ゼアミdeワールド

2017年9月18日 (月)

「チェチェンと北コーカサスの音楽」の最後に

ゼアミdeワールド74回目の放送、日曜夕方に終りました。20日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。
17日18時は台風18号で大変な時で、台風情報がラヂバリでも頻繁に流れていましたが、奇跡的に?30分間は出なかったです。かのこさん、ナナさん、台風情報の放送では、大変大変お疲れ様でした。

今回はとことん英Topic Recordsの「チェチェンと北コーカサスの音楽」からご紹介したいと思います。まずは、チェチェンの歌姫マッカ・サガイーポヴァの父で著名なアコーディオン奏者のウマル・サガイーポフの伴奏で、女性歌手タマラ・ダダシェヴァが歌う一曲です。タマラ・ダダシェヴァは多くのチェチェン人がスターリンによって強制移住させられた中央アジアのキルギスタン生まれで、30年以上に亘ってチェチェンで最も愛された歌手とのことです。原題のノフチチヨー・ソ・カン・ヨー・ユとは、「チェチニャよ、私はあなたの娘」という内容の望郷の歌です。

<Tamara Dadasheva / Nokhchiychiyo, so khan yoh yu 1分58秒>
Nokhchiychyo, So Khan Yo Yu


中央アジアへの強制移住は実質は「追放」で、これからかけます男声合唱の歌は、多数の死者を出した中央アジアでの過酷な生活の中で生き抜いた母親たちに捧げる曲です。大量追放の恐ろしさや窮状の中で子供を育てた母親を称える熱い調べは、伝統的な三声の男声合唱のスタイルになっております。この曲もトピック盤に入っていて、2002年のまだまだ戦火の最中の首都グロズヌイで自主製作されています。タイトルのSan Nana, san Nanaとは、「母へ」という意味になります。

<IIli Male-Voice Ensemble / San Nana, san Nana 4分53秒>

次はサーカシアの西から2番目の国のカラチャイ・チェルケスから、トルコ系のカラチャイの女性独唱です。作曲者自身でもあるリディア・バチャエヴァによるコミカルなラヴ・ソングとのことです。トルコ系的な部分は余り感じられませんが、カラチャイの音源というのはyoutubeはいくらかあっても、CDでは私はこちらしか知りません。ですので貴重な音源ということにはなろうかと思います。

<Lydia Bachaeva / Djuldouz 2分52秒>

次も独唱ですが、次回に予定しているダゲスタンの民謡が一曲だけトピック盤に入っておりますので、その曲をかけてみます。こちらも男性歌手による独唱で、この一種演劇的な歌唱は、ダゲスタン民謡としては異色な曲のようにも思います。

<Shirvani Chalaev / Barkhaldal Doldiban 2分38秒>

この盤にはカバルダの弦楽器の曲も一曲入っておりますので、序にかけておきます。ギリシアのリラにも似た細長い擦弦楽器shichepshinと笛のデュオで、Kurashaというカバルド民謡に基づいているそうです。言うまでもなく、カバルド或いはカバルダは、アディゲのエスニック・サブ・グループです。

<Zuber Ivazov etc. / Kabardian Dance Tune 3分12秒>
Zuber Ivazov - Kabardian dance tune


では最後にトピック盤の最後を飾っている女性独唱を聞きながら今回はお別れです。1986年生まれで録音当時二十歳とは思えない若い女性歌手によって歌われるこの歌も、切ない望郷の絶唱として聞ける一曲です。彼女はダイモク・アンサンブルのソロ歌手なので、この切実さも納得です。
1分程の短い曲ですので、時間が余りましたらその後には、まだかけてなかったアンサンブル・アズナシのダイモクで締めたいと思います。チェチェン語のダイモクとは「祖国」の意味で、同じタイトルの歌をこれまで何人かの歌手でかけましたが、遂に真打登場と言った所です。次回は本格的にダゲスタンに向かいます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Aminat Akhmadova / Daimokuam Biezam (Love for the fatherland)  1分21秒>
Love for the Fatherland


<Aznach Ensemble / Daimohk 2分46秒>

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2017年9月11日 (月)

チェルケス、カバルド、北オセチアの音楽

ゼアミdeワールド73回目の放送、日曜夕方に終りました。13日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。動画はyoutubeにあった音源のみです。北オセチアの曲は全く見当たりませんが、またよく調べてみます。

今回は7月の放送内容に戻りまして、マレム・ゴクハン・シェンの「チェルケスの旋律」や、メロディア盤の「サーカシアの伝統音楽アンソロジー」、英Topic Recordsの「チェチェンと北コーカサスの音楽」から、これまでかけてなかった音源をご紹介したいと思います。

トルコのチェルケス移民の音楽を洗練されたアレンジで演奏したマレム・ゴクハン・シェンの2014年リリースの2枚目には素晴らしい曲が多く、7月30日の放送でYinerikuey Kafeという曲をかけましたが、まずその音源を再度かけてから、後で露Melodiya盤を比較でかけてみたいと思います。

<Marem Gokhan Sen / Cerkes Ezgileri 2 Yinerikuey Kafe 6分5秒>
Marem Gökhan Şen - Yinerıkuey Kafe


同じ曲がメロディア盤の「サーカシアの伝統音楽アンソロジー」にも入っていますので、そのИнарыкъуей Къафэ (Инарокоевское Кафа)を比較でかけてみたいと思います。この録音は、まだソ連時代の1976年で、マレム・ゴクハン・シェンの演奏とは録音時期もあるのでしょうが、スタイルの違いが感じられて興味深いです。アディゲの音楽に特徴的な短冊風打楽器の五月雨のようなリズムは、昔の録音では控えめのようです。

<Инарыкъуей Къафэ (Инарокоевское Кафа) 3分16秒>

マレム・ゴクハン・シェンの「チェルケスの旋律」の2枚目ではチェロやヴァイオリンを効果的に使っていまして、私がチェロとヴァイオリンを弾くものでどうしても耳が引き寄せられますので(笑)、一曲かけてみましょう。Uzunyayla Kafekherという曲で、チェロの低音が目立っています。

