秒>

おそらく「星の中で」と言う意味の6曲目の歌は少しケルト色さえも感じさせ、ますますどこの国の音楽か分からなくなるような曲です。星のzvezdamiはロシア語ではズヴェーズダですから、言葉からスラヴ系と分かります。Brinaと言うグループの演奏は3曲ありますが、いずれもどこか他国の音楽をミックスしている感じです。

<6 Brina / Med zvezdami 4分21秒>

少しクロアチアのタンブリッツァ楽団にも似ているかなと思うTamburasi Kud Oton Zupancic Gradacの演奏を時間まで聞きながら今回はお別れです。コロなどの舞曲ですが、やはり涼し気な印象です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<11 Tamburasi Kud Oton Zupancic Gradac / Zeleni jure, Tribucko kolo, Lepa anka, Carska kasa, Ivanic kolo 4分45秒>

| | コメント (0)

2021年9月 6日 (月)

ユーゴスラヴィアの1950年代初頭のアナログ音源

ゼアミdeワールド275回目の放送、日曜夜10時にありました。8日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。

今回はフォークウェイズのユーゴスラヴィアの1950年代初頭の2枚のアナログ音源から抜粋して行きます。クロアチアの音源は、Songs and Dances of Yugoslaviaに2曲、Folk Music of Yugoslaviaに1曲のみでした。クロアチアの音楽の6回目と考えていましたが、一番多いセルビアなどの音源も併せてご紹介します。

ユーゴスラヴィアの音楽と言うと、1970年代まではいわゆる「鉄のカーテン」の向こう側で、一般にはほとんど知られてなかったと思います。映画「アンダーグラウンド」などの大ヒットを受けて、90年代のユーゴ紛争前後のバルカン・ブラスの大ブレークから一気に増えて、今では東欧諸国で一番リリースが多いのではと思います。

数少ない70年代以前の貴重な記録がアメリカのフォークウェイズからアナログ盤で出ていて、それが先日のクルク島の音楽と、今回のユーゴスラヴィアの2枚のアナログ音源です。Smithsonian FolkwaysのサイトでDLかCDRで購入可能ですが、それらが今ではストリーミングでも聞けます。現在は独立したそれぞれの国の音楽が2枚に収録されています。聞いていて気が付いたのは、クロアチアの楽器と思っていたタンブリッツァがセルビアでも使われていて、その録音が結構あります。

Folk Music of Yugoslaviaの1曲目がクロアチアの曲で、Gresnica地方の非常に古い愛の歌で、男性7人女性7人の合唱で歌われます。

<1 Croatia: Love Song 2分15秒>

Songs and Dances of Yugoslaviaに入っている2曲は、ドブロヴニクの混声合唱と女声合唱で、これも現在は珍しいタイプかも知れません。クロアチア各地の色々な音源を聞いた後では、西ヨーロッパ的な音楽で逆に意外性を感じます。

<5 Ti Rasturi 1分45秒>

<6 Sitna Ki_a-Rosila 1分1秒>

クロアチアの音源は以上の3曲でした。この後はSongs and Dances of Yugoslaviaから何曲か続けます。この盤の1曲目は少しセファルディ風にも聞こえるモイ・ディルベレと言うボスニアの美しい愛の歌で、おそらくセヴダになるのではと思います。歌手名はGirl with accordion accompanimentとあるだけで不明です。

<1 Moj Dilbere 2分59秒>

2曲目からは、タンブリッツァが使われたセルビアの曲が2曲続きます。カトリックのクロアチアと違うのは、正教の国セルビアの音楽が、どこか東方的な雰囲気がある点だと思います。セルビアの音源は、オコラのヴラフ(ワラキア)人のような少数民族の盤やバルカン・ブラスの方が目立って、大多数のセルビア人の伝統音楽自体が内戦後は分かり難くなっているようにも思いますから、こういう古い録音は50年代当時の諸々の状況も垣間見えて興味深いものがあります。

<2 Ja Posadih Vjenac 2分13秒>
<3 Anica Ovce _uvala 3分26秒>

9曲目にセルビアのコロが入っています。笛とタンブリッツァの入った弦楽合奏による演奏です。

<9 Tri Putari Kolo 2分28秒>

10曲目のセルビアのコロは弦楽オーケストラによる演奏ですが、ルーマニアのホラに似た感じに聞こえる曲です。ヴァイオリンの独奏が高い音で弾く辺りがルーマニアの「ひばり」にそっくりです。

<10 Kolo 2分7秒>

11曲目のSumadija Koloもバルカンらしいコロで、アコーディオンによる演奏です。クレズマー音楽との繋がりも見えて来るような音楽です。

<11 Sumadija Kolo 2分52秒>

4曲目に戻って男性のタンブリッツァ弾き語りは、ボスニアの曲です。この盤にはもう一曲ボスニアの曲と、マケドニアが2曲、スロヴェニアとモンテネグロの曲もありますが、今回は割愛します。この曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 Sastali Se Capljinski Tatari 1分27秒>

| | コメント (0)

2021年8月23日 (月)

スラヴォニアの民謡

ゼアミdeワールド273回目の放送、日曜夜10時にありました。25日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。感染拡大のため何度目かのスタジオ閉鎖になりまして、またしばらく宅録の予定です。クロアチアの音楽の4回目です。前回に続いてクロアチア国立民族合唱舞踊団“ラド”の音源から始めたいと思います。今日の動画はスラヴォニアの3曲のみです。よく見るとAjd' Na LivoとHajd Na Levoは綴りもそっくりです。同じ曲の節違いでしょうか?

