ゼアミdeワールド

2023年1月23日 (月)

Áttalmёnnék Én A Tiszán Ladikon

ゼアミdeワールド343回目の放送、日曜夜10時にありました。25日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今回かけた中では、おそらく一番有名なハンガリー民謡(童謡?)Áttalmёnnék Én A Tiszán Ladikon(ティサ川を渡れば ?)については、バルトークの蠟管録音とか番組でかけた音源は見当たりませんが、色々なアレンジで現在も演奏されていました。BOGGIE & Accord Quartetの演奏を上げておきました。とてもハンガリー(マジャール)らしい旋律です。

ハンガリー音楽の23回目になります。339回目からハンガリーFonoの「ハンガリーの民族音楽(10CD)」からご紹介していますが、今回は9,10枚目で、いよいよラストです。ハンガリー民謡大全のようなこの膨大なアーカイヴについては、一回の放送に2枚ずつ、5回かけて注目の曲をピックアップしております。

この盤はハンガリー科学アカデミーとブダペスト民俗博物館が所蔵する膨大なアーカイヴ・レコーディングスを使ったハンガリー・フォーク・ミュージックの決定版ボックス・セットでした。1930年代から1960年代に録音された貴重な記録ばかりを収録した10枚組CDと、450ページにも及ぶブックレットには、ハンガリー語と英語によるすべての歌詞が載っていますが、一曲ごとの英文解説はないので、分かる範囲で解説を入れて行きます。曲名もハンガリー語のみですが、PCに入れると歌い手の名前と年齢、フィールドワーカーの名前、録音年と場所が出て来ます。

9枚目は、52曲全て6~11シラブルの新しい歌、10枚目は44曲全てが11~22シラブルの新しい歌となっています。シラブルというのは、本来は一つの母音、または子音と母音を組み合わせた音節の事ですが、ここでは詩の区切りになると思いますから、10枚目の方が長い録音時間になっています。

9枚目は5曲目と6曲目から始めます。6~11シラブルの新しい歌ということですが、5曲目が1964年ペシュト県での録音で、6曲目は同じ曲をキテラなどの器楽アンサンブルで演奏しています。こういう元歌と器楽編曲を並べたパターンが何曲もあります。

<5 Csôke Istvánné Sebôk Margit (24) / Tisza partján elaludtam - Kecskemét (Pest) 1分7秒>
<6 Budai Sándor (48), Süli Sándor (45), Bánfi Béla (53) / Az elôzô dallam citerán / Previous song on zither - Sándorfalva (Csongrád)1分20秒>

26、27曲目も同じくノーグラードでの女性重唱の後に、ツィターなどの器楽演奏が続きます。

<26 Assszonyok / De szeretnék hajnalcsillag lёnni - Hollókô (Nógrád) 1分41秒>
<27 Gáspár Lajos (72) / Az elôzô dallam citerán / Previous song on zither - Kunszállás (Pest) 36秒>

29曲目は、どこかスペイン系ユダヤ人のセファルディの歌に聞こえて仕方ない曲で、ルーマニア東部のモルドヴァ辺りまではセファルディが来ていたのではと思わせるような旋律です。

<29 Demeter Antalné Jánó Anna (36) / Sёj, de csillag, csillag, de szép hajnali csillag - Lészped (Moldva) 2分56秒>

32、33、34曲目は男性独唱が1987年と新しく、同じ旋律のクラリネットとハーディーガーディーの器楽演奏は1966年録音でした。34曲目もキテラなどで器楽演奏していますが、こちらは1974年録音です。3曲続けます。

<32 Szakolczay Bertalan (60) / Szépen úszik a vadkacsa a vízben - Taktaszada (Zemplén) 1分40秒>
<33 Bársony Mihály (50), Papp Rókus (65) / Az elôzô dallam klarinéton és tekerôn / Previous song on clarinet and hurdy-gurdy - Tiszaújfalu (Pest) 1分32秒>
<34 Gáspár Lajos (72) / Az elôzô dallam citerán / Previous song on zither - Kunszállás (Pest) 1分>

47、48曲目も歌と器楽のパターンですが、どちらも1960年代の録音です。

<47 Assszonyok / Apró gyöngyszeme van a kukoricának - Váraszó (Heves) 38秒>
<48 Papp Rókus (65) / Az elôzô dallam citerán / Previous song on zither - Tiszaújfalu (Pest) 1分30秒>

10枚目に移りますが、こちらの方が他で聞いた曲が幾つかありました。21曲目は「エチェル村の結婚式」のタイトル曲「エチェル村の結婚式」に入っていたサトゥマール民謡で、1960年の録音当時19歳の女性二人が重唱しています。

<21 Márián Erzsébet (19), Szilvasány Erzsébet (19) / Esteledik A Faluba, Haza Kéne Menni - Ura (Szatmár) 1分27秒>

32曲目は次の33曲目に少しだけ似ていますが、全く別な曲で、少しユーモラスにも聞こえる33曲目と違ってしっとり美しい旋律です。

<32 Nagy Ferencné Rácz Veronika (63) / Két Sor Fa Közt, Sej Haj, Két Sor Fa Közt - Galgamácsa (Pest) 1分9秒>

33曲目は1977年に谷本一之さんのFM番組で聞いた民謡で、その時はバルトークの蠟管録音でしたが、今回の音源は1969年のもので、Komáromという地方の歌という事が分かりました。34曲目はこの曲によるキテラ中心の演奏です。2曲続けます。

<33 Németh Lászlóné Horváth Rozália (58) / Áttalmёnnék Én A Tiszán Ladikon - Csép (Komárom) 35秒>
<34 Budai Sándor (48), Bánfi Béla (53), Kiss Mátyás (53) / Az Elôzô Dallam Citerákon / Previous Song On Zithers - Sándorfalva (Csongrád) 1分39秒>
FOLKFONICS feat BOGGIE & Accord Quartet - Által mennék én a Tiszán (Hungarian folksong cover)

民謡の方は時間の都合でかけませんが、10枚目ラストの44曲目は43曲目の民謡によるキテラなどの演奏です。

<44 Gáspár Lajos (72) / Az Elôzô Dallam Citerán / Previous Song On Zither - Kunszállás (Pest) 1分13秒>

