J.S.バッハ

2022年5月 5日 (木)

ミルシテインのシャコンヌ

バッハの無伴奏ヴァイオリンで誰のものを一番聞くかと言いますと、実はナタン・ミルシテインのドイツグラモフォン盤です。2番目がエネスコ、3番目は天満さんの演奏でしょうか。先日手に入れたIrina Muresanuのシャコンヌは完璧な演奏でした。80年代のLPの頃はヘンリック・シェリングの盤が有名で、よく聞いたものです。エネスコのCDは90年代末頃になってから聞いたと思います。ナタン・ミルシテインは、レオポルト・アウアーやウジェーヌ・イザイなど、歴史的な名人に教わった人で、「イザイを通じて身につけた、歌心と美音を尊重するフランコ・ベルギー楽派の優美な演奏スタイル」と言うウィキペディアのコメントに強く同感です。
2本目のモノクロ動画は大分前から知っていましたが、1本目の1986年のラストコンサートの映像は、今回初めて見ました。当時82歳とは思えない凄い演奏で、ルーマニアシリーズの途中ですが、今日はこの2本を上げておきます。終わり間近の3声になる至難の箇所では、2本とも3連符で弾いていますが、これはミルシテインだけだと思います。残念なのは感動的なアルペジオの部分の後半で背中からの映像になっている点です。

Nathan Milstein...Last Concert...Chaconne (1986)

Bach BWV 1004 Chaconne Nathan Milstein Violin - Complete

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2022年5月 2日 (月)

エネスコのシャコンヌ

ゼアミdeワールド307回目の放送、日曜夜10時にありました。4日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。エネスコのこの演奏は晩年の録音ですから荒い部分もありますが、バッハの音楽の核心に到達していると言われます。テクニック的には今はもっと完璧な演奏がたくさんありますが、核心に迫る「何か」が欠けているのかも知れません。余談ですが、1983年頃よくバッハのシャコンヌを練習していて、大学オケの仲間からシャコンドーとあだ名されたことがありました(笑) 当時は全て暗譜していましたが、今ではもうさっぱり。しかし、大変思い出深い曲なので、また少しずつさらおうかと思っている所です。今日のYouTubeは、エネスコのシャコンヌのみです。
 

今回はルーマニアの音楽の19回目になります。前々回の放送の最後にエネスコのヴァイオリン独奏で、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ1番のフーガをかけましたが、フェイドアウトになっておりましたので、今回はこの曲と、一番有名なパルティータ2番のシャコンヌをノーカットでおかけしたいと思います。

ジョルジュ・エネスコは、作曲家としてはルーマニアの伝統音楽を常に重視していましたが、演奏家としてはフリッツ・クライスラーやジャック・ティボーと共に20世紀前半の三大ヴァイオリニストの一人とされています。1920年代半ばからはヴァイオリン教師としても知られ、門下生にはユーディ・メニューイン、アルテュール・グリュミオー、クリスチャン・フェラス、イヴリー・ギトリスなど錚々たる名手がいます。
バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」については、ヴァイオリニストとしておそらく最も早い時期から注目し、実演・録音ともに語り継がれる名演を残しています。1948年頃の全曲録音の2枚組から、ソナタ1番の2曲目のフーガをまずおかけします。1985年頃にアイダ・カヴァフィアンの生演奏で聞いてから、特に忘れられない曲の一つです。メシアンを得意にしていたアンサンブル・タッシの来日公演のアンコール演奏だったと思います。

<1-2 Violin Sonata No. 1 in G minor, BWV 1001: II. Fuga (Allegro) 5分12秒>

次に無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ2番のフィナーレを飾る、余りにも有名なシャコンヌです。14分近いこの曲はニ短調で荘重に始まり、感動的なアルペジオの部分を経て、明るい部分に移行し、オルガンのような重音も聞かせます。最後は再びニ短調に戻り枯淡の境地で曲を締めくくっています。