ラドのCDはたくさん出ていますが、手持ちの2枚にはセルビアに近いクロアチア東部のスラヴォニア地方の音楽は2曲だけで、これは東部で戦火が激しかったのと無関係ではないのかも知れません。その2曲はまた来週取り上げる予定です、と予告しておりました。ラドの1枚物(Lado / Iz Hrvatske Narodne Glazbene Riznice 2)に入っている2曲では明るい調子の歌声が聞けてほっとしました。最初の曲はいかにもスラヴ系の合唱と言う感じです。次の曲はタンブリッツァ・アンサンブルの伴奏が入ります。トルコのサズやタンブールの流れを汲むタンブリッツァは、音域によってソプラノを担当するビセルニツァ、その下のブラッチ、アルト音域のブガリヤ、テノール音域は何とチェロと呼ばれ、バス音域はベルデで、この5つから成ります。タンブリッツァの合奏の音はマンドリン・オーケストラにも似ています。

<12 Tri Jetrve Žito Žele 2分17秒>
Vranovci Bukovlje - Tri jetrve žito žele

Tri Jetrve Žito Žele

<13 Ajd' Na Livo 2分28秒>

KUD Kresimir Bad-Cannstatt - Ajd na ljevo, Ajd na desno

この1枚物の方にはダルマチアの曲も5曲入っておりまして、さっきのスラヴォニアに続いて入っているのは、Kolo Poskočica - Linđoと言うコロで、バルカン各地のホラやオロと繋がる舞曲なのが名前からも分かります。ダルマチアと言えばイタリア風な曲が多いですが、この曲はギリシア周辺のホロの直系の古風な趣があります。

<14 Kolo Poskočica - Linđo 1分25秒>

次の曲も地方名はジュズナ・ダルマチアとありますが、こちらはアコーディオンが入ってイタリア風にも聞こえます。

<15 Vrtajica I Dva Passa 1分26秒>

前回うっかりSenjicu Senjalaと言うハンガリー風な曲を2回かけてしまいました。同じく2枚組と1枚物の両方に入っているのが、トゥロポリエ地方のDevojka, Devojkaと言う曲で、とても親しみ易い曲ですので、ラドの最後にこの曲をかけたいと思います。この曲辺り、中央クロアチア音楽の典型的なイメージがあります。デーヴァイカとはロシア語ならジェーヴァチカで、「女の子」の意味です。

<23 Devojka, Devojka 1分50秒>

東北部のスラヴォニアの曲は他の盤にも入っておりまして、ユーゴ紛争前の録音のノンサッチ盤とアルバトロス盤にもあります。ノンサッチの方は「左へ、右へ」と言う曲で、これも明るく聞いたことのある曲でした。

<5 Hajd Na Levo 1分28秒>

アルバトロス盤のスラヴォニアの曲は「コロ・ロゴヴァツ・イ・スヴァトベナ・プラトニヤ:スラヴォニア地方の2曲のコロ・ダンス Kolo Logovac I Svatbena Pratnja」とありまして、サミッツァの独奏によるコロです。

<15 コロ・ロゴヴァツ・イ・スヴァトベナ・プラトニヤ:スラヴォニア地方の2曲のコロ・ダンス Kolo Logovac I Svatbena Pratnja 1分34秒>

このアルバトロス盤の1曲目は「ラクソン:結婚式の音楽 Lakson」と言うハンガリー風の曲です。個人的に哀調を帯びたハンガリー音楽は大好きなもので、つい選んでしまいます(笑) ヴァイオリンをヘゲデと呼んだり、4弦の木の棒ではじくベースをガルドンと呼んだりするところは、いかにもハンガリー式ですが、演奏者はクロアチア人らしいです。もう一つの楽器は小型のツィンバロムです。曲名のラクソンも、ハンガリー語の「結婚式で」の意味のラコダルモンが訛ったものとのことです。モルヴェと言うハンガリー国境に近い町での録音で、この盤のジャケットにもなっています。

<1 ラクソン:結婚式の音楽 Lakson 1分19秒>

このアルバトロス盤から、前々回のクルク島の音楽の回で「コラク・イ・ポタンツ Korak I Potancu」と言う曲をかけましたが、近くのイストリア半島の曲が2曲ありますので、今回かけておきます。「バルン:イストリアのダンス」と「ポルカ:イストリア・ポルカ・ダンス」の2曲です。最初がダブルリードの管楽器、次はドローン無しのバグパイプによる演奏です。クルクと違って、イストリアのダンスは、古楽の視点からも聞けそうな曲です。