<Marem Gokhan Sen / Cerkes Ezgileri 2 Uzunyayla Kafekher 4分15秒>
Marem Gökhan Şen - Uzunyayla Kafekher


次にサーカシア(北西コーカサス)の一番東に位置するカバルダ・バルカルの内の、カバルダの伝統的な歌です。カバルダの歌も放送では初です。主唱者を伴奏するアコーディオン奏者がドローンで低く歌っていて、こういうコーカサスのポリフォニーのタイプを前にZeAmiブログでyoutubeで見ましたが、西のアディゲやチェルケス、東のチェチェンやイングーシの歌と、一味違う静かで幽玄な趣きがあります。

<Cherim Nakhushev / Khatkhe Mohomet Guaz 5分49秒>
Cherim Nakhushev - Khatkhe Mahomet Guaz


次はサーカシアとイングーシの間に位置する、コーカサスで唯一のイラン系民族の国、北オセチアの男声合唱です。古代のスキタイの末裔説もあったりしたイラン系民族ですが、音楽はコーカサスそのもので、西隣のカバルダよりも厚い男声合唱を聞かせます。親ロシア寄りで北コーカサスの中では比較的政情が安定しているからでしょうか、この英Topic Records盤の中で数少ない本国での録音です。宗教も北コーカサスのサーカシアとチェチェン、イングーシ、ダゲスタンではイスラム教徒がほとんどですが、北オセチアでは正教徒が多く、コーカサスでキリスト教徒が多いのは他には南コーカサスのグルジア、アルメニアになります。歌われている曲は、第二次大戦でナチスに対して勇敢に戦った英雄を回想する内容のようです。

<Batu Dzugaev People`s Choir / Gezdenti Efsilerte Zareg 3分47秒>

では最後に同じ北オセチアの男声合唱と女性歌手スヴェトラーナ・チェルズィエヴァで、ツィツィドンという絵のように美しい川の風景を讃える曲を聞きながら今回はお別れです。次回は同じく英Topic Records盤から、サーカシアのトルコ系カラチャイの歌と、ウマル・サガイポフ伴奏タマラ・ダダシェヴァのチェチェンの歌などを聞いてから、ダゲスタンの方に移る予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Batu Dzugaev People`s Choir / Tsitsidon 3分25秒>

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2017年9月 4日 (月)

ダゲスタンとチェチェンの歌姫

ゼアミdeワールド72回目の放送、3日夜に終りました。6日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。

今回は前に予告しておりました通り、チェチェン・ポップスの歌姫マッカ・サガイーポヴァの2回目になりますが、その前にダゲスタンの歌姫マリナ・ムスタファエヴァをかけて、聞き比べてみたいと思います。どちらも10年前にゼアミブログで取り上げ、その前に音源を手に入れていた歌手です。他にも歌手は多いのだろうと思いますが、手元にあるのがこの二人の音源で、実際現地では一番知られている歌手のようです。
全般に言える特徴としては、レズギンカ風の歌以外では勿論ですが、レズギンカを聞いてもマリナ・ムスタファエヴァの音楽は、ウズベキスタンなどの中央アジアのポップスに近い印象を覚えるという点です。カスピ海に最も近いという地理的条件からそうなるのでしょうか。トルコ系民族も他の北コーカサス各地に比べると多い国です。チェチェンやアディゲでは、北コーカサスとしか言いようのない音楽になっていて、中央アジアを意識することはほとんどないように思います。ダゲスタンはレズギンカのルーツの地でもあるので、このコーカサス的な8分の6拍子の舞曲の本家本元でもあるのが、面白いところです。
もう少し北西コーカサスとチェチェンやオセチアについて聞いた後でダゲスタンに回る予定ですが、まずポップスで特徴を少し把握しておこうと思いまして、今回の聞き比べにしてみました。
まずはマリナ・ムスタファエヴァの歌を何曲かかけてみたいと思います。レズギンカのリズムのはっきり出てくるсоздан для меня(私のために作られた)という曲からどうぞ。

<Marina Mustafaeva / создан для меня 5分28秒>
Марина Мустафаева - Люби меня

同じ曲が今のところ見当たらないので、他の一曲を取りあえず上げておきます。曲名のЛюби меня(リュビー・ミニャー)とは英訳するならLove Meになります。コメント?にдаргинская даргинскиеと見えますので、もしかしたら彼女はテュルク系ではなくてコーカサス系のダルギン人かも。でもこの人はやはりどこかアジア的な顔立ちです。

曲名はロシア語ですが、歌詞は全く聞き取れないのでダゲスタンの言葉だと思います。ダゲスタンは言語の森のような国で、夥しい数のコーカサス系とトルコ系の民族がモザイクのように入り混じって住んでいる国です。残念ながら、彼女がダゲスタンの何人か不明ですが、音楽が中央アジアやトルコのポップスに似た感じと言う事は、トルコ系なのかも知れません。
ダゲスタン国民を構成する主たる民族とされる10の民族は、コーカサス諸語の民族であるアグール人、アヴァール人、ダルギン人、ラク人、レズギン人、ルトゥル人、タバサラン人、ツァフル人、そしてテュルク(トルコ)系民族にはクムイク人とノガイ人がいます。
もう一曲мое родное село(私の母国の村)という曲をどうぞ。歌詞に出てくるマハチカラというのは、ダゲスタンの首都の名前です。この曲も遅めのレズギンカ・リズムです。

<Marina Mustafaeva / мое родное село 4分11秒>
Марина Мустафаева - Мое родное село


では、チェチェンのマッカ・サガイーポヴァの歌に移ります。溌剌としたレズギンカ・リズムに乗せて、いかにもチェチェン的な哀愁のメロディが歌われる曲ですが、曲名のノフチー・キオナフの、ノフチーはチェチェンの自称ですが、キオナフの意味が不明です。

<Нохчи къонах 3分38秒>
  Макка Сагаипова Нохчий Къонах


次はチェチェンカ・ヤーという曲で、訳すなら「私はチェチェンの女性」となりまして、大部分はロシア語の歌詞のようです。これもマッカさんらしい一曲です。

<Чеченка я 3分53秒>
Песня Макки Сагаиповой )))) Чеченка я!