<2-5 Violin Partita No. 2 in D minor, BWV 1004: V. Ciaccona 14分7秒>

では最後に、室内オーケストラのための交響詩「自然の声」(Voix de la Nature)を時間まで聞きながら今回はお別れです。この曲は1931~39年に作曲されていますが、エネスコの遺作だそうです。こちらも若い頃に書かれたルーマニア狂詩曲とは打って変わって、枯淡の境地の印象です。
音源は1989年のルーマニア革命の翌年にルーマニアElectrecordから出たRecord for Rumaniaと言う盤です。この中から前々回にルーマニア狂詩曲第1番をかけましたが、ルーマニア狂詩曲第2番と、「自然の声」、「ルーマニアの詩」の4曲が入っています。演奏はティミショアラ・フィルハーモニー管弦楽団です。因みに「ルーマニアの詩」は男声合唱つきの交響組曲で、1889年の時に僅か8歳のエネスコが書いた作品1の処女作でした。ルーマニア狂詩曲は、二十歳の頃の作品です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 Record for Rumania ~Voix de la Nature 8分35秒>

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2022年4月22日 (金)

エネスコの「無伴奏ヴァイオリンのソナタとパルティータ」

エネスコの弾くJ.Sバッハの「無伴奏ヴァイオリンのソナタとパルティータ」は、LPでは数十万の値段が付いていたことがあるそうです。録音は有名な1948年のものと、1920年代にもあるそうですが、後者は残念ながら未聴。高値が付いていたのは前者でしょうか。今回の放送ではラストにかけて、残念ながら時間が足りずフェイドアウトしました。このような名曲をフェイドアウトはしたくなかったので、5月1日と4日の放送分では、シャコンヌと併せてノーカットでかけようと思います。今日は1949年の貴重なライブ録音がありましたので、そちらで上げておきます。(以下放送原稿を再度)

ジョルジュ・エネスコは、作曲家としてはルーマニアの伝統音楽を常に重視していましたが、演奏家としてはフリッツ・クライスラーやジャック・ティボーと共に20世紀前半の三大ヴァイオリニストの一人とされています。1920年代半ばからはヴァイオリン教師としても知られ、門下にユーディ・メニューイン、アルテュール・グリュミオー、クリスチャン・フェラス、イヴリー・ギトリスなど錚々たる名手がいます。
バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」については、ヴァイオリニストとしておそらく最も早い時期から注目し、実演・録音ともに語り継がれる名演を残しています。1948年頃の全曲録音の2枚組から、一番有名なパルティータ2番のシャコンヌは時間がかかりますので、番組の残り時間で出来るだけ長くかけられるソナタ1番のフーガを時間まで聞きながら今回はお別れです。80年代にアイダ・カヴァフィアンの生演奏で聞いてから、特に忘れられない曲の一つです。確かアンサンブル・タッシのメンバーとの来日公演でのアンコール演奏でした。

George Enescu plays live encore, rare 1949: Bach G Minor Fugue

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2016年9月30日 (金)

バッハ無伴奏チェロとポル・ウナ・カベーサ

ゼアミdeワールド26回目の放送、木曜夕方終りました。再放送は2日15時です。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。無伴奏チェロのyoutubeは、名手ミッシャ・マイスキーの演奏を貼っておきます。5番のジーグとか、最高です。ポル・ウナ・カベーサは、私達が弾いたのとは少し編曲が違います。

毎回言っておりますが、放送時間が10月から変わります。本放送が日曜日の18:00から18:30、再放送は翌週の水曜日の20:30から21:00です。宜しければ是非お聞き下さい。

今回が15分枠での最後の放送になりますが、「たまにチェロなどの生演奏も」とラヂオバリバリのフライヤーに書いておきながら、ミキサー操作しながらのためなかなか実現出来ておりませんでしたので、今回は自演をかけてみようかと思います。私自身のチェロやヴァイオリンの録音と、私が所属している今治市民弦楽合奏団の演奏です。何で民族音楽を扱いながらチェロやヴァイオリンなのかについては、また30分枠になってから追々お話していきたいと思います。