<10 バルン:イストリアのダンス Balun 51秒>
<11 ポルカ:イストリア・ポルカ・ダンス Polka 1分11秒>

ノンサッチ盤には、他で聞けないドブロヴニクの向かいのムリュ島の音源もあります。ドブロヴニクの旧市街は「アドリア海の真珠」とも謳われ、世界遺産に登録されています。クルクやイストリアはダルマチアの北の端、ドブロヴニクは南の端に位置し、ドブロヴニクの辺りにあったラグーサ共和国はヴェネツィア共和国のライバルだった都市共和国です。女性の独唱で地味ですが、古い様式の珍しい音源ですので2曲続けておかけします。詩節の終わりの終止音が2度の音(ドが主音ならレ)になるのがクロアチア民謡の特徴なのがよく分かります。曲名は「苦しみのことは忘れて歌いましょう」と「リンゴの実は美しい」です。この2曲を聞きながら今回はお別れです。次回はオコラのクロアチア、フォークウェイズのユーゴスラヴィアの古い2枚のアナログ音源から抜粋する予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<6 Pjevanti Cu Necu Stat U Muku 3分1秒>
<14 Lijepa Ti Je Od Jabuke Vocka 2分53秒>

| | コメント (0)

2021年8月16日 (月)

ヘレン・メリルとラド

ゼアミdeワールド272回目の放送、日曜夜10時にありました。18日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。ヘレン・メリル「イェレーナ」のキリエ以外のラドの演奏は、また後日。2本目はイェレーナの2曲目、両親の故郷クルク島を追想する曲、Imagining Krkです。

クロアチアの音楽の3回目です。今回はクロアチア国立民族合唱舞踊団“ラド”のCDからご紹介します。2014年の来日公演を高松に見に行きまして、その際に会場で買ったクロアチア盤の2枚組と1枚物からの抜粋です。アドリア海沿岸のダルマチアの辺りはイタリア~ヴェネツィア風、スロヴェニアに近い北西部はチロル風、ハンガリーに近い北部はハンガリー的な音楽が聞ける、非常に地方色がはっきり分かれる国だと思います。ラドはダルマチア辺りの音楽は余りやってないようですが、その他の地域は地図入りでCDに紹介されています。

ちょうど今週の予定をそのように考えていたところ、M大の黒田先生からジャズ歌手のヘレン・メリルの2000年のアルバム「イェレーナ」と言う盤を教わりまして、何というシンクロ!と思いました。ヘレン・メリルは両親の出身地が先週の放送で特集したクルク島で、戦場になった故郷の惨禍を悼む思いと自画像を重ねたこの盤は、クルクのソペラをスティーヴ・レイシーがソプラノサックスで模していたり、アルバムの冒頭にはラドの合唱団と民族楽団の演奏する、カトリックのミサの最初か2曲目に歌われるキリエ(キリエ・エレイソン=主よ 憐れみたまえ)にドラムを被せた演奏が入っていたり、ジャズをベースにしながら随所に祖国への思いをオーバーラップさせた作品になっています。何よりもアルバムタイトルの「イェレーナ」は、ヘレン・メリルの本名です。クロアチア名のフルネームはイェレナ・アナ・ミルチェティッチです。まず、そのラドのキリエからおかけします。

<1 Jelena Ana Milcetic a.k.a. Helen Merrill ~Lado Folk Dance And Music Ensemble / Kirje 3分15秒>

Imagining Kirk

この後はラドのクロアチア盤の2枚組と1枚物から抜粋します。2枚組のタイトルはLado / Iz kajkavskih krajeva vol. 3 i 4です。1枚目の1曲目は北部のハンガリー国境に近いポドラヴィナ郡の民謡です。ハンガリー色の濃い音楽です。

<1-1 Podravina: Senjicu senjala 4分14秒>

次は首都ザグレブのポルカを一曲おかけしておきます。こういう明るい調子がクロアチア音楽の典型なのではと思います。クロアチアの民族楽器で最も有名な小型サズのようなタンブリッツァとヴァイオリンなどのアンサンブル演奏です。

<1-13 Zagrebacko prigorje: Prigorska polka 1分29秒>

次はクロアチア最北部に位置し、ハンガリー・スロヴェニアと接しており、オーストリアにも近いメジムリェ郡の曲はかなり多くて、9曲入っています。聞けば聞くほどハンガリー音楽にそっくりです。18~20曲目まで続けておかけします。

<1-18 Medimurje: Lepe nase senokose 1分25秒>
<1-19 Medimurje: Zaigrajte meni 1分37秒>
<1-20 Medimurje: Regica 1分40秒>

2枚目の15曲目から数曲、スロヴェニアに近いゴルスキ・コタルの音楽は、アルプスやオーストリアのチロル地方の音楽にも似ていますが、音楽では全く陸地と異質なクルク島も、このゴルスキ・コタル地方に含まれます。15曲目は雪山賛歌に似ていますし、16曲目はアルペン音楽そのもののようです。

<2-15 Gorski kotar: Dekle je na gajnku stala 1分43秒>
<2-16 Gorski kotar: Od kad si dekle ti doma 1分46秒>

2枚目のポクプリエとトゥロポリエの音楽は、明るいポルカ調の曲が多く、こういう中央クロアチアの音楽が典型的なタイプかと思いますが、その中でトゥロポリエの哀歌調の女性の合唱が耳に残りました。