では最後に、11、12曲目を時間まで聞きながら今回はお別れです。こちらも民謡とキテラなどの演奏が2曲続きます。キテラは、別名ツィターとなっているようですが、オーストリアのツィターとは音色がかなり違って聞こえます。現物の写真を確認出来てないのですが、おそらくツィターに似たハンガリーの楽器と思われます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<11 Holecz Istvánné Kanyó Margit (56) / Alma A Fa Alatt, Nyári Piros Alma - Rimóc (Nógrád) 1分33秒>
<12 Budai Sándor (48), Bánfi Béla (53), Kiss Mátyás (53) / Az Elôz Dallam Citrákon / Previous Song On Zithers - Sándorfalva (Csongrád) 1分52秒>

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2023年1月16日 (月)

Utca, Utca, Bánatutca

ゼアミdeワールド342回目の放送、日曜夜10時にありました。18日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。印象的だったUtca, Utca, Bánatutcaで調べたら、ポップスになって現在も親しまれているようでした。女性歌手Holdviolaの歌は、番組でかけた音源と旋律は全く同じです。shoobyと言うのが何か不明のままですので、もう少しこの曲についても追ってみようかと思います。

ハンガリー音楽の22回目になります。339回目からハンガリーFonoの「ハンガリーの民族音楽(10CD)」からご紹介していますが、今回は7,8枚目です。ハンガリー民謡大全のようなこの膨大なアーカイヴについては、一回の放送に2枚ずつ、5回かけて注目の曲をピックアップしております。

この盤はハンガリー科学アカデミーとブダペスト民俗博物館が所蔵する膨大なアーカイヴ・レコーディングスを使ったハンガリー・フォーク・ミュージックの決定版ボックス・セットでした。1930年代から1960年代に録音された貴重な記録ばかりを収録した10枚組CDと、450ページにも及ぶブックレットには、ハンガリー語と英語によるすべての歌詞が載っていますが、一曲ごとの英文解説はないので、分かる範囲で解説を入れて行きます。曲名もハンガリー語のみですが、PCに入れると歌い手の名前と年齢、フィールドワーカーの名前、録音年と場所が出て来ます。

7枚目は、8曲目までがJaj Song、9曲目がdiatonic descending tunes、10~40曲目がdiatonic ascending tunesと解説にあります。ヤイ・ソングと言うのは意味は不明ですが、Jajという言葉には「痛み」のようなニュアンスがあるようです。ディアトニックはクロマティックの対義語ですので、半音階に対して全音階で動く曲という事になります。前者が全音階降下曲、後者は全音階上昇曲と訳せるかと思います。
Jaj Songの1曲目は1961年べレグ地方で録音された男性の独唱です。
歌詞の英訳と和訳は大体以下の通りです。出征した恋人を見送る女性の悲しみを表現しているようです。
Street, street, sorrow street.
Paved with sorrow stones, shooby,
It is paved, hey, is paved shooby,
`Cause my love`s coming in squeaky boots.
通り、通り、悲しみの通り。
悲しみの石で舗装されたシュービー、
舗装された、ねえ、舗装されたシュービー、
私の恋人はきしむブーツを履いてやってくるから。

<1 Deák Ferenc (35) / Utca, Utca, Bánatutca - Tákos (Bereg) 52秒>
Holdviola Bánat utca (élő)

diatonic ascending tunes(全音階上昇曲)のグループからは、4曲選んでいました。確かに半音階進行は余り聞き取れず、全音階で上がっていく旋律が多く聞けるように思いますが、38曲目は半音階も含むエキゾチックな音階です。地方は東部エルデーイのCsíkと西部のVerôceの曲が2曲ずつです。

<11 Batonya Józsefné Istóka Mária (50) És Két Társa / Szёgény Férjem Uramhoz Óhajt - Harszti (Verôce) 1分32秒>
<19 Pulik János (38) Prímás És Zenakara / Én Az Éájjel Nem Aludtam Egy Órát (Ének És Zenekar) - Gyimesközéplok (Csík) 1分19秒>
<36 Közös Ének / Szentséges Szûz Mária, Szép Liliomszál - Csíkrákos (Csík) 2分>
<38 Gyöke Illésné Kántor Mária (79) / Réce, Ruca, Közbe - Szentlászló (Verôce) 56秒>

8枚目は、17曲目までがDiatonic tunes starting mid-scale or low、18~25曲目がmajor hexachordal、26~33曲目がplagal tunesと解説にあります。今回もランダムに選んだら、最初のDiatonic tunes starting mid-scale or lowから6曲選んでいました。最初のグループから、1,8,11,12,17曲目を続けておかけします。8曲目は1938年の古い音源です。他は大体1960年代の録音です。

<1 Id. Sipos Albertné (63 És Ifj. Sipos Albertné (36) / Mennyországnak Királynéja - Várasztó (Heves) 57秒>
<8 Fülöp Máténé Gál Ilona (63) / Nё AluDJ Ёl, Két Szёmёmnёk Világa - Menyhe (Nyitra) 49秒>
<11 Földesi Ferencné Elgyütt Ilona (67) / Lányom, Édes Lányom - Zsére (Nyitra) 3分56秒>
<12 Péter Sándor (67) / Királyi Zászlók Lobognak - Csíkrákos (Csík) 3分5秒>
<17 Farkas Mihályné Mozga Franciska (54) / Seregeknek Szent Istene - Barslédec (Bars) 1分18秒>

major hexachordalは、中世音楽の長調の6音音階のことかと思います。7音の長音階からシの音が抜けているようです。plagal tunesのプラーガルと言うのは、教会旋法の変格の意味または、終止法で下属和音から主和音に進行することを指すようです。ヘクサコルドの22曲目とプラーガルの27曲目を続けておかけします。ヘクサコルドの方は1938年の録音で、確かに中世風な音の動きに聞こえます。プラーガルの方はスピリチュアルな印象の男性合唱で、耳が惹き付けられます。

<22 Fülöp Máténé Gál Ilona (63) / ADJon Istёn Ёgíszsígёt - Menyhe (Nyitra) 27秒>
<27 Férfiak / Régtôl Fogva, Kik Velem Valának - Fáj (Abaúj-Torna) 1分27秒>

ヘクサコルドの曲は、最初はつかみどころのない印象ですが、5音音階やエキゾチックな旋律も目立つエルデーイの歌の中で、非常に特異な感じに聞こえてきます。このグループの23曲目を聞きながら今回はお別れです。モルドヴァでの1954年録音の女性独唱です。
時間が余りましたら、ブコヴィナのDiatonic tunesグループの2曲目に戻ります。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<23 Demse Dávidné Antal Lucia (57) / Mёnyёcske, Mёnyёcske - Klézse (Moldva) 2分13秒>
<2 Gáspár Simon Antal (60) / Fejér László Lovat Lopott - Istensegíts (Bukovina) 3分52秒>