次もアップテンポのレズギンカで、やはりメロディが素晴らしい一曲です。タイトルはチェチェン語のため、発音がよく分かりません。

<Ас хьуна делла дог 4分7秒>
Макка Сагаипова - Ас суна делла дог от Тамилы С


では最後にマッカ・サガイーポヴァのロヴザルという曲を聞きながら今回はお別れです。ロヴザルとは、マッカさんが所属しているチェチェン舞踊団の名前ですが、テイク違いにはКак умеет жить Чечня(どうすればチェチェンが生きれるか?)という意味深なタイトルが付いていました。
マリナ・ムスタファエヴァの歌と聞き比べて、いかがでしたでしょうか? それぞれ、ダゲスタンらしさ、チェチェンらしさの片鱗を感じ取って頂けたら幸いです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Ловзар 3分44秒>
Макка Сагаипова - Ловзар.

おそらく未婚の頃のヒジャブを被ってないマッカさんです。

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2017年8月24日 (木)

最近のМакка Сагаипова

ゼアミdeワールド71回目の放送、水曜夜に終りました。27日18時と30日20時半に再放送があります。先日お知らせしました通り、20日に71回目の内容で放送されなかったので、3回連続になります。宜しければ是非お聞き下さい。土曜は内子座の本番で結構朝早いため、25日金曜はブログアップは難しいかも知れませんm(. .)m 他の曲も後日探してみます。

今回は前に予告しておりましたチェチェンのポップスですが、特によく知られているチェチェン美人の歌姫マッカ・サガイーポヴァの歌声を聞いてみたいと思います。前に「カフカス」という曲をかけましたが、4拍子のように聞こえても、実は一拍がもの凄い速さでタンタタタタと8分の6拍子に分かれていて、まるで入れ子構造のようになっていることを指摘しておきました。これはコーカサス一帯に見られるレズギンカ型のリズムで、胸を打つ哀愁の旋律を支えるこの浮き立つリズムが最大の特徴の一つと言って良いでしょう。これからかける曲にも随所にこのレズギンカのリズムが出てきますので、是非注意して聞いてみて下さい。
彼女のプロフィールを少しご紹介します。1987年にチェチェンの首都グローズヌィに生まれ、6歳で歌い始め、8歳でチェチェンの舞踊団であるロヴザルで踊りも始めています。彼女の父はウマル・サガイーポフという有名なアコーディオン奏者で、以前かけました英Topic Recordsの「チェチェンと北コーカサスの音楽」では、国民的人気歌手のタマラ・ダダシェヴァの伴奏をしておりました。この音源はまた今度かけようと思っております。彼女はその後モスクワ大学で音楽と経済学を学び、現在はモスクワ在住で、ダンスアンサンブルのロヴザルもモスクワに拠点を置いているようです。
ちょうど10年前に当時のベスト盤で彼女の歌声を初めて聞きまして、その頃のZeAmiブログにもアップしましたが、その後はチェチェン出身の富豪マリク・サイドゥラーエフ氏と結婚されて、1年ほど前にはおそらくダウンロードのみと思われるアルバムを何点かリリースされています。これらが以前にも増して素晴らしい歌声でしたので、今日は何曲かかけてみます。余談ですが、マッカという名前は、アラビア語でイスラムの聖地メッカを指します。現在はヒジャブを被った、しとやかなムスリム婦人の装いでアーティスト写真が出ていました。
今回はChechen Singersというチェチェンの14人の歌手を紹介する英文のブックレットを中心に参照しておりますが、大体の内容がウィキペディアの英語版にも転載されているようです。曲名ですが、ロシア語なら和訳も可能ですが、チェチェン語の場合はロシア文字主体ながら特有の文字もあって、その発音が分からないため、推測の表記になっております。

今日は2016年リリースのスボールニク・ルーチシフ・ピーセン(ベストソングコレクション)から数曲ご紹介します。最初の曲は特にレズギンカ・リズムではありませんが、大人っぽいしっとりとした歌声を聞かせて、現在の彼女の姿を彷彿とさせるものがあります。チェチェン語なので読み方と意味が分かりませんが、ホ・ツア・ヴとしておきましょう(笑)

<Макка Сагаипова / Хьо цхьаъ ву 4分12秒>
☆ Макка Cагаипова ☆ ♥ Хьо цхьаъ ву са ♥ 2015 HD


次はレズギンカのリズムがギンギンに出てくるアップテンポの曲です。Ласточка моя(ラストーチカ・マヤ)というのは、「私のツバメ」の意味になります。

<Макка Сагаипова / Ласточка моя 4分41秒>
Макка Сагаипова. "Ласточка"

大体の動画でラストーチカだけになっていて、マヤ(私の)が抜けています。

次は前にもかけました「カフカス」と言う曲ですが、正式名称はРевнивый Кавказとなったようです。直訳すれば「嫉妬のカフカス」となりますが、どういう意味が込められているのでしょうか? レズギンカのリズムがはっきり分かる曲です。この音源は10年前と同じと思われます。

<Макка Сагаипова / Ревнивый Кавказ 3分44秒>
Makka Sagaipova - Ревнивый Кавказ


次のクラスィーヴィー・パレン(Красивый парень)の英訳は「プリティ・ボーイ」となっています。彼女の代表曲の一つで、10年前の盤にも入っておりました。ZeAmiブログでグルジアのパンキシへの移民のバラライカ弾き語りでも聞けた曲です。