<2-11 Turopolje: Ej, mila majko 1分25秒>

1枚物のLado / Iz Hrvatske Narodne Glazbene Riznice 2の方からも2曲選びましたが、やはりハンガリーに近いメジムリェとポドラヴィナのハンガリー風な歌でした。このハンガリー風の2曲を聞きながら今回はお別れです。ラドのCDはたくさん出ていますが、手持ちの2枚にはセルビアに近いクロアチア東部のスラヴォニア地方の音楽は2曲だけでした。これは東部で戦火が激しかったのと無関係ではないのかも知れません。その2曲はまた来週取り上げる予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Štiri Snehe 1分38秒>
<17 Senjicu Senjala 4分15秒>

| | コメント (0)

2021年8月 9日 (月)

クルク島の伝統音楽

ゼアミdeワールド271回目の放送、日曜夜10時にありました。11日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。動画はフォークウェイズ盤の1曲目と、アルバム全曲もありましたのでグラゴル・ミサの所に入れておきます。他の音源はまた後日。

クロアチアの音楽の2回目です。先週かけましたクロアチア南部のアドリア海沿岸のダルマチア地方の男声合唱、クラパ歌謡はイタリア風で極めて美しい和声的な音楽でしたが、ダルマチアの北部のスロヴェニアやイタリア北東部に近い島嶼部には、クラパとは全く対照的な不協和音の多い不思議な音楽があります。私の知る限りでは、世界の不思議音楽の5本指に入る感じです。場所はアドリア海沿岸北部のイストリア半島に近いクルク島が中心で、この島はリゾート地としても有名なようです。
音源はアメリカのフォークウェイズのLP時代の音源で1枚ありますが、ノンサッチ・エクスプローラーのシリーズの「ユーゴスラヴィアのヴィレッジ・ミュージック」とアルバトロス盤にも数曲入っていますので、まずそちらからおかけします。ノンサッチの方は、11曲目の「私は赤いバラを摘み…」と言う曲です。半音階的な狭い音域の旋律と、2度の不協和音に独特な響きがあります。後半はソピレと言う大小2本のダブルリード管楽器に変わりますが、歌の旋律関係を転回し、短7度になっています。ドを中心に考えると2度はドとレ、短7度はドとシ♭になります。

<11 Village Music of Yugoslavia ~Otrgnem Rozicu Ruman Cvet: Potancu 2分23秒>

何でこういう現代音楽のような伝統音楽がイタリアの近くに存在するのか、不思議と言う他ありません。古代のバルカン半島西部にいたイリュリアに囲まれる形でアドリア海北東部に住んでいた先住民のLiburnia以来のものでしょうか? イストリア半島周辺の音源はアルバトロスの「ユーゴスラヴィアの音楽」には2曲ありまして、クルク島の笛の音源がありますので、おかけしておきます。楽器名はソペラとありますが、ノンサッチ盤と同じ笛ではないかと思います。この笛はクルク島とツリクヴェニツァ周辺のダルマチア国境地帯のみで演奏されると解説にあります。今日の3枚とも60~70年代の、まだユーゴスラヴィアが一つの国だった頃の音源です。現在もこういう伝統が残っているのかは、不明です。2本のソペラは曲の途中では6度か7度の不協和音で動きますが、終止の際はオクターヴに落ち着きます。

<9 Folk Music of Yugoslavia ~コラク・イ・ポタンツ Korak I Potancu 1分25秒>

クルク島のまとまった音源は、おそらくフォークウェイズのLP時代のThe Diaphonic Music of the Island Krk, Yugoslaviaだけだと思います。スミソニアン・フォークウェイズの自社レーベル音源中心にDL販売かカスタムCDRで購入可で、アップルミュージックのストリーミングでも聞けますし、解説はPDFで読めます。Folkwaysのお宝音源の山には、LPか10インチのアナログ盤のリリースのみで、Smithsonian FolkwaysからCD化されなかった音源も沢山ありまして、クルク島の1975年リリースのこの盤もその一枚です。70年代に日本コロムビアから一部LPで出ていましたが、クルクはなかったのではと思います。ストリーミングで入手しましたので、その中からおかけします。Diaphonicと言うのは類音素と訳が出てきます。音程が近いという意味なのか、またゼアミブログの方でも探ってみたいと思います。

1曲目は混声の合唱ですが、この近い音程の不思議な合唱で始まります。「ドブリンジは白い街」と言うドブリンジを紹介するような歌ですが、独特な音楽からは厳粛な雰囲気を感じます。

<1 The Diaphonic Music of the Island Krk, Yugoslavia ~Dobrinj Je Bili Grad 1分11秒>
Dobrinj je bili grad

この盤は2,3分までの小曲が9曲続いた後に、B面に当たる後半は結婚式の音楽が続き、その終わりに教会スラヴ語の典礼文に曲付けされたグラゴル・ミサの抜粋と、カトリックの晩課(夕べの祈り)が入っています。グラゴル・ミサと言えば、チェコ(モラヴィア)のヤナーチェクの作品が有名ですが関係はありません。この2曲はノーカットで全部入れたいので、先に続けておかけします。どちらも男女の交唱のスタイルですが、グラゴル・ミサは協和音の部分に始まり、段々と不協和音の部分が出てきます。これが大変に興味深いです。グラゴル・ミサが9分弱、晩課Vesper Sequenceは4分です。Sequenceは英語のシークエンスの意味ではなく、教会音楽のラテン語の用語、セクエンツァ(続唱)のことではと思います。