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2023年1月 9日 (月)

サボルチ・サトマール県の民謡から

ゼアミdeワールド341回目の放送、日曜夜10時にありました。11日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。やはりこの10枚組自体の音源は見つかりませんので、最初にかけたNem Vagyok Én Senkinek Sem Adósa, Adósaで検索して出てきたシャーンドル・ラカトシュとチーク・ゼネカルの演奏で上げておきます。チーク・ゼネカルではエンディングにこの曲が出て来ます。

収録は年末にしておりますが、放送されるのは1月8日になります。例年ですと年の初めは新年の純邦楽特集をしておりますが、喪中ですので、そのまま通常のシリーズで続けます。
ハンガリー音楽の21回目になります。339回目からハンガリーFonoの「ハンガリーの民族音楽(10CD)」からご紹介していますが、今回は5,6枚目です。ハンガリー民謡大全のようなこの膨大なアーカイヴについては、一回の放送に2枚ずつ、5回かけて注目の曲をピックアップしております。

この盤はハンガリー科学アカデミーとブダペスト民俗博物館が所蔵する膨大なアーカイヴ・レコーディングスを使ったハンガリー・フォーク・ミュージックの決定版ボックス・セットでした。1930年代から1960年代に録音された貴重な記録ばかりを収録した10枚組CDと、450ページにも及ぶブックレットには、ハンガリー語と英語によるすべての歌詞が載っていますが、一曲ごとの英文解説はないので、分かる範囲で解説を入れて行きます。曲名もハンガリー語のみですが、PCに入れると歌い手の名前と年齢、フィールドワーカーの名前、録音年と場所は出て来ます。

5枚目はラメント(哀歌)とラメントのスタイルの曲が入っています。
5、6曲目は「エチェル村の結婚式」のカーロー民族舞曲の最後の曲の原曲と思われる男性独唱と、同じ曲の1968年の器楽合奏です。データによると、ハンガリー北東部サボルチ・サトマール県の民謡のようです。1975年録音なので、この曲が原曲とすれば、「エチェル村の結婚式」の舞台にかけられたのは、そのすぐ後になります。

<5 VAs János (73) / Nem Vagyok Én Senkinek Sem Adósa, Adósa - Nagykálló (Szabolcs) 28秒>
<6 Orsóss János (45) És Zenekara / Az Elôzô Dallam Zenekarral / Instrumental Group Version Of Revious Song - Bogyiszló (Pest) 1分11秒>

Nem vagyok én senkinek sem adósa

Csík Zenekar - Kállai kettős dallamai

曲名がすぐに出て来ませんが、9曲目は何かクラシック作品に引用されていたと思います。続く10曲目は同じ曲をジプシー楽団のような編成で演奏しています。

<9 Bartók Béláné Nahalka Julianna (64) / Bánom, Hogy Megházasodtam - Gömörhosszúszó (Gömör És Kis-Hont) 45秒>
<10 Orsós János (45) És Zenekara / "Ugrós" (Zenekar) / Instrumental Group Version Of Previous Song - Bogyiszló (Pest) 42秒>

お聞きの通り、このアーカイヴには短い録音が多いのですが、1950年と言う古い録音の割には9分近い長い音源が15曲目です。モルドヴァらしい旋律と節回しの女性独唱です。

<15 Bandi Györgyné Gyurka Mária (40) / Mónár Anna, Szép Mёnyecske - Gajcsána (Moldva) 8分44秒>

エルデーイのラッサン(ラッシュー)と題する当時のゼネカル(グループの意味)の演奏は、1944年という事で戦中の古い音源です。

<24 Kristóf Vencel (59) És Zenekara / "Erdéyes Lassú" (Zenekar) / Instrumental Group - Kôrispatak (Udvarhely) 1分56秒>

ラースロー・ライタが1937年にサトゥマールで録音した26曲目も、「エチェル村の結婚式」に出てきた旋律です。相当古い録音ですが、余り古さを感じません。

<26 Baracsi Menyhértné Kiss Julianna (40) / Templomot Is Építettem Túróbuhuhuhu, Túróbu - Tunyog (Szatmár) 1分11秒>

6枚目は15曲目までが風習に関する歌で、16曲目からはdiatonic descending tunesとあります。これは全音階降下曲と訳せるでしょうか。
15曲目は1957年トルナ県での女性重唱で、「エチェル村の結婚式」の「三つの跳躍の踊り」の原曲ではないかと思われます。

<15 Ismeretlen Asszonyok / Üröm, Üröm, Fehér Üröm - Decs (Tolna) 36秒>

30、31曲目は同じ民謡の独唱と器楽演奏のようです。独唱が1972年、器楽合奏は1968年の録音です。ブダペストのあるペシュト県での録音ですので、都会のジプシー音楽に近いように聞こえます。

<30 Andrejcsik Balázsné Sebôk Mária (69) / Kútágas Gémёstôl - Zubogy (Gömör És Kis-Hont) 27秒>
<31 Orsós János (45) Prímás És Zenekara / "Ugrós" Zenekar / Instrumental Group - Bogyiszló (Pest) 42秒>

47曲目はビハール県での1960年録音の女性独唱で、哀愁味のある美しい旋律が耳に残ります。その後時間が余りそうですので、風習に関する歌から5曲目辺りまでを聞きながら今回はお別れです。子供の数え歌や、素っ頓狂な声も聞こえてきます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<47 Koszta Pálné Kis Lujza (50) / Kéreti A Nénémet Cifra Szabólegény - Mezôgyán (Bihar) 2分4秒>

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2022年12月26日 (月)

セーケイ人のバラード

ゼアミdeワールド340回目の放送、日曜夜10時にありました。28日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は取り合えず3枚目の16曲目が見つかりましたので、上げておきます。今回一番の注目音源です。ゾルタン・カーロシュのコンピにも入っているようでそのジャケットが出てきます。10枚組自体ではYouTubeに上がってないようなので、他の曲も出てくるかどうか分かりませんが、年内に後1,2回はブログを上げる予定です。正月は1日と4日には特別番組になっていて通常の放送がないため、新年の初回放送は8日になります。

