ゼアミdeワールド

2017年6月26日 (月)

世界のフレームドラム タンブレッロ、レク、パンデイロ、ダフ他

ゼアミdeワールド63回目の放送、日曜夕方に終りました。28日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今回はCD音源が余りない場合が多いので、youtube音源も色々ご紹介しました。番組でかけたyoutubeが多いので(ブラジルの最初の2本は番組では未紹介)、CD音源の南イタリアとチュニジアは、水曜以降に探してみます。

リスナーでZeAmi実店舗カフェのトーク・トークにも来て頂いたことのあるHさんからフレームドラムをリクエスト頂きまして、前回は南インドのフレームドラムであるカンジーラを中心に聞きましたが、この類の太鼓は世界中にありますので、他の国の楽器を少し聞いてみたいと思います。タンバリンなどのフレームドラム(枠太鼓)の起源を遡ると古代エジプトに行き着くようですが、そのヘブライ語名はトフと言いまして、これは中東で現在も使われるダフと名前でも直接繋がっています。まずは南イタリアの舞曲タランテラに使われるタンバリンから聞いてみたいと思います。ジルジオ・ディ・レッチェのArakne Mediterranea(アラクネ・メディテラネア)、副題「サレントのタランテラ」からピッツィカという曲です。

<Arakne Mediterranea / Giorgio Di Lecce - Pizzica 4分13秒>

タランテッラは、イタリア南部の「長靴のかかと」辺りの舞曲で、タランタ、ピッツィカ、シェルマの3つのタイプがありまして、先ほどの盤では分けて演奏しています。イタリアの対岸のチュニジアやアラブ諸国には、リク(あるいはレク、タール)がありますので、元々アラブの楽器だったものが、イタリアに渡ったのだろうと思います。他にも南イタリアで超絶技巧で低音豊かな演奏の入った盤もありましたが、大分前に売り切れましたので、お聞かせできなくて残念です。レーベルは確かAl Surでしたが、youtubeにそのCARLO RIZZOの演奏を含む、ADEL SHAMS EL DINのアラブのリク、RAVI PRASADの南インドのカンジーラ、PAUL MINDYのブラジルのパンデイロの共演映像がありましたので、その音源をかけてみます。

<TRANS(E)TAMBOURINS CARLO RIZZO PAUL MINDY RAVI PRASAD ADEL SHAMS EL DIN 1分33秒>


カルロ・リッツォのタンブレッロのソロもありましたので、次にどうぞ。

<Tamburello by Carlo Rizzo 1分30秒>


次にアラブのリク(あるいはレク、タール)も少し聞いてみたいと思います。チュニジアのアンサンブル・スラーフ・マナーの演奏で、スラーフ・エッディン・マナーのナイ、ジャメル・アビッドのカーヌーン、リダ・シェマクのウード、ナビル・ザミートのヴァイオリン、ズバイル・メッサイのタールという編成で、タールと言うのが、紛らわしいのですがマグレブの方では弦楽器ではなくて、トルコ起源のタンブリン系枠太鼓の呼称になっています。まずエジプトの音楽を取り上げた際にもかけましたが、リヤド・アル・スンバティ作曲の不朽の名曲「ルンガ・ファラハファザ」をかけてみたいと思います。

<アンサンブル・スラーフ・マナー / ヴァリエテ・ミュージック・アラブ ルンガ・ファラハファザ 3分28秒>

この曲の中で軽快にリズムを刻んでいたタールのソロを次にどうぞ。アラブのリズム体系をイーカーと言いますが、ここではサマイ・サキール(10/8)、マクスーム(4/4)、マスムーディ(8/4)などとイーカーを変えて演奏しています。

<アンサンブル・スラーフ・マナー / ヴァリエテ・ミュージック・アラブ タール・ソロ 2分23秒>

Frame drumと言うのは、楽器の中でも世界最古と言われる片面太鼓の総称ですが、世界中にどんな楽器があるか少し並べてみますと、イランのDayereh、アラブのBendir、イランやアラブのDaf、モーリシャスのRavanne、アイルランドのBodhran、ウクライナやロシアのBuben、ウズベキスタンのDoyra、ブラジルのPandeiroなどが特に知られています。今回は一度に取り上げられませんが、またそれぞれの国の音楽に廻ってきたら気にかけてみたいと思います。
今回はブラジルのパンデイロをメインにこの後聞いてみようと思います。

去年の8月にブラジル特集をやりましたが、その際に日本のサンバ歌手ゲーリー杉田さんの音源をかけました。彼が今治でライブをされた時に、パンデイロの妙技を披露されて、低音がすごく豊かなことに驚きました。サンバチームの中にはソロで入っている楽器ですが、余り拡大して聞く機会もなく、ゲーリーさんのCDにもそれだけでは入ってなかったので、youtubeから音源を拾ってみました。それらを少し聞いてみましょう。

<Pandeiro Popular Brasileiro - Video Aula>


<pandeiro solo 1分30秒>


<pandeiro demonstration 2分45秒>


アイルランドのトラッドに使われるボドランのソロもyoutubeにはありました。バチを柔軟に使って色々な音を出しています。

<Bodhran Demonstration 1分>


イランやクルドなどで叩かれるダフのソロを聞きながら今回はお別れです。ダフは大きな枠太鼓で、シンプルな構造ながら、迫力のある低音に富んでいて、実に多彩な音色を聞かせる楽器です。
今回はCD音源が余りない場合が多いので、youtube音源も色々ご紹介しました。ZeAmiブログでは、これらのyoutubeも見れるようになっておりますので、是非併せてご覧下さい。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Iranian woman daf solo 1分30秒>