<14 The Diaphonic Music of the Island Krk, Yugoslavia ~Extract from a Glagolithic Mass 8分48秒>
Music of the Island of Krk, Yugoslavia [Full Album]

<15 The Diaphonic Music of the Island Krk, Yugoslavia ~Vesper Sequence 4分5秒>

教会に入ってから歌われるのが、グラゴル・ミサと晩課と続唱だと思いますが、その前に演奏される結婚式の音楽を聞きながら今回はお別れです。教会に入る直前と思われるWedding, Songs/Instrumental Dance Musicを先に、時間があればその前に演奏されるWedding, Bridal Marchを後におかけします。ソペラのデュエットです。こんな不思議な音楽での結婚式は、想像が付きません。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<13 Wedding, Songs/Instrumental Dance Music 2分11秒>
<10 Wedding, Bridal March 3分32秒>

| | コメント (0)

2021年8月 2日 (月)

Klapa CambiのLipa Moja

ゼアミdeワールド270回目の放送、日曜夜10時にありました。4日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。クラパ・ツァンビのリパ・モヤ以外は、また水曜以降に。今日の動画は大分前に貼ったことのある一本です。

今回からクロアチアの音楽に移ります。まずはクロアチア南部のアドリア海沿岸のダルマチア地方の男声合唱、クラパ歌謡です。イタリア風でダンディな明るい合唱が多く、これが本当に南スラヴ系のクロアチアの歌か?と不思議に思う程にイタリア的です。
私が最初にクラパ歌謡を聞いたのが、2005年頃の北中さんのNHKFMワールドミュージックタイムでした。特にクラパ・ツァンビのリパ・モヤと言う、美しく格好いい曲に非常に驚いて、チェック漏れしていたイギリスARCの盤「クロアチアの歌 ダルマチア海岸のクラパ歌謡」Songs Of Croatia: Klapa Singing From The Dalmatian Coastを急いで入れた記憶があります。
リパ・モヤは「時の流れと女性の美しさについての歌」と言うことですが、英訳歌詞を読むと、かなりストレートなラヴソングと言う印象でした。グループ名を最初クラパ・カンビと読んでいましたが、クラパ・ツァンビの方がより近いと思います。このARC盤は現在は廃盤のようで、ストリーミングでも原盤のクロアチアDallasの盤と思われる写真が出てきます。

<1 Klapa Cambi / Lipa Moja 3分44秒>
Lipa moja - klapa Cambi - Proglašenje pobjednika FDK 2000

クラパ(クロアチア語: Klapa)は、クロアチア南部沿海部のダルマチア地方で伝統的に行われているア・カペラ(無伴奏)の男声合唱で、第1テナー、第2テナー、バリトン、バスで構成され、2012年にユネスコ無形文化財にも登録されています。低音のバス・パートから、裏声のファルセット・パートまで入れると、そのダイナミックスの幅は女声合唱の比ではないと思います。クラパの歌では主に、愛と女性の美しさ、葡萄とワイン、故郷と海について歌われています。最近は女性のグループも出来ているようですが、そうなると歌詞も気になります。なおクラパとは”友人の集まり”という意味合いのようです。

クラパのルーツは、アドリア海沿岸にも広まったカトリックの教会の合唱に辿れるようです。アドリア海に面したダルマチア辺りは、7世紀末から1797年まで1000年以上に亘り歴史上最も長く続いた国、ヴェネツィア共和国があった場所で、そこで話されていた西ロマンス語系のヴェネト語や、標準イタリア語と同系統の南ロマンス語系のダルマチア語と共に、カトリックの信仰と北イタリア風な合唱がスラヴ人の間にも広まったのではと思います。ダルマチア語は、クロアチアのダルマチア海岸とモンテネグロのコトル南部で使用され、19世紀末に最後の話者が亡くなり、現在では死語になっています。

この「クロアチアの歌 ダルマチア海岸のクラパ歌謡」と言う盤は、クラパ・ツァンビともう一つのグループのクラパ・イェルサの歌唱が一曲ずつ入れ替わりで入っています。まず奇数番号に入っているクラパ・ツァンビの歌唱を数曲続けたいと思います。

5曲目Temperaは「愛のない世界がいかに灰色かについての歌」と言う解説がありました。

<5 Klapa Cambi / Tempera 2分11秒>

9曲目Sve ću preživitは「貧困と不幸を乗り越えることはできても、愛の喪失を乗り越えることができない男の物語。」と解説にありました。「あなたは何故ここにいない?」の意味のシュトテネーマの文句で終わる曲で、どうしてもヤドランカさんの歌を思い出してしまいますが、ダルマチアの歌はどこまでも明るい曲調なのが対照的です。

<9 Klapa Cambi / Sve ću preživit 3分>

11曲目のDobri Judiは、「女性に拒絶された後、男性は友人を頼って歌の快適さを見つけ、傷ついた心を癒す」と言う内容で、これも実にダンディな歌です。

<11 Klapa Cambi / Dobri Judi 3分8秒>

クラパ・イェルサの方は、クラパのルーツであるカトリックの合唱音楽のカラーが強い曲や歌唱スタイルが多いように思いました。このグループの最初の歌である2曲目のO, jablane moj visokiは、愛についての歌で、イェルサのポプラの木の伐採に触発されているとのことで、グループ名の由来の曲かも知れません。