<Макка Сагаипова / Красивый парень 3分6秒>
Макка Сагаипова Красивый парень

この曲に関しては、昔の映像ばかりのようです。

次は今回のアルバムで最も強く印象に残った曲です。チェチェンらしい哀感溢れる旋律の曲で、ロシア文字ではナナですが、英語で読んでしまうとハハになってしまいます(笑) 歌詞はチェチェン語のようですが、意味を知りたい一曲です。

<Макка Сагаипова / Нана 4分32秒>
Макка Сагаипова - песня о Маме

チェチェン語でНанаは母の意味でしょうか? (どうやらそのようです)

最後にマッカ・サガイーポヴァのズーリシュカという曲を聞きながら今回はお別れです。最初に聞いた時に何故か耳に残った曲で、やはりレズギンカのリズムですが、残念ながらЗулишкаの意味がはっきり分かりませんでした。似た単語にЗолушкаというのがあって、こちらはウクライナ語でシンデレラの意味でした。果たして同じ意味でしょうか? 来週は更にマッカさんを数曲と、ダゲスタンの歌姫マリナ・ムスタファエヴァをかける予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<Макка Сагаипова / Зулишка 4分30秒 抜粋>

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2017年8月16日 (水)

Mela Raga Malika Part2

ゼアミdeワールド70回目の放送、水曜夜に終りました。今回はこの再放送枠のみです。お盆休みも16日で終わり、店の片付けやチェロの合わせ練習もあったり等で結構ばたばたしました。今日の収録では、チェチェンの歌姫マッカ・サガイーポヴァを大特集しました。放送は20日と23日です。

まず最初に催しのお知らせです。以下の催しに、チェロとヴァイオリンで出ることになりました。宜しければ是非お越し下さい。

<チェロ伴奏で3つ>
やさしさを伝える 絵本&朗読コンサート
8月19日 13時~  ひよこ園  今治市石井町4丁目3-53 (雨天決行)
8月23日 17時~  城慶寺   今治市湊町2丁目1-45 (雨天中止)
宮沢賢治がモチーフの一つになっているようです。曲名は伏せておきますが、朗読内容のイメージで選びました。

ダンススタジオ108 内子座公演
  (コンテンポラリーダンス、能楽、篠笛または能管、チェロのコラボ)
8月26日 14時~   チケット 1000円
「竜の河」の5回目になりますが、内子の内子座では2回目です。これまでと同じでJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲3番のサラバンドとジーグ、5番のジーグの3曲を組み合わせて弾きます。

<ヴァイオリンで一つ>
HIRAOピアノ教室 サマーコンサート @今治中央公民館4階大ホール
8月27日 13時~
2部の「ブルタバお楽しみコーナー」で、スメタナのブルタバ(モルダウ)のファースト・ヴァイオリンで出る予定です。これは発表会の合間のチョイ役のようです。

では本題に入ります。
前回6日の本放送は、今治の夏祭り「おんまく」の特番があるので、お休みになりますとお知らせしておりましたが、台風5号の影響で花火だけ13日に順延になりまして6日の放送がありました。代わりに13日の本放送はお休みになりまして、16日の再放送枠のみになります。
前回かけましたスブラクシュミのメーラ・ラーガ・マーリカーの後半をかけたいと思います。南インド古典声楽界の至宝と言われた女性歌手、M.S.スブラクシュミのメーラ・ラーガ・マーリカーでは、カルナティック音楽の72のラーガ全てを1から順に少しずつ演奏するという技法を用いて書かれていることについては前回も少しお話しました。ラーガマーリカーとは「ラーガの花輪」を意味し、各ラーガは2行の歌詞と2行の階名からなり、インドの階名のサリガマで歌う部分の途中から次のラーガに変ります。歌詞にはラーガ名が上手く読み込まれているので、歌詞を聞いているとラーガ名も分かるようになっております。
では後半のプラティ・マディヤマ・メーラを時間まで聞いて行きたいと思います。前回かけた前半部分との違いが解り難いかも知れませんが、その一つの理由としては、導入に出てくるシュリー旋法の部分が共通している点が上げられると思います。個人的にはキルワーニーやダルバリと並んで好きなラーガの一つで、いずれも夕方から夜のラーガです。このシュリーの部分が4行の歌詞に続いて、2行のサリガマ唱と2行のリズム口承で歌われ、この部分が曲の最初と最後に出てきて、その後にメーラ・ラーガ・マーリカーが始まります。前回かけたシュッダ・マディヤマ・メーラと今回のプラティ・マディヤマ・メーラの違いは、インドの階名のサリガマパダニサの4つ目のマの音がナチュラルかシャープかによっていて、前者がマ1、後者はマ2と分類されて、それぞれシュッダとプラティと名付けられています。マの音の違いを意識して、前回の歌唱を思い出しながら聞いて頂けたら、南インド古典音楽の知的で数学的な面が浮き彫りになってくるかと思います。
では終わりの辺りでもう一度出てきます。

<M.S.Subbulakshmi / Mela Raga Malika  Part2 28分20秒 抜粋>
R Vedavalli 3 72 Melaragamalika Mahavaidyanatha Sivan

今回もスブラクシュミではなく、ヴェーダヴァッリというヴェテラン女性歌手です。右手に南インドの代表的弦楽器ヴィーナも入った演奏です。

いかがでしたでしょうか。前半と同じく伴奏にはサポート・ヴォーカルと両面太鼓のムリダンガム、所々ヴァイオリンも入っています。
時間までこの曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

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2017年8月 7日 (月)

M.S.Subbulakshmi / Mela Raga Malika

ゼアミdeワールド69回目の放送、日曜夕方に終りました。おんまく花火が13日に延期になったために特番がなくなり、本放送枠でも放送されました。9日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。13日は入れ替わりで本放送はお休みで、16日の再放送枠のみになります。以下矛盾しますが、放送で話したままアップします。

コーカサス音楽巡りの途中ですが、今回の6日の本放送は、今治の夏祭り「おんまく」の特番があるので、お休みになりました。9日の再放送枠のみですので、一回コーカサスをお休みしまして、少し前のインド音楽小特集の際にかけられなかった長尺の音源をかけてみたいと思います。