まず一曲かけながら話を進めたいと思います。去年7月25日の石鎚神社での奉納演奏の録音で、私のチェロと青野和範さんのピアニカ、ベルローズの岡野ゆきさんの朗読、ダンススタジオ108の渡邊さんの舞踊です。私が弾いているのは、J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲1番サラバンドです。神社の荘厳な雰囲気に合うかなと思って選びました。

<近藤博隆(チェロ) / J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲1番のサラバンド>
Bach - Cello Suite No.1 iv-Sarabande


以下催しのお知らせです。宜しければ是非お越し下さい。3つとも無料です。

◎今治芸能祭(洋舞)
10月23日 午後1時から(順番は未定)@今治中央公民館4階大ホール
ダンススタジオ108&近藤博隆(チェロ)
演目:竜の河
去年の内子座、今年1月31日の今治総合芸能祭に続く「竜の河」の再々演です。内子座の時と同じで、J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲3番サラバンド、3番ジーグ、5番ジーグ、3番サラバンド前半を、この順で弾きます。音楽はチェロのみです。
 
◎文化祭(音楽祭)
11月13日 午後1時から 順番は12番目  @今治中央公民館4階大ホール
出演:今治市民弦楽合奏団
曲目:モーツァルト / アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク第1楽章、マスカーニ / カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲
私はファースト・ヴァイオリンで出ます。

◎第10回今治総合芸能祭
2017年2月5日 午後1時からの1番目 @今治中央公民館4階大ホール
出演:橙黄会(お能の仕舞と能管)、未来演劇KプロジェクトJrの朗読劇、山田逸朗さんの写真、近藤博隆(チェロ)のコラボ
世阿弥作の春を寿ぐお能の名曲「東北(とうぼく)」の序の舞を中心にしたコラボです。チェロ・ソロはJ.S.バッハ無伴奏チェロ組曲1番サラバンド、アルマンド、プレリュードをこの順で弾く予定。
開演前のウェルカム演奏(緞帳前でのチェロ独奏)も15分前後弾くことになりました。今年は二胡の武田さんが担当されていました。

さて、前置きが長くなりましたが、今年の1月31日に開催されました第9回今治総合芸能祭での、私のチェロ演奏をかけてみたいと思います。お能の橙黄会、ダンススタジオ108、岡野ゆきさんのベルローズの薔薇のコラボステージでした。弾いているのは、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲3番のサラバンド、3番ジーグ、5番ジーグ、3番サラバンドです。

<近藤博隆(チェロ) / J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲3番のサラバンド、3番ジーグ、5番ジーグ、3番サラバンド>
Bach - Cello Suite No.3 iv-Sarabande


Bach - Cello Suite No.3 vi-Gigue


Bach - Cello Suite No.5 vi-Gigue


最後に去年の「大人の夜市in寺町」での今治市民弦楽合奏団の演奏で、カルロス・ガルデル作曲のタンゴの名曲「ポル・ウナ・カベーサ」を聞きながら今回はお別れです。ここでは私はメロディ担当のファースト・ヴァイオリンを弾いております。この時は人数が少なく総勢4人でした。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。ではまた10月2日の30分枠の初放送でお待ちしております。

<今治市民弦楽合奏団 / ポル・ウナ・カベーサ>
Fleur de Lys Quartet - C.Gardel Por una Cabeza

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2016年5月20日 (金)

デイラーマンとソラリス

なかなかブログを書いている時間がないので、もう一つのアカウントからの転載で失礼します。19日の放送では、以下の内容で進めました。22日午後3時からも再放送がありますので、宜しければ是非お聞き下さい。来週は星川さんの追悼曲として、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番の5楽章「カヴァティーナ」をかけようかと思います。併せて90年代前半のNHKFM「世界の民族音楽」の星川さん司会の回でテーマ曲に使われていた「カスピ海の旋律」(アゼルバイジャンのケマンチェ)も。私が実際に星川さんのお声を初めてこの番組で聞いたのは、87年頃のニザーミ・ブラザースの紹介だったと思います。夜のラーガ「ダルバリ」によるカッワーリである等解説されていたのをよく覚えています。ニザーミ・ブラザースの録音はIneditの「アジアのイスラーム音楽」に収録されていました。当時はLPだったかも知れません。小泉文夫さんが83年に亡くなられて、その後この番組を引き継がれた数人の内、成澤玲子さんや星川さん水野信男先生の司会が多かったように記憶しています。