<2 Klapa Jelsa / O, jablane moj visoki 2分17秒>

クラパ・イェルサの最後の曲である19曲目のSutra će te ponitは、亡くなった父親と翌日の葬儀について息子が歌うという内容で、言葉が分かれば、ピアソラのアディオス・ノニーノのような泣ける曲かも知れません。音楽的にはカトリックよりも正教会風にも聞こえます。

<19 Klapa Jelsa / Sutra će te ponit 4分21秒>

では最後に再びクラパ・ツァンビのこの盤の最後の歌唱で、20曲目のDobro Jutro Tugoを時間まで聞きながら今回はお別れです。「ずっと前に他の男と逃げてきた、忘れられない愛人に出会う男について」と言う意味深な解説がありました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<20 Klapa Cambi / Dobro Jutro Tugo 3分>

| | コメント (0)

2021年7月26日 (月)

「誰かがサズを弾いていた」

ゼアミdeワールド269回目の放送、日曜夜10時にありました。28日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。大揺れに揺れる五輪ですが、始まると見るのがオリンピック。ヤドランカさんの歌も冬季五輪から注目されるようになりました。NHK「みんなのうた」になっていたので、他の曲は知らなくても「誰かがサズを弾いていた」は聞いたことがあるという人が多いようです。他の曲はまた後日。なお店の夏休みは、7/22~25、8/7~9、13~15です。

今回からクロアチアの予定でしたが、遅ればせながらヤドランカさんの盤を数枚聞いていて、素晴らしい曲が多いので、ボスニア・ヘルツェゴビナの音楽の6回目としてセヴダっぽい曲を抜粋してまとめてご紹介したいと思います。

まずは、5年前に出た追悼盤から、「誰かがサズを弾いていた」をおかけします。2011年の4~5月にNHK『みんなのうた』としてオンエアされた曲で、母国ボスニアの民族楽器名サズをタイトルに冠しています。追悼盤の「フヴァーラ」と言うのは、セルビア・クロアチア語で「ありがとう」の意味です。ボスニア語も方言程度の違いですので、同じ言葉になります。彼女の日本滞在中の最後の曲になるのではと思います。幻想的な詩も素晴らしく、叙情歌セヴダのカラーを強く感じます。

<1 フヴァーラ ~誰かがサズを弾いていた 4分46秒>

13曲目に入っている「予感」は、コナミのゲーム「幻想水滸伝」のCM曲で、これも叙情的で非常に美しい曲です。夢を壊しては追う人間の営みが切なく歌われ、やはり祖国ユーゴスラヴィアが念頭にあるようです。

<13 フヴァーラ ~予感 Yokan 3分32秒>

94年にオーマガトキから出た「サラエボのバラード」は、一番古い時期の盤ですから、セヴダ風な曲が多く、特に私が気になったのが、8曲目のマケドニアと言う曲です。古い民謡をリメイクし、サズを弾き語っています。以下の訳詞がありました。「恋知るは彼の人 心あるかなきかまで されど運命の時来たりて あわれ 彼の人は倒れて病の床 尋ねて私も旅立った はかなきは我らが命 二人ともにあらんと あわれ この地上の園に」

<8 サラエボのバラード ~Makedonia 3分54秒>

同じく「サラエボのバラード」では、2,4,5曲目が甲乙つけがたく、全てかけたいところですが、時間の都合で4曲目のGDJe Si Dusoと、5曲目のNa Drumovima Sremaをおかけします。4曲目はグディシ・ドゥーショと表記されていますが、「愛する人よ、どこに」と言う訳なので、ロシア語から類推するとグジェ・シ・ドゥーショと読むのではと思います。5曲目は日本語タイトルが「丘につづく道」となっています。先週かけた没後5周年記念盤には、「サラエボのバラード」から一番多くセレクトされていますが、オリジナルのオーマガトキ盤の解説では「大地と空の境界線を西からドナウ川が流れ、まるで空に注ぎ込むよう。そんな懐かしいシーンを歌った曲です。」と書かれていました。

<4 サラエボのバラード ~GDJe Si Duso 3分51秒>
<5 サラエボのバラード ~Na Drumovima Srema 3分37秒>

最後に、96年にオーマガトキから出た「ベイビーユニバース」から、同郷のギタリスト、ミロスラフ・タディッチが素晴らしいギター伴奏を聞かせる「あなたはどこに」を聞きながら、ボスニアのシリーズを締めたいと思います。やはりヤドランカさんの歌で一曲となると、サラエヴォ・オリンピックで披露されたこのシュトテネーマ(あなたはどこに)と言うことになると思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 ベイビーユニバース ~あなたはどこに 4分42秒>

| | コメント (0)

2021年7月19日 (月)

シュトテネーマ あなたはどこに

ゼアミdeワールド268回目の放送、日曜夜10時にありました。21日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はシュトテネーマのみです。動画は没後5周年記念盤(原盤は2007年のドイツ盤)と同じ音源です。喜多直毅さんのヴァイオリン伴奏も最高。