南インド古典声楽界の至宝と言われた女性歌手、M.S.スブラクシュミのメーラ・ラーガ・マーリカーを時間までお楽しみ下さい。LP時代の音源のために、28分余りの録音2トラックになっている、トータル1時間弱の曲です。カルナティック音楽の全てのラーガは、72メーラカルターと呼ばれる基本音階に基づいて分類されていますが、この72のラーガ全てを1から順に少しずつ演奏するという技法を用いて書かれています。ラーガマーリカーとは「ラーガの花輪」を意味します。各ラーガは2行の歌詞と2行の階名からなり、階名をサリガマで歌う部分の途中から次のラーガに変ります。歌詞にはラーガ名が上手く読み込まれているので、歌詞を聞いているとラーガ名も分かるという、いかにも南インド音楽の知的で数学的な側面を感じさせる曲です。この曲を歌えるのは、スブラクシュミだけかも知れないとも言われているほどの難曲ですので、とても貴重な音源です。では前半のシュッダ・マディヤマメーラを時間までどうぞ。終わりの辺りでもう一度出てきます。

<M.S.Subbulakshmi / Mela Raga Malika Part1 28分26秒 抜粋>
MS Subbulakshmi-Mela-Ragamalika-Chakra--Gayakapriya-to-Varunapriya-

これは放送でかけたのとは別音源です。ライブでしょうか?

いかがでしたでしょうか。伴奏にはサポート・ヴォーカルがついて、他は両面太鼓のムリダンガムが中心で、所々ヴァイオリンも入っています。
時間までこの曲を聞きながら今回はお別れです。次回はコーカサスに戻る予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

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2017年7月31日 (月)

ヨルダンとトルコのチェルケス音楽

ゼアミdeワールド68回目の放送、日曜夕方に終りました。2日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。動画はyoutubeにあった音源のみです。

コーカサスの4回目です。長くなりそうですので、この辺で今後の北コーカサス関係の予定をお知らせしておきます。今回ヨルダンとトルコのチェルケス移民の音源をかけて、その次はカバルダやオセチアなどの他の北コーカサス、その後はダゲスタンで一回、間でチェチェンとダゲスタンのポップスを予定しております。
今回はロシアでの迫害を逃れ19世紀に旧オスマン帝国領内のトルコやヨルダンに移住したのチェルケス人の音源です。まずはフランスのAd Vitam Recordsから出ている「ヨルダンのチェルケス人のサーカシア音楽」と言う盤で、何よりもハチャトゥリアンのレズギンカでお馴染みのあの8分の6拍子のリズムが、中東のヨルダンから聞こえる不思議を感じました。イスラメイやカーファなどの伝統的な舞曲のリズムがアコーディオンや打楽器などによって演奏されています。ZeAmiブログで取り上げました弦楽器のポンデルもアコーディオンの影に隠れていますが、入っています。

まず前回もかけましたイスラメイとカーファの音源からかけてみます。本国から遠く離れたヨルダンの地で19世紀のままの状態で保存されたような伝統音楽ですから、現在のアディゲ本国よりもオーソドックスなスタイルが保持されているようにも思います。

<Jordanie / Circassia Musique Tcherkesse Eslameh 2分48秒>
Ensemble Circassien de Jordanie - Eslameh


<Jordanie / Circassia Musique Tcherkesse Qafa 3分24秒>

youtubeでよく聞く、おそらく正調と思われるカーファの演奏も2曲入っておりましたので、続けてかけてみたいと思います。2曲目のPasareh Qafaは、10年前にゼアミブログで北コーカサスを取り上げた際に見たyoutubeでは、ウオルク・カーファ(古いカーファ)と紹介されていたように記憶しています。正に白鳥を連想させる白装束の女性の踊りの優美さも特筆ものでした。

<Jordanie / Circassia Musique Tcherkesse Solo Qafa 2分16秒>

<Jordanie / Circassia Musique Tcherkesse Pasareh Qafa 3分6秒>

続いてトルコのチェルケス系移民の音源ですが、私の知る限りではトルコのレーベルKalan Muzik から2枚出ています。マレム・ゴクハン・シェンと言う人の「チェルケスの旋律」と題する2枚で、やはり驚くほどサーカシア(北コーカサス北西部のアディゲ、チェルケス、カバルダ)の音楽スタイルをそのまま保っていますが、従来のアコーディオン(プシャーシェ)とカフカス・ドラム(ドール)などの伝統楽器に、Vol.2の方ではチェロやヴァイオリンを加えることで、音楽的に厚みが増し、聞き応え満点の力作になっています。北コーカサス音楽特有の「孤高の哀愁美」に溢れた2枚ですが、トルコの音楽界の洗練ぶりを感じさせる凝った音作りになっています。

古い音源の引用から始まる2011年リリースの1枚目のBerkuk's Makameという曲からどうぞ。

<Marem Gokhan Sen / Cerkes Ezgileri 1  Berkuk's Makame 5分4秒>
Xexec - Berkuk's Mekame


2014年リリースの2枚目には素晴らしい曲が多く、時間の都合で色々かけられないのが残念ですが、Yinerikuey Kafeという曲をかけてみます。やはり冒頭に大昔の音源が引用されています。

<Marem Gokhan Sen / Cerkes Ezgileri 2 Yinerikuey Kafe 6分5秒 抜粋>
Marem Gökhan Şen - Yinerıkuey Kafe



既に4回お知らせしましたが、ここで加藤吉樹さんのウード・ソロのライブ情報を入れたいと思います。本放送は30日ですので告知として間に合いますが、再放送はちょうど2日のライブの最中になります。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。26日現在、残席がかなり減ってきておりますので、ご予約をお勧めします。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブになります。

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗) 
   今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、できるだけ徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先 
090-8044-8535
VYG06251@nifty.ne.jp

