ブロッホの祈り(チェロ)
ゼアミdeワールド533回目の放送、日曜夜22時にありました。7日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。ソル・ガベッタの演奏は、2014年に見たYouTubeに上がっているライブです。大分前から楽譜は持っていたので、2014年早速この曲をレッスンに持って行った時、R先生が「おお、ブロック!」と英語発音で言われたのが忘れられません。
スイスの10回目になります。今回は予告通りスイスのクラシックの作曲家特集にして、今回でスイスシリーズの締めにします。
スイスの有名な作曲家には、アルテュール・オネゲル、フランク・マルタン、オトマール・シェック、ヨアヒム・ラフ、エルネスト・ブロッホなどがいますが、音楽大国のドイツやオーストリアと比べると、随分と少ない感じです。この5人についても、相当クラシックを聴きこんでいる人でなければ知らないと思います。
私が一番馴染みがあるのは、ユダヤ系の作曲家ですが、エルネスト・ブロッホです。1880年スイス生まれで、1916年に渡米するまでヨーロッパ各地を転々とし、1924年に合衆国市民権を取得、1959年にアメリカで亡くなっています。
ユダヤ教の典礼音楽や、ユダヤの民族音楽を依り拠としている、チェロと管弦楽のための《シェロモSchelomo 》や、「祈り(Prayer)」など、チェロやヴァイオリンの名曲を残していて、私自身「祈り」は何度か催しでも弾いたので、特に馴染みがあります。
一番最初は2015年2月の今治総合芸能祭で、青野さんのジャズピアノとの共演でチェロを暗譜で弾きました。このステージはコンテンポラリーダンスとお能の舞との共演という、珍しい組み合わせで、その伴奏音楽としてチェロとピアノを合わせました。600人くらい来客がある大き目の催しですので、もしかしたら今治にはステージを見られた方もいらっしゃるかと思います。
この時弾いたのは、「祈り」の他にバッハの無伴奏チェロ組曲5番プレリュードの冒頭、ロンドンデリーの歌でした。「ロンドンデリーの歌」あるいはダニーボーイは、ジャズでも弾くことがあるだろうと思いますから、青野さんもパラフレーズして合わせやすいようでした。ブロッホの「祈り」は、独特なユダヤ旋法が出て来る曲ですが、ステージが「星の祈り」というタイトルだったので、なかなか馴染んだのではと思いました。
では「祈り」をアルゼンチンの女流チェリスト、ソル・ガベッタの演奏でおかけします。この曲は、1924年に作曲されたチェロとピアノのための組曲『ユダヤ人の生活から(From Jewish Life)』の第1曲です。「ユダヤ系スイス人の作曲家ブロッホが、自身の民族的ルーツや信仰心、深い精神性を音楽で表現した、静けさと切なさに満ちた名曲です」とAI回答に出て来ましたが、本当にそう思います。ソル・ガベッタの動画を見たのが2014年頃で、この人が弾いてから急にこの曲の音源が増えた気がします。
<ソル・ガベッタ & アムステルダム・シンフォニエッタ From Jewish Life: I. Prayer 4分38秒>
Sol Gabetta feat. Andreas Kern - 'Prayer' (Ernest Bloch) [live]
同じくブロッホの、チェロと管弦楽のための《シェロモSchelomo 》は23分近い曲ですから、ユダヤ旋法のはっきり分かる辺りまでおかけします。シェロモとは、旧約聖書に出て来るダヴィデ王の息子ソロモン王のヘブライ語読みです。私はこの曲を聞くと、古代ローマ帝国時代の国を失った民族であるユダヤ人のベンハーと、キリストの生誕、受難、復活までを描いた映画「ベン・ハー」を思い出します。ロストロポーヴィチとバーンスタインの名演です。
<ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ, フランス国立管弦楽団 & レナード・バーンスタイン Schelomo 22分52秒~8分位>
スイスの他の作曲家ですが、フランク・マルタンは現代の作曲家ですし、シェックとラフはかなりマイナーなので、オネゲルだけにしておきます。
アルテュール・オネゲル(1892–1955)は、機関車を音楽で表現したパシフィック231が特に有名で、中学頃音楽の授業で聞いた人も多いかと思います。オネゲルはフランス近代のいわゆる「フランス6人組」の一人として有名ですが、出身がスイスでした。スイスとフランスの二重国籍を持ち、主にフランスで活躍しています。
フランス6人組とは、ルイ・デュレ、アルテュール・オネゲル、ダリウス・ミヨー、ジェルメーヌ・タイユフェール、フランシス・プーランク、ジョルジュ・オーリックの6人です。彼らの先輩にドビュッシー、ラヴェルがいますが、特にエリック・サティの影響を強く受けています。この辺り、フランスに回ってきたら、また色々かけることがあるかと思います。
ではオネゲルのパシフィック231を、エルネスト・アンセルメ指揮パリ音楽院管弦楽団でおかけします。
<エルネスト・アンセルメ & パリ音楽院管弦楽団 Pacific 231, H. 53 5分53秒>
では最後にモーリス・ラヴェルのボレロを聞きながら今回はお別れです。ラヴェルは、母がスペインのバスク人、父はスイス出身でした。ストラヴィンスキーがラヴェルの管弦楽の精緻な作曲書法について「スイスの時計職人」と形容したエピソードは有名です。ボレロについては解説は不要かと思います。演奏はラヴェル自身の指揮、コンセール・ラムルー管弦楽団です。もっと上手い演奏は沢山あると思いますが、私は1980年頃からこの雰囲気のある演奏が大好きで、LPでよく聞いていました。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<モーリス・ラヴェル & コンセール・ラムルー管弦楽団 Bolero, M. 81 16分14秒>


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