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2017年6月19日 (月)

南インドの打楽器

ゼアミdeワールド62回目の放送、日曜夕方に終りました。21日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。オコラ盤と同じ音源はおそらくないと思いますので、類似の映像を上げておきます。

今回からコーカサスの予定でしたが、リスナーでZeAmiのお客様でもあるHさんからリクエストがありましたので、後2,3回インド関連の音楽で続けたいと思います。前回のインドの打楽器編が面白かったと伺いました。タブラに関しては既にかなりポピュラーな楽器ですので、その他の打楽器をとのご希望で、特に枠太鼓(フレームドラム、タンバリンの類)に最近強い関心があるそうですので、その辺りの音源を捜してみました。
まずインドでは、南インドでよくトリオで演奏される楽器の一つカンジーラです。先週かけました両面太鼓のムリダンガムと素焼き壷のガタムとのトリオになりますが、その小ささからは信じられないような低音と、多彩な表現が可能な太鼓です。大型の枠太鼓なら、中東一帯で叩かれるダフも有名ですが、小さな膜面なのに低音が出る楽器と言う事になりますと、カンジーラの他にアラブのレクや、南イタリアのタンバリンやブラジルのパンデイロがあります。まずはオコラの南インド古典音楽アンソロジー4枚組からカンジーラのソロをどうぞ。演奏はナガラージャンという人です。

<Anthology of South Indian Classical Music - Kanjira with Solkattu / V.Nagarajan 4分40秒>

Remo + Selvaganesh: Kanjira Basics

カンジーラと言えば、セルヴァガネーシュが今一番有名だと思います。

続いて、同じようにリズムパターンを唱えてからのソロですが、素焼き壷の打楽器ガタムの独奏をどうぞ。演奏はガタムの名手ヴィナヤクラムです。

<Anthology of South Indian Classical Music - Ghatam with Solkattu / T.H.Vinayakram 5分34秒>

Amazing Indian Percussion-1(Solo ghatam) watch the ending!


南インド古典音楽アンソロジー4枚組には、南インドの口琴モールシンの演奏も入っておりますので、併せてかけてみます。モールシン名人のスバシュチャンドランによる短いソロ2曲です。

<Anthology of South Indian Classical Music - Moorsing with Solkattu & Solo of Moorsing / T.H.Subashchandran 1分12秒、1分4秒>

PALANI K.V.ARUMUGAM-MORSING SOLO


続いてこれらの南インドの打楽器が合わさって合奏が行われておりまして、14分近い全曲を次におかけします。両面太鼓のムリダンガムが中心になっております。演奏はGuruvayoor Doraiのムリダンガムと、ナガラージャンのカンジーラ、ヴィナヤクラムのガタム、スバシュチャンドランのコンナコル(リズムの口唱)で、この順にまずソロのリレーで出てきます。

<Anthology of South Indian Classical Music - Tala Vadyam 13分40秒 抜粋>

Karaikudi Mani and Harishankar 1/2

ガタムは入っていませんが、カライクディ・マニのムリダンガムと、キングのWORLD ROOTS MUSIC LIBRARY「超絶のリズム」(現在のシリーズでは「インド古典パーカッション」)での演奏でも知られるハリシャンカルのカンジーラの超絶のデュオで。

今回はこの曲で締めたいと思います。次回は、南イタリア(長靴のかかとに当たる地方)やアラブのフレームドラムなども取り上げる予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

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2017年6月12日 (月)

南北インドの打楽器 タブラ、パカワジ、ムリダンガム

ゼアミdeワールド61回目の放送、日曜夕方に終りました。14日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

先週は南北インド音楽を横笛中心に少し聞きましたので、今回は同じく南北インド古典音楽の太鼓を少し聴き比べてみたいと思います。まず北インドのタブラの方からです。タブラと言えば、日本ではU-zhaanさんが最近大きなスポットを浴びていますが、上の世代なら吉見征樹さんや逆瀬川健治さんが特に有名です。吉見さんの師匠のザキール・フセインと彼の父のアラ・ラカがインドで最も有名なタブラ奏者だと思いますが、逆瀬川さんの師匠のマハプルシュ・ミシュラもカルカッタの名手として有名で、アラ・ラカがシタール奏者のラヴィ・シャンカルとよくコンビを組んでいたように、マハプルシュ・ミシュラはサロッド奏者のアリ・アクバル・カーンやシタール奏者のニキル・バネルジーとよく演奏していました。2013/06/28のZeAmiブログに少し記事を書いておりましたので、読み上げます。
「逆瀬川さんは、やはり20年ほど前にライヴで一度拝見しました。雲の上の名人のようなイメージのマハプルシュ・ミシュラの弟子、というのが強烈に記憶に残っていました。師譲りの切れ味鋭いテクニックと、芳醇な味わい深いタブラです。」
では、そのマハプルシュ・ミシュラの独奏で、最も代表的なターラ(リズム周期)のティーンタール(4+4+4+4の16拍子)の演奏をどうぞ。アリ・アクバル・カーンがこのターラが分かり易くなるようにサロッドでメロディを添えています。ゆったり始まって、どんどん速くなる超絶技巧を披露しています。

<Mahapurush Misra, Ali Akbar Khan / North Indian Drums - Slow Tin-Tal 9分25秒>
mahapurush-misra-tablaclip.avi