以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。


では、最後にマレム・ゴクハン・シェンの「チェルケスの旋律」2の方から、Abidetという曲を聞きながら今回はお別れです。10年前にZeAmiブログでもyoutubeで取り上げたように思いますが、10年経っても忘れられない美しい旋律です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Marem Gokhan Sen / Cerkes Ezgileri 2 Abidet 5分31秒 抜粋>
Marem Gökhan Şen - Abidet

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2017年7月24日 (月)

イスラメイ~アディゲ(あるいはチェルケス)の音楽

ゼアミdeワールド67回目の放送、日曜夕方に終りました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今日はイスラメイ中心に3本だけにして、また他の曲は後日探してみます。

コーカサスの3回目です。前回は英Topic Recordsの「反抗の歌:チェチェンと北コーカサス諸国の音楽」(英題はSONGS OF DEFIANCE: Music of Chechnya and the North Caucasus)収録のチェチェンとアディゲの音源をかけました。今回はこの盤と露Melodiyaの「サーカシアの伝統音楽アンソロジー」を中心に、アディゲ(あるいはチェルケス)の音楽を聞いてみたいと思います。

アディゲ~チェルケスと言えば、まず出てくるのがイスラメイという舞曲で、ロシア五人組のバラキレフのピアノ曲で一般に広く知られている曲名です。超絶技巧の難曲として知られています。まずは、メロディアの「サーカシアの伝統音楽アンソロジー」収録のオーソドックスなイスラメイの1965年の録音からかけてみたいと思います。レズギンカと類似の8分の6拍子のリズムがついていることもありますが、イスラメイ特有のノーブルなメロディラインが確かにあります。よくレズギンカで男性の踊りが鷲、女性の踊りが白鳥に喩えられますが、正にコーカサスの高い山を舞い降りてくる鷲のような雄々しく颯爽としたイメージの曲です。

<Ислъамый (Исламей) 3分16秒>
Нальмэс - Исламей (2016)

アディゲの国立民族舞踊団ナルメスの最近の美しい舞台映像です。大体の伝統音楽はどこの国でも昔の方が良いのが常ですが、イスラメイに関してはメロディア盤の1976年録音よりも、最近の演奏の方が良いように思います。

次に、この曲からインスピレーションを受けて書かれたバラキレフ作曲のピアノ曲「イスラメイ」を聴いてみましょう。ボリス・ベレゾフスキーの演奏です。16分の12拍子という拍子ですから、やはり8分の6拍子の系統であることが分かります。

<バラキレフ / イスラメイ ボリス・ベレゾフスキー(P) 7分58秒>
Berezovsky plays Islamey


この曲について、ウィキペディアに以下のような解説がありました。とても参考になるので引用しました。

好戦的な民族主義者であったバラキレフは、ロシアの伝統音楽に影響された作風を採っていたが、カフカス地方に旅行した後で着想されたのが本作である。これについてバラキレフは私信の中で次のように触れている。 「…そこの豊かに繁った自然の荘厳なまでの美しさ、そしてそれと調和した住民たちの美しさ ―― これら全てが一つとなって私に強い印象を与えたのです。……私は土地の声楽に興味をもって以からというもの、チェルケス公と親しくなりました。殿下はしばしば私のところにやって来て、持っている楽器(どこかヴァイオリンに似た楽器です)で民俗音楽を演奏したのです。その中の一つに“イスラメイ”と呼ばれる舞曲がありました。これに私ははなはだしい喜びを覚え、構想中の“タマーラ”を主題とする作品にするつもりで、その旋律をピアノのために編曲し始めたのです。第2主題の旋律は、モスクワでクリミア出身のアルメニア人の俳優から教わりました。こちらの旋律は、彼が断言したところによると、クリミア・タタール人にはよく知られているとの由。」(Reishへの手紙 1892年)

また、以下のようにも解説がありました。

近年の音楽学研究によって、バラキレフが本作に残した旋律が、今なお旧ソ連の民謡に健在であることが明らかとなった。たとえば第1主題は、カバルディノ・バルカル自治共和国の「レズギンカ」の一種である。ただし、バラキレフの作品とは拍子が食い違っている。第2主題は、バラキレフが受けた説明のように、起源はタタール人の恋歌であった。

前回、英Topic Recordsの「チェチェンと北コーカサス諸国の音楽」から、アディゲで一曲だけかけましたTimur Losanovの弾くコーカサス・アコーディオンの、「アディゲの踊り」という曲は、youtubeなどでよく聞く重要な旋律ですので、もう一度聞いておきたいと思います。やはりレズギンカ型の8分の6拍子が聞き取れます。

<Timur Losanov / Adighian Dance 2分2秒>

前回同じ盤からかけられなかったカーファという曲ですが、この曲は代表的なアディゲの舞踊の一つです。長く白い衣装と白い帽子を被った女性が優美に踊っている印象の強い曲です。ソロ歌手のCherim Nakhushevと言う人は男性のようですが、声は女性のように聞こえるほど高い声です。手拍子と一緒に叩かれる短冊のような打楽器がアディゲに特徴的な音です。

<Cherim Nakhushev / Kafa 3分46秒>


既に3回お知らせしましたが、ここで加藤吉樹さんのウード・ソロのライブ情報を入れたいと思います。 カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。19日現在、残席が段々減ってきております。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブになります。

加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗) 
   今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、できるだけ徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先 
VYG06251@nifty.ne.jp

以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。


では最後にKiaperishという英Topic Records盤のアディゲ・アンサンブルの演奏を聞きながら今回はお別れです。2006年のモスクワ録音ですが、トルコのアディゲ移民の間でのみ生き残っていた曲が、北コーカサスのアディゲに逆輸入された形で入ってきて、「トルコ系アディゲの音楽」として知られているタイプの舞踊曲です。この類の例は、ロシアでの迫害を逃れ移住した旧オスマン帝国のトルコやヨルダンのチェルケス人の音源に残っていますので、また追々ご紹介する予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Adigh Ensemble / Kiaperish 2分23秒>
Adigh Ensemble - Kiaperish