ハンガリー音楽の20回目になります。339回目からハンガリーFonoの「ハンガリーの民族音楽(10CD)」からご紹介していますが、今回は3,4枚目です。ハンガリー民謡大全のようなこの膨大なアーカイヴについて、どうご紹介しようかと思いましたが、一回の放送に2枚ずつ、5回かけて注目の曲をピックアップして行く予定です。
この盤はハンガリー科学アカデミーとブダペスト民俗博物館が所蔵する膨大なアーカイヴ・レコーディングスを使ったハンガリー・フォーク・ミュージックの決定版ボックス・セットでした。1930年代から1960年代に録音された貴重な記録ばかりを収録した10枚組CDと、450ページにも及ぶブックレットには、ハンガリー語と英語によるすべての歌詞が載っていますが、一曲ごとの英文解説はないので、分かる範囲で解説を入れて行きます。曲名もハンガリー語のみですが、PCに入れると歌い手の名前と年齢、フィールドワーカーの名前、録音年と場所は出て来ます。

3,4枚目は5音音階(ペンタトニック)の民謡の特集ですが、3枚目がdescending from high and from around mid-scale(高音階から中音階付近まで)、4枚目は17曲目までがmiddle or low register(中音域または低音域)、18から24曲目がtetra-and tritonic tunes、25から34曲目まではlaments and tunes in lament styleと解説があります。これらのコメントを考慮せずランダムに選曲してみると、ラメント(哀歌)を多く選んでいることに後で気が付きました。

まず3枚目ですが、16曲目に聞き覚えのある曲が入っていましたので、こちらからおかけします。1977年に谷本一之さんのFM番組で聞いたエルデーイ民謡でした。ハンガリー系少数民族セーケイ人の典型的なバラード風民謡として紹介されていましたが、こちらは1968年のコロジュ地方での音源で、少し節回しが違っています。

<16 Magyarosi János (71) / Mikor Megyek A Falumból Kifelé - Méra (Kolozs) 1分30秒>
Mikor megyek a falumból kifelé, Pt. 2

18曲目の細かく優しい節回しが印象的な女性独唱はコロジュ地方の民謡で、1938年のバルトークによる録音です。

<18 Péntek Jánosné Szabó Ilona (41) / Virág Ökröm Kivertёm A Rétre - Kôrösfô (Kolozs) 3分31秒>

3枚目の最初に戻りまして、1曲目はBorsodでの1960年の女性独唱です。

<1 Erdôs Imréné Lénárt Piros (53) / Három Bёtyár A Csádába - Cserépváralja (Borsod) 1分48秒>

4枚目に移りまして、4曲目はゾルタン・カーロシュによる1963年の録音で、チークでの女性独唱です。4枚目の前半が日本の民謡に近く感じましたが、それは先ほどのmiddle or low registerと言う解説がキーになりそうです。

<4 Bodor Györgyné Tankó Bera (42) / S Lelele Lele Nene (Dúdolás) - Gyimesfelsôlok (Csík) 2分45秒>

7曲目もゾルタン・カーロシュによる1962年録音のチークでの女性独唱で、これも日本の民謡と聞き間違いそうな感じですが、ジメシュのハンガリー系少数民族チャンゴーの歌が特にそうなのでしょうか。

<7 Ambrus Istvánné Ambrus Ilona (60) / Árva Az A Kicsi Madár - Gyimesfelsôlok (Csík) 2分57秒>

tetra-and tritonic tunesのジャンルからは2曲選んでいました。1956年のヴィカールによるNyitraでの録音と、1962年のゾルタン・カーロシュによるモルドヴァでの録音で、どちらも女性独唱です。この音階のグループは、かなり日本の民謡と印象が違ってきます。2曲続けておかけします。

<21 Gábor Istvánné Balkó Katalin (60) / Arass, Rózsám, Arass - Kolon (Nyitra) 42秒>
<22 Fazekas Péterné Vilhelm Ilona (60) / Szёgény Szabó Ёrzsi, Be Elveszti Magát - Lészped (Moldva) 1分53秒>

ラメント(哀歌)は、26、28、30、31曲目を選んでいました。26曲目が1960年Borsodでの女性独唱、28曲目は1941年セークでのヴァイオリン、コントラバスなどの演奏で、ラースロー・ライタによる録音、30曲目は1960年Nagyboldog(Gomor es Kis-Hont)での女性独唱、31曲目は1960年Nogradでの女性独唱です。31曲目は前にフンガロトンの2枚組で聞いたのと同じタイプの女性の嘆き歌だと思います。ラメントの枠に器楽も入ってくることが今回分かりました。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<26 Kutas Lajosné Kocsis Teréz (61) / Jaj Nekёm, Kedves Ёgy Fájdalmas - Cserépváralja (Borsod) 2分14秒>
<28 Ferenczi Márton (61) És Zenekara / "Régi Magyar" (Zenekar) / Instrumental Group - Szék (Szolnok-Doboka) 1分58秒>
<30 Ibos Istvánné Zsámbok Piroska (58) / Jaj, Kёdvёs Édёsanyám - Nagyboldog (Gömör És Kis-Hont) 2分10秒>
<31 Horváth Pálné Rácz Júlia (59) / Jaj Nekёm, Jaj Nekёm Édёs Kedves, Édёs Párom - Tôrincs (Nógrád) 3分21秒>

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2022年12月19日 (月)

ハンガリーの民族音楽(10CD)

ゼアミdeワールド339回目の放送、日曜夜10時にありました。21日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。この10枚組は廃盤で、どうやらYouTubeにも上がってないようです。1曲目も前の2枚組の男性独唱の方で上げておきます。明後日以降は検索で出て来た他の演奏で上げる予定です。

ハンガリー音楽の19回目になります。今回はハンガリーFonoから出ていた「ハンガリーの民族音楽(10CD)」の1,2枚目からご紹介したいと思います。ハンガリー民謡大全のようなこの膨大なアーカイヴについて、どうご紹介しようかと思いましたが、一回の放送に2枚ずつ、5回かけて注目の曲をピックアップして行く予定です。
この盤はハンガリー科学アカデミーとブダペスト民俗博物館が所蔵する膨大なアーカイヴ・レコーディングスを使ったハンガリー・フォーク・ミュージックの決定版ボックス・セットでした。1930年代から1960年代に録音された貴重な記録ばかりを収録した10枚組CDと、450ページにも及ぶブックレットには、ハンガリー語と英語によるすべての歌詞が載っていますが、一曲ごとの英文解説はないので、分かる範囲で解説を入れて行きます。曲名もハンガリー語のみですが、PCに入れると歌い手の名前と年齢、録音年と場所は出て来ます。

1曲目に登場するのは、336回目に「バルトークがピアノ作品に用いたことで知られる男性の独唱」でかけた叙情歌「Hey, the wind's blowing from the Danube」ですが、この民謡を女性が歌っています。解説によると、1枚目の1~18曲目までは「孔雀の変奏」と言う大変興味深いコメントがあります。孔雀と言うのは、「飛べよ孔雀」のことだと思います。Baranyaでの録音です。

<1 Bálint Péterné, Ács Katalin (49) / Hej, Dunáról Fúj A Szél - Karácodfa (Baranya) 34秒>
Haj. Dunárul fúj a szél - Ah, the wind blows from beyond the Danube.