MAHAPURUSH MISRA CD RYTHMES DE L,INDE

番組でかけたのと同じ音源がありました。今は入手困難(不可?)の一枚です。

次にタブラが生まれる前からあった両面太鼓パカワジのソロです。タブラが主に使われる北インド古典音楽(ヒンドゥスターニー音楽)は、カヤールやトゥムリー、ガザルですが、パカワジはもっと古いドゥルパッドという古典音楽に使われる太鼓です。タブラより重々しい音が出る楽器です。13世紀の音楽家アミール・フスローが、パカワジを基にタブラを考案したとされています。彼は北インド古典音楽の創始者であると共に、インド・イスラーム神秘主義の宗教歌謡であるカッワーリーの創始者でもあるようです。パカワジもタブラと同じように、リズムパターンを口で唱えてから独奏されています。

<Masters of Tala - Pakhawaj Solo / Raja Chatrapati Singh - Ganesh Paran/Lakshmital  22分15秒 抜粋>
GREAT RHYTHMS-mridangacharya raja chatrapati singh-krishna tal


次に南インド古典音楽に使われる両面太鼓ムリダンガムの独奏です。南インド古典音楽はカルナティック音楽と呼ばれますが、打楽器ではムリダンガムの他に、素焼き壷のガタム、見た目は小型タンバリンのようでありながら非常に低音も豊かで多彩な音が出るカンジーラがありまして、そのトリオ編成で演奏されることが多いです。ムリダンガムは、タブラに負けず劣らず、と言うか、更に数学的で複雑なカルナティック音楽のリズムを司っている太鼓です。カルナティックの代表的なターラである、アーディ・ターラ(8拍子)のソロです。

<Trichy Sankaran / South Indian Drumming -Mrdangam solo in Adi Tala 12分4秒 抜粋>
Mridangam Maestro Dr.Trichy Sankaran


では最後にMahapurush MisraとAli Akbar Khanが先ほどのタブラ・ソロと同じコニサー・ソサエティに残した名盤の「悪の華」の一節を聞きながら今回はお別れです。フランスの詩人ボードレールの詩集「悪の華」をテーマに北インド古典音楽で伴奏した異色の一枚で、女優のイヴェット・ミミューがボードレールの詩の英訳を朗読しています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Mahapurush Misra & Ali Akbar Khan / 悪の華 -あほうどり 5分20秒 抜粋>
YVETTE MIMIEUX & USTAD ALI AKBAR KHAN - Baudelaire's Flowers Of Evil (1968)

この盤も現在おそらく入手不可ですから、まるまま上がっていました。

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2017年6月 5日 (月)

南北インドの横笛 チャウラシア&マハリンガム

ゼアミdeワールド60回目の放送、日曜夕方に終りました。7日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。やはりマハリンガムの音源をかける際に、微弱なタンプーラは鳴っていますが、機材は無音と判断したようで、2秒ほど放送事故の曲が流れました。本当は30秒くらい開いている部分がありまして(この「間」も命なのですが)、10秒ぎりぎりに縮めましたが、鳴ってしまいました。どうかご了承下さい。

今回からコーカサスの予定でしたが、その前に北インドの古典音楽を少し聞いてみたいと思います。なぜかと言いますと、5月21日にラヂバリの先輩パーソナリティのやっちんさんの店、ジャズ・イン84でバンスリとタブラの演奏を聞いたからです。バンスリがラクシミプラサッド・マリク、タブラはリンガラージ・ダースという東インドはオリッサ州出身のお二人でした。関東にいた時以来、約20年ぶりにインド音楽を堪能しました。バンスリはノース・インディアン・フルートと分かりやすく呼ばれることもありますので、今回も「フルート」という名で紹介されていました。横笛ですが、音は尺八に近い詫び寂び感のある音色であることを改めて間近で確認しました。お客さんが少なくて至近距離から見れましたので、両手3本指を巧みに使う様もよく分りまして、昔懐かしいアニメの妖怪人間ベムを思い出してしまいました(笑)
  北インドの2連太鼓のタブラはどこでも特に人気があるようで、複雑なリズム体系の片鱗が分かるように披露されていました。旋律楽器の演奏する旋法体系(ラーガ)の重要性は分かっていながらも、私も実は最初にリズム楽器に魅了された方でして、実は24年程前に日本屈指のタブラ名人の吉見征樹さんについて2年ほど習っていたことがあります。
バンスリとタブラの組み合わせの演奏ですが、数枚在庫の中にありましたので、序奏のアーラープを少しかけてから、タブラの入ってくる後半のガットの部分の最初の方をおかけしてみます。バンスリと言えば、まず名が上がる名人がこれからかけますハリプラサド・チャウラシアで、ハリ爺の愛称で日本でも呼ばれていたように記憶しています。タブラ伴奏はヴィジャイ・ガテという人で、ラーガはミヤン・キ・マルハールです。

<Hariprasad Chaurasia / In Concert ~ Raga Miyan Ki Malhar - Alap, Gat 8分位>
Pandit Hari Prasad Chaurasia plays Raga Miya Malhar.