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2017年7月17日 (月)

チェチェンとアディゲの音楽

ゼアミdeワールド66回目の放送、日曜夕方に終りました。19日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。アズナシはトピック盤の音源がyoutubeには見当たらず、アリオン盤は一部出ていますが、そちらとパーソネルが同じと思われるライブ映像を2本上げておきました。どちらも大変素晴らしいですが、若手中心に見えるトピック盤とは歌手が違うようです。(若手も素晴らしいのですが、謎です)

コーカサスの2回目です。今回も北コーカサス各地の音楽を聞いてみたいと思います。前回少し説明しましたが、北西コーカサス諸語をサーカシアまたはチェルケスあるいはアディゲ、チェチェンとイングーシはヴァイナフ、ダゲスタンはダゲスタン諸語と、大きく3つに分かれます。ヴァイナフとダゲスタンは、合わせて北東コーカサス諸語とも言われます。
北西コーカサスの総称に3つの名前があるのは、1500年ごろに成立し、コーカサス戦争や1864年のロシア・チェルケス戦争で滅んだ国、チェルケシアを英語でサーカシア、ロシア語でチェルケス、アディゲ語でアディゲと呼んだことに由来しています。冬期オリンピックが開かれたソチは、チェルケシアの首都でした。
ヴァイナフのグループに属するチェチェンの歌姫マッカ・サガイーポヴァの歌を前回一曲かけました。今回は英Topic Recordsの「反抗の歌:チェチェンと北コーカサス諸国の音楽」(英題はSONGS OF DEFIANCE: Music of Chechnya and the North Caucasus)を中心に聞いて行きたいと思います。

ツイッターなどで予告していましたので、仏Arionの録音でも知られるチェチェンの女性ヴォーカルグループのアズナシの英Topic Records盤の歌声から聞いてみたいと思います。「星は空から落ちてしまった」という曲には、「人生の短さを歌った哲学的な民謡」というコメントが付いていますが、そこにはチェチェンらしい諦念がうかがえて、この一枚を象徴するような悲しくも美しい一曲です。アズナシは、歌い手のカラーに合わせてでしょうか、ソロ歌手が民謡によって変わっていて、それがそれぞれの歌をより引き立てています。アズナシは、戦火の絶えない祖国を離れ、グルジアで活動しているようです。この曲もグルジアの首都トビリシでの2006年録音です。

<Aznach Ensemble / Stiglara 4分43秒>

次にこの盤の一曲目に戻りまして、Nokhtchiin Gimnという曲です。チェチェン語でチェチェンをノフチーと言いますので、訳せば「チェチェンの聖歌」となります。19世紀半ばのロシアとの闘いの中で生まれた歌です。同じくグルジアの首都トビリシでの2006年録音です。

<Aznach Ensemble / Nokhtchiin Gimn 3分12秒>
Ensemble Aznash (Duisi, Pankisi Valley, Georgia)

1分過ぎからNokhtchiin Gimnが出てきます。グルジアの合唱と共通する素晴らしさを一番実感できる歌唱と映像。

Aznash Ensemble


次もチェチェンの民謡で、男性歌手サハブ・メジドフのバラライカ弾き語りを2曲かけてみます。チェチェン特有の弦楽器パンダル(あるいはポンダル)の代わりに、よくバラライカも演奏されますが、おそらく同じ三絃で調弦が似ているのだろうと思います。同じコーカサス系であるグルジアの弦楽器パンドゥリやチョングリなどと共通する独特な奏法が、特に二曲目で聞けます。一曲目はダイモクという曲で、これは祖国の意味になりまして、望郷の思いを歌っています。二曲目は翻訳では「私は彼女を見つけられない、でも彼女を愛している」という内容で、中東の悲恋物語「ライラとマジュヌーン」を連想させる歌です。

<Sahab Mezhidov / Daimohk 2分7秒>
<Sahab Mezhidov / Ya Yish Ekush Dagna Yaznarg 2分35秒>

再びアンサンブル・アズナシの歌で、チェチェン民謡のAs Khastamboと言う曲です。和訳するなら「私は運命に感謝する」となりまして、やはり諦念の滲む歌です。リード・ヴォーカルのタムタ・ハンゴシヴィリのハリのある歌声がとても素晴らしいと思います。この曲ではアコーディオンに代わってバラライカ伴奏になっています。

<Aznach Ensemble / As Khastambo 3分5秒>

チェチェンの歌が続きましたので、同じ盤からアディゲの曲も今回かけておきます。Timur Losanovの弾くコーカサス・アコーディオンで、「アディゲの踊り」という曲です。レズギンカ型の8分の6拍子が聞き取れます。こちらも現地ではなく2006年ロンドンでの録音です。

<Timur Losanov / Adighian Dance 2分2秒>
Концерт Тимура Лосана в Майкопе - 2 часть

なかなかCDのような伝統的なままのyoutubeは見当たらないので、とりあえずアディゲの首都マイコプでのティムール・ロサノフのコンサート映像Vol.2を貼っておきます。色々なアディゲの舞踊が出てきます。


前回もお知らせしましたが、ここで加藤吉樹さんのウード・ソロのライブ情報を入れたいと思います。
カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。チラシが出来ましたので、現在配布中です。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブになります。

加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗) 
   今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、できるだけ徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先 
VYG06251@nifty.ne.jp

以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。


では最後にチェチェンのラヴ・ソングBiezamuoを聞きながら今回はお別れです。録音当時20歳くらいと思われるタムタ・ハンゴシヴィリのハリと緊迫感のある歌声がとにかく素晴らしいです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Aznach Ensemble / Biezamuo 2分57秒>

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2017年7月10日 (月)

コーカサスの音楽 まずはハチャトゥリアンから

ゼアミdeワールド65回目の放送、日曜夕方に終りました。12日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