2曲目もよく聞く民謡で、音階と旋律、音の動きが、確かに「飛べよ孔雀」に似ています。Somogyでの録音とあります。

<2 Szakáll Józsefné Bebôk Judit (62) / Fújnak A Föllegёk - Nemespátró (Somogy) 1分39秒>

8曲目はジメシュのチークでの録音で、ヴァイオリンと女性独唱のどちらも大変印象的です。これも「飛べよ孔雀」の変種なのかと想像しながら聞くと、面白いと思います。

<8 Halmágyi Mihály (41, Hegedü) És Felesége Ádám Gizella (32) / Édёsanyám Sok Szép Szava - Gyimesközéplok (Csík) 2分54秒>

「ウゴル?の結婚の音楽」とあるインストの11曲目は、ブダペストのペスト?での録音のようですが、この曲などは「飛べよ孔雀」の変種とはっきり分かる曲調です。

<11 Orsós János (53) És Zenekara / Lakoldalmi Ugrós (Instrumental) - Bogyiszló (Pest) 1分43秒>

30曲目はブコヴィナの女性独唱ですが、この地方ですから、どうしてもクレズマーを連想してしまう旋律です。

<30 Tamás Lajosné Guzerán Emerencia (46) / Déltôl Estig Nyílik A Piros Rózsa - Hadikfalva (Bukovina) 51秒>

50曲目はジメシュの男性のフィドル弾き語りで、歌とほとんど同じメロディを弾いています。

<50 Antal Zoltán (27) / Hozd Fel, Isten, Azt A Nagy Napot (Hegedô És Ének) - Gyimesközéplok (Csík) 2分48秒>

54曲目は確かバルトーク作品に引用されたノグラード地方の歌ですが、歌と同じ男性が55曲目で同じ曲をバグパイプで演奏しています。

<54 Kós József (49) / Megy A Kanász A Partnál - Borsosberény (Nógrád) 20秒>
<55 Kós József (49) / Az Elôzô Dallam Dudán / Bagpipe Version Of Track 54 - Borsosberény (Nógrád) 1分25秒>
 

2枚目の1~18曲目には、歌もありますが、オリジナルはバグパイプの曲のようです。同じ旋律を歌とバグパイプで演奏している例として、13、14曲目を続けておかけします。

<13 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Aki dudás akar lёnni (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分15秒>
<14 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Pista bácsi, János bácsi (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分20秒>

続く15曲目は「エチェル村の結婚式」に出てきた民謡です。後半がバグパイプ演奏になっています。13、14曲目と同じくNograd地方の曲で、3曲とも同じ男性歌手兼バグパイプ奏者です。ノグラードはハンガリー北部の地方で、現在はハンガリーとスロヴァキアに分かれている地方です。

<15 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Kerek az én szûröm allya (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分29秒>

26曲目は現在ルーマニア第2の都市クルージュ・ナポカがあるコロジュ地方の大変印象的な男性独唱です。ガシュパール・イシュトヴァンの歌唱で、どうやらユダヤ系の人のようです。クルージュ・ナポカはトランシルヴァニアの中心都市で、ハンガリー語ではコロジュヴァールですから、地方名と同根であることが一目瞭然です。
時間が余りましたら、やはりコロジュ地方の女性独唱の民謡の47曲目を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<26 Gáspár István (38) / Hová mész, te három árva - Magyarvista (Kolozs) 5分6秒>

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2022年12月12日 (月)

エルデーイ~ブコヴィナとジメシュ~モルドヴァ編

ゼアミdeワールド338回目の放送、日曜夜10時にありました。14日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画は、とりあえずラストにかけた「6つのルーマニア民族舞曲」を入れておきます。ヨーゼフ・シゲティのヴァイオリンとバルトーク自身のピアノによる演奏です。

ハンガリー音楽の18回目になります。前回前々回に続きまして、「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music」と言うハンガリー民謡を概観する2枚組からまだ取り上げてなかった音源をおかけします。今回は2枚目のエルデーイ~ブコヴィナとジメシュ~モルドヴァ編です。

まずエルデーイ~ブコヴィナ編ですが、4、14、12、13曲目を選んでみました。トランシルヴァニアはルーマニアの時にも取り上げましたが、今回はハンガリー系住民の音楽です。何度も解説を入れていますが、トランシルヴァニアはハンガリー語ではエルデーイと言います。

4曲目はラースロー・ライタによる1941年録音と言うかなり古い音源で、ダンスハウス以降の現在のハンガリー・トラッドでよく聞かれるスタイルそのもののように聞こえます。セーキ・ラコダルマシュと言うタイトルは「セーク地方の結婚の歌」の意味だと思います。

<4 Marton Zsuki Ferenczi / Szeki lakodalmas (Wedding song) 2分50秒>

14曲目に現在ハンガリー・トラッドでよく聞かれるスタイルの演奏が入っていますので、比較で入れておきます。1974年録音のチャールダーシュのゆったりしたラッサンの部分です。

<14 Zoltan Demeter / Lassu csardasok (Slow Czardashe) 2分59秒>

12曲目は男性の叙情歌ですが、独特な発声と急な音の上昇が日本の民謡か詩吟か何かにとても似て聞こえます。ゾルタン・カーロシュによる1969年のセークでの録音です。

<12 Varga Gyorgy Szabo / Mi zorog, mi zorog a suru erdoben (What's that rattling) 1分54秒>

次の13曲目は、1937年にバルトークが録音した音源で、女性の歌う叙情歌で、トランシルヴァニア中で有名な歌だそうです。

<13 Marton Kata Ambrus / Arra kerem az en jo Istenemet (I ask my Almighty God) 1分44秒>

2枚目後半ジメシュ~モルドヴァ編に移ります。モルドヴァはルーマニア北東部ですが、ハンガリー人の多いジメシュは、トランシルヴァニアとモルドヴァの間の地方です。この地方からは、26、28、29、40曲目を選んでみました。