こちらはライブ音源。タブラは5分30秒くらいから入ります。

南北のインド古典音楽をちゃんと取り上げるのは、予測ですが、コーカサスから中央アジアへ回ってトルコに移動し、バルカン半島を北上して、ルーマニア、ハンガリー、チェコとスロヴァキア、ポーランド、北欧、イギリス、ドイツ、ベネルクス、スイス、フランス、スペイン、北アフリカ、ジプシー繋がりでエジプト南部から西インドのラジャスタンに飛んで、その後になりますので、大体2年前後は先になるかと思います。

ノース・インディアン・フルートのバンスリをかけましたので、対比でサウス・インディアン・フルートのカルナティック・フルート(あるいはクラル)を少し聞いたみたいと思います。バンスリよりずっと短い横笛で、タージ・マハールで知られるムガール王朝などのイスラム系文化の影響の強い北インド古典音楽と異なり、純ヒンドゥー的な南インドの古典音楽の中でもヴィーナやヴァイオリンと並んでよく演奏される楽器です。神懸かり的な演奏とよく形容される鬼才マハリンガムのStil盤のパリ・ライブから、南インド古典の楽曲形式の一つであるヴァルナムの代表曲の一つ、ヴィリボーニという曲をどうぞ。ラーガは代表的な朝のラーガ、バイラヴィです。タンプーラの持続音だけがかすかに聞こえる中に、飄々と現れる笛の音は正に鳥肌ものです。

<T.R.Mahalingam / Integrale du concert de Paris - Varnam Veeriboni 15分37秒 抜粋>
T.R.Mahalingam- Flute-viribONi_ninnE-VARNAM-bhairavi


同じヴィリボーニを、南インド往年の人間国宝クラスの名女性歌手M.S.スブラクシュミの歌唱で聞きながら今回はお別れです。ここで出てくる太鼓は、南インドのムリダンガムという楽器で、タブラの前身とも言われる北インドのパカワジに少し似た樽形の両面太鼓です。マハリンガムの演奏では少しずつ見えていた曲が、最初から鮮烈に提示されます。

最初の話に戻りますが、タブラ奏者をやっちんさんの店で呼ぶのは、初ではないようなお話でした。また次回にも期待したいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<M.S.スブラクシュミ / サンギータ・カラーニディ ~ヴィリボーニ 7分16秒 抜粋>
MS Subbulakshmi Viriboni Bhairavi RaagaVarnam

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2017年5月31日 (水)

東プロシアの民謡

今日は急用が出来ましたので、ブログはお休みしようと思いましたが、重要なお知らせを含んでおりますので、とりあえず後半はツイッターと同じ内容で上げておきます。youtubeはバルト語派関連のもので、東プロシアの音楽です。プロシアと同じグループのリトアニアやラトヴィアと違って、現在は死語になっている言葉ですので、カリーニングラード(ドイツ名はケーニヒスベルク)辺りの民謡の復元と思われます。先住民のプルーセン人の言葉は消滅しても、1945年までは存在していた地方です。トポロジー(位相幾何学)の「ケーニヒスベルクの橋」の例として有名だったり、ドイツの哲学者カントの住んでいた町と言う印象が非常に強いケーニヒスベルクですが、現在はロシア連邦の西の外れの小さな飛び地。プロシアと言えば、歴史的な視点からはドイツ寄りのような気がしますが、バルト語族は語彙の面ではスラヴ語と似通っていることも多いそうなので、ゲルマンよりスラヴに近いようです。


East Prussian folk song | Lietuvininkų liaudies daina - Pirš man iš Danskos


ゼアミdeワールド60回目の収録に行って来ました。コーカサスの前に、やっちんさんの店のライブを受けて、今回は南北インド古典音楽の聞き比べ。ハリプラサドのバンスリとマハリンガムのカルナティック・フルートの聞き比べですが、後者と同じ曲を大歌手M.S.スブラクシュミの名唱でもかけました。マハリンガムのヴァルナムの冒頭、タンプーラの弱音を波形認識出来てなかったので少し削除し詰めましたが、それでも10秒ギリギリなので1月の放送事故の時のように無音探知機が作動しないか少々心配です。放送は6月4日18時と7日20:30。 宜しければ是非お聞き下さい(^.^)

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2017年5月29日 (月)

ラトヴィアとエストニアの音楽 +アルヴォ・ペルト

ゼアミdeワールド59回目の放送、日曜夕方に終りました。31日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今回もイネディ盤の現地録音が中心ですので、youtube捜索はなかなか困難、もしくは多分データ自体無いと思いますので、似たイメージの曲をアップしておきます。

前回もかけましたフランスIneditの「バルトの声」というアルバムには、ラトヴィアとエストニアも入っておりますので、今回はこの二つの国の音楽をかけてみます。スラヴとゲルマンの間にあって、その言語と同じようにヨーロッパの古層を覗かせているバルト三国ということで、伝統音楽の盤は80年代にライコから出ていた女声合唱のジンタルスを初めとして、他にも何枚か出ているのですが、手元に現在ないもので、今回は「バルトの声」とエストニアの作曲家アルヴォ・ペルトの曲をご紹介しようと思っております。
まずは「バルトの声」から短い曲ですが、女声合唱の「春の歌」と結婚式の歌をどうぞ。

<Baltic Voices~Voice of Spring、Wedding Song  50秒、1分18秒>

Zynu Zynu Tāva Sātu LATVIAN VOICES

ジンタルスというのは、こういう感じだったような気がしますが、どうでしょうか。

Latvian Folksong "Ganu Dziesma"/ LATVIAN VOICES female a cappella

こちらはラトヴィア民謡でも、少し現代音楽寄りにも聞こえる女声合唱です。

前者は典型的な地声の女声合唱で、後者は2声のカノンのようになっていました。
バルト三国の内、中央に位置するラトヴィアは声のドローンを聞けるヨーロッパの北限と言われ、独唱あるいはドローン付きの歌が無伴奏で歌われます。ドローン、つまり持続低音の入った例として、「タルカの声」という曲を2曲続けてかけてみます。女性の声ですから低いとは言ってもそれ程でもないのですが、高度な歌唱技術が聞ける稀有な例だと思います。