今回から旧ソ連各地の音楽巡りに戻りたいと思います。ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国と来て、次は黒海とカスピ海の間に位置するコーカサスです。コーカサスと言うと、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンをすぐに思い浮かべる人が多いと思いますが、まず最初にこれから回るのは、ロシア連邦側の北コーカサスです。コーカサスはロシア語ではカフカスと言いますが、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンの3か国は、ザカフカスとも呼ばれます。これはロシア語では「ザ」は英語の定冠詞「ザ」ではなくて、「向こう側」の意味なので、ロシアから見てカフカス山脈の向こう側(南側)の意味になります。
北コーカサスの中では、ソ連崩壊後に戦火の続いたチェチェンが一番有名だろうと思いますが、どうしても政情不安定な場所のイメージが強いと思います。チェチェンは民族の系統で見ると、印欧語とは異なるコーカサス諸語の民族の一つですが、他にもトルコ系の民族や、古代のスキタイとも繋がるような印欧語系のイラン系民族が入り混じって住んでいる所です。
政情不安故に録音はかなり少ないですが、ソ連崩壊前のメロディア盤の録音を初めとして、亡命先のグルジアなどでの録音もいくつかありますので、順にご紹介したいと思います。まずは、グルジア出身のアルメニア人作曲家として有名なハチャトゥリアンの、あまりに有名な「剣の舞」からかけてみたいと思います。躍動感溢れるハチャトゥリアンの自作自演です。

<ハチャトゥリアン/剣の舞 2分23秒>
Sabre Dance - Aram Khachaturian


次にコーカサス一帯に見られる剣を持った踊りのyoutube音源をかけてみます。CDでは見当たりませんが、現地のyoutube映像には沢山あります。おそらくこういうタイプの舞踊を見て、ハチャトゥリアンは「剣の舞」を書いたのだろうと思われます。クルド人が剣を持って戦いの踊りを踊るイメージで書かれたそうですが、音楽的にはグルジアなどの伝統舞曲レズギンカのカラーが強いように思います。これからかけますのは、チェチェンの山岳部の剣を持った踊りです。タイトルにはТанец с кинжаламиとありまして、キンジャラミと言うのはダガー(短剣)を指すのに対して、「剣の舞」の原題のТанец с саблямиのサブリャミというのは、サーベルを指します。

<ЧЕЧЕНСКИЙ ТАНЕЦ С КИНЖАЛАМИ ГОРЦЫ  3分41秒>


もう一本「古いレズギンカの短剣を持った踊り」と題する古い映像がありましたので、こちらもかけてみましょう。лезгинский(レズギンスキー)とは、ダゲスタン共和国南部やアゼルバイジャン北部に居住するレズギ人の方を指すかも知れません。レズギンカの名前のルーツとも言われている民族です。とにかく音楽がとても素晴らしいです。

<Старинный лезгинский танец с кинжалами 2分15秒>


次に同じバレエ音楽ガイーヌ(あるいはガヤネー)の中で、「剣の舞」に次いで有名なレズギンカをかけてみましょう。やはり躍動感の漲るレズギンカは場所によってイスラメイとも呼ばれていて、非常に速い8分の6拍子が特徴的です。4拍子のように聞こえても、よく聞くと一拍が「タンタ、タタタ」と6ビートになっています。偶然ですが、非常に速い8分の6拍子という点では、前々回にご紹介しました南イタリアのタランテラと共通しています。これからかけます音源は、やはりハチャトゥリアンの自作自演で、普通のオーケストラではスネアドラムで代用するところを、本場の民族打楽器カフカス・ドラムが華々しく使われていて、その音色が特筆すべき素晴らしさです。

<ハチャトゥリアン/レズギンカ 2分31秒>
Aram Khachaturian - Lezginka from Gayane


レズギンカの躍動感溢れるリズムは現代のポップスにも脈々と生き続けていて、そのサンプルとしてチェチェン・ポップスの歌姫マッカ・サガイーポヴァのカフカスという曲をかけてみましょう。チェチェン美人のマッカ・サガイーポヴァのCD入手は困難ですが、youtubeは色々ありますので、またZeAmiブログの方で上げたいと思います。この曲は旋律も日本人の心にストレートに訴えかける憂い節になっていて、それがレズギンカの躍動感の中で歌われて、何とも言えない魅力を醸し出しています。

<Makka Sagaipova / Kavkaz 3分47秒>
Makka Sagaipova - Ревнивый Кавказ


北コーカサスですが、ロシア連邦に属する幾つかの共和国がありまして、東から順に言いますと、ダゲスタン、チェチェン、イングーシ、北オセチア、カバルダ・バルカル、カラチャイ・チェルケス、アディゲとなっていて、この中でアディゲ、チェルケス、カバルダの3つの北西コーカサス語族を総称してサーカシアと呼んだり、個別の国名と同じで紛らわしいですが、チェルケスまたはアディゲと呼ばれる場合もあります。オセチアだけがイラン系で、コーカサス系と抱き合わせで国を成しているバルカルとカラチャイはトルコ系民族ですが、ダゲスタンの中にもコーカサス系に混じってトルコ系少数民族が沢山住んでいます。コーカサス系民族には、ザカフカスのグルジアやアブハジアも入ります。このように民族のモザイクと言うのがぴったりな地域です。


前回もお知らせしましたが、ここでライブ情報を入れたいと思います。
カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。チラシが出来ましたので、現在配布中です。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブになります。

加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗)
     今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、できるだけ徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先
  VYG06251@nifty.ne.jp

以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。


では最後にハチャトゥリアンの仮面舞踏会のワルツを聞きながら今回はお別れです。フィギュア・スケートの浅田真央選手が演目で使ってから一般に有名になりました。こちらもハチャトゥリアンの自作自演です。因みに冬期オリンピックが開かれたソチは、かつてチェルケス人の首都でした。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ハチャトゥリアン/仮面舞踏会 ~ワルツ 4分3秒>
Khachaturian - Masquerade Suite - Waltz

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