ボスニア・ヘルツェゴビナの音楽の5回目です。ボスニアのラストは、前回の終わりにかけたヤドランカさんの歌を中心に聞いて行きたいと思います。(プロフィールについては前回の繰り返しになりますが)2011年まで日本を拠点にしていたサラエヴォ出身のヤドランカ・ストヤコヴィッチ(Jadranka Stojaković 1950-2016)は、1984年のサラエボ・オリンピックのメインテーマ曲を作詞、作曲、自らそのテーマ曲を歌い、一躍ユーゴスラビアの国民的歌手になった女性歌手で、祖国ボスニアの内戦が酷くなり、1988年以降は2011年まで日本を活動の拠点にしていました。2011年4月には、NHK『みんなのうた』において母国ボスニアの民族楽器名をタイトルに冠した「誰かがサズを弾いていた」がオンエアされました。2011年3月にクロアチアでの仕事のため帰国していた際、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され、そのまま日本には戻られることなく、2016年に故郷ボスニアで65歳の若さで亡くなっています。
2021年5月3日にボスニア大使館にて行われる追悼イベントに合わせて発売された没後5周年記念の「シュトテネーマ~あの歌が聞こえる~」を手に入れまして、その解説を参照しています。前回89年の「信じているの」と言う盤から「あなたはどこに」と言う曲を、とても印象的なユーゴ風な歌と言うことでかけましたが、この歌が正にサラエヴォ・オリンピックのテーマ曲でした。原題はシュトテネーマです。ボスニア・ヘルツェゴヴィナの有名な文学者アレクサ・シャンティッチの詩にヤドランカが曲を付け歌っています。帯に書いてある「天空の声 大地の祈り 人々の心に寄り添う流浪の歌姫ヤドランカ」と言うコメントに強く共感します。冒頭の美しいヴァイオリン・ソロは喜多直毅です。

<2 シュトテネーマ~あの歌が聞こえる~  あなたはどこに 5分30秒>
ヤドランカ / ŠTO TE NEMA あなたはどこに

7曲目のエミーナという曲も、原詩はアレクサ・シャンティッチが1902年に発表した有名な愛の詩で、モスタルの町の実在したイスラム教徒の娘エミーナに、セルビア人のアレクサが思いを寄せるも、民族の違いで結ばれることはなかったが、民族を越えた彼の愛は歌になり、語り継がれることになりました。セヴダらしい切ない愛の歌です。

<7 シュトテネーマ~あの歌が聞こえる~  エミーナ 3分51秒>

11曲目にはュトテネーマ~あの歌が聴こえる~のボーナス・トラック|デモ音源が入っていて、これがまた歌唱が非常に素晴らしいので、おかけしておきます。ヤドランカさん自身がメロディに合う日本語の歌にして欲しいと依頼し2007年に制作された音源です。彼女自身がリリースされることを強く望んでいた音源だそうです。

<11 シュトテネーマ~あの歌が聴こえる~(ボーナス・トラック|デモ音源) 4分27秒>

ヤドランカさんの歌のラストに、この盤の最初の「宿命」と言う曲をおかけします。NHKスペシャル「ローマ帝国」の挿入歌です。人が作った国家は、人によって滅びてゆく、その哀しい宿命と人間の不条理を見つめる「祈り」の曲であると、作曲者の渡辺俊幸氏のコメントがありました。

<1 シュトテネーマ~あの歌が聴こえる~  宿命 4分51秒>

ボスニアの音源は他に、同じくセヴダの女性歌手アミーラの盤や、VDE-Galloの「サラエヴォのスーフィー音楽」などがありますが、いずれも現物が手元に残ってなくて、ストリーミングにも見当たらないので、代わりにボスニア紛争の最中の94年に仏l'empreinte digitaleから出たSarajevo Suite(サラエヴォ組曲)から、ルイス・スクラヴィス他の演奏で、Ceux qui veillent la nuit(夜を見ている人)を時間まで聞きながら今回はお別れです。Un Drame Musical InstantaneやWillem Breukerなど、ヨーロッパのフリー系ジャズミュージシャンや、当時話題を集めていたバラネスクSQなどが集まったユニークなコンピレーションでした。Louis Sclavisのクラリネット演奏は、廃墟と化したサラエヴォの悲しみを表現した曲として私には一番リアルに感じられました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<14 Sarajevo Suite ~Ceux qui veillent la nuit 6分26秒>

| | コメント (0)

2021年7月12日 (月)

エスマとモスタル・セヴダ ヤドランカさん

ゼアミdeワールド267回目の放送、日曜夜10時にありました。14日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はMostar Sevdah Reunionの2曲のみです。ヤドランカさんとシャバンは水曜以降に。