<Baltic Voices~Voice of Talka、Voice of Talka 1分37秒、1分34秒>

続いて入っている結婚式の歌も、ドローン的な技巧などを入れた興味深い歌唱です。

<Baltic Voices~Wedding Song 3分11秒>

民謡以外では比較的新しいカンテレに似たツィター系弦楽器コクレによる舞踊曲も入っています。カンテレにそっくりの涼しげな音色が特長です。

<Baltic Voices~Kokle Melody 1分14秒>

エストニアの方は、地声の独唱と合唱がコール&レスポンスで交互に歌われていて、どこかアジア的にも聞こえるところがあります。とにかく、おばあちゃん達の強靭な歌声に驚きを覚えます。大相撲の把瑠都関の活躍で日本でも注目度がアップしたと思われるエストニアですが、スラヴ世界とバルト語派(ラトヴィア、リトアニア)の間にありながら、ヨーロッパ系ではなくフィンランドなどと同じウラル系のフィン・ウゴル語族に属する民族です。
「バルトの声」に入っている音源を歌っているのは、オコラの「セトの歌」と同じ地方の女声合唱のようです。「花嫁の最後の食事」というタイトルで、歌われているのは、準備(食事の?)、オーメンの2曲です。オーメンと言う恐ろしげなタイトルが付いていますが(笑)、オーメンの訳は「前兆」あるいは「縁起」と取れます。時間の都合で今回かけませんが、続く「結婚式のラメント」というタイトルの2曲は、タイトルに反して悲しい感じは全くしない歌でした。

<Baltic Voices~Preparations, Omens 3分26秒、1分58秒>

Seto Leelo, Seto polyphonic singing tradition

セトのポリフォニーを紹介したユネスコの映像がありました!

では最後にエストニアで最も有名な現代の作曲家アルヴォ・ペルトの代表作の一つで、映画監督タルコフスキーを追悼するアルボスから2曲を聞きながら今回はお別れです。私が88年に六本木ウェイブのクラシックに入った頃、正に飛ぶように売れていた一枚です。新古典主義やシェーンベルクの十二音技法から始まり、ミニマリズムの時期を経て、西洋の古楽を深く研究し、それらを融合させた独自の静謐で美しい音楽で新境地を開拓して、大きく注目された人です。プロテスタントと正教会が混在するお国柄もよく表しているように思います。
バルト三国と来ると北欧かポーランドに行きたい流れですが、旧ソ連邦諸国を回っている途中ですので、次回からはコーカサスの方に回る予定です。ポーランド、チェコなど西スラヴや、ハンガリー、ルーマニア方面は、コーカサスから中央アジアへ回ってトルコに移動し、バルカン半島を北上してから、たっぷり回る予定です。現在の予測では、おそらく来年の冬頃以降になるかと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<アルヴォ・ペルト / アルボス~ アルボス(樹)、私達はバビロンの河のほとりに座し、涙した 2分25秒、6分31秒 ヒリヤード・アンサンブル、シュトゥットガルト国立管弦楽団金管アンサンブル>
1987 - arvo pärt - arbos

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2017年5月24日 (水)

「春の祭典」とベラルーシやリトアニアのペイガニズム

ゼアミdeワールド58回目の放送、水曜夜に終りました。21日には前々回の放送(56回目)が流れてしまいましたが、今回はちゃんと58回目が流れました。<>内がかけた音源です。今回もイネディやメロディアの盤と全く同じ音源のyoutubeはおそらくないのではと思いますので、今日は「春の祭典」のみ上げておきます。民謡はもし見つかったら、また取り上げます。

今回はベラルーシと、北側に隣接するバルト三国の一つ、リトアニアの歌を聞いてみたいと思います。ZeAmiブログの方でベラルーシやリトアニアの伝統音楽を見ていると、結構Pagan Songというタイトルが目立つことに気がつきました。キリスト教化する前のペイガン(異教的)な雰囲気を感じさせる映像がありましたが、そこで出てくる民謡は、正に前回かけたユネスコ盤に入っているようなタイプでした。
ここで思い出したのがストラヴィンスキーの「春の祭典」で、この曲の冒頭に出てくる旋律がリトアニア民謡でしたから、今回はベラルーシからリトアニアにかけて、ペイガンな曲を探してみようかと思いました。そうは言いましても、一曲一曲詳細に吟味するのも難しいので、前回一曲かけましたロシアのメロディア盤2枚組の「ベラルーシの民族音楽アンソロジー」の中から、決まったテーマの部分を続けてかけてみます。今回じっくり聞いてみて、ユネスコ盤と音源が数曲ダブっていることにも気がつきました。ここにどうもペイガンな歌が有りそうだと言うことで、「春の祭典」を想起させる「春の歌」4曲を続けてどうぞ。

<ベラルーシの民族音楽アンソロジー~春の歌 56秒、38秒、1分5秒、50秒>

続いて、ストラヴィンスキーの「春の祭典」の冒頭部分をかけてみます。ストラヴィンスキーの自作自演です。リトアニア民謡をベースにしたファゴットから始まる序奏から、弦楽器を中心に同時に力強く鳴らされる同じ和音の連続とアクセントの変化による音楽に始まる乙女達の踊り「春のきざし」の辺りまでです。80年代にピナ・バウシュのバレエで「春の祭典」を見たことがありますが、どうもペイガンなyoutubeの映像と印象がダブります。

<ストラヴィンスキー / 春の祭典 ストラヴィンスキー指揮ニューヨーク・フィル 2分53秒、3分14秒>
Igor Stravinsky Le Sacre du Printemps Vaslav Nijinsky Version 1913 Ballett Mariinski Theater