26曲目はモルドヴァの女性の歌う子守歌ですが、舌を震わせる発声が不思議で耳に残ります。1965年のゾルタン・カーロシュによる録音です。

<26 Balint Anna Puskas / Hejde lilibe (Lullaby) 1分14秒>

28曲目はハンガリー語が属しているウゴル諸語の古いスタイルの女性の結婚の歌で、確かにフィンランドを含むウラル系民族の歌との繋がりが感じられるように思います。モルドヴァでの1954年の録音です。

<28 Antal Lucia Demse / Hegyen, foldon jarogatok vala (I have been roaming the hills …) 1分37秒>

29曲目はジメシュで1960年に録音された女性の嘆き歌で、第二次大戦で亡くなった夫を思い歌われています。50、60年代までは残っていた5音音階の哀歌の伝統だそうです。

<29 Tanko Berta Pora / Jaj, lelkem, lelkem, jo tarsam (Alas, my dearest) 2分49秒>

かなり飛んで40曲目はジメシュの1927年生まれのヴェテラン弾き語りフィドラー、ゼルクラ・ヤーノシュの音源が登場します。兵士の哀歌とジメシュのチャールダーシュを演奏しています。FonoのUj PatriaシリーズやFolkEuropaなどから90年代以降にCDが何枚か出ていますが、この録音は1976年にゾルタン・カーロシュが録ったものですから、まだ一連の盤が出る前です。ジメシュらしく弓で弦を叩いて演奏されるボックス・チェロのガルドンがチャールダーシュの伴奏に出て来ますが、都会のジプシーのチャールダーシュとは似ても似つかない泥臭いスタイルの演奏です。

<40 János Zerkula / Hazunk elott (In front of our house) 3分11秒>

では最後に、ルーマニアの時以来何度かかけていますが、バルトークの作品でおそらく最も有名で人気のある「6つのルーマニア民族舞曲」を時間まで聞きながら今回はお別れです。ヨーゼフ・シゲティのヴァイオリンとバルトーク自身のピアノによる演奏です。曲名に「ルーマニア」と付いていますが、半分以上がトランシルヴァニア各地のハンガリー系の音楽です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ベーラ・バルトーク & ヨゼフ・シゲティ / Rumanian Folk Dances 5分21秒>

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2022年12月 5日 (月)

「15のハンガリー農民歌」の自作自演から

ゼアミdeワールド337回目の放送、日曜夜10時にありました。7日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はバルトークの「15のハンガリー農民歌」の自作自演のみ入れておきます。何故No7-10, 12, 14, 15だけなのか不明ですが、この録音はミクロコスモスやシゲティ、ベニー・グッドマンとの共演なども最高です。

ハンガリー音楽の17回目になります。前回に続きまして、「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music ~ Hallgassatok Meg, Magyarim」と言うハンガリー民謡を概観する2枚組からおかけします。この盤が出たのは98年で、当時ゼアミは2年目でしたが、「ハンガリー民謡逍遥」と言うタイトルで売った記憶があります。

1907~93年に録音された音源の集成の中でも、5音音階のマジャール民謡はむしろ少数のようで、改めて聞き直してみると、農村ジプシーの音楽や、エルデーイ(トランシルヴァニア)の古いハンガリー音楽も目立ちます。

ハンガリーの伝統音楽は、都会に住むジプシーの職業楽士の音楽、前々回まで3回取り上げたような真のジプシー音楽、ハンガリー人または自称マジャール人の5音音階を含む民謡が3つの大きな柱ですが、その3つの区別を明らかにしたのがバルトークやコダーイの研究で、彼らの作品の中にマジャール民謡が引用された曲もあります。

前回の最後にかけようかと思っていた曲ですが、5音音階の曲が印象的なバルトークのピアノ曲「15のハンガリー農民歌」の抜粋音源がありますので、まずはこちらからおかけします。名ピアニストでもあったバルトーク自身の演奏です。

<15 Hungarian Peasant Songs for Piano: Nos 7-10, 12, 14, 15 Old Dance Tunes 4分38秒>

この後はListen, My Hungariansの1枚目のトランスダヌービア、北部、ハンガリー大平原の、前回かけてない音源から抜粋して行きます。

まずはハンガリー中央部のトランスダヌービアですが、ブダペストより西側と言う事なので、ハンガリー西部と言った方が良さそうな地域です。9曲目の少女の輪舞の合唱ですが、バルトーク作品に使われていたような気がする曲です。1963年の録音です。

<9 Love, love, cursed distress (Girls round dance) 52秒>

14曲目はクレズマー的な味わいのある旋律で、ツィンバロムが柔らかい音色で結婚式の舞踊曲を奏でています。ラースロー・ライタによる1960年の録音です。

<14 Dance at wedding (Instrumental group) 1分13秒>

16曲目は縦笛フルヤの吹奏ですが、声とのダブルトーンになっています。1936年の録音です。

<16 Kaplar Janos / Love, love, cursed distress 1分55秒>

18、19目とチャールダーシュが続きますが、最初が1952年のラースロー・ライタの録音、次のフリシュカの部分のみの方は1981年の録音です。都会のジプシー音楽ではない、昔の地方のチャールダーシュの演奏スタイルを聞ける貴重なサンプルだと思います。

<18 Tendl Pal & his group / Czardash 57秒>
<19 Csonka Gyula & group / Fast Czardash 37秒>

24曲目からはハンガリー北部の音楽に移りますが、正確には前に取り上げた音源のチェニエテ村のある北東部になると思います。コダーイの1914年録音の叙情歌から始まります。

<24 Nagy Janosne Czako Veron / The foot of the Csitár hills (Lyrical song) 44秒>

27曲目は1938年録音の二つの結婚の歌です。

<27 Fulop Matene Gal Ilona / Don't fall asleep (Two wedding songs heralding daybreak) 1分45秒>

32、33曲目はOh, how longと言う同じ英訳の付いた曲で、最初が叙情歌、後の曲はフルヤの演奏です。1976年と1961年の録音です。

<32 Bajzath Ferencne & Szabo Malvin / Oh, how long (Lyrical song) 1分2秒>
<33 Pozsik István / Oh, how long (Instrumental (flute)) 1分42秒>

39~56曲目はハンガリー大平原の音源に移ります。ハンガリーの東部と南部になります。40曲目は1937年録音のクリスマスの女性独唱です。

<40 Joos Andrasne Katai Maria / A nice rose is in full bloom now (Christmas song) 1分38秒>

45曲目は1939年録音の女性の叙情歌ですが、珍しい撥弦楽器キテラの弾き語りに始まり、後半は手回しヴァイオリンのハーディーガーディーの演奏に変わります。

<45 Maszlag Jozsefne Megs Balogh Maria & Balla Istvan / Blue violet (Lyrical song) 2分15秒>