ボスニア・ヘルツェゴビナの音楽の4回目です。
まず、今後のルートですが、ボスニアが後2回、ダルマチア含むクロアチアが5回、スロヴェニア2回、セルビア5回くらいの予定です。その後はルーマニア、ハンガリーと進みますので、左回りの方がスムースだと判断しました。ちょうど梅雨が明ける頃に、カラッと明るいダルマチアのクラパ歌謡をかけられるのもいいと思いました。クストリッツァとブレゴヴィッチの映画「アンダーグラウンド」などのサントラですが、彼らの出身はボスニアですが、音楽的にはセルビアと繋げた方がスムースなのでセルビアの時に回します。
92~95年のユーゴ内戦のさなかに活動を始め、戦火のボスニアをくぐり抜け98年に再結成したモスタル・セヴダ・リユニオンの音源を前回かけていましたが、1999年のMostar Sevdah Reunionには、マケドニアの「ジプシー・クイーン」こと、名女性歌手エスマ・レジェポヴァが1曲参加していますので、その曲からおかけします。ロック的なアレンジですが、さすがのエモーショナルな歌声を聞かせます。後半リーダーのイリヤ・デリッチが出て来ます。

<6 Moj Dilbere (My Heartthrob) 4分31秒>

もう一曲この盤からイスラム教の礼拝への召喚のアザーン(エザーン)の引用から始まる1曲目のAsik Osta' Na Te Ociをおかけしておきます。8分余りある曲で、英訳はI Fell In Love With Your Eyesとなっています。

<1 Asik Osta' Na Te Oci (I Fell In Love With Your Eyes) 8分1秒>

インドの故ネルー首相、インディラ・ガンジーの父娘に「ロマ音楽の帝王」と賞されたというセルビアの伝説的男性歌手シャバン・バイラモヴィチを捜し当て共演したモスタル・セヴダ・リユニオン2作目もありました。生産中止になっていて現物も残ってないのですが、ストリーミングにありましたので、こちらから1曲おかけしておきます。タイトルは「伝説のバルカン・キング」となっている2008年の盤ですが、同じ音源かも知れません。古いシャンソンかマヌーシュ・スイングを聞くような1曲目「Shtar Luludja」と言う曲です。

<1 Mostar Sevdah Reunion presents Saban Bajramovic / Shtar Luludja 3分24秒>

ボスニアと言えば、忘れてはいけないのが、2011年まで日本に在住していたサラエヴォ出身のヤドランカさんです。ヤドランカ・ストヤコヴィッチ(Jadranka Stojaković 1950-2016)は、1984年のサラエボ・オリンピックのメインテーマ曲を作詞、作曲、自らそのテーマ曲を歌い、一躍ユーゴスラビアの国民的歌手になった女性歌手で、祖国ボスニアの内戦が酷くなり、1988年以降は2011年まで日本を活動の拠点にしていました。2011年4月には、NHK『みんなのうた』において母国ボスニアの民族楽器名をタイトルに冠した「誰かがサズを弾いていた」がオンエアされました。2011年3月にクロアチアでの仕事のため帰国していた際、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され、そのまま日本には戻られることなく、2016年に故郷ボスニアで65歳の若さで亡くなっています。
日本の歌謡曲を日本語で歌った歌唱も多かったのですが、その中ではユーゴ風に聞こえて特に印象的だった2曲をおかけします。89年の「信じているの」と言う盤から「あなたはどこに」と言う曲と、2011年のダレコーと言う盤からBentbašaと言う曲です。Bentbašaと言えば、Kad Ja Podjoh Na Benbašu「私がBenbašuに行った時」と言う意味の美しい叙情歌を前にかけましたが、同じ町だと思います。サラエヴォの人々にアンセム(聖歌)として親しまれている曲でしたが、こちらは少しセファルディ風にも聞こえます。ストリーミングでかけていて、現物が手元にないので詳細不明ですが、いずれもセヴダ風に聞こえました。この2曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<5 ヤドランカ・ストヤコヴィッチ / 信じているの ~あなたはどこに 4分7秒>
<4 ヤドランカ・ストヤコヴィッチ / Daleko ~Bentbaša 4分10秒>

| | コメント (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

J.S.バッハ New Wave-Indies アイヌ アメリカ アラブ アラブ・マグレブ アルゼンチン イギリス イスラエル イスラム教 イタリア イディッシュ イラン地方音楽 インディアン、インディオ インド インドネシア インド音楽 ウイグル ウラル・アルタイ エジプト エチオピア オペラ オーストラリア オーストリア キリスト教 ギリシア クルド クレズマー ケルト コンサート情報 コーカサス (カフカス) サハラ シベリア シャンソン ジャズ スイス スペイン スポーツ スーダン セファルディー ゼアミdeワールド チェロ チベット トルコ音楽 ドイツ ナイル・サハラ ナツメロ ニュース ハシディック ハンガリー バルカン バルト語派 バロック パキスタン ビザンツ音楽 フランス フランス近代 ブラジル ペルシア音楽 ペルシア音楽 トンバク ユダヤ ユダヤ音楽 ライブ情報 ルーマニア レビュー ロシア ロシア・マイナー ロマン派 ヴァイオリン 中南米 中国 中央アジア 仏教 仏教音楽 北アジア 北コーカサス(カフカス) 北欧 南アジア 南インド古典音楽 古楽 地中海 室内楽 弦楽合奏 弦楽四重奏 後期ロマン派 文化・芸術 新ウィーン楽派 旅行・地域 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 東アフリカ 東南アジア 東方教会 東欧 歌謡曲・演歌 民謡 沖縄 独墺 猫・犬 現代音楽 童謡、わらべうた 筝曲 純邦楽 西アフリカ 西スラヴ 韓国