自作自演はおそらく上がってないので、ニジンスキー・ヴァージョンのマリインスキー劇場管弦楽団とバレエ団の演奏で。何と言ってもあのニジンスキーですから、これが正調なのでしょう。指揮はもちろんヴァレリー・ゲルギエフ

露Melodiyaの2枚組は、春の歌、三位一体の日曜と聖ヨハネの生誕前夜の歌、収穫の歌、秋の収穫の歌、キャロルと祭りの歌、結婚式と出生の歌、非儀礼の叙情歌、器楽と言う風に分れています。異教的という観点で見れば、当然三位一体とかキャロルのようなキリスト教関連の歌は外れるのだろうと思います。
言語的には、ベラルーシはロシアやウクライナと同じ東スラヴ系ですが リトアニアとその北のラトヴィアはバルト語派で、共にインド・ヨーロッパ語族ではありますが、全く系統の異なるグループです。エストニアだけ、フィンランドと兄弟関係に当るウラル系のフィン・ウゴル語派になります。この辺りでベラルーシとリトアニアだけに共通するような異教的なイメージの曲があり、それがストラヴィンスキーにもインスピレーションを与えたのだとすれば、これはとても興味深い事実だと思います。
次にリトアニアの曲をかけてみます。フランスのIneditから出ている「バルトの歌声」には、ラトヴィア、リトアニア、エストニアの順に伝統音楽が入っていますが、その中からリトアニアの収穫の歌、結婚式の哀歌、ホイッスル、2声のカノンでのスタルティネなどの一部古い録音も聞けますが、キリスト教以前の儀礼歌も入っているようです。異教的だとしても、ベラルーシよりは穏やかな印象の曲が多いように思います。

これらの曲を聞きながら今回はお別れです。多分結婚式の歌の辺りで時間切れになると思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Baltic Voices~Lithuania 4分28秒、2分11秒、36秒、46秒、1分28秒、2分30秒>

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2017年5月15日 (月)

ベラルーシの伝統音楽

ゼアミdeワールド57回目の放送、日曜夕方に終りました。17日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今回もユネスコ盤の現地録音が中心ですので、youtube捜索は困難、もしくは多分データ自体無いと思いますので、似たイメージの曲をアップしておきます。

今回はベラルーシの音楽を聞いてみたいと思います。
ロシア、ウクライナと東スラヴの一角をなし、昔は「白ロシア」と呼ばれました。昨今はヨーロッパ最後の独裁者の話題が記憶に残り、戦中のパルチザンやチェルノブイリの原発事故など、悲劇的な印象も強い国ですが、地方色豊かな民謡や民話の宝庫として知られています。ベラルーシ語は、言語的にはロシア語とウクライナ語の中間に位置づけられます。
昔から日本ではベロルシアを訳した白ロシアとも呼ばれ、ソ連崩壊から20年以上経った今も、ほぼその名前通りのベラルーシと呼ばれています。国名の由来は、13~16世紀のモンゴルによる支配の、所謂「タタールのくびき」の頃に、モンゴル人が中国から学んだ文化である「方角を色で呼ぶ方法(五行思想)」をルーシ(ロシア)に持ち込んだため、赤ルーシ(南部ルーシすなわち現在のウクライナ西部)、白ルーシ(西部ルーシすなわち現在のベラルーシ)、黒ルーシ(北部ルーシすなわち現在のモスクワ周辺)という名称が生まれ、そのうちの白ルーシ(ベラルーシ)が国名として残った、とされています。ウクライナには小ロシアという一種の蔑称もありました。
ウクライナの北に位置し、東はロシア、西はポーランド、北はバルト三国のリトアニアとラトヴィアに接するこの内陸国で私がまず思い出すのは、第二次大戦中に東進するナチスドイツに相対し、全ベロルシアが一枚のパルチザン部隊となって戦い、国民の4人に1人が命を落としたと言われる、熾烈を極めた対独レジスタンスについてです。タイトルを忘れてしまいましたが、ナチスとの死闘を描いた映画が80年代にありました。
ベラルーシの音源は、ウクライナと同じくフランスのユネスコ・コレクションから一枚ありまして、最近になってロシアのメロディアからソ連時代の1962年~1986年録音の2枚組も登場しました。

GUDA: Belarusian Spring folk song "Oh, you white birch!" (белорусская народная песня)

ストラヴィンスキーの「春の祭典」のような、キリスト教化以前のペイガン(異教的)な雰囲気を感じさせる映像ですが、ここで出てくる民謡は、正にユネスコ盤に入っているようなタイプです。

ユネスコ・コレクションの方には、その第二次大戦中のパルティザンの歌が2曲入っておりますので、まずそれをかけてみます。女性達の合唱は「兵士の帰還の喜び」を歌っていますが、やはりこのトラックがこの盤の白眉のように思います。

<ベラルーシの伝統音楽~第二次大戦中のパルティザンの歌 6分52秒>

ベラルーシのユネスコ・コレクション盤は、南部のポレシエ地方の民謡が集成されていて、この地方はプリピャチ川の流域にあたる森林に覆われた地方で、伝統的な色彩の強い素朴で美しい歌が残っていた所です。ベラルーシ統一以前の古い歌や、コサックの多声歌なども収録されています。この盤の最初を飾っているクリスマス・キャロルと新年の歌を次にかけてみましょう。プリピャチと聞くと、チェルノブイリに近いというイメージがありますが、原発事故以前のこの録音からはその影響は当然感じられず、この長閑さには"伝説・昔話と歌の国"といわれた詩情豊かな国民性が確かに表われているように思います。