最後に53曲目のヴェルブンクを聞きながら今回はお別れです。募兵の踊りヴェルブンクの1968年の録音です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<53 Rupa Zoltan & his group / Verbunk (Recruiting dance of Cumania) (Instrumental group) 2分10秒>

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2022年11月28日 (月)

ハンガリーの5音音階の民謡「翔べよ、孔雀よ」

ゼアミdeワールド336回目の放送、日曜夜10時にありました。30日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の「翔べよ、孔雀よ」(Röpülj páva, röpülj)の動画ですが、フンガロトンの「バルトークとコダーイの採集したハンガリー民謡と彼等の作品」に入っているようですが、「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music」と同じ音源でした。

ハンガリー音楽の16回目になります。農村のジプシー音楽は一まず終えまして、次はウラル系民族由来のハンガリーの音楽に移ります。
ハンガリーの伝統音楽は、クラシック作品がよく知られているのもあって都会に住むジプシーの職業楽士の音楽が特に有名ですが、前回まで3回取り上げたような真のジプシー音楽が別にありました。更にはハンガリー人またはマジャール人の5音音階が特徴的な民謡もありまして、その存在と3つの区別を明らかにしたのがバルトークやコダーイの研究で、彼らの作品の中にマジャール民謡が引用された曲もあります。
ウラル系民族については、この番組が始まって間もないころにロシア連邦のヴォルガ河中流域のアジア系民族の音楽を集中的に取り上げましたが、主にウラル系とテュルク系の少数民族がいる中で、ウラル系の中のフィン・ウゴル語族に属するマジャール人は、フィン・ヴォルガ諸語に属するマリ語を話すマリ人(旧称チェレミス)の民謡との類似性が注目されていました。5音音階の存在までは共通していますが、5度下で同じ旋律を繰り返すテラス式構造の存在がチェレミスには確認できなかったという事で、直接のルーツ説を否定する研究もありますが、5音音階と言う点では似ているのは確かです。言語的にはハンガリー語は西シベリアのウラル系民族のハンティ・マンシに近いと言う指摘も何度かブログでして来ました。

音源については、フンガロトンから「バルトークとコダーイの採集したハンガリー民謡と彼等の作品」と「コダーイが採集したハンガリー民謡(2CD)」と言う2セットの蝋管録音の貴重な音源が復刻され、ハンガリーFonoからは「ハンガリーの民族音楽(10CD)」と言う膨大なアーカイヴが出ています。フンガロトンの2枚は90年代の内に残念ながら売り切れてしまいましたが、それより前に同じフンガロトンから出ていた「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music ~ Hallgassatok Meg, Magyarim」と言うハンガリー民謡を概観する2枚組と、ハンガリーFono「ハンガリーの民族音楽(10CD)」は手元にありますので、主にこの二つからご紹介したいと思います。

まずは「Listen, My Hungarians Hallgassatok Meg, Magyarim」ですが、1907~93年に録音された音源の集成の中では、5音音階のマジャール民謡はむしろ少数のようで、農村ジプシーの音楽や、エルデーイ(トランシルヴァニア)の古いハンガリー音楽も目立ちます。

1枚目の8曲目に5音音階(ペンタトニック)のハンガリー民謡の象徴的な歌として特によく知られている「翔べよ、孔雀よ」(Röpülj páva, röpülj)が入っていますので、こちらからおかけします。この曲は、かつてオスマン帝国の支配下に置かれたマジャール人を囚人になぞらえ、彼らの自由への情熱を歌った曲です。1936年の録音です。

<8 Fly, peacock, fly (Prisoner's song) 41秒>
Röpülj páva, röpülj (Fly peacock, fly!) , folk song

次にこの2枚組から離れますが、先程の「翔べよ、孔雀よ」による管弦楽の変奏曲をコダーイが書いていますので、その主題と第1~第6変奏をおかけします。大分前に入手した音源で演奏者は不明になってしまいました。

<ゾルタン・コダーイ / ハンガリー民謡「翔べよ、孔雀よ」による変奏曲 6分33秒>

1枚目の22曲目には、バルトークがピアノ作品に用いたことで知られる男性の独唱が入っています。この曲に続いて23曲目の器楽合奏にも同じ旋律が出てきますので、2曲続けます。1936年と1968年の録音です。

<22 Domotorfy Janos "Nagy" / Hey, the wind's blowing from the Danube (Lyrical song) 41秒>
<23 Orsos Janos & his group / Leaping dance tunes (Instrumental group) 2分57秒>

先程の曲を原曲とするバルトーク作品を次におかけします。ピアノのための即興曲の第4曲目です。ピアノ独奏はゾルタン・コチシュです。

<28 8 Improvisations On Hungarian Peasant Songs, (, Op. 20) Sz. 74 (BB 83): IV. Allegretto Scherzando 40秒>

2枚組に戻りまして、1枚目の1,2曲目はバルトークが1907年に録音した蝋管録音が入っていますので、続けておかけします。

<1 Swineherd of Csor, what are you cooking (Swineherd's song) 31秒>
<2 Swineherd's dance from Urög 28秒>

2曲目の縦笛フルヤの曲は、バルトークがピアノ曲に引用していますので、その曲を次におかけします。「子供のために」の40曲目で、先ほどと同じくピアノ独奏はゾルタン・コチシュです。

<13 For Children, BB 53, Sz. 42: No. 40 Allegro Vivace 1分40秒>

1枚目のハンガリーの中央部トランスダヌービア編はバルトークの録音から始まりましたが、2枚目のエルデーイ(英語ではトランシルヴァニア)~ブコヴィナ編はコダーイの録音から始まっています。その1912年録音の5音音階の古い叙情歌をおかけします。

<2-1 Vaszi Gyorgy Vancsa / Azhol en elmenyek (Wherever I go) 49秒>

この2枚組はそれぞれ40、50曲余りずつ入っていて、とても全てはかけられませんので、2枚目から2曲選んでみました。16曲目はトランシルヴァニアの叙情歌で、5音音階の鄙びた美しい歌です。トランシルヴァニア在住の有名なハンガリー人民族音楽学者ゾルタン・カーロシュの1963年録音です。

<2-16 Szasz Etelka Balla / A marosi fuzes alatt (Down by the sally gardens of Maros) 2分10秒>