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イランのヴァイオリン演奏と西洋クラシックのチェロ演奏をかけてみました。今後こういう民族系とクラシックを並置するパターンを増やそうかと思います。

<アボルハサン・サバー(1902-1957)のデイラーマン 抜粋>
歌か笛のように聞こえるかと思いますが、これはれっきとしたヴァイオリン・ソロで、これほど巧みに歌を模倣している例は他に聞いたことがないほどです。元は北イランの民謡ですが、ダシュティ旋法のレパートリーに入っています。小泉文夫さんが「世界で最も美しい歌」として、どこかにこのデイラーマンについて触れていたように思いました。米作も見られるような日本に似た風景の地方ですから、日本人の琴線に触れる歌が生まれたのかも知れません。
サバーは沢山の楽器を演奏できたそうですが、特にヴァイオリンとセタールの名人として知られ、伝説的な大音楽家Mirza AbdollahやDarvish Khanの弟子ですから、19世紀カージャール朝の音楽を最も正統に継承していた名手と言える人です。彼はFaramarz Payvar, Parviz Yahaghi, Dariush Safvat, Hossein Tehraniなどの演奏者を育て、この中のサフヴァトの始めたイラン伝統音楽保存センターの活動の中からは、Mohammad Reza Lotfi, Hossein Alizadeh, Hossein Omoumi, Parisa, Dariush Talai, Majid Kianiなど、現代を代表する錚々たる演奏家達を排出しています。このようにサバーは現代ペルシア古典音楽の父とも言って良い人です。

比較で、古典声楽と元の民謡を少しずつかけてみます。
<デイラーマンの歌  古典声楽版  ホセイン・ガヴァーミ  抜粋>
<デイラーマンの歌  元歌の民謡  サイド・ホセイン・ミル・アハマディ  抜粋>

youtubeは、バナーンの名唱で。


もう一つ、ヴァイオリンの使用例としてイラン革命前の歌姫グーグーシュの歌唱から、ペルシアの伝統的な舞曲レングの8分の6拍子のリズムによる曲をかけます。グーグーシュのチャーミングな歌も良いですが、トンバク伴奏でヴァイオリンが晴れやかに奏でるマーフール旋法の明るい曲調が素晴らしいです。
<グーグーシュ Shode Shode  抜粋>

最後に4月9日の松山市民会館での無伴奏チェロ組曲全曲演奏会が素晴らしかったナサニエル・ローゼン師匠の「Reverie(空想?)」というアルバムから、J.S.バッハのコラール・プレリュード 『イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ』(BWV 639)です。元はパイプ・オルガンの曲で、チェロとピアノに編曲されています。タルコフスキーの映画「惑星ソラリス」に使われたことで有名です。
5月18日には無伴奏チェロ組曲全曲(2枚組)がリリースされました。

<Nathaniel Rosen  J.S.Bach / Jesus Christ,I Implore Thee 抜粋>

Solaris (Солярис)
https://www.youtube.com/watch?v=zf38gxK54dI

Johann Sebastian Bach - Chorale prelude F Minor ( "Solaris" A. Tarkovsky).flv
https://www.youtube.com/watch?v=mGb0tP1Gz5Y

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2015年12月 3日 (木)

ヴァイオリンでのクーラント

ヴァイオリンでのクーラントでもダンスの伴奏をしていたりするのがあれば面白いのですが、なかなかそこまでは出てきません。チェロと違ってベース音がないので、ビートを感じにくいため、ダンス伴奏には余り使われないということでしょうか? J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのパルティータ2番のクーラントは、長大かつ深遠なシャコンヌの前置き曲のような感じで余りスポットが当らないのが残念ですが、舞曲の面から聞き直してみるのも一興です。ギターとのデュオの方ははっきり思い出せない曲ですが、こちらもなかなかの好演です。原曲はヴァイオリンとチェンバロのソナタでしょうか? 曲名の表記がなく、ぱっと思い出せません。