<ベラルーシの伝統音楽~クリスマス・キャロルと新年の歌 4分10秒>

バラードと題する歌唱では、コサック歌謡を思わせるポリフォニックな合唱を聞かせています。

<ベラルーシの伝統音楽~バラード 3分58秒>

露Melodiyaの2枚組からも特徴的な重唱を一曲かけておきましょう。ユネスコ盤にも似たタイプのロンドがありますが、近い音程で2つの声を合わせる歌声がとてもインパクト大です。曲名は和訳するなら「谷は深く、霧は広がっている」となると思います。歌唱はAnna KulakovskayaとAnton Makhnachという事ですので、男女の重唱でしょうか。Gomel地方の歌とあります。

<Anthology of folk music. Spirit of folk ~ BELARUS The Valley is wide, the Mist is spreading. 1分55秒>

最後に、スクリプカというヴァイオリンの独奏と、器楽演奏も多い「祭の歌と踊り」5曲をかけてみますが、歌では東スラヴそのものなのに対して、器楽の響きはロシアと言うより、どこかポーランドかスカンジナヴィアの音楽に近いものすら感じさせます。因みに、ロシア語でもヴァイオリンはスクリプカと言います。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ベラルーシの伝統音楽~スクリプカの小曲 43秒>
<ベラルーシの伝統音楽~祭の歌と踊り 7分46秒>

Belarus Folk Music

器楽も同じ曲はないと思われますので、とりあえずこちらを。途中3分前辺りから打弦のツィンバロムが弾いている耳馴染みの旋律は、ロシアの「行商人」です。他は大体ベラルーシの音楽だと思います。

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2017年5月 8日 (月)

エチェル村の結婚式

ゼアミdeワールド56回目の放送、日曜夕方に終りました。10日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

前々回に作者不詳のチャールダッシュハ短調という曲をかけまして、ZeAmiブログでこの曲のyoutubeを何本か取り上げました。とても印象的なメランコリックな名旋律だったと思います。
ウクライナの次はベラルーシを予定していますが、その前に今回はチャールダッシュハ短調の入っていた「エチェル村の結婚式」(Ecseri Lakodalmas)を特集してみたいと思います。演奏はハンガリー国立民族アンサンブルで、彼らは1977年頃来日して、その舞台が当時テレビで放映されました。私はTVからカセットに録音しまして、今でも手元にあります。いつもこの番組のオープニングにかけているペルシア音楽の、ほぼ同じパーソネルの盤で初めて聞いたのが79年、その前の1977年に初めてハンガリー音楽を聞いたのがこの「エチェル村の結婚式」という事で、どちらも甲乙付けがたい程とても思い出深い一枚です。この録音は1996年にハンガリーHungarotonからCD化されております。今回はハンガリー音楽やアイヌ音楽の専門家として知られる谷本一之さんの名解説を参考にしながら進めたいと思います。77年リリースのビクターのLP解説を参照しております。
まず一曲目のゾルタン・コダーイ作曲のカーロー民族舞曲からどうぞ。解説は曲が終ってから入れます。

<エチェル村の結婚式~カーロー民族舞曲 6分27秒>
The Kálló Double Dance


この曲は1951年にコダーイがこのアンサンブルのために作曲した曲で、ジプシー楽団の演奏スタイルを念頭におきながら、それを一回り大きくしたアンサンブルと混声合唱のために書かれた舞踊曲です。使われている民謡はコダーイが1938年にハンガリー東部のサボーチ・サツマール県のノジュカーロで収集したもので、曲名はこの地方名から来ています。

次は2曲目に入っている「セークの音楽」です。セークというのは、今はルーマニア領になっているエルデーイ地方のコロジュヴァールに近い村ですが、このトランシルヴァニアのエルデーイ地方というのは、三方を山に囲まれて交通が不便なことが手伝って、最も古く伝統的なハンガリーの民族伝統が豊かに受け継がれている所として知られています。原曲はライタ・ラースローが1940年頃に収集し1954年に出版したセーク・コレクションから選ばれていて、この楽団の音楽監督グヤーシュ・ラースローが編曲を手掛けています。

<エチェル村の結婚式~セークの音楽 6分48秒>
Music from Szék


そして続けて出てくるのが、作者不詳のチャールダッシュハ短調でした。冒頭のメランコリックな旋律と、速い部分での火花を散らすようなジプシー・ヴァイオリンの名人芸が聞き所ですが、先の2曲のような素朴な民族音楽と比べると、その洗練具合がよく分るかと思います。再度かけてみます。

<エチェル村の結婚式~チャールダッシュハ短調 2分44秒>
Csárdás in c-moll


この後、ビンの踊り、糸つむぎ部屋の夜、リストのハンガリー狂詩曲2番(96年のCDではイムレ・チェンキのハンガリーのジプシーの踊り)と続きますが、時間の関係で割愛しまして、その次に入っているのが、自身の楽団を率いて世界的に活躍したジプシーの名ヴァイオリニストで、チャールダッシュの前進の後期ヴェルブンコシュ音楽の代表的作曲家だった19世紀初頭のビハリ・ヤーノシュを偲ぶ「ビハリの想い出」と言う曲です。彼は古い大衆歌曲をヴェルブンコシュの旋律として取り入れた大衆的な作曲家でしたが、ウィーン風なロマンティックな旋律の作曲家でもあったそうです。「ビハリの想い出」の中には彼の作品から5曲が取り上げられています。