2枚目の後半は現在はルーマニア領のジメシュとモルドヴァ地方の歌に移ります。31曲目は1954年録音のクリスマスの歌ですが、この旋律は、最近のハンガリー・トラッドの女性歌手の誰かの歌唱で聞き覚えがあります。
もし時間が余りましたら、5音音階の曲も出てくるバルトークのピアノ曲「15のハンガリー農民歌」の抜粋の自作自演まで聞きながら今回はお別れです。
今回取り上げた地方にもまだまだ注目の音源がありますし、1枚目のハンガリーの中央部トランスダヌービア編の後には、北部とハンガリー大平原の音源もありますので、また次回以降に取り上げる予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<31 Fazakas Ilona Simon / En felkelek jo regvel, hajnalba (I have got up at dawn) 3分55秒>

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2022年11月21日 (月)

Ando Drom / Csi Lav Tu

ゼアミdeワールド335回目の放送、日曜夜10時にありました。23日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今回分は6日放送予定だった内容です。今日はCsi Lav Tuのみです。

ハンガリー音楽に戻りまして、15回目になります。今回はハンガリーの農村ジプシーの音楽の3回目です。農村ロマの音楽の現代的な展開を見せているAndo Dromの音源から始めます。333回目のラストにかけたSzi Ek Sejと一緒に見つかった曲にChi Lav Tuと言う名曲がありまして、独Network MedienのPhari Mamoにも入っていましたが、こちらの方が長尺になっています。このネットワーク盤ではジプシーやクレズマーなどの東欧音楽を演奏するフランスのブラッチのメンバーが参加していた通り、素朴な農村ジプシー音楽にポップな要素を加えて演奏しています。ッダバ、ッディビの裏打ちリズムの掛け声も入っています。10分余りの曲で段々とテンポが上がって行きます。女性ヴォーカルのミツウの歌声が鮮烈で最高です。

<Ando Drom / Csi Lav Tu 10分17秒>

続いて先日ゼアミブログにも書きましたが、ハンガリーの農村ジプシー音楽系のグループと言えば、アンド・ドゥロムより前から活動している1978年に結成された重要なグループ、カイ・ヤグ(Kalyi Jag)を忘れるところでした。ダンスハウスにルーツがある彼らのフンガロトン盤が話題になったのは、90年前後だったように思います。今日おかけする曲は、1977年頃にハンガリー音楽の専門家、谷本一之さんのNHKFMの番組で聞いた曲が原曲だと思います。先ほどのアンド・ドゥロムとミツウの曲と同じハンガリー音楽コンピレーション「Vetettem Gyöngyöt (Világzene Magyarországon 1972-2006)」に入っています。カイ・ヤグも同じ音源を参考に演奏しているのかも知れません。メセラキ・ディリで始まりケリマスキ・ディリに移るような展開です。

<Kalyi Jag / Sukar Szasz Amari Bóri 2分31秒>

333回目にかけたチェニイェテ村の音源からもう一曲 19曲目の「ヴラフ・ジプシーのスロー・ソング」と表記のあるメセラキ・ディリ系の歌を次におかけします。ヴラフ・ジプシーと言うのは、ロマ語のワラキア方言を話すグループのようです。ルーマニアのワラキア方言は、セルビアなどのバルカン方言に次いで、世界で2番目に広く話されているロマ語の方言サブグループとのことです。

<19 Robija, Robija (Captivity, Captivity) 4分10秒>

プロの演奏家のジプシー音楽は数多くありますが、このチェニエテ村の録音は本物の凄さと生々しさを感じさせる、実に味わい深い音源ですので、次の20曲目から数曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<20 Fordulj Ide, Babám (Turn This Way, Baby) 1分35秒>
<21 Elmégy, Babám, Elmégy (You're Leaving Baby) 3分15秒>
<22 Dance Song Without Text [Cigánysoron Nem Merek Eljárni] (I Don't Dare Go Down Gypsy Row) 28秒>
<23 Nyitva Van A Barna Asszony Ablaka (The Bunette's Window Is Open) 3分16秒>

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2022年11月14日 (月)

鳥の歌

ゼアミdeワールド334回目の放送、日曜夜10時にありました。16日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。まずはナターシャさんの「鳥の歌」から。このライブの弾き語りと、コブザーリでの演奏はかなり違いますが。

実は2日に私の父が亡くなりまして、7年間で初めて収録を飛ばしてしまいました。今回は追悼特集にしたいと思います。まずはスペイン北東部カタロニア地方の民謡を元にした「鳥の歌」からおかけします。演奏はウクライナのバンドゥーラ弾き語りの歌姫、ナターシャ・グジーです。10/13のしこちゅ~ホールでのコンサートも聞きに行って来ました。

<旅歌人(コブザーリ)/ ナタリア3 ~鳥の歌 7分12秒>
Song of the Birds ( El Cant dels Ocells ) by Nataliya Gudziy / 鳥の歌 ・ ナターシャ・グジー

次はベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番の第5楽章カヴァティーナで、演奏はブダペスト弦楽四重奏団です。大変に美しい曲で、追悼曲としてもよく弾かれる曲です。大変お世話になった音楽プロデューサーの星川京児さんの追悼で6年前にもかけました。

<String Quartet No. 13 in B-Flat Major, Op. 130: V. Cavatina. Adagio molto espressivo (Live) 7分15秒>

先ほどの「鳥の歌」に戻りますが、元はカタロニアのクリスマス・キャロルだったこの曲を一躍有名にしたのが、スペインの大チェリスト、パブロ・カザルスです。彼のアレンジが最もよく知られ、チェロの定番曲になっています。余りにも有名なカザルスの国連コンサートでの演奏は、平和を希求するものでしたが、追悼曲としてもよく弾かれるようです。私も昨日一昨日と、父の祭壇の前でチェロとヴァイオリンでそれぞれ弾きました。今回おかけするのは、国連ライブとは別のカザルスの音源です。

<パブロ・カザルス El Cant del Ocells 3分16秒>

次は父が好きだった近江俊郎の「湯の町エレジー」です。父は若い頃演歌ギターを弾いていたことがあり、この曲などを歌い手と二人で演奏しながら、酒場を流したことがあったそうです。私もさわりをクラシック・ギターで練習したことがあります。

<近江俊郎全曲集 湯の町エレジー 4分14秒>

最後に黄檗宗の大本山、萬福寺の朝課(朝のお勤め)の音源を聞きながら今回はお別れです。うちは旧・周桑郡にある黄檗宗の寺、正法寺の檀家で、祖父や祖母の葬儀でも類似の音楽を耳にしたように思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<萬福寺の梵唄 黄檗宗の朝課 36分23秒>

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