Clayton Haslop - Bach Partita Nr. 2: Courante

Courante by J.S. Bach, (violin and guitar)

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2015年12月 2日 (水)

バレエと6番のクーラント

つい先日私自身がモダンダンスの伴奏でJ.S.バッハの無伴奏チェロ曲を弾いたため、とてもリアルに感じた一本です。音域の広さ故、最も難しい第6組曲のクーラントの伴奏でバレエ。面白い試みです。因みに、私が弾いたのは第3組曲のサラバンドとジーグ、第5組曲のジーグの3曲でした。クラシック、コンテンポラリーのいずれも合うと思います。本来舞曲ですから、合うべきなのでしょう。ヨーヨー・マは2回目の無伴奏チェロ録音の前後に、第5組曲で歌舞伎の舞踊との共演も果たしました。

Bach Cello Suite No.6 Courante

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2015年12月 1日 (火)

クーラント(チェロとリュートによる)

J.S.バッハのクーラントの良い演奏が幾つかありました。どちらも無伴奏チェロ組曲の中の曲で、教則シリーズ「チェロ・ジャーニー」の方は無伴奏チェロ組曲1番のクーラント、リュートによる演奏の原曲は無伴奏チェロ組曲5番のクーラントです。チェロ・ジャーニーの方が生き生きとしたリズムで弾いていて、本来舞曲であることをよく表現していると思います。リュートは、まず楽器の美しさに見惚れてしまいました。

Cello Journey #16, October 2, 2006, Bach Courante

Courante BWV 995 J.S.BACH/Xavier Díaz-Latorre, lute

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2015年11月20日 (金)

アルマンドの話

ロレーヌの伝統音楽では結局見当たらず、一昨日のアコーディオン奏者も、どうやらアルザスの人のようでした。想像以上に、東フランスにおけるアルザスの文化的な存在感は大きいのかも知れません。アルザス語などのドイツ南西方言は、総称してアレマン語とも言われますが、アレマンと聞いてクラシック・リスナーが思い出すのは、一般にドイツ舞曲と言われるアルマンドでしょう。「ドイツ語」をフランス語で「アルマン(Allemand)」と言うのは、アレマン語を話すアレマン人にルーツがあると言われるように、バロック舞曲のアルマンドも当時のこの辺りの舞曲が雛形になっていたのでしょうか。J.S.バッハなどのバロック期の組曲に必ず出てくるアルマンドは、アウフタクトで始まる特徴的なリズムを持っており、このリズムが現代のアルザスに残っていたりすると、とても面白いので探しているところです。J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲中、最も難しい6番のアルマンドを、ミッシャ・マイスキーの演奏でどうぞ。

Bach - Cello Suite No.6 ii-Allemande

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2015年2月20日 (金)

ヴィオラ・ポンポーサ

ヴァルティナの色々な歌を聞いていると、ヴォルガ中流域のフィン・ウゴル系民族の歌と並べてみたくなる曲もありましたが、捜索に時間がかかりそうなので、今日はその前のトピックだったヴィオラ・ポンポーサという楽器についてです。youtubeには、アルペジーナという名で知られる不思議な形の弦楽器が、ヴィオラ・ポンポーサとして出てきます。J.S.バッハから現代音楽、トルコの古典演奏まで、色々な映像がありました。最後に、巨匠シギスヴァルト・クイケンによるヴィオロンチェロ・ダ・スパッラでの無伴奏1番のプレリュード。J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲は、第6組曲などでの演奏困難さから、現在のチェロではなく、このどちらかの楽器のために書かれたという説が有力になっています。

Bach Suite 1 Prelude - Rudolf Haken, 5-string viola

Balkan Tuysuz playing Rivinus viola pomposa

Sigiswald Kuijken - Suite nr 1 BWV 1007 prelude

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