<エチェル村の結婚式~ビハリの想い出 4分38秒>
In Memory of Bihari


8曲目には「3つの跳躍の踊り」が入っていますが、こちらも時間の関係で割愛しまして、その次にこのアルバムのラストを飾っているのが、アルバムタイトル曲の「エチェル村の結婚式」です。この曲を聞きながら今回はお別れです。ブダペストに近いエチェル村に伝わる結婚式の風習を基に人生を描いたマロシュ・ルドルフ作曲の創作舞踊の音楽です。ヴェルブンコシュやチャールダッシュなどが鏤められて紙芝居のように出てきます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<エチェル村の結婚式~エチェル村の結婚式 12分22秒>
Wedding at Ecser

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2017年5月 1日 (月)

веснянка ヴェスニアンカ

ゼアミdeワールド55回目の放送、日曜夕方に終りました。3日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今回はさすがにyoutubeはおそらくほとんど無いだろうと思いますので、見つかった曲だけ今週中に上げられればと思います。ヴェスニアンカも、放送でかけたような民謡原曲ではなく、アレンジが入って耳当りが良くなっています。2本ともアップした曲とは別です。

前々回に西ウクライナの音楽を取り上げましたので、今回はウクライナ音楽の4回目として、東部と北部を中心にクローズアップしてみたいと思っておりましたが、日本の倍近い面積の大きな国ですので、地方によって音楽も少なからず違っていて、その中では前々回のルーマニアやハンガリーの音楽に近い西ウクライナのブコヴィナやイヴァノ・フランキフスケ地方辺りの音楽が特に異彩を放っていました。何度か取り上げましたユネスコ・コレクションの「ウクライナの伝統音楽」では、各地方の音楽が混在していまして、それぞれがどの方面に当るか調べてみましたが、西ウクライナだけでも、他にポーランドに近い音楽があったり、かなり地方色が豊かなことが浮き彫りになってきました。

ユネスコ盤では、季節ごとの歌もまとめられていますので、順に取り上げてみたいと思います。ベラルーシやポーランドに近い北西部のリヴネ地方のヴェニスアンカと呼ばれる「春の歌」を4曲続けてかけてみます。

<ウクライナの伝統音楽~春の歌1 38秒>
<ウクライナの伝統音楽~春の歌2 1分12秒>

Веснянка - Ukrainian Dance


Веснянка - Побреду


次は中西部のジトミール地方の合唱で、南スラヴ系にかけてよく聞かれる独特の叫び声がつきます。

<ウクライナの伝統音楽~あの山の上に 58秒>

次はリヴネ地方のヴェスニアンカの合唱です。

<ウクライナの伝統音楽~牧人 1分35秒>

続きまして、「夏の歌」ですが、中西部のフメルニツキ地方の祭り歌の合唱です。

<ウクライナの伝統音楽~柳の近くの小川で 1分52秒>

次は中西部ジトミール地方の合唱で、聖ペテロの祭日(6月24日)の歌です。男も女もリボンや花で飾り立てて歌う求婚の歌でもあります。

<ウクライナの伝統音楽~今日は聖ペテロの日だ 1分21秒>

次は北部のチェルニヒヴ地方の収穫の歌で、畑で仕事をしながら歌われる昔からの形式を残した合唱です。

<ウクライナの伝統音楽~草を刈る人 1分41秒>

次は中西部ジトミール地方の合唱で、こちらも古風な儀礼的な歌の一つです。各節ごとに独特な裏声が入ります。

<ウクライナの伝統音楽~日没 1分15秒>

続きまして、結婚の歌も数曲入っております。まずは北部チェルニヒヴ地方の合唱で、花で飾られた式用の木を捧げての花嫁の行列のメンバーによって、東北ウクライナに典型的なスタイルで歌われています。

<ウクライナの伝統音楽~花飾りのために 1分22秒>

次は中西部フメルニツキ地方の女性合唱で、花嫁の髪をときほぐしながら歌われる儀式歌です。花嫁は生家を離れる悲しみに泣いていると言う内容で、日本の、金襴緞子の帯締めながら花嫁御寮は何故泣くの、と始まる「花嫁人形」をすぐさま思い出させます。

<ウクライナの伝統音楽~どうして嘆き悲しむの 2分16秒>

コサックの歌も入っておりまして、手回しヴァイオリンのハーディーガーディーを弾き語っています。ふくろうが戦場で死んだ一人のコサックについての知らせを彼の妻子に伝えるという歌です。

<ウクライナの伝統音楽~ふくろうよ、もう不吉を告げないで 3分35秒>

次は東北部のハルキフ地方に伝わる無伴奏の合唱による若い女性の嘆き歌で、コサック起源の旋律のようです。ウクライナ草原地帯の典型的な節回しです。

<ウクライナの伝統音楽~夜明けの母さん 1分31秒>

次はリイイ地方の野外での歌と踊りの曲で、ポーランド系のテンポ・ルバート風なポルカ・リズムが特徴的です。

<ウクライナの伝統音楽~広い流れのドナウで 1分18秒>

では、最後にウクライナ盤のヴェスニアンカを聞きながら今回はお別れです。女性のみの「春の歌」ヴェスニアンカをレパートリーの中心にしている、リヴネ地方のおそらく同名の合唱グループですが、これからかけます「オイ・ナ・ゴーリェ・イ・スーヒー・ドゥーブ」という曲はパブートヴァという別なジャンルになるようです。とても印象的な曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ヴェスニアンカ/オイ・ナ・ゴーリェ・イ・スーヒー・ドゥーブ 3分>

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